Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「アリスのままで」

2015年09月26日 21時20分58秒 | 映画(2015)
それでも、家族は家族。


スポーツ選手には引退の時が来る。体力の衰えが来れば、厳しい競技になると20代でも世代交代の波にさらされる。

その点、知能・知識で勝負する学者や弁護士といった商売は、うまくいけば70歳だろうが80歳だろうが生涯現役でいられる。

しかし、本作の主人公であるアリスは、若年性アルツハイマー病を発症したことから、キャリア絶頂期でのリタイアを余儀なくされ、家族による介護を受ける生活を送ることとなった。

知的水準が高いほど進行が速いという皮肉な病。あまりに理不尽なできごとに戸惑う一方で、アリスは残された短い時間を、自分の尊厳と家族への愛情を賭けて懸命に生きる。

アカデミー賞をはじめ、本年度の主演女優賞を総ナメにしたJ.ムーアの演技は決して極端なものではないながらも、じわじわと進行する症状に侵される様子を体現。特に、顔の表情に、時間とともに自覚が薄れ虚ろになっていく状況が明確に表れていた。

母親の変化は、家族全員の運命も変える。もちろん辛く厳しい選択を迫られることも多いが、次女との間では、必ずしも良好でなかった関係に、お互いの許しの感情が芽生える。

抗うことのできない運命に対しどう接するべきか。はっきりした正解はないのかもしれないけれど、その難問に全身全霊で向き合う家族全員に敬意を表したい。

(80点)
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「ピクセル」

2015年09月26日 13時37分28秒 | 映画(2015)
"Pac-Man Fever"よ、ふたたび。


言われてみれば、アーケードゲームは単純でパターンがあって、そこが今のゲームと違うというのはそのとおりだと思う。

今は顧客をつなぎとめるためにパターン化させているだけで、能力的にはどこまでも複雑化させることができるのだろう。

スマートフォンのゲームは百花繚乱で、テレビをつけていると頻繁にCMが流れてくる。現在最も活気がある業界かもしれない。

ただ、不思議なことにキャラクターやゲームへの愛着という点では、あのカクカクした過去のゲームの方がはるかに大きい。

だからこそ成り立つのがこの映画なのである。年齢のせいではないはず。30年後にパズドラの映画ができたら謝るが。

残念ながら中身は薄い。宣伝にあるとおり、過去に宇宙へ放たれたゲーム関連のメッセージを誤解した宇宙人が、ゲームキャラクターを実像化して攻めてくる。乱暴に言えばそれだけである。

立ち位置がコメディーに近いので、他のキャラクターや背景は敢えて簡素に作られているように映る。なにしろ米国大統領がゲームおたく主人公の幼なじみである。

地球の危機といっても終始ゲーム感覚で、実際攻撃を受けた人間もピクセル化するだけで誰も命を落とさない。子供と一緒に観ることを推奨するという商業的配慮なのかもしれない。

それでも、過去の懐かしいゲームが現代のデジタル化された映画の舞台で活躍するというだけで、十分過ぎるほど楽しい。裏のトリビアネタも見たいから、パンフレットも即購入である。

驚くのは、これらのゲームのクリエイターたちが60歳前後ということ。やはりわが国は技術の国。有望な若者に技術を伝えるとともに、彼らが自由にできる環境を整えるべきである。

なんか映画の感想から離れてしまった・・・。

(75点)
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「わたしに会うまでの1600キロ」

2015年09月25日 21時36分52秒 | 映画(2015)
山があれば川があり、暑さがあれば寒さがある。


人生の壁に当たったとき、人はよく旅をする。自分探しの旅は、できれば少し困難を用意した方がいい。

本作の主役であるシェリルは、母親を失ってから生きるための支えがなくなったかのように自暴自棄な生活を送るようになる。誰彼構わず男性と性交し、ついにはクスリにも漬かってしまう。

母が健在だったころは、母の理想をも超える立派な生き方をしていたはずなのに。その頃の自分に戻るための旅として選んだのが、メキシコ国境からカナダ国境まで西海岸を貫くパシフィッククレストトレイル(PCT)だった。

どうやら実話らしい。エンドロールに出てくる画像が本人なのだろう。主演のR.ウィザースプーンが惚れ込んだ話のようで、体当たりの演技がそれを証明している。

生半可な自分探しではない。自分自身をとことん追い込んで、そこから湧く生きるための力を体得するための業なのだ。

ただ、旅を続ける間はそんな先のことまで考える余裕もなく、その日の食料や寝場所の確保や、行き交う人たちとの関わりに全力を尽くす。旅が終わりに近づくときにやっと、「明日から毎日20セントでどうやって暮らそう」と思うくらいだ。

