Con Gas, Sin Hielo

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今年の59作(2018)1位→30位

2018年12月31日 07時30分58秒 | 映画(2018)
昨年に続いて今年も年末にパスポート砲を放ちもう少しで60作の大台というところまで伸ばした。

今年の特徴は2つの作品に代表される映画の社会現象化だろう。限定上映のマイナー作品からSNS等の口コミで一気にシネコンでの大入りに繋げたのが「カメラを止めるな!」。同様の口コミでも元々コアなファンがいたところから幅広い広がりを見せたのが「ボヘミアンラプソディ」。

その他にも映画祭のグランプリから王道の興行を見せた「万引き家族」、映画ファンの新しい楽しみ方を開拓した「バーフバリ」シリーズなど、多様な種類の作品が映画ファンだけではない多くの人々の支持を受けた年だったように思う。

この活況が今年特有のものなのか、これからも続いていくものなのか。情報技術の発展とともに広報の選択肢も次々に増えるわけで、来年以降映画業界の腕の見せどころといったところだろうか。

1.「ボヘミアンラプソディ」(11月17日)

11月上旬に封切られた映画が年末年始にいちばん豪華な音響のハコで上映されている。上映開始直後に海老名のTHX、年末に日本橋のDOLBY-ATMOSで観たが、細かい指摘をなぎ払う音楽の圧倒的な力。小学生らしき観客も見られるなど、あらゆる世代を巻き込む社会現象に大化けした。

2.「スリービルボード」(2月4日)

希望もなく周りとは衝突ばかりの殺伐とした世界の裏には、それぞれがそこに至る背景があり、その中にかすかな光明もある。とてもやるせない話でありながら温かい気持ちにもなれる不思議な作品であった。

3.「万引き家族」(6月9日)

カンヌ映画祭パルムドール受賞という追い風を受けて今年中盤の映画界を引っ張る存在に。題名に眉をひそめる人がいたが、映画を観てちゃんと物を言ってほしいものである。10月には樹木希林が永眠。充実の女優人生の真っ只中だったのに残念の一言に尽きる。

4.「パディントン2」(1月21日)

今年は同じぬいぐるみ系のプーが実写化されたがこちらの方がまっすぐ心に入ってきた。教訓めいたものを匂わせず娯楽に徹して描き切っている点に好感が持てた。鑑賞後はロンドンの街を歩いてみたくなった。

5.「30年後の同窓会」(6月16日)

「ビフォア~」シリーズのR.リンクレイター監督が中年から初老に差し掛かろうとしている世代の男性を描いた作品。設定に惹かれるし、冷静だけど温かい脚本やS.カレルらの演技と琴線に触れる要素に溢れている。

6.「ワンダー 君は太陽」(6月23日)

遺伝子の不具合で他人とは違う容姿のオギー。彼が主人公ではあるが、彼とともに生きる家族や周りの人たちにもスポットを当てて、人との繋がりを丁寧に描いているところが素晴らしい。オギーはもちろん誰にでも悩みがあり、それぞれ同じくらい大きくて重要なのである。

7.「はいからさんが通る 後編 ~花の東京大ロマン」(10月20日)

大正時代を描いた作品が昭和に作られ、アニメとしては平成の終わりにようやく完結した。作品のデキがどうとか編集がどうとかいうことではなく、とにかく話が最後まで繋がったこと自体が快挙なのだ。

8.「リメンバーミー」(3月21日)

まずピクサーが久々に続篇ではなく新しい世界を作品にしたことを評価したい。死後の世界の美しさ、現世と死者の繋がりの描き方も良い。メキシコが舞台ということで、明るいながらも哀愁の漂う音楽が話の鍵になる。すべて良し。

9.「ペンタゴンペーパーズ 最高機密文書」(4月1日)

M.ストリープT.ハンクスS.スピルバーグ監督とこれだけビッグネームが揃えばリベラルな空気から逃れるのは難しい(逆説的)と思ったが、映画自体は極めて冷静な立ち位置で報道と政治の駆け引きを緊迫感たっぷりに描いている。派手さはないがスピルバーグのスマートさを実感した。

10.「カメラを止めるな!」(8月25日)

映画が社会現象になる一連の流れを見せてもらった。原作がある作品の映画化や芸能事務所の意向で出演者が決まるような邦画のやり方を全否定するわけではないが、業界としてマイナーでも筋の通った企画で作られた作品も市場に並ぶような多様性や柔軟性を持ち続けてほしい。

11.「シュガーラッシュ:オンライン」(12月24日)

キャラクターを総動員してディズニーの力を誇示。決して嫌味ではない。楽しさを追求できるのはすごいことだから。ちょっとした場面に出てくる主役級のキャラクターにきちんとオリジナルの声優を当てているところも贅沢。

12.「ビッグシック ぼくたちの大いなる目ざめ」(2月23日)

