Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「東のエデン劇場版Ⅰ The King of Eden」

2010年02月28日 00時33分50秒 | 映画(2010)
変化を積み重ねるだけでは救世主にはなれない。


政治、スポーツに加えて、トヨタ問題など経済の分野でも元気を失ってしまっているわが日本。

このまま沈み続け、ついには執念の塊のような近隣諸国の後塵を拝してしまうのかと弱気の虫が騒ぎ始めるのだが、ちょっと待て。わが国にはまだ他の追随を許さない分野があるではないか。

それは次々に新しいアイデアと作品が登場してくるアニメ、コミックの世界である。ジャパニメーションはもはやサブカルチャーなどでは決してない、まさに世界に誇るべき文化である。

と調子に乗って書き出したはいいが、あまりに世界が広がりと奥行きを持ち過ぎて、実は最近の流行りはよく分からなかったりする。

その代表が「エヴァンゲリオン」であり、現在公開中で連日大賑わいを見せている「涼宮ハルヒ~」などである。深夜枠の放映から火がつくなんていうのだと、気付いたときにはもう手が届かないところに行ってしまっているのが常だ。

ただやっぱり興味はあるわけで、昨年深夜のテレビ放映後、秋に限定館公開されて話題になった作品が、たまたま近所で上映されることになったので、思い切って足を運んでみた。

しかし結論を言えば、予習ほとんどなしはやはり無茶だった。せめて大まかな粗筋と、セレソンとは何ぞやくらいは事前に知っておいた方がよかったようだ。

でも、物語で描いている世界観はかなり興味深い。視聴ターゲットであるだろう知的層は、すべからく知的好奇心が強いながら世の中に対し閉塞感を抱いており、良し悪し入り混じりながらとにかく大きな力で国を変えようとする者たちの闘いは、こうした観る側のツボをうまくくすぐっていると言える。

特に、日本人すべてを被害者にしてしまうことによって国としての発言力を得るなんて発想は、危険だけどとても魅力的に映る。環境問題の国際会議などでの途上国の物言いを見ていると、世の中大人になるだけ損に思えて仕方がない。

まあ本音を言えば、敵役的な存在のMr.OUTSIDEは経済人、No.1の物部は官僚出身という設定のようだが、どんな形であれわが国の方向性を提示し牽引していける人が現実にはいないということが浮き彫りになってかえって悲しくなってくるのではあるが。

前後篇に分かれたうちの前篇であり、それもまったく連載ものの続きのような終わり方で、本作1本でカタルシスを得ることはまったくないというのはどうしたものかと思うが、その分後篇の展開に期待したい。もちろん今度は予習万全で臨むつもりだ。

(65点)
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「バレンタインデー」

2010年02月21日 01時41分22秒 | 映画(2010)
老若男女、連鎖のお祭り。


「バレンタインデー」という題材を2月14日直前に封切るというのは、お国柄の違いだろうか。ハロウィーン直後から2か月かけてクリスマスを盛り上げて、12月26日には一気に正月のしめ飾りへ入れ替えるわが国の感覚だと完全に商売のタイミングを誤っている。

まあでも、豪華スター競演の恋愛ドラマということで売れる素材だし、グラミー4冠と来日でわが国でも急激に報道回数が増えたT.スウィフトも出演するとあっては、やはりこれは観ておかないいけない。独りで観る作品ではないことを十分承知の上でレイトショーに足を運んだ。

とにかく人数が半端じゃない。出演時間等の配分を考えるだけで相当な手間だが、物語としてどうそれぞれを絡めて展開させていくか考えたら、それこそ途方に暮れてしまうのではないだろうか。

そう考えると話はよくできている。特に後半で一見無関係に見えた人物同士の関係がかちっとハマるあたりは快感を覚える。鋭い人は気付いているのだろうけど、あまりの人数の多さに前半の設定を棚上げ状態にしていた頭にはこのくらいがちょうどいい。そして適度の泣き笑い。バランスが心地良い。

また豪華なキャストもみんな良かった。元々好きな人たちが多く出ているのもあるだろうけれど、今回いちばんの収穫だったのはJ.ガーナーがかわいく見えたことかもしれない。

やや損したのは、出演時間もあまり多くなく、ハッピーな輪にも入れなかったJ.アルバP.デンプシーかな。

あと、エンドロール時のNGシーン等番外篇。J.ロバーツの発言を含めて全体がサービスなんだろう。A.カッチャーのNGなんて「トイストーリー」みたいな作られた空気が漂っていて、やや蛇足気味。

(80点)
コメント (4)
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「恋するベーカリー」

2010年02月21日 01時33分40秒 | 映画(2010)
結婚も離婚も、不倫だって感情で割り切れるものじゃない。

観終わって映画館から出てきたときに、「もっといろんなパンが出てくる映画かと思った」とのたまっている猛者(若い女性)がいた。

悪い邦題ではないと思っていたが、こう考えちゃう人まで相手にしないといけないのだから、映画会社の広報はそりゃ大変なわけだ。

原題は"It's complicated"。「複雑だ」というシンプルなタイトル。人生経験を経てきているはずなのに複雑な感情に未だ翻弄され続ける大人たちのドラマである。パンの映画ではない。

宣伝等で観るかぎり、今回のM.ストリープ演じるジェーンは明るい人物のようであった。

「マンマミーア」「ジュリー&ジュリア」「ジュリー&ジュリア」のときの、はしゃぐメリルと相性がよくなかった記憶がよぎったが、今回は両脇を固めるA.ボールドウィンS.マーティンの力量に期待を込めて観賞に臨んだ。

果たして今回いちばん大騒ぎしたのは元夫のジェイクを演じたA.ボールドウィンであった。

自分の浮気が原因で破局したというのに「やっぱり君がいないと」と戻ってくる。これだけでも面の皮が厚い行動なのだが、妙に自信ありげに元妻を口説いて、彼女も結局口説かれてしまう。挙げ句の果ては×××まで・・・(自粛)。

客観的に見たら、この二人おかしいでしょとなるんじゃないかと思う。

傍らでは何の障害となる要素を持たない建築家・アダムが好意を寄せている。常識で考えれば答えは一つ。実際、劇中でも彼女らととても近しい人たちが冷静に見解を語る場面があり、いいくさびになっている。

ジェーンももちろん悩む。

しかし、いろいろ理論的に考えてみようとするが何の役にも立たない。セラピストの助言を借り前進を試みるが、それさえすぐに頓挫する。

そして彼女が出した結論、ではないたどり着いた現実がラストに描かれる。

ジェイクとアダムそれぞれに彼女が示す態度。これには賛否分かれるかもしれない。

でも世の中、万事に結論を出さなければならないわけじゃない。決めなくちゃいけないもの以外は決めなくてもいい。少なくとも迷い続けている間は。

とここまでまじめに書いてきたが、映画自体はコミカルな場面もふんだんに含みテンポ良く進んでいく。

そんな中でA.ボールドウィンの大奮闘は先に述べたが、逆に本業コメディアンのS.マーティンが抑え目の役というのも配置の妙でおもしろかった。この2人、今年のアカデミー授賞式の司会を務めるというから楽しみである。

あとは長女の婚約者・ハーレイが物語の展開と笑いの両方でいいところをさらっていた。子供たちはみんなかわいかったし、脇に光る人物がいると作品の輝きが増すことの典型であった。

(75点)
コメント (6)
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