Con Gas, Sin Hielo

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「ヒックとドラゴン」

2010年08月08日 04時48分54秒 | 映画(2010)
北風と太陽と父と息子と。


今夏のドリームワークスアニメは正統派の冒険もの。

「シュレック」シリーズにしても「カンフーパンダ」にしても、どこか毒のある笑いやキャラクターが印象深かったが、今回はかなりの万人向け。

個性が消されてしまうのではと若干危惧したが、蓋を開けてみればこれが実によくできている。米国で、異例の息の長いヒットになったのもうなずける。

辺境の孤島で日々襲い来るドラゴンと戦うバイキング集団。大人の男たちはみな屈強で、か細いヒックだけが見た目も考えも浮いていた。

設定をできるだけ単純化し、スポットが当たる一部の人間とドラゴンは集中して細かく描く。このバランスが良いから、観る側が話にすーっと入っていける。

話も単純といえば単純。同じ生き物であるドラゴンを理解しようとしなかった島民。自分とは異なる息子の考えを聴こうとしなかった父親。

力でねじ伏せるのではない付き合い方がある。偶然ながらも傷ついたドラゴン・トゥースと出会うことでそれを学ぶヒック。

それは同時にバイキングとしてどう生きるか迷っていたヒックに一筋の光明を与えることになる。トゥースを乗りこなす練習をするうちに徐々に自分に自信を持っていく過程が、観ていて非常に爽やかだ。

誰もが通る大人への道。迷いながらも、いや、迷って考えた分だけそこには無限の伸びしろがあるはず。

閉塞感に包まれた世の中だからこそ、この映画はよけい真っ直ぐ心に染み通る。

そしてこの映画の持ち味はやっぱりドラゴンである。ほかがみんなおどろおどろしいから際立つのかもしれないが、伝説のドラゴン・トゥースがかわいい。

うちの子がぬいぐるみを欲しがっていたが、残念ながら本邦では商品化されていないようでがっかりしていた。

難を言えば、CGアニメ(特にドリームワークス)では毎度のことながらヒロインがあまりかわいくないことか(他のサブキャラも然り)。

ピクサーは人間を主役に置かないことでうまくクリアしてるけれど、かわいさが外せないわが国の市場でメジャーになるためには、この課題の克服は重要なポイントだ。まあ、その前に日本市場が今後どれだけ重要かという議論があるが。

(90点)
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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (像のロケット)
2010-08-08 13:29:14
TB有難うございました。

生憎、当方よりgooへのTBは通りませんが
記事は大切に反映させて頂きます。

TBは新旧作品に拘らず、いつでも歓迎です。
他のgooユーザー様同様に、今後とも宜しく
お願いいたします。
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