それでも、旅の途中で自分を見つめ、報われない境遇でも前向きだった母の面影を繰り返し思い出すことで、シェリルは気持ちの区切りがついたようだ。旅が終わった後のことはセリフでしか語られないが、それは再生のドラマには含まれないということなのだろう。

苦行ではあるものの、旅自体は大事件が起こることなく淡々としている。一泊お世話になる農家の人、砂漠で出会った怪しい男、オレゴンで行きずりの夜を過ごす男性と様々な出会いがあるが、すべて通り過ぎるだけというところが実話らしく興味深い。確かに、人生のほとんどって、実は劇的ではないのが事実である。

(70点)
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「アントマン」

2015年09月25日 09時38分07秒 | 映画(2015)
娘のためなら、たとえ水の中穴の中。


3D上映が本格的に始まってからだいぶ長くなるが、本作ほど3D映像に合致した映画はそうないのではないか。

体長1.5cmのヒーローは、もちろん小さいという物珍しさやギャップが売りではあるが、実は小さいからこその強さが満載の正統派でもある。

身体の大きさを瞬時に変えてスピーディーに展開するアクションは3Dでこそ見応えありと感じた。

主役は、仕事がうまくいかず家庭も失った男・スコット。不遇ではあるが、アメコミのヒーローにしてはそれほど陰鬱な過去を持っていない。

ただそれにも増して、彼の最大の関心事であり生きる理由でもあるひとり娘の存在に、個人的に大きく共感した。

彼がなりたいのは、娘にとってのヒーローであり、劇中で同じ世界にいるとされるアベンジャーズとは根本からまったく異なる存在である。

一瞬迷ったものの、娘のために再起すると決めたスコットは次第に強さを身に着ける。

様々な特徴を持つアリたちを統率するというのもユニークな設定だ。アリたちと協力して空を飛び、穴をすり抜け、敵の中心部へ乗り込み破壊する。強大な敵に団結力で対抗して打ち負かす図は爽快である。

小さい世界での小さいもの同士の戦い、大きいもの(といっても、人の足や家電、おもちゃなのだが)の脅威。物を大きくする装置を使って、今度はアリやおもちゃが巨大化して現実世界に現れる。

驚きと楽しさにあふれた映像と、ほっこりさせる家族の幸せ。温かい気分に浸れるアクション映画だった。

ただ、続篇はアベンジャーズからの依頼を受けることになるようで。趣きは少しずつ変わっていくのかな。

(85点)
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「ナイトクローラー」

2015年09月24日 00時42分41秒 | 映画(2015)
悪魔に天職。


元々眼ヂカラがあるJ.ギレンホールが狂気をまとう。

人の不幸は蜜の味とはよく言ったもので、本作の怖いところは、他人事と思って片付けられないところにある。

もちろんこの映画の主人公ルイスのように明らかな一線を越えることはないとしても、事件や事故の報道を見ている目が興味本位になっていることがないと言えるだろうか。

このルイスという男、金網泥棒に甘んじているものの、目標を見つけたときの執着力と手段を選ばない非情さでは、他者を寄せつけないものがあった。

一部はヤラセで盛った事件もあったが、いち早く現場に駆け付けるために命さえ惜しまないスピードで車を走らせたり、邸宅で発生した殺人事件にうまく出くわしたりする辺りは、ルイスの執念が実ったとも思える。

しかしメインは、事件の経済的価値を高めるためにルイスが行う非道な行為である。

普通の相手だと思って接した人がことごとく巻き込まれていく。ルイスにとって自分以外は使い捨ての道具に過ぎないのである。

狂気に満ちた行動一辺倒ではないのだが、したたかな交渉や時折見せる笑顔でさえも恐ろしい。誰を駒にして稼ごうかという思惑が透けて見えるから。

もうアシスタントのリックなんて、はじめから犠牲になることが分かりきっているから、もう口答えなんかしなきゃいいのにと思いながら見ていた。

しかし皮肉なことに、思惑通りに他人の犠牲が積み重なる度にルイスの階級は着実に上がっていく。

世の中すべてがこうとは思いたくないけど、少なくとも他人の不幸の上に成り立っている範囲の社会は、非情になれる者だけが生き残っていくのかもしれない。

(75点)
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「キングスマン」

2015年09月23日 23時52分36秒 | 映画(2015)
英国紳士なのに、とてつもなく不謹慎。


長い歴史を持つスパイ映画に、「キックアス」、「X-MEN:ファーストジェネレーション」のM.ヴォーン監督が挑んだ本作。

いずれの過去作品もおもしろかった印象があるので、それなりの期待をして観たのだが、正直な話、ここまで度肝を抜かれるとは思わなかった。

様々な解説に書かれているが、本作は、最近のシリアスなスパイものに不満を抱いていた監督が、かつての007シリーズで描かれていたような伝統的なスパイものの世界観を基盤に配役と脚本を構築している。

