Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「アザーガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!」

2011年08月25日 01時17分08秒 | 映画(2011)
コツコツやる方、ご苦労さまです。


今回のW.フェレルは基本まじめ。真っ当な人間たらんとしている男の役。

でもこの人、まじめな顔してる方がおもしろさが引き立つ。

書類仕事人間+リトルリバーバンド好きの中年刑事アレンにHOTな女性が次々になびいてくるシュールさを、さも当たり前に、むしろ困ったように真顔で受け止めるのだから笑ってしまう。相棒テリーでなくとも開いた口が塞がらない。

一方で驚いたのは、S.L.ジャクソンD.ジョンソンのスーパー刑事コンビ。先日の「スーパー!」でのE.ペイジ並み、笑えたかどうか憶えてないほどの衝撃だった。

そんな中で、話はアレンとテリーがスーパー刑事のポストを手に入れるのかと思いきや、この映画はもうひとひねりある。

エンドロールで一気に放出されるのだが、実は結構斜め目線の隠れた主張を持っているのだ。

華やかな陰には暗い実像がある。手放しで称賛するほどの存在じゃないんだよと笑い飛ばしているのかと感じた。

対照的に、かつての(なんだか妙ではあったけど)悪かった自分を払拭すべく努力するアレンに関しては、リトルリバーバンドやプリウスなどを地味や堅実の象徴と笑いにするが、決して全否定はせず、どちらかというと温かくからかっている。

1年前に北米公開した作品だが、相変わらず米国の景況はぱっとしない。やっぱりコツコツ積み上げるしかないでしょう。

さて、映画全体を見渡すと、主役コンビ+スーパー刑事の他にも、意外な配役が揃っていたようだけど、情けないことにM.キートンすら気付かなかった。B.シールズなんて何処に出ていたの?

音楽は笑いのネタ(しつこくTLC)も含めて良かった。エンディングで流れたCee Lo Greenの曲をもう一度聴いてみたい。

(70点)
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「イースターラビットのキャンディ工場」

2011年08月20日 21時30分20秒 | 映画(2011)
親子で映画館へ出かけるということ。


子供の頃、「正月第2弾」という言い回しがあって、1月に入ってから公開されるその手の作品は、たいてい正月第1弾よりひと回り小粒と相場が決まっていた。

夏休みも終盤に差し掛かった時期に公開日を迎えた「カンフーパンダ2」と本作はまさにそれ。ジブリ、ピクサー、ポケモンの特Aアニメとの真っ向勝負は避け、大きくは望まないけど少しでも多くの人に足を運んでもらえればという戦略だ。

ドリームワークスもユニバーサルも、米国じゃ1億ドルを余裕で稼ぐコンテンツなんだけどね。でも、同じユニバーサルで昨年10月に日本公開した「怪盗グルーの月泥棒」が堅調だったのを見れば、その考えが正しいことが分かる。

で、本作。

結論から言えば、上に書いた戦略を踏まえてみたとしても、この作品を広く劇場公開するのはかなり冒険だったのではないか。

まずはなんといっても「イースター」である。

劇中に中国でお菓子のバスケットを持っていっても受けとってもらえないという下りがあるが、わが国も立場は一緒。子供に尋ねられても、「春に行われるキリスト教のお祭り」としか言いようがない。

そこから先、ウサギやキャンディに質問が及べば、「そういうものだから」でおしまい。我々の認識にはまったく拡がりがない。

そんなぼやーっとした下地のまま物語を追ったとして、たとえば人間の主人公フレッドの心情に共感できるのかと危惧した。

更に、ところどころに子供には絶対分からないネタが盛り込まれていることにも驚かされた。特にD.ハッセルホフって、同伴の親世代へのサービスなのか?

監督は「お子様映画は作らない」と言っているようだが、スベったり説明を余儀なくされたりする危険を常にはらんでいるという点では、全篇にわたって結構冷や汗ものだった。

ただ、そのあたりは考えられていたのか、誰にも飽きが来ない頻度で子供受けするCGキャラクターの活躍を散りばめた構成と、背景はともかく、親と子の確執という普遍的なテーマを軸にほぼ一本道で進む物語がしっかりしていたため、うちの子も問題なく楽しむことができた。

他方、今回の日本版公開に当たって評価する点として、先ほどの危惧と矛盾してしまうが、余計な解説をくどくどと付けなかったことを挙げたいと思う。

背景の説明は自分らで自由にやってちょうだい、それをきっかけに会話を拡げればいいじゃないっていうのは、本来親子で映画を観る際の理想である。

映画館のおしゃべりはやめましょうと鷹の爪団は言ってるけど、ファミリーで映画に行く目的の一つとしてちょっとだけ許してほしい。

加えて、2Dであること、話題づくりの場違いなタレント声優起用がないことも好感が持てた。AKBユニットの歌はまあ仕方ないとして。

(60点)
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「スーパー!」

2011年08月15日 23時08分13秒 | 映画(2011)
しあわせになるために。


本作を語るときに比較の俎上に上げられるのは、やはり「キックアス」だろう。

同じなりきりヒーローを描いた両作品。ブラックな笑いが散りばめられているところも近いといえば近い。

しかしこの2本には決定的な違いがある。

力の弱いなりきりヒーローは存在が滑稽。みすぼらしい手作り感満載の衣装が情けなさに追い討ちをかける。

しかし、本作のクリムゾンボルトは残念ながらそれだけで笑うことはできない。いや、むしろその哀れさが悲しい。

フランクは、生きてきた中でよかったと振り返られる場面が2つしかないと言う。

自分の未熟さに自信がないのではない。これまでの過去を含めて、人生のすべてに希望が持てないのである。

出て行った妻の代わりにとペットショップでうさぎを見るものの、自分に飼われること自体がかわいそうだとまで思ってしまう。

人は幸せに期待し過ぎると彼は言う。あまりに縁が遠過ぎて忘れてしまった幸せの探し方。

そう、彼は何かを求めてヒーローになったのではなく、どうすることもできなくなった故にヒーローになってしまったのだ。

ひととおり事が済んだ後のフランクの部屋。部屋の光景がこの夢物語の意味を総括している。

悲しいフランクの湿っぽさを消し去るように周りのキャストは賑やかだ。

大作出演を経ても垢抜けなさが残るE.ペイジは、まず彼女にしかできないであろう役を好演。

これまたなかなか右に出る者のいない小悪党はK.ベーコン、不健康かつ退廃的な魅力を放つL.タイラーも久しぶりでよかった。

(70点)
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