Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「怪盗グルーの月泥棒」

2010年10月31日 05時19分56秒 | 映画(2010)
グルーさんちの3姉妹。


うちの子は漫画が大好き。食べる間も惜しんで一心不乱に読み続けている。

その中でも最近ずっと好きなのが「うちの3姉妹」だ。ほのぼのしてるし絵もかわいい。何より出てくる子供たちの世代が近いこともあるのだろう。

怪盗グルーが道具に使おうとした養護施設の子供たちも個性豊かな3姉妹。これが施設で冷遇されてるのが不思議に思えるほど明るくてかわいい。

世界一の悪を目指す設定ながら、実ははじめから結構人間的なグルー。成長の過程でちょっと意地が悪くなっちゃっただけ。

見た目インパクト大のバナナロボット(?)軍団のミニオンたち1体1体に名前付けてるくらい意外とマメなグルー。戸惑いながらも子供との生活に幸せを見出すのは定番の展開。

目を引くキャラクター、特にひねりも多くない脚本、ピクサーなどと比べるまでもなく極めて子供向けの印象は、「アイスエイジ」シリーズの制作陣と聞けば納得だ。

故に本邦公開はほぼ全国で吹替え版のみ。S.カレルの声を有楽座で聴いてみたいとも思ったけれど、子供と行く時点でそれはかなわず。

それにしても笑福亭鶴瓶はないでしょーと思ったが、まあまあ酷すぎるというほどでもなく。3姉妹の末っ子・アグネス役の芦田愛菜に至っては、相変わらずの達者ぶりに唸るほどの出来。

台風通過の中で、シネコンの小さい箱は満席が続いた。大ヒットした全米のレベルは難しいが底堅い展開が期待できそう。他に被る作品がない時期の公開を選んだ戦略が功を奏したか。

(70点)
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「遠距離恋愛 彼女の決断」

2010年10月27日 23時50分38秒 | 映画(2010)
せめて「二人の決断」にしようよ。


秋といえば恋愛映画が似合う季節。決して大作ではない小粋な作品がハマる季節でもある。

「ナイト&デイ」もよくできたラブコメだったが、やはりしっとりとした恋愛ものが観たいと思っていた中で、この作品には結構期待していた。

しかし、結論だけ言えば何かすっきりしなかった。

理由はいくつかあるが、まずは「決断」だ。これでいいの?

まあ、遠距離恋愛を解消するには、1)どちらかの元に集まる、2)まったく違う場所に二人で集まる、3)諦める、の3パターンしかないのだから、二人が完全にハッピーになるということは難しい。

だから落としどころとしては妥当なのかもしれないが、そこはもっと早く探せなかったのと突っ込んでみたり、そもそも「彼女の決断」じゃないじゃんと意地悪を言ってみたり。

この決断の傾斜配分は時代なのかなとも思う。大人だと思って譲歩するのはいいけど、相手がならず者国家だったらどうする?(と話が大きく逸れる)

