Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

今年の45作(1位→25位)

2019年12月30日 23時58分29秒 | 映画(2019)
今年は、例年にも増してシリーズものが盛んに公開された一年だった。中でも「アベンジャーズ/エンドゲーム」はついに世界興行収入を塗り替える記録的なヒットとなり、このことはおそらく他のシリーズを抱える制作陣の意識を少なからず変えた現象であったろうと思う。

年末には42年に渡るサーガの完結篇となる「スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」が公開。まったく関係ないが、シリーズ開始50周年を迎えたわが国の「男はつらいよ」も新作が封切られた。

しかし、ただ有名作品の続篇を作ればいいというものではないという事実も顕著に現れ、「メンインブラック」「ターミネーター」といったシリーズの最新作は、お世辞にも成功と言える結果にはならなかった。特に後者は、「T2」の正統な続篇と銘打って、J.キャメロン監督やL.ハミルトンの名前を前面に押し出したにも拘らず市場に響くことはなかった。

個人的には、今年は鑑賞本数が減少したように、魅力ある作品が減ってきたのではないかと危惧している。アカデミー賞の候補にもなった「ROMA/ローマ」のように映画館ではなくネット配信で届けられる作品も出始めている。SNS全盛で、当たれば特大ヒットが見込める超が付く弱肉強食の中で、今後どんな作品が人々の支持と共感を得ていくのか、来年も引き続き関心を持って見守っていきたい。

1.「アベンジャーズ/エンドゲーム」(4月26日)

今年は何と言ってもこれに尽きるのである。無粋だから他のシリーズものと比較はしない。ただただ、このMCUの世界観を作り上げるまでの道のり、俳優陣やスタッフをはじめとした徹底した管理手法、どこまで計算通りで、どのくらい予想外の対応があったかは計り知れないが、この映画史上に残る大プロジェクトを成し遂げたことに賞賛を送りたい。もちろん多層に重なるストーリーのおもしろさ、魅力あるキャスト、すべてを楽しませてもらった。

2.「ブラッククランズマン」(3月22日)

S.リー監督渾身の一作は惜しくもアカデミー賞作品賞受賞はならず。題材も秀逸だが、エンタメと社会風刺の要素のバランスが良く、一つの作品で大いなる満腹感を得られるよう仕立てられていた。ただ現代は、ブラックとホワイトの二極を超えて揉め事が発生する混沌の中にあるのが実態。

3.「ワンスアポンアタイムインハリウッド」(8月31日)

こうだったらいいのにな。バイオレンスが強調されることの多いQ.タランティーノ監督は愛に溢れたひと。本作のラストの穏やかさと幸せ感は、その前があればこそ余計にほっこりさせられる。

4.「スパイダーマン:ファーフロムホーム」(6月28日)

「エンドゲーム」の次がスパイダーマンで良かった、第3フェーズの終わりがこの作品で良かったと、多くの人が思ったであろう。もちろんT.ホランドのこのシリーズが明るいというのもあるが、トニースタークとの関係の深さから見ても、彼がまずリスタートを切るというのが筋なわけである。ついでに実物も朗らかキャラのT.ホランドはMCUからの離脱阻止にも貢献したとのこと。

5.「女王陛下のお気に入り」(2月15日)

予想していなかった昼ドラテイストにびっくり。女王という雲の上の存在をあそこまで醜く描ける英国の寛容さ(と言っていいのか)になおびっくり。O.コールマンの主演女優賞は至極納得であった。

6.「ジョーカー」(10月5日)

これまで数々の名優が演じてきたジョーカーを、リメイクでもリブートでもない、新しい一つの切り口として描いてみせた本作。肉体から表情から全身でアーサーという男の悲哀を体現するJ.フェニックスの独壇場。社会的影響も大きく、今年一年を代表する作品となった。

7.「スパイダーマン:スパイダーバース」(3月2日)

またスパイダーマンって、どんだけMARVEL好きなのよ。と言っても、こちらはMCUではない別の世界のおはなし。観たことのないアニメの手法に将来性を感じた。

8.「七つの会議」(2月3日)

野村萬斎の演技が受け付けないという感想を見かけたが、この手の話はデフォルメやメリハリが付き物でしょう。大げさでありながら、日本社会の問題点を丁寧に押さえているところに非常に好感が持てた。

9.「ラストクリスマス」(12月11日)

この名曲の歌詞をそうとるのか!一発勝負の大ネタには批判もあるかもしれないが、ハマっちゃったら作り手の勝ち。だんだんE.クラークが愛おしく見えてくる点も評価。

10.「アラジン」(7月9日)

