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Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

今年の40作(1位→40位)

2024年12月31日 21時17分24秒 | 映画(2024)
この記事は、毎年順位をばーっと付けてタイトルとリンクをアップした後で、それぞれにひとことずつコメントを付けるという段階を踏んで作っている。しかし今回、12月31日の夜以降、gooブログがつながらなくなってしまい、しばらくの間ランキングのみが表示される事態となってしまいました(文章は2025年1月11日に追記)。まあ、単身赴任の3連休は年末年始と同じくらい時間はあるから問題はないのだけれど。

さて、気を取り直して、2024年の鑑賞本数は前年に比べて若干増。一般的には邦高洋低やアニメの強さが際立つ中で、相変わらず洋画を中心に観てきたが、これといった作品がない年だった。アメコミ疲れと連動するように上位にブロックバスター作品がほとんど現れず、一方でこうした粒の小さい作品は下手するとネット配信に流れかねず、良い作品にめぐり会うことがますます難しくなった時代と言えそうである。

1.「パストライブス/再会」(4月11日)

1位から4位はほぼ同点の僅差。1位は消去法で選んだと言ってもいいかもしれない。どういう消去法かといえば、最もアクの強くない作品。スマートで味わい深く、4作品の中でもう一度観たいのは?と問われたときに、たぶん本作がいちばん。市井の人たちの恋愛モノと感じられた点に好感を持った。

2.「落下の解剖学」(3月1日)

日本語タイトルにまず惹かれる。内容も、男性の転落死事件を巡るサスペンス、事実と関係なく有利不利が揺れ動く法廷劇、登場人物の人間関係や心理状態が複層的かつ克明に描かれており、満足度が高かった。

3.「恋するプリテンダー」(5月11日)

この時代に明るいラブコメがヒットするなんて。S.スウィーニー自身、結構時代と逆行するような行為をして炎上するイメージがあるけど、やっぱりこういう女性を好む層は一定数いるわけで。

4.「哀れなるものたち」(2月6日)

わが国でいうと橋本環奈や今田美桜なんかがそうなんだけど、ハリウッドで「目!」のひとといえばE.ストーン。ちょっと人間離れしているようにも見えるから本作のベラ役はぴったりで、オスカーまで獲得してしまった。

5.「悪魔と夜ふかし」(10月12日)

2024年いくつかあった個性的な作品の中でも特に光っていた作品。舞台は米国だけど、作品が作られたのがオーストラリアというのがまたおもしろい。70年代のレイトショーという設定が、当時のオカルトブームや子供時代に感じていた「踏み入れてはいけない大人の領域」を思い出させてくれてすごくワクワクした。

6.「侍タイムスリッパー」(9月29日)

新たなジャパニーズドリームの誕生。時代劇への強い愛が奇跡を呼び、年を跨いでも上映が続く超ロングラン作品に。地上波テレビでは松平健の新しい「暴れん坊将軍」が放映されたが、復権への足掛かりとなるだろうか。

7.「デッドプール&ウルヴァリン」(7月27日)

軒並み不振を極めたアメコミ作品群の中で、唯一そして爆発的にヒットした本作。ただ、それはH.ジャックマンのウルヴァリンがいなければ成り立たなかったものであり、新しい鉱脈が発見されたとは言い難い結果でもあった。

8.「傲慢と善良」(10月19日)

何と言っても個人的なイチ推しは奈緒である。とてもかわいらしいのにオーラを消すこともできるので、演じられる役柄が広いように感じる。陰があって控えめのようでいて実は傲慢な一面を持っている主人公を説得力をもって表現できていた。

9.「サンセバスチャンへ、ようこそ」(1月21日)

コンプライアンスの時代に見放されたW.アレンの2020年作品が、なんとか映画館で上映された。彼も2025年で90歳。もう新しい作品を観ることはかなわないのかもしれない。

10.「ドリームシナリオ」(12月1日)

N.ケイジとA24が夢の合体。次の作品(「シンパシーフォーザデビル」)のポスターを見てもそうだが、壊れ役がよく似合う。61歳と若いし、まだまだ活躍が見られそうである。

11.「フェラーリ」(7月6日)

重厚な作品でおもしろかったが、く、首が・・・。それにしても、自動車業界は100年ぶりの大転換期。フェラーリはEVの台頭に対してどう対応しているのかな。

12.「シビルウォー アメリカ最後の日」(10月8日)

