Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「チェイス!」

2014年12月27日 22時39分01秒 | 映画(2014)
明るくなくなったボリウッド。


インド映画といえば、単純明快なストーリーに豪華絢爛な歌や踊りがことあるごとに散りばめられる王道スタイルで一躍有名となった。

しかし本作は少し違った。まず舞台が米国シカゴである。サーカス興行を催していた父が銀行からの融資を断られて目の前で非業の死を遂げる。

復讐を誓った主人公がサーカスで培った芸術的な軽業を駆使して銀行強盗を企てるのだが、主役の俳優は、ラジニカーントでも典型的な二枚目でもなく、福岡ソフトバンクホークスの内川聖一選手のような風貌をしている。

もちろん肉体は鍛え上げられ、歌も踊りもがっちりこなすのだが、特に中盤で重要な秘密が明かされてからは、娯楽一辺倒ではなく演技でみせる部分が多くを占める。

その分コミカルな部分は影を潜める。対抗するインド警察コンビの片割れが女性の尻ばかり追いかけるおとぼけキャラ設定となっているが、その彼とてバイクに跨れば真剣なチェイスシーンを繰り広げる。

インド映画界としては、これはもちろん進化であり、世界に向けた狼煙でもあるのだろう。

ただある意味、寅さんのように定番を期待して観に来る観客もいるわけで、そうした人たちにとってはエンディングのほろ苦さとともに若干消化不良になってしまったかもしれない。

インドはやがて人口で中国を抜き世界一になるとも言われている。いやがおうにも存在が世界の中心へ近付いていくとき、映画界において独自の良さを残しつつ発展を遂げていくことができるのか、引き続き注目である。

(65点)
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「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」

2014年12月27日 22時35分52秒 | 映画(2014)
今年の12月、東京以外は雪が結構降りました。


かつてSMAPで草なぎ剛が5番目ないし6番目の男と言われ、初めて連続ドラマに主演したときには「最初で最後の主演」などと宣伝していたものだ。

その後、彼はあれよあれよという間に様々な方向へ才能を開花させたのは周知の事実であるが、嵐でいえばおそらく相葉雅紀くんが5番目の男ということになるのだろう。

テレビドラマでは何度か主演を務めているが映画の主演は今回が初めて。どちらかと言えばいじられ役で不器用な印象のある彼に当てられた役は、「ごめんなさい」が口癖の心優しき漫画家志望の青年。

原作があるようだが、まさに相葉くんのために作られたような設定と言っても過言ではないだろう。思い返せば、草なぎ剛の初主演ドラマも「いいひと。」だったし、入口として無難な選択ということか。

物語はといえば、何の変哲もない幼なじみの恋愛モノ。あまりに存在が近過ぎて本当の想いを打ち明けられないというよくある設定。

本作に唯一特徴があるといえば、主人公が創造した「デビクロ」というキャラクターで、何か良からぬことが起こると、やさしい彼の内に潜む本音を人知れず消化させるために出現しひと暴れするのだが、これが残念ながら決定的に弱い。

あまりダークな映画にできないのは分かるが、話の展開に影響を与えることもせずにとってつけたお飾りに終始してしまうのは、期待外れでいかにももったいない。

もったいないと言えば生田斗真の扱いも、特別出演(クレジットは付いていないが)と分かってはいても、もう少し複雑に絡めばおもしろくなるのにと思わざるを得なかった。

そしてダメ押しは甘甘なクライマックスの展開。クリスマスイブに雪がちらつきはじめて、大切なひとを追いかけて都心から空港までほとんど走って駆けつける離れ業。

ファンタジーだからね。これこそがデビクロくんの魔法なわけだ。

帰り際に複数のお客さんが「おもしろかったね」と言っていたから、これでいいのだろう。

(50点)
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「西遊記 はじまりのはじまり」

2014年12月27日 22時34分42秒 | 映画(2014)
横並びで歩き出すテーマ曲。


「ありえねー」といえばチャウ・シンチー。それを超える映像がてんこ盛りだからか今回は「とんでもねー」ときた。

確かに大足やら宇宙空間に仏様やら、予告の段階で遊び放題の映像を確認したのだが、本篇のつくりは至って真っ当で、そもそも孫悟空は手の付けられない妖怪だったという話から、妖怪大戦争のような物語が展開されているのである。

孫悟空を含め全部で3体の妖怪が登場するが、妖怪の造形、ストーリー、アクション、どれをとっても三者三様で見応えがあり楽しめる。

が、基本的に未熟な妖怪ハンターの成長期みたいな話なので、いつになったら西遊記と繋がるのか?ひょっとして題名詐欺?と途中で思い始めたのだが、最後になって、実はまさしく全篇が西遊記のエピソードゼロになっていたことに気付く。

言われてみれば、確かにあれは豚だった。楽しんで観ながら最後にすとんと心地良く落ちてくるつくりは巧みだ。

これだけ娯楽要素満載の楽しい作品である割りには、地味な公開で期間も短く終わってしまうのは残念である。ちょっと残酷な描写があるからだろうか。

(80点)
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「神さまの言うとおり」

2014年12月27日 22時32分27秒 | 映画(2014)
東宝の映画だから、東宝シンデレラ>ホリプロスカウトキャラバン。


三池崇史監督は商売上手だと思う。

瞬間的に人の目を引く映像を作ることで「時間があれば観てみようか」と思わせる。関心を持った人の中から一定の割合が映画館に足を運んでくれれば、商業的には及第点だ。

昨年の「悪の教典」があったから、三池作品として大量殺戮自体に新味はない。そこで今度は描き方をずらしてみた。

それがダルマ、招き猫、こけしであり、赤いビー玉である。

「なんだ?これは」

期待値は「悪の教典」並みだとしても、見たことのない映像に対する好奇心の上積みが作用してしまう。

結果は本当に平凡なものであった。

ただダルマが、招き猫が、こけしが、生徒を殺す。以上でも以下でもなく、そこにコミカルな演出を加味するだけである。

だとしても、それで不満かと言われればそうでもない。それはもともと期待値がそれほど高くないから。これは本当に巧い。

ただラストのオチはいただけない。予告でさんざん使っていた出オチ的な映像を、本篇でもオチに使うなんて。

(50点)
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「インターステラー」

2014年12月27日 22時30分12秒 | 映画(2014)
5次元から来た男。


「インセプション」で人間の意識を階層化して表現したC.ノーラン監督が本作で見せたのは、現実世界から2つ先へ飛び越えた異界であった。

誰も見たことがない、存在するかどうかも分からない故に発想は自由で無限だ。

それは彼の脳内とおそらく一緒で、天文に関する小難しい理屈が散りばめられていても、それが正しいか正しくないかは問題ではなく、イメージを感じ取るしかない。

自然科学なのか哲学なのかもよく分からない。人類存亡の舞台設定がSF的である一方で、人間関係のぎくしゃくはかなり泥臭く描かれる。

その振り幅の大きさになかなかついて行けなかったのが正直なところ。使命が壮大なだけに小競り合いが始まると気分が落ち込んでくるのが分かった。

でもひょっとするとそれが狙いなのかもと思えてくる。極限を追求すると結局「個」へ行き着くような。

何をしようと実は堂々めぐり。ここまで何もかもを犠牲にしてやってきたことは何だったのか?

と絶望へ叩き落とされて終わるのかなと思った矢先に、世界が急転回する。

好きか好きじゃないかはともかく、初めて目にするものであったことは確かだ。

究極の飛び道具によって人類が救われる展開にカタルシスを感じられるかどうかが評価の分かれ目になると思うが、やっぱり賛否両論かな。

(70点)
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