続篇もさることながら、ディズニーの実写化も次々に企画が立ち上がる。本作は青いW.スミスで成功したが、「ダンボ」はいまひとつだったよう。向いている原作かどうかに加えて、プラスアルファの大切さをそろそろ学習した方がいい。

11.「イエスタデイ」(10月19日)

JohnやPaulのようなミュージシャンは不世出であろう。何より音楽が大きく変わってしまった。E.Sheeranはメロディメイカーとしてもがんばっているが、違う土俵で作る作品の方が多い。ビートルズの曲と対決する場面があるが、勝ち負けで比べられるものではない。

12.「天気の子」(7月27日)

雨が長く続いた梅雨、立て続けに水害が発生した台風の上陸。世界規模の気候変動という理由があったにしても、本作の後半で描かれる首都圏の変わり果てた景色に、これをよく描いたものだと感心と戦慄を覚えた。

13.「ビューティフルボーイ」(4月14日)

これは単なる外国映画で描かれている他人事の世界か?本当は身近に迫ってきている脅威なのではないか?薬物問題で有名人が逮捕されて話題になる。売人が渋谷の繁華街に普通に紛れていると言う。どう対処すればいい。そもそも脅威の排除に向けた努力はされているのか。

14.「キャプテンマーベル」(3月20日)

「ファーフロムホーム」が「エンドゲーム」後の世界への興味であれば、こちらは「エンドゲーム」へ至る道への情報として大きな役割を果たした。特にこの時期は「何か希望を~」と枯渇していた時期だったので、破格に強い彼女に勇気づけられたのだ。

15.「ROMA/ローマ」(3月26日)

今年も「アイリッシュマン」という作品が動画配信で限定公開されているが、年初に賞レースを騒がせたのは本作。わが国ではなんとかイオンシネマが劇場公開してくれたが、映画の世界もこうして音楽界のように旧式媒体を駆逐していく流れになるのだろうか。楽しみがなくなるな。

16.「愛がなんだ」(6月8日)

本年のサプライズヒットの一つ。どうにも報われない愛の姿を、みっともなく、それでいて愛おしく映し出す。幸せに辿り着くことは難しい。いや、最後は辿り着いたと思い込んでいるだけなのかも。

17.「男はつらいよ お帰り 寅さん」(12月27日)

上の続き。寅さんは語っている。「あー生まれてきてよかったなーって思うことが何べんかあるじゃない。そのために人間、生きてんじゃねえのか?」。銀幕で寅さんの姿を見られて良かった。

18.「グリーンブック」(3月2日)

本年のアカデミー賞の勝者。でもマイノリティを主役にするだけでは正義としては足りないらしい。難しいところに足突っ込んじゃうと大変な目に遭うって、人々を遠ざけてしまうんじゃないのかね。

19.「名探偵ピカチュウ」(5月11日)

異例の実写版も任天堂が全面バックアップで高評価を獲得。「シティハンター」はバックアップなしでも作り手の愛情がこれでもかと伝わる形で成功した。共通する鉄則はキャラクターへの愛情である。

20.「トイストーリー4」(7月14日)

公開直後にレビュー欄が大炎上。ある意味今年最大の問題作であった。「3」で完璧に完結してたのにっ!と言われると、そこまで「3」を高く評価していない立場としては逆に庇いたくなってしまうんだな。

21.ハッピーデスデイ(6月29日)

何度でもやり直すシリーズをホラーでやってみよう。若い子を主役にして学園+コメディー要素も加えてみよう。もともと相性が良い組み合わせであり、鉱脈を掘ったもの勝ちといった感じ。Camila Cabelloの新しいPVで似たようなストーリーを使ってるね。

22.「運び屋」(3月14日)

御年88歳、C.イーストウッド主演。すごいのひとこと。共和党支持者という希少種ながら、圧力も受けずに毎年作品を公開し続けられるのは、やはり偉大だからか。

23.「ロケットマン」(9月1日)

ミニシアター限定公開にならなかったのはクィーンのおかげかもしれない。しかし、それとは関係なくEltonも間違いなく偉大だ。長きにわたり珠玉のメロディーを生み続けてきた彼が、この作品が世に出ることで報われたことがとてもうれしい。

24.「シャザム!」(5月3日)

見た目はおとな、中身はこども、GWに劇場公開!というとわが国の大ヒットアニメシリーズを彷彿とさせるが、よく見るとおとなとこどもが逆である。発想はおもしろいが、こどもは学習するとおとなになっちゃうので、成長までの短期間限定ものといったところか。

25.「ドクタースリープ」(12月1日)