「ボヘミアンラプソディ」でF.Mercuryが「パキ野郎」と罵られる場面がある。人口2億人を有し大きな影響力を持つはずだが意外に知らないパキスタン人の立場を描くコメディー?難病もの?一つに括れないけどおもしろい作品。

13.「タリーと私の秘密の時間」(8月18日)

すごく美人なのに疲れてしまっているひとって結構いる。夫も手伝うべきだという議論の前に家事育児は労働として非常に過酷である。うまく手を抜ければいいけど、そうできない性格の人にとっては悲劇を生みかねない。C.セロンの体を張った演技が光る一作。

14.「レディプレイヤー1」(4月30日)

「平成最後の~」が合言葉になりつつあるこの頃。30年で情報系の技術は著しい進化を遂げたが、その根っこにあるのは80年代、昭和の魂だ。

15.「バーフバリ 王の凱旋」(7月16日)

インド発の大スペクタクル映画は、一般社会はともかく映画ファンの間に一大現象を巻き起こした。爆音上映や絶叫上映、応援上映などの新しい映画の楽しみ方を広げた功績は大きい。

16.「パッドマン 5億人の女性を救った男」(12月24日)

相当な本数が製作されているインド映画から一風変わった作品が到着。地方の貧困問題や女性の社会進出といった背景があっても歌と踊りは欠かさないところがおもしろい。国連演説の場面は今年の映画の中でも最上級の感動をもたらした。

17.「アベンジャーズ/インフィニティウォー」(4月27日)

今年最大の驚きはこれ。観終わった後の虚無感というか喪失感というか。エンドロールの後に期待を持つものの、追い打ちをかけるようなエピソードと「サノスは帰ってくる」の文字。聞きたいのはそこじゃない。MARVELのドSぶりに悶絶した。

18.「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」(12月28日)

障害者という人物設定はあくまで背景であり、描くのは個人の出会いと成長の普遍的な物語。そう思えてくる鹿野氏の生き方、映画の作り方に大いに共感した。

19.「search/サーチ」(12月7日)

映像の目新しさよりも父と娘の話というところに惹かれた。裏には母と息子の話も出てきて、全体的によく練られた脚本でおもしろかった。

20.「クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~」(4月14日)

今年の「クレしん」は中くらい。後半に見どころが押し寄せて、突然「ジェンカ」がすべてを押し流す強引さと意外性はまったく嫌いじゃない。

21.「グレイテストショーマン」(2月17日)

昨年の「ララランド」の勢いをもう一度という売り手の意向が強く発揮。映画の内容は思ったよりかなり毒気があるものだったが作品の力で興行的には大成功と言っていいだろう。欧米のアルバムチャートでは未だに上位にとどまっている。

22.「キングスマン:ゴールデンサークル」(1月8日)

前作が大ヒットしたから多少の無理はなんてことない、と言わんばかりのC.ファース復活。代わりに結構重要な活躍をしていた人たちが退場。でもいざとなればすぐ戻すことができると思えばこれもなんてことないのかな。

23.「クレイジーリッチ」(10月20日)

中国系と中国人の考え方が異なるのは当たり前だが、アジアに住む中国系と米国に住む中国系もかなり違うとのこと。来年以降も当分頭が痛い米中の経済戦争の中で、今後彼らはどういう選択をするのだろう。

24.「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」(5月12日)

採点競技って不透明感が満載であまり好きになれないのだが、人々の思惑が絡む分ドラマには向いているのかもしれない。スポーツの世界は進化するにつれて金持ちが有利になる流れになっている。フィギュアスケートはおそらく資産家の家庭じゃなければできない。

25.「ジュマンジ/ウェルカムトゥジャングル」(4月7日)

今年はD.ジョンソン主演作が何本か公開されたが、虚弱系のおたく少年のアバターという役回りの本作が振れ幅が大きく最もおもしろかった。

26.「来る」(12月9日)

理由もなくこわいものってあるよね、という考えを理解できるのであればこの映画は有り。ただ悪いことはどんな小さなことも一切できなくなってしまうかも。

27.「シェイプオブウォーター」(3月3日)

今年のアカデミー賞の主役となったのはG.デル・トロ監督の異色ファンタジー。栄冠を手にしてもこの人が持つ独特のB級感はこれからも変わらないのだろう。

28.「クワイエットプレイス」(9月29日)

北米で大ヒットの余勢をかって殴り込み。ただホラーというよりはエイリアン系なので、じわじわ迫ってくる恐怖はなかった。音を立てたら死亡という設定にも拘らず主人公たちはかなりの無茶をする。その辺が緊迫感に欠ける作品になった原因なのかもしれない。

29.「ミッション:インポッシブル フォールアウト」(8月11日)

T.クルーズ56歳。シリーズ次の作品ではいよいよ60代か。ひさしぶりにM.モナハンが出てきてシリーズをずっと見てきた者としてはうれしかった。

30.「デッドプール2」(6月1日)

なんでもできる映画の強み。自虐的にR.レイノルズの黒歴史ならぬ緑歴史を抹殺。まだまだ快進撃は続く。
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今年の59作(2018)31位→59位

2018年12月30日 15時23分21秒 | 映画(2018)
31.「ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生」(12月15日)

光り物が大好きなニフラー以外あまり魔法動物は活躍しなかった印象。ダンブルドア教授としてJ.ロウが登場。グリンデルバルドとは宿命の関係にあるようで、このままではニュートの主役の座が危ない?