A24の新境地。「どの種類のアメリカ人だ?」という強烈なセリフが胸を貫く。世界中で分断が進む中で、やっぱりわが国はまだましな方なのかなと思う。

13.「関心領域」(5月30日)

これも2024年を代表する作品。現場を直接映すことなしにナチスドイツの異常さを伝えるという、高度な技術を駆使した作品。このやり方だと、製作費もかからなかっただろうと想像。

14.「オッペンハイマー」(4月6日)

北米では、前の年の夏に「バーベンハイマー現象」として空前のヒット。第96回アカデミー賞で7部門を制したのを見届けてから、満を持しての日本公開。そこまで神経質になるような内容ではないと思った。

15.「トラップ」(10月31日)

最近ファミリービジネスの色合いが強いシャマラン印。でも毎度の感想になるが、安易に続篇に頼らず新しいアイデアで見どころのある作品を作り続ける姿勢は称賛に値すると思う。

16.「アーガイル」(3月13日)

M.ヴォーン監督だから外れはないのだが、今の時代は、これだけキレイに楽しくまとめた作品でも周りに埋もれた印象になってしまうわけで、ちょっともったいない。

17.「私にふさわしいホテル」(12月28日)

のんには華があって、やっぱりコメディが似合う。映画や舞台でコツコツと活躍を続けていけば、またスポットライトの当たる位置にたどり着けると思う。そろそろNetflixあたりがオファーしてくる気がするのだけど。

18.「ビートルジュースビートルジュース」(10月1日)

前作は26年前だそうだ。T.バートン監督M.キートンW.ライダーも健在なのがうれしい。

19.「怪盗グルーのミニオン超変身」(7月25日)

すっかり安定人気のミニオン。今回はグルーの方が主役。世間では昭和歌謡が流行りを見せているが、海の向こうの映画でも80年代をフィーチャーしてくれている。

20.「クワイエットプレイス:DAY1」(6月29日)

興行的に成功した作品の続篇のパターンとして定番化している前日譚。個人的には結果が見えてしまうところがあまり好みではないのだが、本作はなかなか良くできていると思った。

21.「フォールガイ」(9月1日)

D.リーチ監督が手堅く作った娯楽作品で十分楽しめる。次期ジェームズボンドの本命とも言われるA.テイラー・ジョンソンが情けない役を全力で演じているのがおもしろい。

22.「ふたりで終わらせる」(11月28日)

夫は慢性的なハラスメント男ではない。過去に大きな傷を負っていることに加えて、何よりこの二人は結ばれる運命ではなかったということなのだと思う。完全な悪人ではないところが現実的で切ない。

23.「ボブマーリー ONE LOVE」(5月18日)

人生にレゲエは不可欠。夏の清涼剤のようなリズムの源には、彼が命を懸けて守り続けた信念が流れ続けている。

24.「ザウォッチャーズ」(6月26日)

次女が歌うのなら、長女はメガホンを取る。シャマラン家の娯楽の血統を受け継ぐ存在として、父親が作った映画として出しても違和感がない作品を誕生させた。

25.「ボーはおそれている」(2月18日)

「ジョーカー」の続篇がまさかの大失速に見舞われたJ.フェニックス。ここではA24作品の主役として悪夢に放り込まれる。あの父親にはびっくり。

26.「アビゲイル」(9月22日)

少女を誘拐したつもりが立場が大逆転して命を狙われる羽目に。設定の斬新さで引っ張るが、血が多く出る割りには怖さはほとんどなく、最後は歪んだ親子関係の話に帰着する。

27.「インサイドヘッド2」(8月9日)

2023年が「バーベンハイマー」なら2024年は本作が北米映画興行をけん引した。といっても、何で本作がそこまでメガヒットになったのかが今になっても良く分からなかったりする。

28.「クレイヴンザハンター」(12月14日)

「フォールガイ」で情けなかったA.テイラー・ジョンソンが面目躍如の主人公(本当はスパイダーマンのヴィランらしいが)を演じたが、残念ながらSony's Spiderman Universeはこれにて打ち切り。

29.「ゴーストバスターズ/フローズンサマー」(4月4日)

M.グレイスは相変わらずかわいい。でも、前作(「ゴーストバスターズ/アフターライフ」ほどの感動はなかったかな。

30.「ヴェノム:ザラストダンス」(11月4日)

前述のとおりソニーのスパイダーマンは仕切り直しになってしまったので、それなりに好評を得ていたヴェノムシリーズもこれが最後。ユニバースは広がらずに3作品の中でまとまって完結。違和感はないけど残念。

31.「先生の白い嘘」(7月13日)