「スターウォーズ」のJJ.エイブラムス監督を良くも悪くも無難にまとめる職人と評したが、「シャイニング」のその後を描く本作も同じ種類の技が求められた。芸術性で高く評価されながら、思いっきり改変したことで原作者S.キングの怒りを買った映画版「シャイニング」。映画と原作のいいとこどりは、とんがった部分はないものの無難に楽しめる作品に仕上がった。
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今年の45作(26位→45位)

2019年12月30日 21時56分43秒 | 映画(2019)
26.「翔んで埼玉」(3月2日)

突然のケンミンショー映画が異例のヒット。30年以上前の漫画の映画化だからもちろん新しいネタではない。キャストから何から完全なお遊びで、それがマーケットにうまく乗っかったというところ。このさじ加減が絶妙にハマるのが埼玉オンリー、ビバ埼玉。

27.「サスペリア」(1月25日)

前作に引き続いて頭のいい監督だと思う。理解が追い付かないくらい高尚なホラー映画に仕上がっていた。T.スウィントンが複数の役を演じているなんて後から解説を見ないと分からないし、その意図を汲み取るのは更に情報を掘り下げていかないと無理。ハードルが高い。

28.「スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」(12月22日)

歴史的シリーズだけに賛否両論が出るのは当たり前。興行的に当たらなければ「ターミネーター」のように何度でも上書きするためのリブートが作られるが、本シリーズは逃れられるだろうか。

29.「IT THE END/"それ"が見えたら終わり。」(11月24日)

"それ"が見えても終わらなかった前作。27年が経って終わらせようと立ち上がる昔の少年たち。著名なキャストに代わってどうやってペニーワイズに立ち向かうのかと思ったら、意外な攻撃で縮み上がる敵にびっくり。

30.「アイフィールプリティ!人生最高のハプニング」(1月9日)

明るい笑顔で人の印象は最低でも3割増し。逆にいつも不機嫌な顔をしていたら2割減。飲食店の店員さんの笑顔が良ければ、また行きたくなるというのが人の心というもの。

31.「シンプルフェイバー」(3月15日)

A.ケンドリックB.ライブリーという、見た目も個性もまったく異なる二人の競演が見どころ。映画の中では対決するも、お互い鼻っ柱が強くなかなか相性が良い。敗れた側もまだまだへこたれない模様。

32.「バイス」(4月6日)

来る2020年は米国大統領選。トランプ政権の"バイス"・ペンス副大統領もなかなかの策士と聞く。周りのクビを片っ端から飛ばしているトランプ氏が彼に手を出さないのは、実質的に仕切っているのがペンスだからなのではないかと。

33.「アクアマン」(2月11日)

単発作品ではヒット作が増えてきたDCコミックス。特にワンダーウーマンとこのアクアマンは主役のキャスティングが大きく貢献している。見た目の良さと強さと多様性。ストーリーはそれほど心に響いてこないが。

34.「ハッピーデスデイ2U」(7月14日)

おいしいおかずならば、ごはん2杯までは普通に食べられる。少しだけ味付けを変えればなお良し。3杯めを食べさせたいならば、ひつまぶしのように食べ方にも変化を持たせないといけないけど、その話は聞こえていない。賢明なり。

35.「映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン~失われたひろし~」(4月25日)

10月の改編で土曜日の夕方に放映時間が移動するという大事件があった2019年。視聴率は2%台まで低下しているが、果たして今後のシリーズへの影響は?不定期放送ではなくなり、必ず3本放映されるようになった点は良かったと思うのだが。

36.「ゾンビランド:ダブルタップ」(12月7日)

これまた懐かしい作品の続篇を作ってくれた。A.ブレスリンはもっと大女優になると思ったのだけど。残念ながらヒッピー青年に付いていってしまう役がハマっていた。

37.「ミスターガラス」(2月2日)

まさかの「アンブレイカブル」の世界が蘇り。超人を集めるまでは良かったけれど、それぞれの活躍としてはやや消化不良だったか。

38.「ホイットニー~オールウェイズラヴユー~」(1月14日)

あまりに寂しいスーパースターの末路。それを反省しない社会は新たな犠牲者を生み続けている。追悼するだけでは足りない。なぜ根絶する方向に話が進まないのか。

39.「半世界」(2月13日)

地道に活動を続ける「新しい地図」の3人。地上波のテレビ以外にも活躍できる媒体が増えたこと、様々なしがらみと無縁に働く人たちのサポートが得られること。彼らの活動は、まさにこれからの人たちへ示す新しい指針でもある。

40.「ジェミニマン」(10月30日)

