Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「ロラックスおじさんの秘密の種」

2012年10月20日 22時45分54秒 | 映画(2012)
極彩色の思い切り。


ピクサーの安定、悪く言えば停滞に対して、ここのところ勢いを増してきていると思えるのがユニバーサルのCGアニメだ。

今でも公開日の選択による幸運が大きいと思っているが、「怪盗グルーの月泥棒」がわが国でもスマッシュヒットを飛ばし、キャラクターのミニオンは今回短篇アニメでオープニングアクトを勤めることに。

ストーリーは単純で粗いし、人間のキャラクターはヒロインでさえ可愛くない。

それでも宝石箱をぶちまけたようなカラフルな画面と、突っ込みの間を与えないスピードで動き回る展開に、何だか強引に巻き込まれて「まあ何か結構楽しい気分になるよね」となってしまうのが、一連のユニバーサルアニメの不思議だ。

よくよく考えればストーリーは「アバター」程度だし、種を1粒植えれば世の中ハッピーというのも、「それでいいの?」と、ついくさびを入れてみたくなる。

でも結局は目を吊り上げて文句を言うほどのものではなく、あくまでデフォルメされた道徳本。例えば、小さい子供が初めに善悪を感覚として身につける上での入門書としては有りなのかなとも思う。

ロラックスの声を充てた志村けんは、達者ではあるが志村けん以外の何者でもない。前回の笑福亭鶴瓶と同様、ここまで思い切った人選をすると非難どうこうの枠を越えてしまうのかもしれない。

USJのアトラクションになるまで大成するようなものではないが、子供映画の端境期を埋める作品としては、今回もやはり適任だというのが正直な感想だ。

(65点)
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「ハンガーゲーム」

2012年10月08日 08時49分42秒 | 映画(2012)
リアリティショー大好きアメリカ。


単なるサバイバルゲームではない。主催者の恣意的な操作にが多分によって加味されている時点で、これはエンターテインメントの部類に入る。

主人公のカットニスが競技エリアの端に居つこうとすると山火事を起こして無理やり敵がいる場所まで引き戻す。闘う人数が減ってくると、特殊なクリーチャーを創作して競技に投入(この辺りは「逃走中」的)。

目的は大衆・市民のガス抜きであり、主催者にとって出場者は単なる駒でしかない。都合よく利用する消耗品。下手に支持を獲得されても困るのですばやく消去する。

それにしても、出場者の大半が死亡することが分かっている状況での開催前のあの盛り上げ方は、何とも異様で心地悪い。

しかしながら、各居住地区の対抗戦であることや、それぞれの地区が作戦参謀や衣装担当のようなチーム制をとっているあたりは、娯楽と効率を追求する米国流が強調されていておもしろい。

主役のJ.ローレンスは、予告篇を見るかぎりはぱっとしない印象があったが、むしろその地味さがひたむきなカットニスに重なって、時間の経過とともに魅力を感じられるようになった。髪型を変えると更に良い。

その他の出演者は多彩で謎だらけ。しかも他地区の出場者は敗退すればそれまでだが、本当の敵である競技の裏でうごめく者たちは、ほとんどその中身を明かさないまま続篇へと引き継がれてしまった。

ただ、それぞれが謎めいた中に何かを感じるに十分な魅力を持っていたので、間違いなく続篇も観る。俗悪だとは思いつつも。

(70点)
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「アイアンスカイ」

2012年10月07日 07時36分34秒 | 映画(2012)
品性なくコーティングされた未来。


戦争や世界征服といった雰囲気と全く異なるゆったりした音楽が予告篇で流れるのを見て、ちょっとおもしろそうかもと思ってしまった。

結果としては、作品自体は下品だしどうにも笑えない。主役の女性がとにかくかわいいのを除けば、どうにも不快感ばかりが残った。

S.バロン・コーエンが笑えてこちらはダメということには自分でも上手く説明できないが、とにかく序盤の方で入り込めなかった時点で終わった感じだ。

とかく政治をおちょくるのは難しい。通り一遍のことを言えばそれなりの社会風刺の体裁が整うだけに、やりようによってはどうにも安直な出来上がりになってしまう。

こう言えば何か体制批判っぽくてクールじゃない?という性根が透けて見えてはいけないということだ。

本作はフィンランド映画らしい。北欧といえば、世界のごたごたから一歩距離を置いて独自の幸せを追求している印象があるのだが、そんな国が米国をはじめ世界中を具材にしているところが意外。

例えば予告篇で「ナチが地球襲来?」と笑っていた対象が、実は違う発言に対してだったところには驚いた。北欧でもそう捉えられているのかと。

映画自体はあまり好きではないが、所詮世界はこんなものという展開には賛同する。

新興国の台頭もあってますます複雑で混沌とする世の中、思うように物事を進められないリーダーたちが求めるのが分かりやすい徹底した敵というのは、たぶん正解だし、ナチの設定を地上のとんでもない国に当てはめれば、これはリアリティたっぷりだ。

ところで、世界中がこっそり核開発に励んでいたと吐露する中で、馬鹿正直に約束を守っていたのが自国フィンランドだけだったという下りは、本音なのか皮肉なのか。

(50点)
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