とにかく奈緒が痛々しい。がんばって演じていたのに監督がインタビューで炎上しちゃって更に痛々しいことに。

32.「アクアマン/失われた王国」(1月13日)

マーベルが失速する一方でDCもお世辞にも成功したとは言えず。スーパーマンのシリーズをまた始めるようだけど、どうなることやら。

33.「最後の乗客」(10月13日)

「侍タイムスリッパー」に続いて注目されたインディーズ映画。両作品に出演した冨家ノリマサにも脚光が当たった。

34.「マダムウェブ」(2月23日)

公開当時、マーベル史上最低の興行成績ととにかくディスられて、ついには主演のD.ジョンソンまでもが本作を失敗と酷評することに。何だか切ない。

35.「告白 コンフェッション」(6月1日)

基本的に山小屋の中で繰り広げられる新喜劇。舞台で演じれば結構様になると思う。

36.「ネクストゴールウィンズ」(2月28日)

「クールランニング」的な楽しさと感動を期待していたのだが、ぶつ切りの物語と、おすべり気味のコメディ要素が足を引っ張る残念な結果に。

37.「アバウトライフ 幸せの選択肢」(3月12日)

名優が集まることで化学反応が起きる・・・タイプの映画ではなかったことがすべてかな。

38.「胸騒ぎ」(5月15日)

つまらないのではない。ハリウッドがリメイクするくらいだし。ただただ胸糞が悪くなる。「スピークノーイーブル 異常な家族」は観に行く気にならなかった。

39.「劇場版 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」(1月1日)

何も知らない状態で観に行ったことが失敗のすべて。正月にほかに観たい作品があればよかったのだけど。

40.「変な家」(3月20日)

興行としては本作は異例の大ヒットを記録したそうで。なんで?なんで?なんで?
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今年の10館(2024)

2024年12月31日 20時31分24秒 | 映画(2024)
今年は本格的に自宅から最も近いTOHOシネマズの利用にシフト。auスマートパス改めPontaパスの割引が充実したこともあって、あらゆるジャンルで値上げが深刻化する中で、比較的リーズナブルな鑑賞生活を送ることができた。秋には道内の全映画館共催によるスタンプラリーが実施され、さすがに全館のスタンプゲットは無理だったが、小樽~苫小牧で10個のスタンプを押印しキャンペーンに応募した。映画を観なくてもスタンプを押せるという点が、参加の壁が低くてありがたかったです。そして札幌生活3年めにして、ようやくシアターキノで映画を鑑賞。これで心置きなく異動ができるというものです。

TOHOシネマズすすきの(北海道)26回

相変わらずシネマフロンティアの方がにぎわっているように感じるが、ココノススキノの集客が順調な要因にTOHOシネマズの存在があることは大きいと思っている。ロビーがもう少し広くて、時間待ちの間に腰掛けるスペースがあると更に良いけれど、余計に人を滞留させないためにわざとそういう作りにしているのかもしれない。

札幌シネマフロンティア(北海道)6回

アクセスの良さではやはり最強。12スクリーンという規模の大きさもあって、ここでしか上映されない作品も多く、まだまだ行く機会は多い。階下のレストラン街もいつも大混雑しているので、水・木のサービスデーでも使わずにスルーしてしまうことが多い。

ユナイテッドシネマ札幌(北海道)3回

いつの間にかレイトショー割引がなくなっていた。いつの間にか冠に「ローソン」が付いていた。Pontaパスで安く観られるけど、割引はTOHOシネマズと同じだし、何よりサッポロファクトリーは冬は行きづらい。

TOHOシネマズ海老名(神奈川)2回

1月1日の午後にひさしぶりに観に行きました。映画館から外に出て、ケータイのモードをオンにしたら地震のニュースが飛び込んできました。2025年は平和で穏やかな年末年始になりますように。

イオンシネマ江別(北海道)1回
サツゲキ(北海道)1回
シアターキノ(北海道)1回
TOHOシネマズ池袋(東京)1回
TOHOシネマズ日比谷(東京)1回
イオンシネマ海老名(神奈川)1回

東京で映画を観る理由は、外国アニメ映画の字幕版を上映してくれるから。イオンシネマで映画を観る理由は、55歳を超えて料金が毎日1,100円になったから。あまり鑑賞回数が伸びていないのは、料金と時間の消費に釣り合う作品が残念ながら多くないことに尽きる。特に洋画、ハリウッド作品の不振が極まっており、来年もしばらくこの傾向が続きそうである。
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(新規)「私にふさわしいホテル」