32.「かごの中の瞳」(10月8日)

結婚に限らず人付き合いに必要なのは相手に対する理解と信頼。その基礎がしっかりしていれば、環境が大きく変わっても繋がりが切れてしまうことはないはず。逆に基礎がなければどこかで必ず行き詰まる。

33.「グリンチ」(12月14日)

TOHOシネマズが約1年かけて売り込んだ、クリスマスを心の底から憎む緑の生き物。J.キャリーの仇が取れたのかは微妙なところ。

34.「ボスベイビー」(3月21日)

次男としては100%理解できているわけではないけれど、物心ついたばかりの男の子に弟ができたときっておそらくこんな気持ちなんだろうと想像はつく。子供の空想力は無限に近い。

35.「羊の木」(2月12日)

南青山では児童相談所が来るくらいで大もめにもめているが、市役所が極秘でこの映画のようなプロジェクトを実行してしまったらとんでもないことになるだろう。刑務所を誘致した自治体なんかは雇用が増えて良い効果も出ているんだけどね。

36.「おとなの恋は、まわり道」(12月17日)

ひらめいて恋ができるほどおめでたくないし、人生について達観するほど落ち着いてもいない。現役として下り坂に突入した人への応援歌とでも言うべきか。K.リーブスW.ライダーもよくこの仕事を受け入れたものである。

37.「アントマン&ワスプ」(9月1日)

アントマン、お前もか。「アベンジャーズ/エンドゲーム」では活躍できるのかな。心配だ。

38.「嘘を愛する女」(1月20日)

ずっと一緒にいた人が実は・・・という設定はサスペンスの常道。高橋一生が主演という時点で悪人ではないことが確定しているので、事実が明らかになってもあまり驚きはない。今までの分もたくさん愛を注いでください。

39.「検察側の罪人」(9月1日)

テレビ朝日で20年前の番組「8時だJ」のスペシャル版をやっていた。20年前に既に大スターだった木村拓哉とやる気のない少年だった二宮和也が並び立つようになるのだからおもしろい。

40.「インクレディブルファミリー」(8月1日)

ピクサー作品が40位だなんてインクレディブル。それなりにおもしろいけど特にこれ!ってものがないという理由は通らないか。ジャックジャックの覚醒も予想の範囲内だし。

41.「アリー/スター誕生」(12月21日)

"Radio Ga Ga"からレディーガガ。前月の「ボヘミアンラプソディ」から本作へとヒットの流れを持っていきたかっただろうけど、興行成績は伸び悩み気味。

42.「プーと大人になった僕」(9月15日)

ディズニーの実写化ラッシュが止まらない。来年はダンボとアラジンが控えている。アニメの方が感情移入しやすくていいんだけど。実写になるとどうしても「この話、これでいいの?」と思ってしまう。

43.「ヴェノム」(12月1日)

地球外生命体であって決して悪ではない。出自で差別するのは現代ではタブーなので、次作からは主人公と一体で善玉になるのかな。「アベンジャーズ」とは異世界で舞台が広がっていくのだろうか。

44.「ウィンストンチャーチル/ヒトラーから世界を救った男」(4月14日)

政治の世界は魑魅魍魎が蠢く世界で、何が正しく何が間違いかは本来判別しにくい。偉人として扱う以上は話を盛る必要があるが少しキレイに描き過ぎではないかと感じた。G.オールドマンのオスカー戴冠はお祝いするけれど。

45.「女と男の観覧車」(6月30日)

W.アレンは長く生き過ぎたのだろうか。もともと品行方正とはほど遠い人であり、だからこそ人間の愚かな部分を描くことに長けていたわけで、批判されて切れ味が鈍ることがないようにしてもらいたい。

46.「ヘレディタリー/継承」(12月5日)

母のセルフ切断場面は既にトラウマ化している。途中で犠牲になる妹の容姿もインパクト大。じわじわ来るのが真のオカルト映画である。

47.「ピッチパーフェクト ラストステージ」(11月1日)

柳の下のどじょうというのはわが国の言い回しだが、一度当たればいい夢を見たくなるのはどこも同じ。そしてそれが成功に結び付かないことが多いのも同じ。大学のグリークラブの話をどこまで引っ張れるの?という話。

48.「スカイスクレイパー」(9月22日)

これだけ多くの作品に引っ張りだこのD.ジョンソンだけど、未だに代表作と呼べるものがなくシリーズものも持っていないのはとても不思議だ。この作品もおそらく続かない。

49.「いぬやしき」(5月1日)

