Con Gas, Sin Hielo

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「君に届け」

2010年10月16日 02時22分49秒 | 映画(2010)
かわいくて、たのしい。


金曜の夜は、定退+金券+ピカデリー。

もちろん勝手に考えたフレーズだが、終業と同時に職場を後にする開放感は格別。こつこつやるやつぁご苦労さんと来たもんだ。

そんな軽い気分に合わせてではないが、軽めの映画を選んでみた。

多部未華子にも三浦春馬にもそれほど印象もなく、普通ならスルーだったところを、妻が結構お気に入りだったようなので観ることに。

予備知識ゼロのところにいきなり貞子現る。やるな、多部未華子。

入学式で学校の場所を見失う王子様・風早。下見くらいしときなさい。

クラスはやたらと明るい。これが「告白」と同じ国の学校かと見紛うほど。

え?こちらは高校であっちは中学校だって?おいおい。そりゃ、きっとどっちかは漫画の世界だって。

そんなコミックワールドと悟れば、ツッコミどころも反対に微笑ましく見えてくるから不思議だ。

デリカシーもユーモアもない担任はウェルテルよりはるかに問題教師だが、この映画の中ではそこそこの威厳を持って生きている。

そんな担任を含めて、貞子・黒沼爽子を人間扱いするのが風早ただ1人という凄まじさ。

極端な設定と、出会いの場面等の多分にドラマ的な要素が、地味なシンデレラと王子様のような乙女のサクセスストーリーに共通する古典的なツボを押さえている。

そんな王道と並行して描かれるのが頼れる友人の出現による成長物語だ。

どちらかというとこちらの方が印象が強いくらいで、とにかく多部未華子のハマり具合が抜群。

垢抜けない役なら夏帆でもできるかもしれないが、上目づかいになるときや泣くのを我慢しているときの一種近寄り難い不気味さは他の役者では無理だろう。

それでいて、いやそれだからこそ、ふっと自然の笑顔が出たときのかわいさが引き立つ。王子様が惹かれる設定も無理なくなるのだから恐れ入った。

まったく私的な感想ではあるが、爽子ちゃんは妻に通じる部分が多いと思った。それは、風早が友人・龍に爽子がどんな子か訊かれて応えていた言葉の多くが共通していたから。

一方で、娘にはほとんど共通点がなかった。爽子と両親、特に父親の思いがところどころに登場していたが、わが家にはまったく当てはまることはないだろう。だからどうってことでもないが。

展開はちょっとした波乱はあるものの、誰もが大きく落ち込むようなこともなく解決していくので、心穏やかなまま観ていられる。もちろん最後に収まるべきところも心得ているし、秋にふさわしい恋愛映画があまりない中で、チケットが売り切れる金券ショップが多くなっているのも理解できる気がした。

(75点)
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