予告篇のビジュアルが良かっただけに、クローンとの対峙が盛り上がらなかったために高評価にならず。青いW.スミスから若いW.スミスへ、というのはハマったんだけど。

41.「X-MEN:ダークフェニックス」(6月21日)

「アベンジャーズ」の余韻が残る中での公開という不運・・・ではない、これは戦略ミスだ。「X-MEN」も偉大なシリーズだけど、ウルヴァリンの物語が終わった時点で一段落だったと思う。次は作られるのだろうか。

42.「メンインブラック インターナショナル」(6月15日)

リメイクやリブートを片っ端から否定するつもりはない。ただ、するのであればコンセプトを明確にしてほしいし、前のよりも絶対におもしろいと自信を持てる作品を作ってほしい。なぜ今これを作るのか分からないし、スケールは明らかにダウンしている。

43.「パラレルワールドラブストーリー」(6月1日)

あまり数を観ていないにも拘らずここに邦画が入ってきてしまう悲しさ。意外性がなく、主演俳優たちの魅力が発揮されているとは言い難い。吉岡里帆の使い方は、どんぎつねさんを見習うべき。

44.「ブライトバーン/恐怖の拡散者」(11月20日)

深みのない邪悪な少年に平凡な市民が圧倒的に振り回されるだけの映画。これは誕生譚であり、この先の超人ワールド決戦へ繋がっていくというのであれば、まだ理解はできる。

45.「アス」(9月11日)

これがラスを引きましたか。前作のデキから期待が大きかっただけに、その反動と言っていいかもしれない。雰囲気も良かったんだけど、どんでん返しも含めてそりゃないよ感が満載だった。
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今年の13館(2019)

2019年12月30日 20時35分13秒 | 映画(2019)
TOHOシネマズのシネマイレージサービスの改定があったことから他の映画館へ行く回数が増えるかと思ったが、来年期限切れになるポイントを消化する必要があるので、そのためにも行かなければならないという状況。他方、イオンシネマ海老名は、実は消費税増税にも料金を上げないばかりか、もう少し経つと55歳以上割引というすばらしいプランに引っ掛かるため、そろそろメインを移行させようかという考えもあるところ。あと3年、なんとか耐えてください。
それにしても、東京勤務で出張もない部署だとどうしても変わり映えしないリストになってしまう。新しくできた渋谷パルコにオープンしたWHITE CINE QUINTOが目立つくらいだろうか。渋谷らしく水曜日千円なのがありがたい。

TOHOシネマズ海老名(神奈川)22回

なんだかんだで昨年に比べて11回の大幅減。1番スクリーンの大型画面は捨てがたいが、
「エンドゲーム」や「ファーフロムホーム」はイオンシネマの7番の方を選択した。

TOHOシネマズ日比谷(東京)5回
イオンシネマ海老名(神奈川)5回

この並びも昨年とほぼ同じだが、イオンシネマは回数が増えたことに加えて7番以外の上映にも足を運んだ。
中央に通路がある小さいハコはあまり好きではないけれど、上映館が限られている場合は仕方がない。

TOHOシネマズ新宿(東京)4回

ここで観ているのは結構下位にランクされた作品が多い傾向。
せっかく混雑している中でチケットを確保しているのに、労多くして益少なしといったところか。

TOHOシネマズららぽーと横浜(神奈川)2回

ららぽーと横浜のいいところは、シャンテ系にかかるマイナーな作品が上映されること。
定期券で行けたとしても、やはり週末に余裕を持って観るのであれば近い方がいい。

TOHOシネマズ仙台(宮城)1回
TOHOシネマズ上野(東京)1回
TOHOシネマズ日本橋(東京)1回
TOHOシネマズ錦糸町楽天地(東京)1回
TOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京)1回
シネクイント(東京)1回
WHITE CINE QUINTO(東京)1回
ユナイテッドシネマ熊本(熊本)1回
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年間TOP3履歴

2019年12月30日 19時13分35秒 | 映画インデックス
◇2018年のTOP3◇ ※以下、それぞれの記事とリンクしています。

1.「ボヘミアンラプソディ」
2.「スリービルボード」
3.「万引き家族」

2018年(1位~30位)
2018年(31位~59位)

◇2017年のTOP3◇

1.「スウィート17モンスター」
2.「ゲットアウト」
3.「ラ ラ ランド」

2017年(1位~25位)
2017年(26位~51位)

◇2016年のTOP3◇

1.「この世界の片隅に」
2.「シングストリート 未来へのうた」
3.「シン・ゴジラ」

2016年(1位~45位)

