Con Gas, Sin Hielo

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「クレイジーハート」

2010年06月19日 00時40分28秒 | 映画(2010)
保守本流にとっての明るい明日。


米国といえば自由の国。あとのイメージは歴史が浅い、人種のるつぼ、そして好戦的。

おおよそ保守と縁遠い言葉が並ぶが、しかしなんだかんだ言ってこの国、むちゃくちゃ保守王国である。今でこそCHANGEの人が大統領を務めているものの、根強い保守勢力にかなり押され気味という話もよく聞く。

音楽はといえば、ヒップホップ系全盛の中にあっても必ずカントリー系にメガヒットが生まれている。対極とも言えるオルタナのチャートにBON JOVIが入っていたりするのも保守的な嗜好の表れに見える。

本作の主人公はかつてのスター歌手バッド・ブレイク。ヒットから遠ざかる彼が刻む日常は、ステージとも言えない場末の営業の連続である。

生き方をなかなか変えられない不器用な姿は、言うまでもなく昨年の「レスラー」と被る。キャリアに疲れる中で家庭に安息を求めようとするところまで似ている。

しかし実際の中身は大きく異なる。

何よりバッドはまったく孤独じゃないのだ。

家がある。親身になってくれる友人がいる。管理してくれるマネージャーがいれば、過去にわだかまりがあったかもしれないが尊敬の念を口にしてくれる後輩もいる。

バッド自身も案外頑なではない。「あいつの前座なんて」とはじめは言いながらすぐに折れるし、がさつではあるが決して粗暴なわけではない。

そんな彼に結末は多少のほろ苦さを湛えた上で優しく微笑む。

そんな簡単に病を克服できるのかなんて声も出るかもしれない。甘いのは承知の上だが、優しい陽射しの下での再会の場面は、それこそカントリーソングのように穏やかで心地良い。

きっといいことがあるから明日も頑張ろうと単純に思ってしまった。

アカデミー主演男優賞を受賞したJ.ブリッジスは、予想していたとおりの「ど」が付くハマりぶり。もう生まれながらのカントリー歌手と言ってもいい。

逆に可笑しかったのがC.ファレルだ。出ているの知らなかったから、あのE.イグレシアスばりの濃いラテン風の風貌とスーパースターのギャップに思わず受けてしまった。歌は上手かったけどね。

M.ギレンホールは生活臭漂う泥臭いヒロインが合っていた。「ダークナイト」の違和感はまさにこの役との距離に相違ない。

(80点)
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2 コメント

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コリン・ファレル (mezzotint)
2010-06-19 09:52:07
こんにちは。
TB&コメントありがとうございます。
クレジットにコリンの名前があったんですね。
一生懸命見ましたが、、、、。
見損ないました。それにしてもあんなに歌が
上手いとは、驚きました。
ラテン系ですか。確かに濃いですよね。
監督はサプライズにしたかったそうです。
クラムさん、驚いたかな?
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最後の方に (クラム)
2010-06-20 00:56:06
mezzotintさん、こんばんは。

曲目リストだから、思いっ切り最後の方でしたよ。
それまで本当にあれは彼だったの?と確信持てませんでしたから。
パンフレットもいろいろなコラムにはしっかり名前が載ってましたね。

彼はアイルランドなんですってね。
そうなるとラテン=中南米のノリとは違ってきちゃいます。
それにしても歌の上手さ含めて本当にサプライズでした。
映画も非常に楽しめました。
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