下ネタが多いという話は少し聞いていた。確かに多い。台詞だけじゃなく、画面にも映る。

シネコンで全国公開とならないのはこのためなのだろう。最近のラブコメは何でこの手が多いのかな。

笑えるのはそれで構わないけれど、もっとこう憧れるような恋も見てみたい。

J.ロングD.バリモアも好きな方だけに残念だった。

(60点)
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「エクスペンダブルズ」

2010年10月23日 01時25分48秒 | 映画(2010)
後は火となれ、火となれ、火となれ。


ハリウッドで成功する秘訣はと訊かれれば、まずは実力、次に運だろう。しかし、その2つに負けず劣らず重要なものがもうひとつある。

それは「しぶとさ」である。

聞こえのいい言葉でいえば「根性」でもいいかもしれない。しかし、本作のS.スタローンを見るかぎり、浮かんでくる言葉は「しぶとさ」がぴったりだ。

何しろ生まれ持っての肉体派。ちょっと興行的にコケると限界説が出るような中で、35年もほぼ変わらぬ路線で走り続けてきたのだから、それだけで伝説だ。

しかしスタローンは、還暦を越えてまだアクションスターであり続けようとしている。

見た目や体力の衰えはいかんともしがたいが、そこで彼が打った話題づくりがハマった。

もちろんそれは「オーシャンズ」シリーズ並みに揃えた屈強男子どものことではない。

「しぶとく」ではなく、「したたかに」政界転出を果たした好敵手・A.シュワルツェネッガーとの競演である。

おそらくこの映画のクライマックスは2人が同じ画面に映って会話を交わす数分だ。

一般大衆が喜びそうなやりとりをまぶすだけ。単純ではあるが、他の誰でもできるかといえばそんなことはまったくない。スタローンのしぶとさの真骨頂であろう。

映画はこのクライマックスが過ぎた後も延々と続くのだが、花火大会のようにとにかく派手に賑やかにとこれまた直球。

ただアクションシーンがとにかく見づらく爆発ばかりが目立つ結果に。残念ながら花火大会のように鮮やかに見せるまではいかなかったようで。

(50点)
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「君に届け」

2010年10月16日 02時22分49秒 | 映画(2010)
かわいくて、たのしい。


金曜の夜は、定退+金券+ピカデリー。

もちろん勝手に考えたフレーズだが、終業と同時に職場を後にする開放感は格別。こつこつやるやつぁご苦労さんと来たもんだ。

そんな軽い気分に合わせてではないが、軽めの映画を選んでみた。

多部未華子にも三浦春馬にもそれほど印象もなく、普通ならスルーだったところを、妻が結構お気に入りだったようなので観ることに。

予備知識ゼロのところにいきなり貞子現る。やるな、多部未華子。

入学式で学校の場所を見失う王子様・風早。下見くらいしときなさい。

クラスはやたらと明るい。これが「告白」と同じ国の学校かと見紛うほど。

え?こちらは高校であっちは中学校だって?おいおい。そりゃ、きっとどっちかは漫画の世界だって。

そんなコミックワールドと悟れば、ツッコミどころも反対に微笑ましく見えてくるから不思議だ。

デリカシーもユーモアもない担任はウェルテルよりはるかに問題教師だが、この映画の中ではそこそこの威厳を持って生きている。

そんな担任を含めて、貞子・黒沼爽子を人間扱いするのが風早ただ1人という凄まじさ。

極端な設定と、出会いの場面等の多分にドラマ的な要素が、地味なシンデレラと王子様のような乙女のサクセスストーリーに共通する古典的なツボを押さえている。

そんな王道と並行して描かれるのが頼れる友人の出現による成長物語だ。

どちらかというとこちらの方が印象が強いくらいで、とにかく多部未華子のハマり具合が抜群。

垢抜けない役なら夏帆でもできるかもしれないが、上目づかいになるときや泣くのを我慢しているときの一種近寄り難い不気味さは他の役者では無理だろう。

それでいて、いやそれだからこそ、ふっと自然の笑顔が出たときのかわいさが引き立つ。王子様が惹かれる設定も無理なくなるのだから恐れ入った。

まったく私的な感想ではあるが、爽子ちゃんは妻に通じる部分が多いと思った。それは、風早が友人・龍に爽子がどんな子か訊かれて応えていた言葉の多くが共通していたから。

一方で、娘にはほとんど共通点がなかった。爽子と両親、特に父親の思いがところどころに登場していたが、わが家にはまったく当てはまることはないだろう。だからどうってことでもないが。

展開はちょっとした波乱はあるものの、誰もが大きく落ち込むようなこともなく解決していくので、心穏やかなまま観ていられる。もちろん最後に収まるべきところも心得ているし、秋にふさわしい恋愛映画があまりない中で、チケットが売り切れる金券ショップが多くなっているのも理解できる気がした。

(75点)
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「ナイト&デイ」

2010年10月12日 00時23分07秒 | 映画(2010)
お気楽レディーと完璧ナイト。


全米BOX OFFICEではそれほどの成績を収められなかった本作が、わが国ではシーズンの狭間とも言える10月に公開。

これはうまく仕組んだと思う。おそらく手堅くまとめられるのではないか。だって、おもしろいから。

T.クルーズC.ディアスも、年齢的に結構厳しくなってきていることは否めない。

でも全篇を通して無理が目立つほどではない。キャメロンのビキニに苦言を呈す向きもあるようだが、明るい笑顔には十分な輝きがあるし、落ち着いた服を着てザルツブルクの街を歩けば断然かっこいい。

