過酷という種類のエンタテインメント。
「嫌われ松子の一生」が06年2位。「パコの魔法の絵本」が08年1位。
競馬予想で言えば連対率10割、本命ぐりぐり二重丸の中島哲也監督作品と来たら、期待しないわけがない。
しかし果たして、その大きな期待を決して裏切らない、というよりも、またあらぬ方向から強烈な一撃を打たれた。簡単に言えばそんな作品だった。
宣伝の中では、「いのちの授業」なんて言葉が見られるのだが、観終えると単純にそんな話なのかなと疑問が湧く。
突き詰めていけば少年の狂気のお話だし、物語の背景もそれほど目新しいものがあるわけでもない。気味悪いクラスの雰囲気もややステレオタイプだ。
何より犠牲者はためらいなく出てくるし、主人公の教師の信念が「復讐」である以上、命の大切さと真っ直ぐに言ったら上滑りしてしまう。
ただ観続けるほど入り込んでしまう。理由を考えればそれはただ一つ、やはりこれは復讐を描いた娯楽作なんだと思う。
そう考えると、中島監督と相性が悪くないことも十分理解できる。
さすがに、これまでの作品と比べると色調は全体に抑え気味の感はあるが、それでも映像と音楽のメリハリの効き具合が心地良い。
たとえば冒頭の森口の告白の場面。
淡々と独白を続ける教師、単純に無視しているのではなく半分は聞こえていている生徒。これだけで作中における両者の立ち位置をあっさり描き切っているし、時折挟み込まれる短い映像が、微細な緊張感とともに話の鍵となる物を確実に伝えている。
スロー、リピート、逆回し。正攻法な手法も多用。特に終盤の爆発の場面では、大きな力に押されるように観ている側は溜飲を下げる。
「いのちの授業」じゃ、すっきりしちゃいけないでしょ。と思いかけたところに森口の最後の言葉。
主演に松たか子を選んだのは正解だった。凛とした中に、覚悟の毒を持っているたたずまいが素晴らしい。
子役たちも熱演だった。秀才も凡人も誰もが過酷。よく耐えてよく演じた。
Radioheadも良かったね。
(95点)
「嫌われ松子の一生」が06年2位。「パコの魔法の絵本」が08年1位。
競馬予想で言えば連対率10割、本命ぐりぐり二重丸の中島哲也監督作品と来たら、期待しないわけがない。
しかし果たして、その大きな期待を決して裏切らない、というよりも、またあらぬ方向から強烈な一撃を打たれた。簡単に言えばそんな作品だった。
宣伝の中では、「いのちの授業」なんて言葉が見られるのだが、観終えると単純にそんな話なのかなと疑問が湧く。
突き詰めていけば少年の狂気のお話だし、物語の背景もそれほど目新しいものがあるわけでもない。気味悪いクラスの雰囲気もややステレオタイプだ。
何より犠牲者はためらいなく出てくるし、主人公の教師の信念が「復讐」である以上、命の大切さと真っ直ぐに言ったら上滑りしてしまう。
ただ観続けるほど入り込んでしまう。理由を考えればそれはただ一つ、やはりこれは復讐を描いた娯楽作なんだと思う。
そう考えると、中島監督と相性が悪くないことも十分理解できる。
さすがに、これまでの作品と比べると色調は全体に抑え気味の感はあるが、それでも映像と音楽のメリハリの効き具合が心地良い。
たとえば冒頭の森口の告白の場面。
淡々と独白を続ける教師、単純に無視しているのではなく半分は聞こえていている生徒。これだけで作中における両者の立ち位置をあっさり描き切っているし、時折挟み込まれる短い映像が、微細な緊張感とともに話の鍵となる物を確実に伝えている。
スロー、リピート、逆回し。正攻法な手法も多用。特に終盤の爆発の場面では、大きな力に押されるように観ている側は溜飲を下げる。
「いのちの授業」じゃ、すっきりしちゃいけないでしょ。と思いかけたところに森口の最後の言葉。
主演に松たか子を選んだのは正解だった。凛とした中に、覚悟の毒を持っているたたずまいが素晴らしい。
子役たちも熱演だった。秀才も凡人も誰もが過酷。よく耐えてよく演じた。
Radioheadも良かったね。
(95点)
クラムさんも大絶賛ですね~!
わたしはそこまでハマらなかったけど
楽しめました。
どのシーンも美しい事へ逆に不満が(笑)
といっても原作読んでないながらも楽しめちゃいましたけど★
原作、1日であっさり読み切りました。
基本的に忠実になぞりながら、ところどころ切ったり変更したり、
確実な意図が伝わってくるようで、改めて映画の力を見直した次第です。
画像は美しかったですね。職業病だから仕方ない?
でも、そのあたりも含めて素晴らしいと評価しました。
(今年のベストテン入り決定かも)
>観続けるほど入り込んでしまう。
>理由を考えればそれはただ一つ、
>やはりこれは復讐を描いた娯楽作なんだと思う。
大好きなんですよ,復讐を描いた娯楽作。
パク・チャヌク監督の復讐3部作も
タランティーノの「キル・ビル」も。
そしてこの作品は確かに娯楽作ではありながら
ホラーのようなおどろおどろしさも漂って
こたえられない風味がありますよね。
マゾっ気のある自分には好みの作品でした。
>復讐を描いた娯楽作
しまった!私の感想にもそういう類の一言を書けば良かった(笑)
鑑賞後に妙にアワアワしちゃって、上手く言葉が纏まらなかったんだけど、とにかく負のパワー全開で気分が良くないながらも引きつけるエンタメでしたよね~
演じた皆さんはお見事でした。相当キツカッタと思います。
松さんはスゴイ女優さんになってきましたね~
ヴィヨンの妻も良かったけど、コチラも上手かった!
ななさんがベストテンなら、こちらはTOP3入りがほぼ間違いなさそうです。
好きですねー。原作買っちゃいましたもん。
文庫本なんて何年ぶりに買ったか憶えてません。
パク・チャヌク作品も、なんと「キル・ビル」も観ていないのですが、
なんかおもしろそうですね。
ちなみにマゾっ気は一切持っていませんが
言葉がまとまらないと言えば、こちらも同じですよ。
他の方のページを見たら、なるほどと唸るような記事がたくさんありました。
松たか子は、単なるキレイな女性ではないんですよね。
キツそうで少し苦手なくらいですが、
だからこそこの役にはぴったりだったと思います。
対して、子役たちはどう感じたでしょうね。
アクの強い役に変に影響されなければよいのですが。
そんな心配をするくらい強烈な作品でした。