2024年12月30日 08時16分52秒 | 映画(2024)
銀幕にふさわしい作品と演者へ。


堤幸彦監督といえば、「トリック」「20世紀少年」のようにメディアミックスした商業的作品を作るひとというイメージがあった。

それだけに、今回のんが主演する映画を撮ると聞いたときは意外に思った。彼女の作品の宣伝は表のメディアにはまず現れないから。

しかし、広報的に大きな展開が見込めなくても、興行的に華々しい成果が収められなくても、のんの主演作品はコンスタントに制作され、そこにメジャーなスタッフや共演陣が集まってくる。これはおもしろい傾向ではないだろうか。

本作で彼女が演じるのは、駆け出しの女流作家・相田大樹(のち有森樹李)。舞台挨拶ののん曰く、「小説にかける情熱だけは純粋で、それ以外はどう思われてもいい人」であり、つまりは相手が大物であろうが誰であろうが、情熱のまま突っ走っていく危うさと爽快さを併せ持った人物である。この役を彼女に充てること自体が、どこか重なり合う部分が感じられておもしろい。

因縁の相手である著名な文豪・東十条や、担当の編集者であり大学の先輩でもある遠藤との掛け合いは、必然的にコメディタッチとなり、最近の数作品の中でも、のんのキャラクターイメージに最もフィットするものに仕上がっている。

彼女の演技を受け止める滝藤賢一も、彼自身がCMや演技で見せている姿と完全に一致するので、劇中ずっと続く二人の小競り合いは、楽しくかつ安心しながら観ることができる。

文壇という特殊な業界を描いていることや、一流ホテルというセレブリティな雰囲気をまとった場所を舞台にしていることもあって、この軽妙なコメディはどことなくW.アレン作品の空気をまとっているようにも見えた。

のんの演技は台詞回しなどの調子が良くも悪くも相変わらずと思う場面がありつつも、スタイルの良さなど存在そのものには唯一無二の華があり、やはりこうした大画面で見続けていたい女優だと思った。

上述のとおり大きな展開が見込めないことは織り込み済みで、敢えて観たいと思う人だけに届くよう作っている洗練された小品である。突っ走ってきた一年の終わりに肩の力を抜いて観るにはうってつけの作品ではないだろうか。

(80点)
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「クレイヴンザハンター」

2024年12月15日 10時00分40秒 | 映画(2024)
素材は良いけど今じゃない感。


A.テイラー=ジョンソンは、次のジェームズボンド候補に取り上げられるなど話題に事欠かない旬の俳優である。

しかし彼の経歴を見るたびに、あの「キックアス」のへなちょこボーイが本当のマッチョなヒーローになっちゃったことに驚きを隠せない。ついこの前観た「フォールガイ」は情けない役だったが、身なりはごついが中身がないという、ある意味へなちょこの対極でもあり、これも驚いた。

そんな彼がマーベル作品(ソニーのスパイダーマンユニバースの方)の堂々たる主役として臨んだのが本作であった。

裏社会で暗躍する父のもとに生まれたセルゲイ。弟のディミトリとともに大学に通っていたところ、母の急死をきっかけに呼び戻され、父から一家の跡継ぎになることを半ば命令調で告げられる。

しかし彼は修行のため向かったアフリカのサファリで伝説のライオンに襲われる。瀕死の重傷を負ったセルゲイは、同じ時に当地を訪れていたある少女から謎の薬を飲まされる。この薬は不思議な力を持った少女の祖母から託されたもので、セルゲイの体は死の淵から蘇ると同時に強靭な野生のハンターの力が備わることになる。

もともと父の生き方に不満を持っていたセルゲイは、家を出てロシアの極東地域へ向かい、自らを「クレイヴン」と名乗り、悪のリストに載る者たちを狩る「ハンター」として生きることを選択した。

まず人物設定がおもしろい。主人公サイドでは、父と子の確執、腹違いの兄弟の絆、血筋と能力から弟が感じる劣等感と、ストーリー面での厚みを持たせ、敵方には、皮膚が強固になるライノ(サイ)、視線だけで相手に幻覚を見せるフォリナーと、特異な能力を持つ者を配置。

時には野生の動物を使って描き出すアクションシーンの迫力もさすがである。セルゲイ=クレイヴンは肉体だけでなく表情もヒーローの風格たっぷりで、情けなさの欠片も感じさせない。