おはなしも男女のどきどきからアクション、サスペンスとてんこ盛りで、伏線の張り方や小ネタの配置なども抜かりない。

強いて難点を挙げるとすれば、きっちり整えているところが行き過ぎてベタな印象を与えてしまっているところだろうか。

キャメロン演じるジューンは普通の女性だから緊急事態ではとにかく足手まとい。トム演じるロイに「もう全部俺が始末するから」と強制的に眠らされてしまう。

その後、もうろうとした意識の中で時々目を開けるジューン。その度にロイは、宙吊りやら空の上やらとんでもない状況で「大丈夫だから」と呼びかけてくる。

この場面、後にも繋がるしかなり面白いのだが、合計でいくつあっただろう。何度目かにはちょっとくどいと感じてしまった。

意外なところではP.ダノが脇役で出演。役柄の性格を考えれば合っているが、それならもう少し見せ場を作ってもよかった気がする。使い捨て気味でもったいなかった。

なにやら本作の世界的な興行成績でトムの今後が変わってきかねないという噂も聞いている。まだまだ彼ほどのスターにはがんばってもらわないと困るので、まず周りにはおもしろかったと言っておこうと思う。

(85点)
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「ローラーガールズダイアリー」

2010年10月10日 01時15分29秒 | 映画(2010)
覚悟を、後押し。


なにしろE.ペイジが好きなもので、まずはDVDになる前に観られてよかった。

次に、ローラーゲームが流行ったころは物心つく前だったこともあり、ルールが分からないことで影響がないかと若干心配していたのだが、序盤のチームメイトの言葉にあったように勝敗とは別のところに結構見どころのある競技のようだということが分かったので、これも問題なかった。

カテゴリーとしては、世間的なイメージも含めて女子プロレスに近いのかもしれない。そうなれば母親の懸念はよく分かる。

主人公のブリスは、特に取り得もない平凡な高校生。若いなりに反抗しようとしながらもいつも中途半端で、結局母親の押しつける美少女コンテストらしきものに出続けている。

「インセプション」での頭脳明晰な女子大生から冴えない高校生へ。でも、どちらも原石的な初々しさという共通項の中でハマるところが彼女の魅力だ。

何か確かなものをつかみたいと思っていたところに降ってきたのがローラーゲームで、ブリスに意外にも才能があったというのは飛び道具ではあるが、同じ華やかな世界でも好対照な美少女コンテストとの組み合わせが楽しい。

自分がかなえられなかった夢を子供に強いる母、日頃の行動にこそこそ感が漂う父。前半はブリスの心中と同様に、ただ邪魔で軽い存在にしか見えないのだが、この映画の良さは、子供にとって唯一無二である両親の姿が、主人公の成長に併せて観る側にもつかめてくることだ。

原題の"WHIP IT"は劇中、競技の場面で出てくる。相手の選手を抜く役割の人の手を引いて加速させるのがそれだ。

団体競技を家族に、前へ進む選手と加速させる選手を子と親の関係に、分かりやすくもさわやかに対比させる。

D.バリモアは今後も監督を続けていくのだろうか。小品ではあるけど、こういうさわやかな映画は時々観たくなる。

(70点)
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「シングルマン」

2010年10月08日 00時15分13秒 | 映画(2010)
芸術家を理解しようとしてはいけない。


トム・フォード、知りません。

それなのに何故この映画を急に観ようと思い立ったかといえば、それは「愛する者を失った人生に意味はあるのか」というコピーに反応したから。

予備知識ほとんどなく入ったものだから、「愛する彼」の登場にいきなり芸術家の洗礼を受けた。

こういう人の作品は普通の映画以上に理屈じゃなく合うか合わないかでしょ。

序盤で「毎日ジャックを演じる。どう演じればよいかはだいたい心得ている」といった感じのナレーションが入るのだが、あー、これは感覚違いそうだなと思った。

「演じる」という部分はそのとおりだけど、こっちは毎日必死で自分を演じてるもんね。成功者として物質的に満ち足りている状況には感情を重ねにくい。

オスカーノミネートとなったC.ファースの演技は、先入観込みではあるが、観る側に強く迫ってくるものを感じた。愛するジムの悲報を聞いたときの驚きと悲しみがこみ上げてくる表現には唸った。

逆にストーリーでは、親近感も湧かなければ意外性に唸る場面もあまりなかった。最後の一日に少しずつ世界が違って見えてくるという設定なのだが、人と関われば新しい発見があるのは当たり前なんじゃないのと思ってしまう時点でズレてしまう。