とんねるずの冠番組がなくなってもノリさんは、早朝にラジオなんかやってこれまで以上にマイペース。ドラマや映画へのオファーが増えてくる気がするが、気分が乗るときしか出演しないかもね。

50.「犬ヶ島」(6月13日)

一部で評価が高いというのは分かる気がする。W.アンダーソン監督の作品はそういう傾向が多い気がする。ただ個人的にはよく分からない。この感覚はこれからもきっと変わらない。

51.「君の名前で僕を呼んで」(5月1日)

「ボヘミアンラプソディ」にも出てきたが、同性愛者というのは電波を送受信するように相手の嗜好に気付くのだろうか。標題の意味を理解するのに時間がかかるうちは繊細さでとても追いつけない気がする。

52.「ジュラシックワールド/炎の王国」(7月21日)

おバカ度が増すほど稼ぎは良くなる貴重なシリーズ。みんな恐竜好きだよね。なんでだろう。

53.「スマホを落としただけなのに」(12月1日)

スマホを落としただけ・・・じゃないよね。それだけ隙を見せたら危険度は高まるというもの。落とさないことはもちろん最重要だけど。

54.「ゲティ家の身代金」(5月26日)

結局身代金の支払いを拒否したゲティ氏の評価はどうなのか。変わり者の大富豪を敵役という描き方に押し込めてしまってはもったいない。

55.「ランペイジ 巨獣大乱闘」(5月19日)

大乱闘という言葉を聞くと、たくさんの数の猛獣がバトルロイヤルのように戦いを繰り広げる姿を想像するが3種類でした。いつものことではあるけれど、その分D.ジョンソンが頑張ります。損はさせません。

56.「RAW~少女のめざめ」(2月10日)

作品のデキがどうという以前に全体に漂う陰湿な空気が耐え難いくらいに重い。悪夢の果てに過酷な運命を受け入れざるを得ない設定に一切の救いなし。

57.「ブラックパンサー」(3月9日)

実は世界最先端の技術力を持つ国がアフリカにあったという設定に素直になれない自分がいる。きれいごとの臭いがぷんぷんするからだ。世界はポリ・コレに疲れているよ。

58.「伊藤くんAtoE」(1月14日)

ダメ人間は人間味があればかわいく思えてくるが、描き方によってはただダメになるだけになるということが分かった。すべての俳優の魅力を潰すという意味では画期的ですらある作品。

59.「インサイド」(7月14日)

他の下位作品を寄せつけないダントツの最下位。唯一評価できるのは主演女優のかわいさだが、それすら脚本のせいで印象が悪くなっていく始末。
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今年の17館(2018)

2018年12月29日 17時44分23秒 | 映画(2018)
今年を振り返るときにまず声を大にして言いたいのは、TOHOシネマズのシネマイレージのサービスの改悪が予想より酷かったということ。特に1か月フリーパスを発動させてから座席制限に引っ掛かる引っ掛かる。サービスデーと関係なく混雑する新宿などでフリーパスを使って観るのは相当難しくなった。具体的には、上映開始からだいぶ日にちが経過して1日に1度か2度、それも収容人数のあまり大きくないハコでの上映だった「search/サーチ」は、はね返されること3回。大きいハコでも人気があると前日に割り当てがなくなってしまうことも。このままでは長年の顧客を冷遇していると言われかねないので、ぜひ早急の改善を希望します。

TOHOシネマズ海老名(神奈川)33回

フリーパスポートを使ったのに昨年より回数が少ないのは、観たいと思ったものが上映されていなかったから。上述の終わりかけの作品然り、アニメの字幕版然り。だからこそ東京の映画館の割り当て席数をもう少し柔軟にしてほしいのです。

TOHOシネマズ日比谷(東京)7回

職場に近い。新しい建物に高い天井、窓の外に広がる日比谷の美しい風景。新宿ほど込み合っていないところも良い。待ち時間や帰りにミッドタウン日比谷の飲食街というのも気分が上がる。地下はスカラ座とみゆき座の引き継ぎなのでちょっとした当たり外れになるけど。

イオンシネマ海老名(神奈川)4回

この4回はすべて7番スクリーン。開館から30年近くが経った今でもTHXを前面に掲げて奮闘しています。TOHOシネマズ海老名もできたころは全スクリーンTHX対応と鼻息が荒かったのに。「ボヘミアンラプソディ」は迷うことなくこちらで観ました。

TOHOシネマズ上野(東京)2回
TOHOシネマズ日本橋(東京)2回
TOHOシネマズシャンテ(東京)2回
TOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京)2回
TOHOシネマズららぽーと横浜(神奈川)2回

東京にはTOHOシネマズが増殖中。それでも座席を取るのにひと苦労する場合がある。ららぽーと横浜はシャンテで上映するマイナーな作品をかけてくれる貴重な映画館。「はいからさん」もこちらで観ました。なんだかんだ重宝しています。