◇2015年のTOP3◇

1.「セッション」
2.「キングスマン」
3.「マイインターン」

2015年(1位~30位)
2015年(31位~55位)

◇2014年のTOP3◇

1.「ジャージーボーイズ」
2.「アバウトタイム~愛おしい時間について」
3.「X-MEN:フューチャー&パスト」

2014年(1位~48位)

◇2013年のTOP3◇

1.「シュガーラッシュ」
2.「ローマでアモーレ」
3.「ゼログラビティ」

2013年(1位~47位)

◇2012年のTOP3◇

1.「アルゴ」
2.「桐島、部活やめるってよ」
3.「アーティスト」

2012年(1位~30位)
2012年(31位~69位)

◇2011年のTOP3◇

1.「ラブアゲイン」
2.「塔の上のラプンツェル」
3.「127時間」

2011年(1位~30位)
2011年(31位~47位)

◇2010年のTOP3◇

1.「(500)日のサマー」
2.「インセプション」
3.「告白」

2010年(1位~30位)
2010年(31位~80位)

◇2009年のTOP3◇

1.「ミルク」
2.「グラントリノ」
3.「ダウト あるカトリック学校で」

2009年(1位~30位)
2009年(31位~71位)

◇2008年のTOP3◇

1.「パコと魔法の絵本」
2.「JUNO/ジュノ」
3.「ラースと、その彼女」

2008年(1位~30位)
2008年(31位~57位)
2008年(58位~84位)

◇2007年のTOP3◇

1.「ヘアスプレー」
2.「幸福な食卓」
3.「レミーのおいしいレストラン」

2007年(1位~30位)
2007年(31位~70位)

◇2006年のTOP3◇

1.「ユナイテッド93」
2.「嫌われ松子の一生」
3.「クラッシュ」

2006年(1位~35位)
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「男はつらいよ お帰り 寅さん」

2019年12月29日 13時47分02秒 | 映画(2019)
便りがないのは元気な印。


渥美清が亡くなったのが1996年。もう23年の前の話だ。

就職して間もないころ、出張で訪れた奄美大島で偶然ロケの合間に異動する彼を間近で見た。真っ白い顔と固まって凍り付いたような表情。そこには画面を通して見る寅さんとは明らかに異なる人の姿があった。

奄美で撮影された「寅次郎紅の花」は結果として渥美清の遺作となった。スクリーンに映らない素の姿は彼の体調がそのまま反映されたものだったのだろう。

晩年の俳優に限らない。どんな状況にあろうとも、映画を作るスタッフやキャストたちは観客に対し理想を届けなければいけない。そうした長年に渡るプロに徹した仕事が「男はつらいよ」シリーズを国民的映画に押し上げた。

「お帰り 寅さん」と言っても、もちろん本当に寅さんが帰ってくるわけではない。作品が映すのは、時間が経過した中で日常を暮らす「くるまや」の人々の姿である。

みんな歳をとった。いなくなった人もいる。若干の面影を残す町並みの中で少しずつの喜びや悲しみが行き交う。そして、みんなの心の中に常に在り続けるのがかつての寅さんと過ごした日々、彼が遺した言葉の数々であった。

印象的だったのは、「くるまや」に住んでいる博とさくらの夫婦が「お兄ちゃんがいつ帰って来てもいいように」と2階を空けているという下りだ。

何年もの間連絡が途絶えていたとしても、彼ならふらっと店先に現れてもおかしくない。だんごやが観光客対象のカフェに変わり、帝釈天の御前様が代替わりしようとも、寅さんは未だ現役なのである。

映画が製作されなくなってからも俳優・渥美清と車寅次郎は別物で、今日も日本のどこかでお得意の啖呵を切って物売りをしているのではないか。シリーズを知る誰もが抱いているであろう感情が、この驚くべき50作めを生んだと言っても過言ではない。

映画の中では出演者の思い出として、時折挿入されるかつての作品の名場面が、さながら花火大会の打ち上げ花火のように作品を彩る。元気な彼の姿を銀幕で観るだけでも涙ものなのに、最後はマドンナたちとのちょっとしたやりとりを何十作分も立て続けに流すものだからたまったものではない。

「男はつらいよ」の第1作が公開されて50年という節目が背中を押したのは間違いない。

しかし御年88歳の山田洋次監督が現役で活躍されているのがまた特筆すべき話で、おそらくキャストの状況を考えても、これが最初で最後のチャンスだったのではないかと思う。

「男はつらいよ」サーガ、50年の大団円をこの目で見ることができて幸せだった。

(80点)
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「スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」

