Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「シン・ウルトラマン」

2022年05月21日 12時58分42秒 | 映画(2022)
ゾフィーは意外に冷酷だった。


最初にテレビ放映されたのが1966年7月というから、ジャストな世代ではない。ただ再放送は頻繁にやっていたと思う。見たこともあると思う。

「思う」ということは、記憶にないか実際は見ていないか、いずれにしても個人的にさほど思い入れがないということである。記憶にあるのは、遊んでいたメンコのデザインなどにウルトラマンの怪獣が使われていたことくらいだろうか。

「シン・ゴジラ」が大ヒットした庵野秀明氏が再び国民的キャラクターの再起動に挑んだ「超」の付く話題作。

このクラスのキャラクターになると、それぞれがそれぞれの強い思い入れを持っているわけで、その期待に応えるということは相当な難行である。ただこういう人はプレッシャー以前に作ることが楽しいのだろう。評価が得られればそれに越したことはないが、他人の賛否はそれほど気にならないのだろう。

話が逸れたが、記憶も思い入れも薄い立場でフラットに本作を観た感想としては、「まあ面白いね」というところだった。要は「シン・ゴジラ」に比べて気持ちがあまり入らなかったわけだが、この辺りの理由を考えてみる。

登場するのは怪獣だったり、地球外生命体であったり、どちらも非現実的な世界観をベースにしていることは変わりない。それでも「シン・ゴジラ」に思い入れができたのは、ゴジラを他の災禍に置き換えたときに政府の対応などの描写が突然現実味を帯びてくるという疑似体験ができたことにある。

今回、人間は「シン・ゴジラ」と比べるとまったくなす術がなく、突然現れたウルトラマンにすべてを頼るしかない。そんな無力な存在ながら一生懸命仕事を続ける禍特対の人たちは、それはそれで一種現実味があっておかしくも悲しいのだが、がっちりと感情移入するには物足りない。

ただウルトラマン=異星人に斎藤工というキャスティングはこれ以上ないはまり役だったと思う。indeedのCMもそうだが、どこか体温が低い感じがするのである。彼の起用だけでもこの映画は成功だと思う。

ストーリーはいくつかの怪獣のエピソードを詰め込んだものになっていたようだが、これぞ「怪獣」という敵はダイジェスト扱いで、ウルトラマンと心理戦を繰り広げる場面が多かった。過去を知っている人には受けたかもしれないけど、もう少しバランスがあってもよかった気がする。

次は「シン・仮面ライダー」が待機。東映作品というのが個人的には引っ掛かるところ。

(70点)
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「ドクターストレンジ/マルチバースオブマッドネス」

2022年05月05日 19時05分35秒 | 映画(2022)
超人たちがザコキャラになってる異界があるらしい。


「スパイダーマン:ノーウエイホーム」で描かれ始めたマルチバースの世界。指南役として登場したドクターストレンジを中心とする物語が満を持しての公開を迎えた。

聞いた瞬間は複雑なイメージを受けるマルチバースであるが、よく考えれば、これまでのアベンジャーズのドラマも、それぞれのキャラクターが活躍する別の世界を結び付けたものであり、違いといえば、異なる世界の中に別の自分が生きているという点だけとも言えるわけで、時空を超える話よりもタイムパラドックスに縛られない分自由度が高いかもしれないと思うようになった。

実際、今回の見どころは、登場人物が異界に生きる自分と対峙する場面であり、それは何度も登場する。タイムスリップものならタブーである「自分VS自分」も、ベースが同じ人間でも環境によって性格は変わるので何の矛盾もなく描けるのである。

物語の鍵を握るのは、マルチバースを行き来する能力を持つアメリカという名の少女。彼女は、身の危険が迫ると突然知らない世界へ飛ぶ、というか飛ばされてしまう。

その能力に目を付けた敵役は、ある世界で解決できない問題も、どこか別の世界ならば対処法を見つけられるかもしれないという理屈で、最強の能力を手に入れようと彼女を襲いに来る。

飛ばされた異界で常に彼女を護るのがドクターストレンジである。しかし、ある異界でストレンジは彼女を裏切り護ることに失敗する。それを夢の形で知らされた「主人公の」ストレンジ。現実に飛ばされてきた彼女を何とか護るために、禁断の異界渡りの冒険の扉を開く。

パラドックスのタブーがないとは言え物語が複雑になることは間違いなく、この世界観をいかに違和感なく落とし込んでいくかがこの映画の最も大きいノルマであったが、引っ掛かりはほぼなく理解することができた。

映画の構成上、主人公のストレンジが暮らす世界(616という番号が付いていたかな)が別の異界をパワーで圧倒する描写があったのはご都合主義的ではあったが、まあ許容範囲か。

異界でゾンビになるストレンジをはじめ、至る場面でホラー映画のような演出が見られたが、本作の監督はS.ライミ。やっぱり好きなんだと実感。

ストレンジもスカーレットウィッチもいろいろな顔を見せたが、R.マクアダムス演じるクリスティーンは引き続き、永遠に結ばれない可憐なヒロインに終始。これからも良き理解者としてストレンジが道を外さないよう見守っていくのだろう。ポストクレジットの展開は若干気になったが。

(80点)
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