TOHOシネマズ仙台(宮城)1回
TOHOシネマズ錦糸町(東京)1回
ヒューマントラストシネマ有楽町(東京)1回
TOHOシネマズ新宿(東京)1回
新宿ピカデリー(東京)1回
TOHOシネマズ渋谷(東京)1回
ユジク阿佐ヶ谷(東京)1回
TOHOシネマズ川崎(神奈川)1回
ムービル(神奈川)1回

映画ファンの間で旋風を巻き起こしたインド映画「バーフバリ」。爆音上映にも興味があったけれど、個人的にはブームに出遅れたのでまずは前編を阿佐ヶ谷のミニシアターで観ました。手作りのミニシアターはひさしぶりだったけれど、今年のようにマイナーな作品に光が当たるような傾向が今後も続いていけばまだまだ生き残れる業界だと思います。というより継続してもらわないとつまらなくなるので機会を見つけて応援を続けていきたいと思います。
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「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」

2018年12月28日 19時34分44秒 | 映画(2018)
人生は、与えられた武器でどう闘うかということ。


近年、障害者のイメージが変わりつつあることを感じる。障害者が作る障害者のためのバラエティ番組としてEテレの「バリパラ」が注目されたのはつい最近のことだし、「五体不満足」の乙武洋匡氏が週刊誌に不倫関係を報じられて炎上したのもここ1~2年の話だ。

これまで障害者といえば、いわゆる健常者側から何かを施さなければいけない存在と見なされていたが、彼らからしてみれば他の人たちと何が変わるものでもなく、できるだけ普通に扱ってほしいというのが本音である。

多様な存在を受け入れることが当たり前の時代となったことで、LGBTなど他の少数派と同様に身体障害者の声も少しずつ世の中に通るようになってきた。

他方、本作の舞台は20年以上前の1994年。まだ理解が進んでいない時代を、筋ジストロフィー症を患い全身を動かせなかった鹿野靖明氏がどう生きたのかが描かれている。

当時の鹿野氏は34歳。日々の生活は身の回りを24時間体制で世話するボランティアに頼る暮らしを送っていた。

しかし冒頭の彼はそんな境遇を憂うどころかボランティアに対して文句を言い放題。何なんだ?この人物は。

そんな障害者への先入観と実際の彼の違和感を端的に表したのが表題である「こんな夜更けにバナナかよ」である。

もう一人の主役となるのが、偶然と誤解から鹿野氏のボランティアチームに加わることになった美咲である。彼女にとって映画の冒頭が鹿野氏との初対面なので、彼への違和感を観客と共有するという役回りにもなっている。

正直な彼女は鹿野氏へ言い放つ。「あなたはいったい何様なの?」「もう二度と来ない!」

この言葉を受けた鹿野氏は一転して彼女へ謝罪の手紙をしたためる。もちろんボランティアの代筆でだが。

なぜ彼がここまでわがままなのか。そんな彼に何故たくさんの人たちがボランティアとして集まってくるのか。時間を経るごとに、彼の様々な行動を見るうちに、自分の気持ちに正直に生きようとする懸命な姿勢が伝わってくる作りになっている。

彼が生きた土地が北海道ということもあっての主演・大泉洋と思われるが、北海道に関係なく宛て書きされたのではないかと思うほど役にハマっていた。憎まれ口を叩きながらも人をひきつける吸引力をここまで説得力を持って演じられるのはさすがの芸達者ぶりである。

美咲役の高畑充希も好演だった。彼女の大きな目は喜びや怒りや戸惑いを表情豊かに使い分ける大きな武器である。あの目で至近距離からにらまれたら、鹿野氏ではなくても、それほど好みではないはずでも「ぐっと来る」。

上で述べたとおり障害者は決して特別な存在ではない。この映画はある人物を中心とした出会いと気付きの物語である。ここから学ぶのは障害者がどうのではなくて、自分の人生をどう生きるかという鹿野氏が貫いた姿勢にあるのだと思う。それはラストの両親や美咲たちの姿に表れている。

(80点)
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「シュガーラッシュ:オンライン」

2018年12月28日 08時40分43秒 | 映画(2018)
えらい「ともだち」になりたくて。


どうせおいらはゲームの悪役、わかっちゃいるんだ親友よ。

本欄の2013年No.1作品、約6年ぶりの続篇がついに公開。なかなか字幕版の座席がとれなかったので、最初に吹替版で観てその数日後に字幕版と立て続けに2回鑑賞した。

はじめに観たときは、ヴァネロペに自分勝手な印象を抱いてしまいあまり好意的に受け取れなかった。ラルフも心情が理解できないわけではないが、大人げない行動をとって原題通りにインターネットを破壊してしまう点に首を傾げざるを得なかった。

しかし2度めの鑑賞でイメージが変わった。決して吹き替えと原語の違いのせいだけではないとは思うが、彼ら自身の個性や二人の友情という部分を思い出した時点で一連の行動も選択も理解できるようになったのだ。