2019年12月22日 00時14分09秒 | 映画(2019)
おまとめじょーず。


42年に渡るスターウォーズサーガがついに完結。と言ったら、観ないという選択肢はないやろう。

ただ、今回は「フォースの覚醒」の公開時のような熱狂ぶりはあまり聞こえてこない。

いろいろ要因はあるだろう。その中で個人的に思うのは、「スターウォーズ」という名前があまりに大き過ぎて製作側が冒険できなくなったということである。

今回の3部作の第1弾であった「フォースの覚醒」は、新しい登場人物とお馴染みの面々を程よくブレンドし、忠実に前シリーズまでの世界観を踏襲したことにより、それなりの評価を持って迎えられた。

ここで注意したいのは、世界観を踏襲したという点である。アナキンやルークが繰り広げてきたダークサイドとの闘いはエピソード6の「ジェダイの帰還」においてハッピーエンドとなったはずであった。

しかし、エピソード7は再びダークサイドが力を盛り返して銀河を危機に陥れるというのだ。なんだ、これ堂々巡りのネバーエンディングストーリーじゃないか。

仕方ない部分はある。前作の「最後のジェダイ」がすこぶる評判が悪いように、少しでもファンたちの意に沿わないようなところがあれば袋叩きになりかねないのである。

となると無難に作るしかない。という理由からか、今回はJ.J.エイブラムス監督が復帰し、42年の総まとめという大役を勤め上げた。

生き残る人物、レイの出生の秘密などの関心事項は特に意外性なく整理され、ぎりぎりまでレジスタンスを絶体絶命のピンチに追い詰めておいて形勢逆転もお約束だから、爽快感を感じることはほとんどなかった。

そのほか「最後のジェダイ」をなかったとは言わないまでも極力薄めているような設定にも少し違和感を覚えた。前回活躍したローズは目立たない脇に引っ込み、含みのあったB.デル・トロの存在も消えた。

なにしろ冒頭が「死者がしゃべった!」と来るのだから唐突感がすごい。見逃していたのかもしれないが、前作に前兆はあっただろうか。

と苦言ばかり並べてきたが、それでもD.リドリーの凛々しく整った美しい姿を大画面で観続けるだけでも眼福だったことは言っておかなければならない。

とにもかくにも、携わったみなさん本当にお疲れさまでした。

(75点)
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「ラストクリスマス」

2019年12月15日 09時57分02秒 | 映画(2019)
心にこめた贈り物。


Wham!が好きだ。それは36年前に貸しレコード屋の店員のお勧めで"Fantastic"を聴いて以来のはなし。

"Make it big"で文字通りビッグになり、ソロ第1弾アルバムの"Faith"が更なる大成功を収めた当時、
George Michaelの時代が確実に到来したと思った。しかし、それ以降はビジネス、プライベートともに不遇なことが重なり、3年前のクリスマスのまさにその日、53歳の若さで彼はこの世を去った。

80年代音楽にどっぷり浸かった者として、GeorgeとWham!をフィーチャーした作品が作られたというだけでとてもうれしいが、加えて恋愛映画というのだから、多少作りが甘かろうが大目に見てしまうのは自然な流れ。

恋愛映画は当然主演俳優の魅力が命綱だが、「ゲームオブスローンズ」を観る機会がなかったのでE.クラークは正直よく知らなかった。

主人公のケイトは、だらしない私生活や他人に気を遣えない行動で周りの人に迷惑をかけ続ける。これが主人公?目がぱっちりして美人さんなのかもしれないけど、まったくかわいくないよねという印象を抱かせる。

そんな彼女の前に現れる青年がトムだ。

H.ゴールディングに関しては、E.クラークとは逆で「クレイジーリッチ」「シンプルフェイバー」と立て続けに出演作を観ている。基本的に爽やかな青年役がよく似合うので配役としてはぴったりと思うが、アジア系の俳優が恋愛ものの主役として堂々と名前を連ねられるようになったのは時代だなと感じた。

神出鬼没的に現れるトムを最初は受け付けなかったケイトだが、話を聞いてもらい行動をともにする時間が増えるたびに信頼感が芽生えるようになる。並行して、観る側にはケイトがなぜ今のような生活になってしまったかの秘密が明らかになっていく。

ケイトの秘められた過去と、トムがケイトの前に現れた必然。勘の鋭い人は分かってしまったかもしれないが、今回は自分の鈍さに感謝した。秘密の封印が解かれた瞬間のカタルシスを味わえるのは凡人の特権である。

