Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「シャンチー テンリングスの伝説」

2021年09月05日 16時40分30秒 | 映画(2021)
怪獣大戦争。


シリーズの第1作は、主人公の生い立ちを説明しなければならない分冗長になりがちなのであるが、本作も両親の出会いから始まり、親子の微妙な心のズレを整理するまで、中弛み感からは逃れられなかった。

冒頭、サンフランシスコで平凡なホテルマンとして働いていたショーン=シャンチーが、通勤のバスの中で突然見知らぬ男たちに襲われる。車好きのともだち=パートナーのケイティとともに街なかで繰り広げるアクションは見どころ十分。期待は大きく膨らんだ。

アクションの映像でいえば、父親役のT.レオンが操るテンリングスが美しかった。輪を描いたり十列に連なったりと様々に形を変えて縦横無尽に動き回ると思えば、まるで意志を持っているかのごとく主人の腕の中へ収まっていく。謎の素材でできたこのアイテムが今後のシリーズでも活躍するのだろう。

ただ、ほかに印象に残る場面は少なかった。主役のS.リウはどうだろう。慣れていけば問題ないのかもしれないが、T.レオンの風格に比べるとどうしても見た目が薄味であることは否めない。人の良い国家主席とでも言おうか(これ中国で公開されるんだよね?)。ヒロインのケイティも、新しいヒロイン像としてアリなのかもしれないが、この辺りはもう少し様子を見ないと何とも言えないところ。

そして、本作で何よりも「うーん」と唸ってしまったのは、クライマックスの龍対決であった。中国と言えばドラゴン、そのとおりでしょう。でもマーベルの映画に期待しているのはこれじゃない。

「テンリングスは帰ってくる」と言っていたが、ドラゴンは帰ってくる?こない?

(65点)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「オールド」

2021年09月02日 23時39分44秒 | 映画(2021)
ジャックニコルソンとマーロンブランドの答えだけは教えてくれなかった。


M.ナイト・シャマラン監督の新作が公開。さっそく北米市場では初登場1位を飾ったと言う。なんだかんだ言われながらも「シックスセンス」から20年以上もヒット作を出し続けるのはすごいことである。

彼の最大の強みは「つかみ」にある。「ハプニング」の大勢が飛び降りる映像なんて実に衝撃的だった。

そういった意味では今回も見せてくれる。トロピカルなビーチを訪れた家族。ちょっと目を離した隙にいなくなった6歳の息子。母親の呼びかけに応えて現れたのは、背が伸び切った一人の青年だった。

何が起きたのか?好奇心を大いにくすぐられ見たくなる気持ちが膨らむ。そして実際に観て「なーんだ」となるまでが1セットというくらい、もう彼の作品は一つの流儀と呼んでもいいレベルに到達した(のかもしれない)。

今回はシャマラン監督のオリジナルではなく、インスパイアされた原作があると言う。しかし不気味な空気に支配された世界観は明らかにシャマラン監督のそれといった感じである。

彼のもうひとつの特徴(と勝手に思っている)は、不思議な現象を題材にしつつ、その不思議の正体を少しの影もない完全体で出現させることにある。

超常現象を前にすると、世の中には科学だけでは説明できないことが・・・などとごまかした方がインテリっぽく見える気がするが、シャマラン監督は宇宙人でも何でもとにかく潔く見せてくれる。

だからB級的な香ばしさが漂うトンデモ作品になりやすいのも当然であり、結局これは彼の親切心から来るものなんだと理解しているところである。

さて、なぜ息子は一瞬で成長してしまったのか。当然理由がある。もちろん解説される。

今回は超常現象の原因のあり得なさはやや低めではあったが、この設定を生かしてビーチに集まった脇役たちは容赦なく処分されていく。血が噴き出すことはないが、スプラッタムービーのように主役の家族以外は次々に退場。わかりやすい。

一方で、主役の家族。ビーチを訪れたのは、離婚を前に家族として最後の旅行のつもりで来ていたのだが、命の危機を前に夫婦の絆が復活し穏やかな老後を迎えることに。いい話にスッキリ。

もちろんツッコミどころは満載だ。何よりおなかから小さいメロンのような腫瘍が出てきた場面は破壊力が大きく、あまりに突っ込んでください的な状況に逆に何も言えないというおかしな事態になっていた。おそらく全編に渡ってツッコミまくるという観方も成立するに違いない。

まとめて言えば、誰もがいろいろな意味で楽しめる。娯楽として極めて正しいことをしている映画だということが理解できた。これからもこの道を究めることを期待してやまない。

(75点)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする