Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「恋とニュースのつくり方」

2011年02月26日 01時22分35秒 | 映画(2011)
砂糖、砂糖、繊・・・やっぱり砂糖。


「恋」は添え物程度。「ニュース」も正しくはない。ワイドショーだから。

またミスリードと取られかねない邦題。そして意外性に乏しい成功への物語。

常に刺激を求める時代において、80年代が舞台といってもおかしくない(Youtubeは出てたけど)空気を持つ本作を支持する声は多くないだろう。

でも、こういうの好きなんだからしようがない。

何よりR.マクアダムスがいい。

ラブコメのヒロインが人材不足になる中で、新鮮でかわいい点は文句なし。

ベッキー自身はちょっとイタい性格なのだが、彼女が演じると表情がくるくる変わる様が実に魅力的に映る。

そして両脇を御大、H.フォードD.キートンががっちりと締める。

年齢相応といえばそれまでだが、H.フォードはがんこじいさんがすっかりハマるようになった。もちろん最後に美味しいところを持っていくところも微笑ましい。

ひさしぶりのJ.ゴールドブラムもうれしい。長いこと見なかった割りには、あまり変わっていないようにも思えたが。

先にストーリーは意外性に乏しいと書いたが、基本的に楽しいからいい。

図抜けて理解のある恋人アダムや、視聴率アップの作戦なんて甘い甘い大甘だが、たまには甘いものを思いっきり食べてもいいでしょ。

そんなわけで、点数も思いっきり甘めに。あまり減点するところもないし。

(90点)
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「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」

2011年02月13日 19時38分28秒 | 映画(2011)
演者の熱意と骨太の事実が脚本を救う。


「殺してやる」と言っても本当に相手を殺すつもりはなかったんでしょう?というのは「十二人の怒れる男」だったと記憶している。

しかし、戦時中の「命を懸けて」は、まさに生命の存亡の線上で発せられていた言葉だった。

敗戦が近くなると、日本人たちは捕虜になるくらいならと自ら玉砕の道を選んだという。

玉砕という行為が勇気ある行動だったかといえば、それは自信を持って否と答える。あれはまさに現代の日本人も陥りがちな集団心理だからである。

この映画の大場大尉の振舞いが輝かしく映るのは、誰もが流されていく時代の中にありながら、判断基準の軸をぶれることなく守り続けたからに相違ない。

それは何か。

命の大切さ?惜しいけど違う。

映画の冒頭での大場大尉は、命を守ることを優先する人物ではなかった。自らも参加した総攻撃において命がなくなろうとも後悔はしなかったはずだ。

それが変化を見せるのは、民間人と共に野営を組むようになってからのことだ。兵士以外の人たちの生き方を間近に見ることで、彼の考えに広がりが生まれたのだ。

「命を懸ける」は決して「命を捨てる」に非ず。むしろ命は「失くしてはならないもの」である。

では、命をなくしてはならないと考えながら命を懸けることは矛盾しないのか。現代の政治家が、政治不信の中で「政治生命を懸けて」と言っても誰にも信じてもらえないのと何が違うのか。

そのカギは、実はまさにこの映画の中に描かれている。

それは誇りだ。日本人としての誇り。そして尊厳。もう少し平たく言えば、人間としての尊厳と言ってもいいかもしれない。

命を懸けると言った言葉や行動の裏にその人の動かざる信念が感じられたとき、人はそれに敬意を示しついて行く。それがリーダーとしての資質なのだ。

今の時代が何故混沌に満ちているかといえば、そうした信念を感じさせるものが欠如しているからなのである。守るものが己の地位やプライドだけと見透かされた瞬間に人は離れていく。

話を映画に戻してみると、物語の展開としては、若干上滑り的に急いでしまう点も見られたものの、元々が骨のある話だけに全篇を通して引き付けられた。

役者陣も、主演の竹之内豊はもちろん、あの阿部サダヲまでが緊張感の糸を繋いでおり好感が持てた。

細かい点を取り上げるよりも、ここに描かれている人たちの心情に思いを巡らせそれぞれが何かを感じ取れれば、十分に価値のある作品だと思う。

(70点)
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「ザ タウン」

2011年02月11日 02時08分30秒 | 映画(2011)
それはしがらみの象徴。


タイトルが「タウン」である。都市でもなく村でもない独特のねっとり感。

その昔「シムタウン」というゲームがあった。「シムシティ」同様に町を発展させるのが目的なのだが、道を歩いている人の顔がはっきり見えるのが大きな違いだった。

顔が見える。言い方を変えれば面が割れる。

隣人とあいさつもしない都会は困りものだが、一度深みにはまったら抜け出せない閉塞感は恐怖ですらある。

主人公のダグが暮らすチャールズタウンは強盗犯罪の絶えない町。それもそのはず、ダグを含む4人の仲間は親の代からの強盗グループなのだ。

かつてプロホッケー選手を目指していたダグだが、挫折を経て今ではグループの中核を担う頭脳に。

不幸な生い立ちや抜けられない環境に同情や共感ができるかどうかで、本作の好き嫌いは決まるのかもしれない。

どう言い訳したって犯罪は犯罪。被害者の女性と恋愛関係になって、あわよくば足を洗って幸せに暮らそうなんて、そんな虫のいい話が許せるものか。と感じてしまったら、はいおしまいである。

その点B.アフレックは際どい。

少なくとも劇中の姿は善人に近いから、ふと気を抜くと肩入れしそうになる。

でも冷静に考えれば、何もないのにクスリやアルコールを断っている強盗なんているのかいなとも思うわけで、なんとも評価しづらい。

ただそのあたりを抜きにすれば、ダグと被害者クレア、ダグと仲間たち、一味と警察といったそれぞれの駆け引きは、緊迫感に満ちて非常に見応えがある。

クライマックスでは、破滅へと向かう切なさの一方で冷静に切り抜けを図るダグの姿が印象的だ。

町とともに生き、町に骨を埋めた仲間と決別した彼を待つ運命とは何か。彼が語るとおり、先に開けた道は途方もなく長い。

(80点)
コメント (2)
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