Wham!の"Last Christmas"はそもそも失恋の曲だ。
「去年のクリスマス、ぼくは君にハートを捧げたけれど、君は次の日にそれを捨ててしまった」

ロマンティックなメロディーやバックのクリスマス感あふれるサウンドから定番として流されるが、この歌詞をもとに恋愛の物語を仕立てるのはどうなのかと思っていた。

しかし大切なのは続きの箇所である。
「今年は涙を流さないように、僕はそれをほかの特別な誰かにあげるんだ」

切なくも前向きで善きことを行う。考えてみればかなり宗教的な教えのこもった話であり、この言葉に誘われるかのごとくケイトが変わっていく。

面倒で煙たがっていた家族、迷惑をかけ続けた知人たちと積極的に関わるようになり、これまでまったく縁のなかった生活困窮者の施設ではボランティアで歌を歌い始める。

「集中力がなく」投げやりだったケイトの表情は大きく変わり、序盤はうざったく見えた大きな瞳が魅力的に変貌した。様々に形を変えて動く眉毛もかわいらしいと印象が一転した。うまい作りだし、主役も役得である。

比較的ライトな恋愛話の背景に、世界的な一国主義、排他的思想への警鐘を溶け込ませている点にも言及したい。ケイトの一家はユーゴスラビア連邦の崩壊に伴い移住してきたという設定で、ブレグジットによって国外追放させられるのではないかと恐怖を感じているのである。

個人的には過度なポリコレに不満を感じることが多いが、世の中が不寛容に触れていることは疑いようのない事実であり、本作の関連で言えばGeorge Michaelの晩年にもつながる話だと思っており、このメッセージは多くの人に届いてほしいと希望する。

今年も残りあとわずか。1年を思い返し改めて自分の大切なものに思いを馳せる、そんな善き日々を過ごしていきたいと思う。

(90点)
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「ゾンビランド:ダブルタップ」

2019年12月08日 11時21分06秒 | 映画(2019)
10年で変わるもの、変わらないもの。


ゾンビ映画も長い歴史を紡いできたが、恐怖映画とは異なるジャンルへの展開が増え始めたころに軽めのサバイバルコメディ(?)としてヒットした「ゾンビランド」が10年ぶりに帰ってきた。

主演の4人には、W.ハレルソンJ.アイゼンバーグE.ストーンA.ブレスリンが再び集結。前回同様、荒廃した世界でもささやかな楽しみを探しながら生き抜くロードムービーを展開する。

新たな登場人物や舞台設定が登場するが、基本はほぼ変わらない。J.アイゼンバーグ演じるコロンバスが掲げるルールは増えたようだが、やることは同じ。新種の手強いゾンビが発生したというが、撃たれても死なないくらいで頭を潰したり転落させたり対処法に困ることはそれほどない。

そんなわけで、ゾンビが狩られる際に残酷な画は出てくるものの怖さや驚きはほとんどなく、良くも悪くもポップコーン片手に観る映画として最適というところか。

ただ10年で変わったものもあった。いまやE.ストーンはアカデミー女優にまで上り詰める存在になったが、一方でA.ブレスリンがどうなったかというと・・・。

今回ゾンビより何よりいちばん衝撃的だったのは彼女だったかもしれない。わが国はしっかり成長する子役が多くいるのに、やっぱり米国社会はどこか病んでいるのだろうね。

一応ストーリーにも触れると、A.ブレスリン演じるリトルロックが家出をし、途中で出会った平和主義のヒッピー青年とどこかへ行ってしまう。青年が根城とするバビロンと呼ばれる区域では、城郭の内側で武器を持たずに若者たちが平和な生活を送っていた。

平和ボケな集団の様子は皮肉を込めて描かれる。これはゾンビの襲来でとんでもない目に遭うのではと予想させるが、映画はこの平和主義者に結構優しく、W.ハレルソン演じるタラハシーたちのゾンビ退治オブザイヤー級の働きで救われる。

その他では、モールで出会い行動をともにするマディソンはおバカでかわいく、前作で大活躍しながらあえなく退場となったB.マーレイがトリビュートとして再登場ということをテイクノートしておこう。

(70点)
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「ドクタースリープ」

2019年12月08日 00時50分19秒 | 映画(2019)
シャインと共にあらんことを。


S.キューブリックによる不朽の名作「シャイニング」。他に類を見ない圧倒的な個性でホラー映画の金字塔とも呼ばれる作品だが、原作者のS.キングには大層嫌われているらしい。

それは原作をあまりに改変しているからだという話。確かに「シャイニング」で印象に残るものと言えば、独特の映像技法やJ.ニコルソンの怪演であり、タイトルにもなっている特殊能力のシャイニングは脇に追いやられていた感が拭えない。