前作の記事でも書いているが、古いゲームのキャラクターであるラルフは我々中高年の世代と重なるところがある。

前回不具合キャラクターのヴァネロペを救い「私のヒーロー」という称号をもらったラルフ。めでたしめでたしの中で6年間のんびりと過ごし、これからもずっとこのままでという思いは余生の安寧を願う高齢者のようであった。

親友のヴァネロペも同じ思いであればそれでいい。しかし彼女はポップな世界の住人であり、変化が欲しいと口にするようになっていた。

今回初登場のオンラインゲームキャラクターのシャンクは「友情は形を変えていくもの」と言った。前作でヒーローとは何かを体得したラルフは今回友情のあり方を学ぶ。

そばにいなくてもお互いのことを思い合うこと。決して自分の思いだけを相手に押し付けないこと。好きだから相手にこうしてほしいというのではなく、相手が満ち足りることこそが自分の幸せと思うこと。

大暴れするラルフのウィルスを見て「俺ってこんなに醜かったんだ。これじゃ嫌われるのは当然だよな」とつぶやくラルフに2度めの鑑賞でじんと来た。

離れていても友情は永遠。ラルフがインターネットの世界へたびたび遊びに行って楽しんでいる様子が挿し込まれたエンドロールは、楽しいと同時に観る側を穏やかな気持ちにさせてくれる。

原題の"Ralph Breaks the Internet"はインターネットをぶち壊すだけではなく、ラルフがネットとの垣根を破って行き来するようになるという意味も込められているのかもしれない。

本作は「ディズニー、ここまでやる?」という宣伝文句が付いているように遊びの面でも注目されている。スターウォーズやマーベルまで幅を広げた優位性を生かして、ありとあらゆるキャラクターがインターネットの住人として登場する。

中でも歴代プリンセスたちがゲームキャラクターのプリンセスであるヴァネロペと遭遇する場面は目玉となっているが、予告等で何度も見てしまったせいか特に感慨は抱かなかった(そもそもプリンセスが多すぎて一部を除いて誰が誰だか分からない)。

それよりも既存のキャラクターではないが、インターネットの世界の描き方が洗練されていて印象的だった。

巨大な街に建ち並ぶ建物が一つ一つのサイトになっていて、ネットユーザーが無防備な表情のアバターとして動き回っている。その間を縫うようにポップアップがユーザーに近づき自サイトへの誘導を狙っている。明るくて華やかだけど裏の怖さも垣間見える世界観は、子供と楽しく鑑賞しながら教育することもできる使い手がある教材という印象を持った。

今回珍しく吹替版を観たが、本職の声優陣を起用しているので違和感はない。しかし字幕版を観るとやっぱりだいぶ違う。英語版のヴァネロペはとてもクセのある、いわばダミ声が充てられているのだが、実はこれが非常にいい。

プリンセスらしからぬヴァネロペだからこそ危険なレースに憧れるのであり、他のプリンセスたちとの凸凹なやりとりも光ってくるのである。一度は自分勝手と思った彼女を、やっぱりかわいいと思ったのはS.シルバーマンの声によるところが大きいと思う。

やはり字幕版こそおすすめである。

(85点)
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「パッドマン 5億人の女性を救った男」

2018年12月24日 16時43分22秒 | 映画(2018)
パッドマンフィーバー、パッドマンフォーエバー。


「合理的」という言葉を調べると「論理にかなっているさま。因習や迷信にとらわれないさま」とある。

本作の主人公はインドの小さな村で暮らすラクシュミという男。経済的に決して豊かではないが、勤勉な仕事ぶりと愛する妻と過ごす日々は幸せにあふれていた。

そんな彼が日常のふとした光景に違和感を抱いた。月に数日間、女性が家族から離れて過ごす期間のことだ。病気でもないのに別の部屋に隔離されるだけでなく、体に密着させる大切な布が忌み嫌われるようにぞんざいに扱われている。

妻の身を案じたラクシュミは市販の生理用品を購入するが、当時(劇中では2001年と言われていた)のインドではとても高価なものであった。彼の稼ぎではとても買い続けられるものではない。かといって妻の健康のためにこのような不衛生な状況を放っとくわけにはいかない。

彼は思い立つがままに生理用品を自分で作り妻に試しに使うように勧める。しかし見よう見まねでできるようなものではない。ラクシュミが懸命になればなるほど周りの目は冷たくなっていく。生理用品に没頭するなんて頭がおかしくなったのではないかと。

かっちりとした横分けがいかにも真面目感を醸し出しているラクシュミが布や綿で生理用品を手作りして女性に渡す様子は客観的に見て明らかに異常だ。前半の彼はとにかく痛々しかった。

インド映画名物の途中休憩を挟み、舞台は村の外へと移る。家族の理解を得られず孤立無援のラクシュミだったが、大学や企業への接触と試行錯誤を繰り返してついに市販品と同レベルの製品を作ることに成功する。

