Con Gas, Sin Hielo

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「SING/シング:ネクストステージ」

2022年03月26日 21時06分10秒 | 映画(2022)
考えるな、歌え!


前作の「SING」から5年も経ったんですね。動物たちは元気です。地元のシアターは満員御礼。盛況の中でみんな幸せに過ごせているようです。

しかしそれでは続篇は始まらない。支配人のバスタームーンは更なる野望を持っていたという設定で、一座はラスベガス(をモチーフとしたエンターテインメントの聖地・レッドショア)へ向かうことに。

新旧のポピュラー音楽が脈絡なく矢継ぎ早に飛び出してくる構成は前作と変わらず。印象的なのは、レッドショアの芸能プロダクションビルに忍び込むときの"Bad Guy"。清掃スタッフに成りすます主人公たちがコミカルで楽しい。

そして本作の目玉が、隠遁生活を送る伝説のロックスター、クレイ・キャロウェイ。演じるのはBonoだ。

80年代の洋楽を鮮やかに彩った第2次ブリティッシュインベイジョン。数多くのアーティストたちがヒットチャートを賑わせたが、40年近くを経て、結果として最も影響力を持ったのはU2であった。

あくまで印象だが、他のグループがどちらかというとビジュアルやファッションが先行していたのに比べて、音楽的に尖った部分や、政治的なメッセージが内包された独特な立ち位置を持っていた彼ら。

87年の"The Joshua Tree"で世界的な成功を収めて以降は、音楽のみならず慈善活動にも精力的に取り組み、Bonoはノーベル平和賞候補にも選出されるなどいまだにカリスマとして君臨し続けている。

その存在感の大きさからして、米国民でないながら、この映画のこの役として登場することに誰も異論を挟むことはできないだろう。

心の底から振り絞るようにして歌う"I Still Haven't Found What I'm Looking For"。これは沁みる。

というわけで、本作は他の映画にも増してオリジナル字幕版で観るべき作品だと思うのだが、ちなみに日本語吹き替え版ではこの役、B'zの稲葉浩志氏が担当したそうだ。

全篇を通して音楽の素晴らしさを体感できるし、はらはらする展開もおもしろい。夢に向かって努力すれば必ず報われるというメッセージも文句は付けられない。けど、個人的には過ぎた上昇志向に少しついていけないかも。

(80点)
コメント
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