そんなわけで、全体を通して言えばまずまず楽しめる作品に仕上がっているのだが、諸手を挙げて称賛するにははっきりと落ちる部分があるのが否めないのも残念ながら事実であった。

ひとことで言えば、たたみ方が雑なのである。

上述のとおりキャラクターは魅力的なのだが、関係の作り方や戦いの落としどころといった点で、肩透かしを食ってしまう部分が多かった。

クレイヴンとかつてアフリカで彼を助けた少女との再会の場面は重要だと思うのだけど、それまでの青年期を丁寧に描いていたのとは対照的に、クレイヴンが野生の能力を駆使して探し出したなんて感じで簡単に片づけられていた。

また、フォリナーの能力は憎らしいほど無敵で、これはラスボスはサイノではなくこちらかもと思うくらいであったが、退場は結構あっけなく、それも誰でも思いつきそうな、言ってみれば陳腐なものとなってしまった。

昨今の状況からすると、あまり過度な期待を本作にしていないのかもしれない。北米市場も、ほかの作品が盛り上がり過ぎて埋もれる確率が高そう。エンドクレジットにあからさまな匂わせシーンも入れなかったし、数年経つと、こんな作品もあったよねと言われるような存在になってしまうのかな。

(70点)
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「ドリームシナリオ」

2024年12月02日 22時31分09秒 | 映画(2024)
愛と哀しみのフレディ。


突然、知らない男性が多くの人々の夢に現れる現象が発生する。この突飛な発想がA24製作の新作というのだから、観ないわけにはいくまい。

夢に登場する人物で、実体は妻と二人の娘を持つ普通の男性・ポールを演じるのはN.ケイジ。普通にしていてもインパクトの強い彼が更に個性の強い外見に仕上げており、これはモブキャラで出てきても記憶に残りやすいだろうと、絶妙な納得感を得ることに成功している。

はじめは次女の夢に出てきたポール。空中に体が持ち上げられ助けを求めたが何もしてくれなかったと彼女は語る。続いて職場である大学へ講義をしに行くと、学生たちもポールが夢に現れたと言う。こちらでもポールは何もせずにただいるだけ。

奇妙な話だと感じながらも、思いもよらぬ形で有名人になったことには満更でもなく、これを機に自分の著書を出版できるのではないかと期待が広がっていく。

しかし、ある時を境に状況は一変する。何もせずに存在していただけの夢の中のポールが一斉に動き始めたのだ。その影響が現実世界のポールを直撃し、彼は窮地へと追い込まれていく。

これは悲劇なのか、喜劇なのか。設定はとても滑稽であるが、ポールに降りかかるできごとは悲惨としか言いようがない。身に覚えがないことが発端となっているのだから。

いや、でもよく考えるとこの話。設定が突飛過ぎて流されそうになるが、そこまで現実離れしたものではないのではないか。

世の中の大きな流れの中で自分の存在は限りなく小さい。SNSや切り取り記事などで捏造や捻じ曲げが日常茶飯事に行われるように、自分の関わりのないところで自分の評価が決まってしまうことは、ままある。

ポールはしくじったのだ。自分のプライドを重視して妻の助言を拒んだこと、どうにもならなくなって謝罪の言葉を述べるが、最後に自分こそ被害者ではないかと言ってしまい、家族にも愛想をつかされたこと。

設定こそサイエンスフィクションであるが、ポールがその都度見せる人間的で愚かしい対応は、昨今の政治やワイドショーと重なって見えてきて頭を抱えてしまう。

ポールが最後に見る夢。彼は、肩幅が異様に広いTalking Headsの出で立ちで妻の危機を救いに行くヒーローであった。あのときに戻れるなら。そして妻の言うことにもっと耳を傾けていたなら。切ないラストは、不覚にも観ているこちらの人生を射抜いてきた。

(85点)
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「ふたりで終わらせる」

2024年11月29日 20時13分25秒 | 映画(2024)
覚悟がなければスパイラルは止められない。


この夏、大ヒットとなった「デッドプール&ウルヴァリン」と同時期に北米で公開され、スマッシュヒットを記録した本作。B.ライブリーとR.レイノルズの夫妻同時ヒットとしても話題になった。

しかし特筆すべきなのは、夫婦の同時ヒットよりも、本作が派手なブロックバスター系ではないにも拘らず根強い人気を獲得したことにある。

テーマは夫婦間のDV。意味深なタイトルからして、ひさしぶりに深く掘り下げた人間ドラマが期待される作品である。

冒頭、主人公のリリーが車で駆け付けたのは実家。どうやら父親の葬儀に出席するために戻ってきたらしい。

遺族代表として弔辞を述べることになったリリーだが、何を思ったのか言葉を途中で止めて会場から出て行ってしまう。手の中には、父親の良かったところを書こうとしながら空欄になったままのメモが残っていた。

