なんで今年は9なんだ?
相変わらず混沌の世の中。株価もまた暴落。
世界の週末を描く映画がひっきりなしに作られるのは、終わりを楽しんじゃおうという自虐的な姿勢が強くなっているのかもしれない。
でも、これだけ多くの作品が作られると、少なくとも印象に残る個性がないと「フェーズ6」のように埋没してしまう。
この「9」はCGアニメである。そして生きている人間が出てこないのが特徴だ。
人類が息絶えてしまった世界で、人間が作ったマシンと人形が戦うという苦い設定。
人間以外を主役に立てて話を作る点ではピクサー作品、特に「ウォーリー」を思い起こさせるのだが、もちろんそうはならない。
主役の人形は邦題の副題にあるように一見「奇妙」である。おそらく体型や質感のせいだと思うが、ピクサーのキャラクターのような安定感に欠けている。
しかし、冒頭でその不安定さが効果となって現れる。
人形「9」が、目を覚ましていきなり荒涼とした世界を目にしたとき感じたであろう不安感が、なんともバランスの悪い人形の第一印象と重なるのだ。
そして、不安を共有しているだけに、「9」の成長とともに観客は同化して感情移入を深めていく。この辺はうまくできていると思った。
対して、徹底して恐怖と不快を撒き散らす金属体として描かれるマシンも強い印象を残す。
人形から魂を抜き取る攻撃もなかなかえぐいし、"OVER THE RAINBOW"の流れる中で砂煙とともに向かってくる光景も強い。
そんなわけで、さすがはCGアニメというキャラクターの作り込みには感嘆したが、不満がないわけでもない。
細かい話だけど、科学者の心が込められた9体の人形はなぜ9体なのか。「2位じゃだめなんですか」的な議論ではなく、どの思いをどう託していったのかをもう少し描いても良かったと思う。
同様に、テンポが良いに越したことはないが、「9」は結構あっという間にヒーローになってしまった気がするし、「1」に授けられた「人間の心」の良さがあまり描かれていないなど、もう少しじっくり描くべき部分があったのではないか。
(75点)
相変わらず混沌の世の中。株価もまた暴落。
世界の週末を描く映画がひっきりなしに作られるのは、終わりを楽しんじゃおうという自虐的な姿勢が強くなっているのかもしれない。
でも、これだけ多くの作品が作られると、少なくとも印象に残る個性がないと「フェーズ6」のように埋没してしまう。
この「9」はCGアニメである。そして生きている人間が出てこないのが特徴だ。
人類が息絶えてしまった世界で、人間が作ったマシンと人形が戦うという苦い設定。
人間以外を主役に立てて話を作る点ではピクサー作品、特に「ウォーリー」を思い起こさせるのだが、もちろんそうはならない。
主役の人形は邦題の副題にあるように一見「奇妙」である。おそらく体型や質感のせいだと思うが、ピクサーのキャラクターのような安定感に欠けている。
しかし、冒頭でその不安定さが効果となって現れる。
人形「9」が、目を覚ましていきなり荒涼とした世界を目にしたとき感じたであろう不安感が、なんともバランスの悪い人形の第一印象と重なるのだ。
そして、不安を共有しているだけに、「9」の成長とともに観客は同化して感情移入を深めていく。この辺はうまくできていると思った。
対して、徹底して恐怖と不快を撒き散らす金属体として描かれるマシンも強い印象を残す。
人形から魂を抜き取る攻撃もなかなかえぐいし、"OVER THE RAINBOW"の流れる中で砂煙とともに向かってくる光景も強い。
そんなわけで、さすがはCGアニメというキャラクターの作り込みには感嘆したが、不満がないわけでもない。
細かい話だけど、科学者の心が込められた9体の人形はなぜ9体なのか。「2位じゃだめなんですか」的な議論ではなく、どの思いをどう託していったのかをもう少し描いても良かったと思う。
同様に、テンポが良いに越したことはないが、「9」は結構あっという間にヒーローになってしまった気がするし、「1」に授けられた「人間の心」の良さがあまり描かれていないなど、もう少しじっくり描くべき部分があったのではないか。
(75点)