ここから訪れるのは人生の大逆転だ。発明コンテストで大統領賞を受賞し、草の根の商売も軌道に乗る。クライマックスは国連本部でのスピーチだ。

冒頭の説明にあるように、実際の話に脚色が加えられていることは間違いない。それでも彼が行ったことの熱量に疑いはなく、その本質を突くものとして国連本部のスピーチは深く心に刻まれる。

「合理的」にはもう一つ意味がかかれている。それは「目的に合っていて無駄のないさま」。

今思えば、そして先進国から見れば至極当たり前のことと思う衛生環境の改善。しかしそれは誰かが声を上げないかぎりは、変えることを無駄だと思う空気にとらわれて実現しなかった。

ただ変わることを拒む側の心情も理解できる。今までそれほど不都合がなかったのに何故変えるのか。本当に変えなければいけないものなのか。

答えがはっきり分からない中での判断はとても難しい。夫の味方でいたくてもそうなりきれない妻は辛かったことだろう。

ラクシュミの成功に携わった女性・パリーの存在は興味深い。思想も嗜好もまったく異なる彼女が現れたからこそラクシュミの活動は飛躍的に成長を遂げることとなった。

少しだけ恋愛感情的な話が描かれるのは映画としての演出に過ぎないのかもしれないが、ラクシュミにとってパリーが妻とは別の意味でかけがえのない存在であることは間違いない。その意味で、はっきりと彼女の大切さを言葉にして伝えた上で明確な決断を下すラストは、インド映画らしく実に爽やかな後味だった。

(85点)
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「アリー/スター誕生」

2018年12月22日 14時10分46秒 | 映画(2018)
ころころしたガガ様は意外とかわいい。


何度か映画化された同名作品のリメイク。音楽界が舞台となっている点では、B.ストライサンドが主演した1976年版に近いと言われている。

既にスターであった男性ロック歌手が無名の女性シンガーを発掘しスターダムへ押し上げていく。女性が名声を得るのと入れ替わるように男性は落ちぶれ、彼女の足を引っ張りかねないと思った彼は自ら身を引く道を選択する。

CMでマツコ・デラックスが言っているが話としてはベタである。評価の分かれ目はそれを楽しめるかどうかであり、B.クーパーレディーガガのスター性でその点はクリアできていたのではないかと思った。

これまで奇抜な行動の陰になって分からなかったが、レディーガガは身長は低いし、確かにB.ストライサンドほどではないにしろ鼻も大きく、コンプレックスを抱いているという設定にはぴったりな配役であった。実際にガガが歩んできた道を考えると、これはなかり素に近い話なのかもしれないとも思った。

B.クーパー演じるジョンは常に酒浸り。ヒゲをたくわえ焦点の定まらない視界の中に見つけた天使がガガ演じるアリーであった。

彼が話す言葉の中には早くして亡くした父親と大きく年の離れた兄が頻繁に出てくる。アリーを自宅に迎えたときに「やっと家族と言えるものができてうれしい」といったことを言っている。

しかしアリーがスターとして輝きを増していく姿をジョンは素直に見守ることができなかった。名声への嫉妬か、心が離れていくことへの恐怖か。いずれにしても家族を持ったことがなかったジョンにとって乗り越えることが困難であったことは間違いない。

俯瞰的に見ればアリーはずっとジョンのことだけを見ていた。これで自滅していくのだからジョンはよほど弱く繊細だったということなのだろう。

ストーリー以上に作品の肝となる音楽だが、主題歌とも言うべき"Shallow"はなかなかの名曲だ。

「浅瀬にいたはずが届かないくらい深いところに来ていた」。良いことも悪いことも織り交ぜて時は過ぎて行く。

ガガは歌も含めて堂々の主演ぶりで、おそらく賞レースのいくつかに絡んでくるものと思われるが、個人的にいまアリーを演じてほしいのはCamila Cabelloかな。

(70点)
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「おとなの恋は、まわり道」

2018年12月22日 13時37分51秒 | 映画(2018)
こじらせ世代に花束を。


年末になると週刊誌などでよく見かける「あの人はいま」的な企画や往年のスターが出てくる歌合戦。外国に同じような風習があるかどうかは知らないが、K.リーブスW.ライダーという20年前に輝いていたスターを主役に迎えた本作には、まさにそんな感じの匂いがする。

映画は、記憶が正しければ全篇を通して2人の会話しか出てこない。他の出演者にはセリフひとつない。全員がエキストラ状態である。

これは二人だけの物語という一面の裏に、他の誰からも相手にしてもらえないという、この世代の悲哀を表しているようにも捉えられる。

その二人の会話もきらきらした恋人同士の会話というにはほど遠い、自分の環境に対する愚痴や、ささいなことにケチを付ける因縁であり、周囲に人が寄り付かないのはまさに必然。

そんな二人が出会ったのは知り合いの結婚式へ向かう途中の空港。お互いが言葉を交わしたのは、今思えば同じ空気を身にまとっていたからなのかもしれない。

決して愉快ではない会話でも話し相手がいることはとても重要なこと。憎まれ口ばかりぶつけ合っていた二人が突然結ばれる下りは限りなく無様ではあったが、同じかもしくはもう少し上の世代から見たときにはとても微笑ましいものでもあった。