気分を変えようとボストンの街並みが見える建物の屋上に上がると、後から男性が現れて突然置いてあった椅子を蹴飛ばした。彼こそ、後に夫となる脳神経外科医のライルであった。

居心地の悪い中で、なんとなく会話を始める二人。お互いもやもやを抱えながらも、少しずつ慎重に言葉を交換するごとに気持ちが解きほぐれていくのが感じ取れた。

ライルとの仲が進展するのと並行して、リリーの過去が明かされていく。父が母に日常的に暴力をふるっていたことや、高校生のころに恵まれない境遇にあった男子と恋に落ちたこと。そして、彼との逢瀬が父に見つかって、強制的に引き離されたこと。

男性と交際するに当たって、リリーの中に過去の出来事が厚い壁になっていたことは想像に難くない。熱心に口説いてくるライルに惹かれながらも、なかなか心と体を許すには至らなかった。

ただ、見栄えも、知性も、経済力も兼ねそろえたライルが、粘り強くアピールし続けた結果、ついにリリーは陥落した。しかし、ここから物語は残酷な方向へと舵を切る。

DVの話とだけ前情報があった中で意外だったのは、ライルが決して悪人ではないということである。

冒頭で椅子を蹴飛ばした時点で、強過ぎるサインが出ていたのだが、その後に描かれる普段の彼は非常に理知的で、問題がないどころか完璧な男性であった。

彼がリリーに暴力をふるったのも、はじめは偶然、次はやや感情的になったけど基本的には過失であり、不運なこととして捉えることもできた。

しかし、3度めは明らかに暴力であった。リリーへの想いが強過ぎたのか、幼少のころの不幸な出来事がどこかに影響していたのか。ただこのことは、不運だったはずの前の2件を上書きし、この二人がこうなることは当然の結果と決定づけてしまった。

リリーの中に蘇る過去。これだけ注意してきたのに、結局母親と同じ運命を辿ってしまうのか。そして自分の子供にもその苦労を引き継いでしまうのか。

「なぜ離婚しなかったのか?」と尋ねたとき、母はこう応えた。「離婚する方が大変だった」。

リリーの心は決した。

あの日、ライルとリリーがあのレストランに行かなければどうだったのか、と思わずにはいられない。でも前述のとおり、遅かれ早かれ結果は同じだったのかもしれないとも思う。

ライルが完全な悪人でないだけに残念な気持ちになるが、リリーを想う気持ちに誤りがあったことは間違いない。リリーの幸せを願いながら、彼にもスパイラルを断ち切ってほしいと願う。

(75点)
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「ヴェノム:ザラストダンス」

2024年11月09日 09時41分35秒 | 映画(2024)
静かなる退場。


マーベルも含めて大きな曲がり角に差し掛かったアメコミ映画界隈。スパイダーマンに代表されるソニーユニバースの中では成功シリーズであった本シリーズもこれが最終作となった。

前作は約3年前になるけど、例によってあまり憶えていないし復習もしなかった。が、冒頭メキシコの海辺で始まる場面では、そういえばこんな感じで終わっていたかもと、うっすらと思い返す。

ただ心配は無用。結果的に、本作は前2作と重なる出演者がほとんど出てこない。シリーズをがっつり見ていた人には寂しいかもしれないが、それも現在の本シリーズやアメコミ全体が立っている現実とも言える。

もともとヴェノムは難しい題材だった。基本的にヴィラムのキャラクターを主人公として仕立て上げるのだから。作り込むうちに「実はいいキャラ」的要素が増えていき、ヒーローと変わりなくなってしまうジレンマ。競演が期待されていたスパイダーマンと接することができなかったのも結局はそういうところに原因があったのかもしれない。

単体作品として観れば、もちろん見どころはあっておもしろい。はちゃめちゃなようでエディを常に慕っているヴェノムは安定しており、バディとして完全に成立しているし、新たな登場人物もある程度キャラクターを描いた上で見せ場を作っている。

しかし言ってしまえば、それぞれ決して殻を破って大きく訴えてくるほどのものはなく、単体シリーズの枠を超えられなかったのと同じように、小ぢんまりとした世界で収束している印象は拭えなかった。