ただやり方はどうあれ、キューブリックの「シャイニング」が数々の名場面を映画史に刻んだことは間違いない。三輪車を漕ぐビリー少年の映像を見ただけで背筋に寒気が走るのだから、その力は計り知れない。

そんな名作の40年後を描く本作。大人になったビリーが再び恐怖のホテルを訪れるという話を、S.キング自身が2013年に書き下ろした作品の映画化である。

40年前に仲違いした映画と原作を続篇でどう取り持つのかに興味が湧いたが、全体として器用にそれぞれの要素をすくい上げていた。

まず重要なこととして、全般を通して話の中心にS.キングが本来考えていた特殊能力をめぐる争いが置かれていたことが挙げられる。

子供の頃の事件のトラウマから能力を隠して生きていたビリー。その前に更に強大な力を持った少女が現れるが、やがて彼女の能力を狙う邪悪な集団の魔の手が迫り、ビリーはシャイニングを封印から解放する決断をする。

邪悪な敵との決戦の場にビリー自らが選んだのがいわくつきのホテルであった。毒を以て毒を制す。40年ぶりの特別な客にホテルが目を覚ます。ここからはキューブリックの名場面のオンパレードとなる。

無理のない設定で流れるように話は進む。敵との戦いも見応えがあるし、キューブリック版「シャイニング」へのオマージュも量的に十分。強大な力を持った少女に黒人を据えるぬかりなさも含め、特に苦言を呈するような点はない。

ただなんだろう。これを言うと身も蓋もないのかもしれないが、きっちりまとまり過ぎていて逆に物足りない、言い換えれば爪痕が残らない作品になっているように感じた。

ここは外してはいけないというリストのようなものがあって、それを一つ一つなぞって作っているから、原作や前の映画版の枠を超えられないことがはじめから分かっているのである。これはこれで有りだとも思うが。

大人になったビリーを演じるのはE.マクレガー。これまで演じたオビワンケノービやクリストファーロビンあたりに通じる点もあり、適役だったと思う。

(75点)
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「IT THE END/"それ"が見えたら、終わり。」

2019年12月01日 09時41分13秒 | 映画(2019)
タイムカプセルは誰にとってもほろ苦い。


2年前の同じ時期にサプライズヒットを記録した前作。ホラー版「スタンドバイミー」との声も上がるなど、単なる怖い映画とは違う作りが高く評価された。

続篇(Chapter2)の舞台は27年後。前作の最後で「またあいつが現れたら集結しよう」と誓い合った負け犬たちは、アフリカ系少年のマイクだけが町に残り、みんながそれぞれの人生を歩んでいた。

主人公たちが大人になって変わったのは、まずキャストが豪華になったこと。J.マカヴォイJ.チャステインといった名前が連なる。

しかしそれよりも最も変わった部分は、当然のことではあるがみんな大人になったということであった。

それぞれが子供の頃に持っていた劣等感はそれなりに克服されつつあった。吃音のビリーはよどみなくしゃべり、太っちょだったベンは筋肉質のたくましい体型に。家庭内虐待を受けていたベバリーは裕福な男性と結婚して経済的な不安からは解消されていた。

27年経って再びペニーワイズが現れた。その一報を受けたみんなは一様に戸惑う。

それはそうだ。あれから27年間継続して努力して現在の立ち位置をつかんだのに、なんで負け犬の頃に引き戻されなければいけないのか。お調子者のリッチーは反射的に嘔吐した。27年前の恐怖が一瞬で甦ったのだ。

しかしペニーワイズの出現は必然だった。それは、克服したと思っていた現実が実は砂上の楼閣に過ぎないことと一致している。故郷に戻ったビリーにほどなく吃音の症状が再発する場面は象徴的だ。

彼らはまだ本当に大人になってはいない。これから一人の人間として生きていくための試練として、再びペニーワイズが負け犬たちの前に立ち塞がる。

設定としては非常によく分かる。展開もおもしろい。負け犬たちのキャストも子供のころと頻繁に行き来するので、引き続き共感を持って観続けることができた。

ただ、もうこれはこの話の根本のところなのだが、なんである特定の人物の成長のために脇に居る人や関係ない人が犠牲にならなくてはいけないのかというあたりの理不尽さが、本作ではより顕著になっていた。

前作の犠牲者は、ジョージーは兄の過失、不良グループはある意味自己責任と説明ができるのだが、今回ペニーワイズが手をかける子供たちに目立った落ち度はない。

主人公たちが成長するために犠牲にさせられてしまったとでも言おうか、原作もこうだとすると少し問題あるよなと思ってしまった。

(75点)
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