若い頃は見た目の良さがどうしても先行するが、そこには届かなくなったと諦めたときに違う価値観が生まれる。彼らの行動は極めて子供じみているけれど、そうした生まれ変わりを「おとな」と総称するのは有りなのかもしれない。

私生活等でいろいろあって決して順風満帆ではなかったW.ライダーであるが、今でもそれなりの美しさを保ちながら、それを崩して格好悪い女性を演じる点に好感が持てた。昔好きだった同級生に再会したときのように甘酸っぱい気持ちになった。

(75点)
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「ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生」

2018年12月15日 21時50分13秒 | 映画(2018)
グリンデルバルド帝国の逆襲。


本シリーズが何部作になるかは分からないが、続きもののシリーズの2作めというのは大概敵の勢力が増して味方がピンチに追い込まれて次はどうなる?となって終わるのが常道だ。

前作「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」を復習のためテレビで見たがおもしろかった。

個性的で深みのある登場人物のキャラクター設定、魔法生物のユニークな造形や特徴は、前作に散りばめられていた布石の種明かしも相まって本作では更にグレードアップ。

ラストにほんの少し顔見せしたJ.デップ演じるグリンデルバルドが、このシリーズの主役は自分だと言わんばかりの大活躍を見せる。

そしてこれまた前作で脇役のように振る舞っていて最後にどんでん返しの覚醒を見せたE.ミラー演じるクリーデンスが最大のキーキャラとして確定。本作のラストでは「スターウォーズ」の"I'm your father"的な展開が待ち受けている。

押されっぱなしの主役陣にあってダンブルドア教授の登場は、J.ロウがさすがの貫録。ニュートもしっかりしないと。

ノーマジのジェイコブはあっさり記憶が復活しての再登場。もう少しストーリーを練ってもよかった気がするし、今回はコミカルな場面が少ない上にかわいそうな展開に。

ハリーポッターシリーズは相変わらず観ていないが、後半になるに連れて話がシリアスで際どい描写が増えるようになったと聞いている。

このシリーズも2作めにして早くもそんな展開なのかもしれない。魔法動物はもっと物語として使いようがある気がするけど、もう次で両巨頭が直接対決しちゃいますか?

(75点)
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「グリンチ」

2018年12月15日 21時08分39秒 | 映画(2018)
突然のクリスマス激押し。


2018年もゴールが見えてきた中で一年を振り返ってみると、今年もトランプ大統領に振り回されっ放しだったというのが正直なところ。

有名な彼のスローガンが"Make America Great Again"である。かつてのアメリカをもう一度。昔を懐かしむ人からすれば「古き良きアメリカ」を取り戻すということだ。

クリスマスもその一つの象徴であった。政治とどれほど繋がりがあるかは確かではないが、ポリティカルコレクトネスが声高に叫ばれるようになるとともに、キリスト教徒以外の人々に配慮して「メリークリスマス」は「ハッピーホリデイ」に代わった。

トランプ大統領は当然この流れにも反対で「メリークリスマス」の復活を強く訴えている。他の宗教の信者がクリスマスで傷つき損害を受けているということが確認できないかぎり、これは一般的にも受け入れられやすいのではないかと思っている。

グリンチは幼いころを独りぼっちで過ごしたため、特に周りが賑やかで幸せそうなクリスマスに怨念とも言える嫌悪感を抱いている。

おそらくその気持ちに共感する人は少なくないだろう。特にわが国でバブル期に恋人のいないクリスマスを送ったことのある男性たちは、「何がクリスマスだ」と強がりを言った経験が一度はあるはずだ。

ポリティカルコレクトネスに沿うならば、グリンチの主張に賛同する町の者が現れることで彼の心を和らげる展開になるだろうけれど、本作は原作どおりに彼が改心して盗んだクリスマスを返すことになる。しかもご丁寧に「小さかったハートが3倍に大きくなった」との説明付きで。

トランプ政権になってクリスマスは本当に復権したのかもしれない。Billboard Hot100では、12月に入ったばかりの時点で往年の数々のクリスマスソングがチャートの上位に入ってきている。

表と裏がある国だし今後どうなるかは分からないが、2018年のクリスマスがお祝い気分だということは伝わってきた。

上で述べているとおりストーリーに新味があるわけではない。極めて凡庸とさえ言えるのだが、そこは勢いのあるイルミネーションの作品である。

クリスマスを祝う町の色調の鮮やかさ、キャラクターたちの豊かなでユニークな表情、そしてそりが冬の町を滑走するときの躍動感。十分見応えがあるし、楽しい気分にさせてくれる。

特にグリンチの愛犬・マックスのかわいさとけなげさには抗する術がなかった。まさに家族で安心して観られるホリデイ・・・いや、クリスマスムービーである。

(75点)
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