ポストクレジットの映像はあるが、次に繋がる新しい要素は見えず、一旦いろいろと仕切り直しなんだなーと改めてしんみりとした感情に包まれた。

(70点)シリーズ3作すべて同点!
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「トラップ」

2024年11月09日 08時21分47秒 | 映画(2024)
無理無理、無理無理。


M.ナイト・シャマランという名に訴求力がなくなってきたのか、作品のテーマが目を引かないと思ったからか、これまでより明らかに小さい規模での公開となった本作。

確かに、宇宙人やら死んだ人やら、あり得ないものが画面にどーんと登場しちゃうパターンではない。人格に著しく歪んだ障害を持った主人公という点では「スプリット」の系譜に連なるが、あそこまで極端でもない。

本作の引き、そして肝となる部分は、主人公のクーパーが殺人鬼である本性を隠して良き父親として日常を送っているという点にあった。

J.ハートネットは名前こそよく知っているが、フィルモグラフィーを見渡してみると実はあまり印象がない。それ故か、前半クーパーが娘に付いて人気アーティストのライブに行く下りは、典型的な優しい父親像としてすんなり入ってきた。

猟奇的殺人鬼である彼が、このライブが自分を捕まえるためのワナであることを知るまでは前情報で知っていたこと。気付いたときには会場周りは警察官に包囲されており袋のネズミ状態。

これを脱出するだけでも大変だが、横に何も知らない娘がいる状況で、事実を悟らせないでこの状況を抜け出すことができるのか。無理ゲーに無理ゲーを重ねたとしか思えない設定を、どう破綻することなく着地させるのかに俄然興味が湧いた。

もうひとつおもしろいのは、主人公が殺人鬼であるという点にある。クーパーがこの苦境をどう乗り越えるかに注目するのだが、彼がどう転んでも悪人であるかぎり、苦境を乗り越えたところでカタルシスはない。かといって、乗り越えられなければ映画的に盛り上がらない。

なんだかんだシャマラン監督が上手いと思うのは、この辺りの落としどころについて観る側がスッキリするよう整理しているところだ。簡単に言えば、無理ゲーの設定は乗り越えるけど、やっぱり悪は悪という感じ。

大衆がスッキリするのが前提なので凡庸に映るかもしれないが、娯楽作品の作り手としては正攻法であり、そこは評価したい。

ご本人が結構目立つ形で顔を出すのも相変わらずだし、今回は娘がものすごく重要な役として登場。これが意外にハマっていたところも、作品がそれなりに締まって見えた一要素であると思う。

もう父親に戻れなくなってしまったクーパー。自業自得とはいえ残念だよね。娘のためにもまじめに生きよう。

(80点)
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「傲慢と善良」

2024年10月20日 19時42分13秒 | 映画(2024)
前橋ってそんなに田舎か?


福岡県出身の女性芸能人といえば、どうしても橋本環奈や今田美桜に注目が集まってしまうが、ぼくは断然奈緒推しである。

ここのところ地上波テレビのドラマでの主役が続いており、CM等の露出も加えると前述の二人に負けず劣らずの売れっ子ぶりなのだが、彼女の場合、映画にも積極的に出続け、特に夏に公開された「先生の白い嘘」のような挑戦的な役柄を演じている点が非常に特徴的である。

陰がある作品が多いのも興味深い。「先生の白い嘘」では暴力を振るわれるし、「告白 コンフェッション」では殺されてしまう。輝く笑顔の裏に何かを湛えているような複雑な人物像を説得力を持って演じられるところが彼女の魅力である。

本作もその路線に乗っていると言えるだろう。彼女が演じる真実(まみ)は、前橋から上京して英会話学校の事務員をしている。社交的ではないが、おっとりした優しい雰囲気を持った女性である。

一方、藤ヶ谷太輔演じる架(かける)は、若くして親から譲り受けたクラフトビールの製造会社を経営する社長である。スマートな容姿も手伝って女性に苦労はしないように見えるが、最近になって4年間付き合った彼女と別れることになり、婚活アプリを使って新しい交際相手を探すことにした。

なかなかこれといった女性に出会えないまま、婚活が億劫なルーティン作業に思えてきたある日、架は真実と会って好印象を持つ。「こんな出会いもアリなのかもしれない」

二人の交際は進み、架は真実にプロポーズする。喜ぶ真実。架の部屋での同居も始めて、何もかもが順調に思えていたが、真実が職場の送別会に参加すると言って遅くまで出かけていた夜、彼女は突然に架の前から姿を消した。

