Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「白いリボン」

2010年12月27日 00時45分27秒 | 映画(2010)
緩やかに迫る不穏。


M.ハネケに3度めの挑戦。

直接的な描写をしないことは分かっている。胸の仕えが下りるような結末が来ないことも承知している。

それでも自分なりに真相を探そうとしなければならないわけなのだが、登場人物が多く、男爵一家を中心に馴染みのない肩書きがあるなど、まずは設定の整理で手が一杯になる。

次の段階に進むと、今度は村人のほとんどが何かしらの火種を抱えていることが分かり、これまた厄介なことに。

微妙に間をおいた間隔で発生する奇妙な事件。犯人はもちろん分からない。しかし誰もが怪しいといえば怪しい。

狂言回しである「先生」は、この現象を当時の北ドイツ地方故のものだったのではと語るが、よく考えればこの物語、多分に普遍性を有していることが分かってくる。

もちろん男爵の子供に対するしつけや、ドクターの言動など、個別の事項をとってみれば特殊ではあるかもしれないが、いつの世もどこの国でも、人々を不安にさせる要素があり、そのいずれも事の根源はたいてい人間の内側にある。

我々は、たまたま営みの空間の広がりから、不安から逃れられる時間と場所を得ていることによって精神的に救われているに過ぎないのかもしれない。

実際、行動範囲が極度に限定される子供にとって状況は過酷だ。家庭での虐待、学校でのいじめ問題の解決が難しい原因はまさにそこにあり、それは本作で舞台となっている小さな村にも当てはまる。

最後の場面は例によって肩透かしと見えなくもないが、戦時へと時間の次元が変わることによる紛れ、そして先生にとっては村を離れることによる解決を明確に表現している。

裏を返せば、世の中の事象はズバッと解決するよりもうやむやに流れていくことの方が多いし、そうならない場合は、人間の内に潜む不安や悪意に支配される恐れがあるということだ。

難解だが、やっぱり巧いなとは思う。

(75点)
ジャンル:
ウェブログ
コメント (4)   トラックバック (7)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 「トロン:レガシー」 | トップ | 「ノルウェイの森」 »
最近の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mig)
2010-12-27 08:27:26
ハネケは映画に答えを求めてないって言ってるんですが

この町のいや~な雰囲気とか、ささいな出来事が悪だったり、教育というテーマで悪が芽生える過程を巧く描いてましたね。
犯人探しでなくてもこんなにも深く魅せる。
懐の広さ (クラム)
2010-12-27 15:16:08
migさん、こんにちは。

答えを求めない、様々な解釈をよしとする姿勢は好きです。
おかげさまで、どんな勘違いしてようとも堂々と文章が書けますし、
それは置いといても、
人間がいるだけ考えもあるわけで、
どれが正解と言えないのは、まさに本質だと思うんですね。
ようやく公開♪ (mezzotint)
2011-02-07 21:46:14
今晩は☆彡
じわじわと毒気が伝わってきました。
「ファニー・ゲーム」ほどの不快感は
ありませんでしたが、、、、。
でもハネケ監督の世界は好きです。
挑戦者 (クラム)
2011-02-11 09:06:24
mezzotintさん、おはようございます。

私の場合、好きとは言い切れないけど何処か引っ掛かる。
そんな位置付けになっています。
切り捨ててしまうのも、のめり込むのも何か悔しい。
映画界にとってかけがえのない毒気だと思います。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

7 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
白いリボン/Das weisse Band/Eine deutsche Kindergeschichte (我想一個人映画美的女人blog)
ランキングクリックしてね
白いリボン (シネマ大好き)
 第一次世界大戦前夜の北ドイツの静かな村で、次々と奇妙な事件が起きる。見えない針金で医者が落馬し、そのすぐ後に小作人の妻が転落死し、犯人が分からないまま、男爵家の納屋が燃え、男爵家の子どもが失踪して、暴行された姿で発見される。そして、医者の家でこどもを...
白いリボン #5 (レザボアCATs)
’09年、ドイツ、オーストリア、フランス・イタリア 原題:the White Ribbon 監督:ミヒャエル・ハネケ 製作総指揮:ミヒャエル・カッツ プロデューサー:シュテファン・アルント、ファイト・ハイドゥシュカ、マルガレート・メネゴズ、アンドレア・オキピンティ 脚本...
『白いリボン』 恋の行方も? (映画のブログ)
 【ネタバレ注意】  涙を流す少年のアップ。ポスターのこんなモノクロ写真を見て、私はてっきり『白いリボン』は暗くて退屈な映画だろうと思い込んでしまった。よもやミステリ仕立てでワクワクさせる、こ...
白いリボン(2009)☆★DAS WEISSE BAND (銅版画制作の日々)
美しい村 静かな暮らし 聴こえてくる魔物の足音 京都シネマにて鑑賞。公開2日目でしかも日曜日、その上第1回目の上映ということもあってか、多くのお客さんでロビーは賑わっていました。1時間前に行ったのですが、すでに64番目。 ハネケ監督作品がカンヌでパル...
映画『白いリボン』を観て (KINTYRE’SDIARY)
11-7.白いリボン■原題:DasWeisseBand(TheWhiteRibbon)■製作年・国:2009年、ドイツ・オーストリア・フランス・イタリア■上映時間:144分■字幕:齋藤敦子■鑑賞日:1月15日、新...
白いリボン (いやいやえん)
「美しい村 静かな暮らし 聴こえてくる魔物の足音」…観る人を不快にさせる作品を作る奇才ミヒャエル・ハネケ監督の新作。 決して万人受けする作品ではありませんし、結局なんだったのといわれればそれまで。でもまるで本当にあったことのような錯覚に囚われてしまう...