待たせたな。
映画の冒頭に日本のファンへ向けたトムのあいさつが流れる。
シリーズ第1作が公開されたのは1996年。既に絶頂期を迎えていたT.クルーズの新たな代表作であり、それまでシリーズものを作らなかった彼が初めて続篇を手掛けた、まさに稀代の大スターの代名詞ともいえるシリーズの最新作が満を持しての公開である(まだ先行上映だけど)。
本来は2023年に公開された前作「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング」と2部作で作られるはずであったが、諸事情により2作めは公開が延期。タイトルも「ファイナルレコニング」と変更された。
ファイナルレコニングは「最後の試練」と訳されている。毎回常に無理筋のミッションをこなしてきたイーサンハントにとって、最後の仕事という意味に捉えられ、明言したのを耳にしてはいないが、シリーズ最終作の位置付けとも取れる。
個人的には、「M:I」表記が前面に出て、イーサン個人の闘いにスポットが当たっていた「M:i:III」までと、サブタイトルが付いて、ベンジーたちと組んだチームプレイが目立つ「ミッション:インポッシブル ゴーストプロトコル」以降にシリーズは二分される。
今回、「すべてのミッションはここにつながる」と銘打ったように、ときどき過去の印象的な場面が挿入されて意外な接点があることが明かされる。30年も前の作品なのに、実際の場面が流れると「あー、この場面か」となるところはさすがである。
シリーズ中最長の上映時間が示すように、前作に続いてアクションシーンの多さとバリエーションも豊富である。ベーリング海の深海からアフリカの空中まで、緯度経度、高度深度なんでもござれの活躍を見せる。
ただ、すごいのは伝わってくるものの、観終わってみると印象的な場面がなかったかなという感想を持つ。それこそ30年経ってもすぐに記憶がよみがえってくる1作めのヘリコプター抱きつきや床面すれすれまでの落下と比べると、沈没した潜水艦の中を捜索するミッションは、丁寧にしっかり作られているのは分かるが、なんとも地味で分かりづらい。
全般を通してチームのメンバーが並行して無理筋のミッションをこなしていくが、これも0.1秒のタイミングを逃すななど無理度が極めて高いものの、あまりに無理が過ぎるせいか見ていていまひとつ緊張感が盛り上がってこない。
前作の感想でも書いたが、複雑に交錯する登場人物の関係については上手く整理されており脚本の巧みさを感じる。新しくチームの仲間として動く人たちのキャラクターも悪くない。
それでも、シリーズとしてはやり尽くした感に満ちており、トムの年齢から考えてもこれで勇退とするのがベストと言えるのではないか。金曜ロードショーで始まった過去作品の見直しで十分に楽しめる。
(70点)※5月18日12時20分投稿
映画の冒頭に日本のファンへ向けたトムのあいさつが流れる。
シリーズ第1作が公開されたのは1996年。既に絶頂期を迎えていたT.クルーズの新たな代表作であり、それまでシリーズものを作らなかった彼が初めて続篇を手掛けた、まさに稀代の大スターの代名詞ともいえるシリーズの最新作が満を持しての公開である(まだ先行上映だけど)。
本来は2023年に公開された前作「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング」と2部作で作られるはずであったが、諸事情により2作めは公開が延期。タイトルも「ファイナルレコニング」と変更された。
ファイナルレコニングは「最後の試練」と訳されている。毎回常に無理筋のミッションをこなしてきたイーサンハントにとって、最後の仕事という意味に捉えられ、明言したのを耳にしてはいないが、シリーズ最終作の位置付けとも取れる。
個人的には、「M:I」表記が前面に出て、イーサン個人の闘いにスポットが当たっていた「M:i:III」までと、サブタイトルが付いて、ベンジーたちと組んだチームプレイが目立つ「ミッション:インポッシブル ゴーストプロトコル」以降にシリーズは二分される。
今回、「すべてのミッションはここにつながる」と銘打ったように、ときどき過去の印象的な場面が挿入されて意外な接点があることが明かされる。30年も前の作品なのに、実際の場面が流れると「あー、この場面か」となるところはさすがである。
シリーズ中最長の上映時間が示すように、前作に続いてアクションシーンの多さとバリエーションも豊富である。ベーリング海の深海からアフリカの空中まで、緯度経度、高度深度なんでもござれの活躍を見せる。
ただ、すごいのは伝わってくるものの、観終わってみると印象的な場面がなかったかなという感想を持つ。それこそ30年経ってもすぐに記憶がよみがえってくる1作めのヘリコプター抱きつきや床面すれすれまでの落下と比べると、沈没した潜水艦の中を捜索するミッションは、丁寧にしっかり作られているのは分かるが、なんとも地味で分かりづらい。
全般を通してチームのメンバーが並行して無理筋のミッションをこなしていくが、これも0.1秒のタイミングを逃すななど無理度が極めて高いものの、あまりに無理が過ぎるせいか見ていていまひとつ緊張感が盛り上がってこない。
前作の感想でも書いたが、複雑に交錯する登場人物の関係については上手く整理されており脚本の巧みさを感じる。新しくチームの仲間として動く人たちのキャラクターも悪くない。
それでも、シリーズとしてはやり尽くした感に満ちており、トムの年齢から考えてもこれで勇退とするのがベストと言えるのではないか。金曜ロードショーで始まった過去作品の見直しで十分に楽しめる。
(70点)※5月18日12時20分投稿