Con Gas, Sin Hielo

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「ノルウェイの森」

2010年12月27日 01時16分14秒 | 映画(2010)
どうだろう、このしちめんどうくさい世界。


日本国民として多数派になるのか少数派になるのか分からないが、村上春樹を読んだことがない。村上春樹的な世界もまったく分からない。

では何故本作を観に行ったかといえば、それは1か月フリーパスがあったから。それに尽きる。

時代は昭和40年代。

生の時代感覚を持ち合わせているわけではないが、多くの大学生が安保闘争などの学生運動に興じていたことは知っている。

思想的にも性格的にもまっすぐだった人たちが運動に積極的だったのであろう。

その反面、斜に構えて物事を見る人たちの中には、運動に参加せず、かといって学校として大学が機能していないから惰性で日々を送るだけの学生もいたことも想像がつく。

主人公・ワタナベは、ひねくれているわけではなかったが、周りに不思議と退廃的な空気を持った人間が集まってきていた。

そのあたりが文学作品っぽいのだが、まあ登場人物の性格がとにかく面倒くさい。特に台詞に象徴されており、その度に個人的な嫌悪感が走る。

しかしだ。台詞はさておいて、そういえば恋愛というのは面倒くさいものではなかったかなと、はたと気付く。

登場人物の行動や言動を抜きにして状況だけを切り出してみると、少しずつ共感できるようになり物語もおもしろくなってくる。

トラン・アン・ユン監督の演出はテンポがよく、原作は確かご立派な装丁の上下巻だったと思うが、特に破たんすることもなく結末まで導いてくれる。

松山ケンイチ菊地凛子の演技もいい。直子の最期の場面で流れる音楽が半端なく怖くて心臓に悪かったが、全体を通して少しは村上春樹的空気を体感することができたのではないかと思っている。

それにしても、学生運動に明け暮れた人たちが大人になった姿というのはいろいろ見ているが、本作に出てくるような人たちは一体どういう変化を見せたのだろうか。永沢のような人間が外交官としてつつがなくやっていたら、それはそれでとても嫌なのだが。

(80点)
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