「傲慢と善良」という意味深なタイトルの意味は、登場人物の一人である前田美波里が丁寧に説明してくれる。最近の婚活をする若い人によく見られる特徴であり、平たく言えば、根は善良な一方で、どこかで自分のレベルを高めに位置付けて妥協しない面があるということらしい。

真実は、見かけから「善良」を絵に描いたような女性である。しかし、そんな彼女が失踪したことを機に、これまで隠れていた陰の本音の顔が次第にあぶり出されていく。

個人的に、すごく痛いところを突かれる話だった。真実の失踪を中心に展開するが、同時並行して架の傲慢さも見えてきて、それが過去の自分の姿と重なってくるのである。

ひとつひとつの行動や言動にはそれなりに理由があって、それは善良な自身の本質とは矛盾しないのだが、矛盾しないレベルで内面に存在する傲慢さは、それがひとたび強調されるとすべてに疑問符が付くようになっていく。

傲慢さを消し去ることはできない。ただ真実も架も、自分の中にあった傲慢さを認識し、向き合うことを選択する。

「こんな出会いもアリ」という印象で「結婚したい気持ちは70%」と言っていた傲慢な架は、「いい女性だと思っていたけど、嘘はつくし、とても面倒くさいことが分かった」と気付いた上で、真実を好きなことを確信する。

「こんな人と婚活で出会えるなんて」という印象で「彼こそが私の結婚すべき相手」と思っていた傲慢な真実は、架の気持ちや周りの人の言動に激しく落胆を味わいながらも、架と改めて正面から向き合うことで、すべてをひっくるめた自分と相手を受け入れる。

二人とも基本的に善良なことが伝わってくるから、傲慢なところも不完全で人間らしく愛らしい。実はすごく面倒くさいけど、それが人間だから。変にわきまえて達観している架の女友達よりはるかに魅力的に見える。

二人はもちろんこれでハッピーエンドではない。ただ、この先様々な困難があっても、心の先に相手を思いやる気持ちを持っていれば、傲慢と善良をうまくコントロールしていけるに違いない。

(85点)
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「最後の乗客」

2024年10月13日 23時18分35秒 | 映画(2024)
その想いが昇華される日まで。


生まれ育った仙台の地を離れたのが1993年。それ以来、実家に帰ることはあっても、旧友と会う機会はそんなにはなかった。あの大震災で亡くなった知り合いもいるのかもしれないが、その情報は伝わってきていない。

冒頭、物語の舞台が東北太平洋側沿岸のとある地と表示されるが、見れば分かる。これは仙台市内の海沿いの地域。タクシーが停まっている駅は地下鉄東西線終点の荒井駅だし、遠景になれば遠くに仙台新港や市街地の灯りが見える。

主人公のタクシー運転手・遠藤に同僚が話しかける。最近妙な噂があって、真夜中に女子大生風の女性から浜町まで行くよう頼まれるが、目的地まで走らせて後ろを見るとその女性の姿はなくなっているらしい。遠藤は信じなかったが、その日の夜に車を走らせていると、住宅地の真ん中でタクシーに向かって手を上げる若い女性が現れた。

「侍タイムスリッパー」に続いて、小規模公開から口コミで評判が広がりつつある本作。ミステリアスな雰囲気から感動へと大きく展開する話に注目が集まっていると言う。

東日本大震災と関連が深い地の話という時点で、物語のオチ的な部分はある程度想像がつく。ポイントは、その題材をどのような味付けで調理しているのかという点になる。

遠藤氏のクルマを止めて「浜町へ行きたい」と告げた謎の女性客は、娘のみずきであった。なぜ乗せた時点で無に近い薄い反応だったのかということや、正体が明らかになった瞬間に「私、死んだの?」と口にする点に引っ掛かりを残しつつ、タクシーの前に別の母子が現れる。

津波に流されて住宅すらなくなっている海沿いの道に立っていた母子。みずきに「私、死んだの?」と告げられた遠藤氏。この辺りで観ている側の多くが本作のからくりに気付くはずだ。

大震災から10年以上が経過するが、未だに行方不明扱いの人もいる。これまで経験したことがない規模の地震と津波だっただけに、亡くなった人もひょっとすると自覚がないままなのかもしれない。

映画の後半は、伝えられないでいた親子の思いが明かされ、それぞれがあるべき場所へと歩を進めるラストを迎える。残された人たちが思い続けるのと同様に、亡くなった人たちもまた私たちのことを思い続けている。本作は、こうした生と死の境を超えた絆を映像の形にしたものと言っていいのかもしれない。

(70点)
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