3DやIMAXの対極を行く。
挑戦的な映画はそれだけで評価をしたくなる。特に低予算ホラーは、かつての「ブレアウィッチプロジェクト」がそうであったように、テレビ東京魂とも通じるアイデア勝負作品が次々に誕生する。
本作の挑戦は、全篇がPCの画面だけで展開するというもの。ネット社会ここに極まれりといったところか。
事件のきっかけがYoutube、会話はSkypeやFacebook等のSNS。バックに流れる音響も、不穏な空気を助長する地鳴りのような効果音(それもかなり静か)を除けば、すべてが端末から発せられる着信音と音楽だけという徹底ぶりである。
それでいかに話を成り立たせるか、しかもホラーの要素を盛り込んで、というのが最大の課題なのであるが、脚本は難題を見事にクリアしている。
複数人の会話と2人きりのやりとりの使い分け、無機質に画面に表示される言葉の暴力性、SNSで相手の反応が遅れたときの不安感など、列挙すればきりがないほどSNSのあるあるを巧みに話に織り交ぜている。
そして復讐のサイバー亡霊・ローラの攻撃だ。ちょっとした悪ふざけから自殺に追い込まれたローラ。ジェイソン然り、お菊さん然り、不遇な死から怨霊へと転生するのは古今東西を問わずの定番だ。
ローラの攻撃は結構えげつない。PCを通して解像度が悪く、かつカメラがブレているという設定なので、衝撃は幾分緩和されているのだが、まあそれぞれに激痛映像である。
オチも悪くない。頑ななほどにPC画面にこだわり続けた最後にパタッと蓋が閉じられて「はい、おしまい」と小気味よく終わる様は、古典落語のような鮮やかさがあった。
主人公のブレアはホラー映画の主役を張るのに十分なべっぴんさんではあるが、最後に明かされる秘密が彼女の運命を分ける。便利につながる世の中になったからこそ、道徳の歯止めは余計に厳格にしなければならないのである。
(80点)
挑戦的な映画はそれだけで評価をしたくなる。特に低予算ホラーは、かつての「ブレアウィッチプロジェクト」がそうであったように、テレビ東京魂とも通じるアイデア勝負作品が次々に誕生する。
本作の挑戦は、全篇がPCの画面だけで展開するというもの。ネット社会ここに極まれりといったところか。
事件のきっかけがYoutube、会話はSkypeやFacebook等のSNS。バックに流れる音響も、不穏な空気を助長する地鳴りのような効果音(それもかなり静か)を除けば、すべてが端末から発せられる着信音と音楽だけという徹底ぶりである。
それでいかに話を成り立たせるか、しかもホラーの要素を盛り込んで、というのが最大の課題なのであるが、脚本は難題を見事にクリアしている。
複数人の会話と2人きりのやりとりの使い分け、無機質に画面に表示される言葉の暴力性、SNSで相手の反応が遅れたときの不安感など、列挙すればきりがないほどSNSのあるあるを巧みに話に織り交ぜている。
そして復讐のサイバー亡霊・ローラの攻撃だ。ちょっとした悪ふざけから自殺に追い込まれたローラ。ジェイソン然り、お菊さん然り、不遇な死から怨霊へと転生するのは古今東西を問わずの定番だ。
ローラの攻撃は結構えげつない。PCを通して解像度が悪く、かつカメラがブレているという設定なので、衝撃は幾分緩和されているのだが、まあそれぞれに激痛映像である。
オチも悪くない。頑ななほどにPC画面にこだわり続けた最後にパタッと蓋が閉じられて「はい、おしまい」と小気味よく終わる様は、古典落語のような鮮やかさがあった。
主人公のブレアはホラー映画の主役を張るのに十分なべっぴんさんではあるが、最後に明かされる秘密が彼女の運命を分ける。便利につながる世の中になったからこそ、道徳の歯止めは余計に厳格にしなければならないのである。
(80点)