一日の終わりも収まりとしては他に選択肢がない。感想を尋ねられれば、最初から最後まで「ふーん、そうですか」が続いたとしか言いようがない。

(55点)
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「十三人の刺客」

2010年10月03日 00時19分06秒 | 映画(2010)
あの線の向こう側。


かつて子供が立ち入れない領域が存在した。

それはいわゆる赤線であったり、被差別者の集落であったり、単なる噂だったのかもしれないけど恐くて近付けなかった。

テレビもそうだった。ある時間帯からはまさに独占おとなの時間。何か楽しんでいるようなのだが、誤って見てしまうと暗く重い衝撃だけが残るようなそんな世界。

時代劇でいえば「必殺仕置人」がその系譜の代表格だった。事の発端となる事件から復讐を果たすまで容赦ない描写。それは線の向こうにある大人の世界だった。

しかし世の中は明るく開けた方向へと「発展」を遂げ、土地区画は整理され、「必殺」はジャニーズドラマとなった。

何故そんな話を持ち出したかといえば、この作品のグロさを見て思い出したのが子供の頃の感覚だったからである。

四肢を奪われた女性が凄まじい形相で文字を書く様に多少なりともひるむ自分は、かつて見ていた大人の世界に足を踏み入れていなかったんだと実感した。

単純な善悪で判断はできないが、現代は明るく健全な世界だけ見て年齢を重ねていくことができる。

そこでこの映画だ。

重い。暗い。笑える場面も結構あるが、居心地が悪くなりそうな暗い笑いだ。

物事やるなら徹底。監督の気合いに演じる側もしっかり応えている。

何しろ顔ぶれが豪華な上に配置が心憎い。

松方弘樹松本幸四郎平幹二朗内野聖陽といった大所をサブで惜しげもなく使い捨て。

あまり時代劇の印象がない市村正親は、仇側の重しを一人で背負うさすがの重厚感。

とどめが大人の世界と縁遠いはずの稲垣吾郎を暗部の核心に据える離れ業。

これを小さなブラウン管テレビでこそこそ隠れ見るのではなく、シネコンの大画面で観ちゃうんだからぜいたくだ。

(80点)
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「TSUNAMI -ツナミ-」

2010年10月02日 02時11分44秒 | 映画(2010)
フラグを押し流すほどのKのチカラ。


韓国がR.エメリッヒに挑戦状を叩きつけたような本作。

やっぱり相当おバカな話なのかなーと導入を観ると、治まりの悪いオーバーアクトに感情移入しづらいキャラクターが続出。

<超>日本語吹替版とやらで、登場人物の説明がいちいち字幕で出てくるのも含めて、やっぱりこれはIQが低い作品だわと思いながら観ていた。

地震観測においては、おそらくわが国に数歩も数十歩も遅れをとっているであろう韓国。大地震への備えを怠らないわが国に対し、おえらいさんが「日本はいつも大げさに捉える」と漏らす(このギャグのセンスは最高だ)。

研究者のジョーユー氏似の博士が一人危険が迫っていることを訴えるが、元妻も含め誰も聞く耳を持たない。

どう見てもありきたりな設定なのだが、こうしたちんたらとしたエピソードが後半の展開の意外性を際立たせるのだから、分からないものである。

かくして対馬(もちろん日本領!)付近を震源に巨大地震+津波が発生。映画的な規模とスピードで、緩急織り交ぜて半島へと迫ってくる。

これは批判ではない。最大の見せ場を前にして、時速数百kmでももったいぶるのは映画の見せ方としては当然である。

実際、津波は期待に応えて派手に押し寄せる。細い高層建築は折れ、道路を濁流が駆け抜け、倒れた電柱が溺れた人たちを感電させる様はなかなかの見どころとなっている。

ただ、案の定というか、意外なまでに誰も命を落とさない。本当の津波で人的被害がどう発生するか分からないので何とも言えないが、そのしぶとさに笑ってしまおうかと思ったときに、登場人物の運命が分かれ始めた。

結論を言ってしまおう。展開は普通じゃない。前半のエピソードの中で嫌がらせや憎まれ口をたたいた人物が生き残り、懸命に善を尽くしていた人間が波に飲み込まれていくのだ。

なんだこれは?気まぐれか?

しかし、主人公マンシクとヨニの幼馴染みの人物の顚末を見るかぎり、これはどうやら故意にそうしているのだとの結論に至る。

ヨニに決して言ってはならない秘密をばらし、母親にないがしろにする言葉を投げつけ、津波襲来時には煙草の火をタンカーに引火させ被害を拡大させるという失態を繰り返した彼は、思いもよらず救命行為の表彰を受ける。

しかし最後に彼が見せたのは涙であった。名誉では補いきれない悔い。

単なる生き延びるかどうかだけではない善悪の彼岸。アジア的か韓国的か、それとも監督の趣味か。重い悔恨を背負って生きることで裁きを下すところに新鮮味を感じた。

(70点)
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