そこで欠かせないのが英国紳士であり、一見お堅いC.ファースM.ケインといった英国人俳優がクラシカルなスーツに身を包み、華麗に悪と対峙する。

お堅い紳士が派手で軽快なアクションをこなすのは、まさに古い時代のスパイ映画そのもので、そのギャップに萌えたことを思い起こさせる。

これだけなら単なるスパイ映画の再興なのだが、更にひと味ふた味付け加えたところにM.ヴォーンの技を感じた。

まずは、振り切った殺人描写である。

R-15指定の時点で何かあることに薄々気付いてはいたのだが、冒頭から人間が縦に真っ二つにされるなど、人体が弾け飛ぶ描写がてんこ盛りである。

といってもこれらの場面は、あまりの多さ故に残酷さを超えて、もはや記号と化していた。その極め付けが「威風堂々」に乗せて打ち上がる花火であり、その直前に絶体絶命に追い込まれた主人公の反撃として爽快にシンクロする。

不謹慎だと分かっていても腹を抱えて笑ってしまった。映画館でこれだけ笑ったのはいつ以来だろう。

お堅い英国紳士>派手で軽快なアクション>残酷なのに爽快な惨殺と、次々に気持ちよく裏切る画像を提供する一方で、軸となる脚本がしっかり組み立てられていたことも大いに評価したい。

舞台装置やキャラクターを古典的に設定していたからこそ、敵役を現代社会の申し子のようなIT長者に置くことで対照性が際立つ。それと並行して、年代や経験の対照性に焦点を当てた若い青年の成長物語が進んでいく。

先輩エージェントのハリーの思い、新米青年のエグジーの境遇が丁寧に描かれており、いずれのキャラクターにも感情移入できる。

小ネタの配置や回収も心憎い。新米エグジーと同じ目線に立てたからこそ感慨深い逆転劇(アーサーの場面)や再現劇(ラストの場面)が実現した。

不謹慎な場面は際立つけど、全体を通してみると、やはり極めて「粋」なスパイ映画だった。

(95点)
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「ヒロイン失格」

2015年09月23日 22時40分23秒 | 映画(2015)
桐谷美玲がすべてを背負う映画。


かつての栄光が色あせた中で、原点回帰として純粋な恋愛ドラマを放映したフジテレビの月9。結果は、大成功とも失敗とも言えない微妙なラインだった。

刺激を求める傾向がますます強くなる昨今、話題を呼ぶのは「超」がつく大作と問題作ばかり。その一方で恋愛ドラマは、事務所の力が強いタレントを主役に据えたお手軽作品として生き永らえているのが現実である。

本作の主演は桐谷美玲。ほぼ万人が認める美人で男女を問わず人気のある彼女が、「別冊マーガレット」で連載したコミックの映画化作品に主演するというだけで、大ヒットとはいかないまでも、ある程度の成功は約束されているように映る。

製作に名を連ねる日本テレビを中心に、公開日を中心に彼女を大露出して更なる上積みを支援する。手法の良し悪しはともかく商売としては実に手堅い。

ただマーケティングとその成果が固定化するほど、作品の質への期待値は相対的に減じる。簡単に言えば、人気者を据えて宣伝をきっちりすれば、映画の素材はなんでもいいということにもなりかねないということである。

テレビでの宣伝を見ると、桐谷さんが普段のイメージとは程遠い変顔などコメディエンヌぶりを発揮するのが一つの売りらしい。

なるほど、彼女自身この作品が大好きだったと公言しており、ある程度の気持ちは伝わってくる。でも、原作ファンには申し訳ないが、話がまったくおもしろくない。

「私が好きな人か。私を好きな人か」と前面に出してはいるが、どう考えてもはじめから結果が分かっている争いを引きずるだけで、どきどきも共感もない。

特に「ヒーロー」である利太の優柔不断ぶりが酷過ぎて、どうにも収まりの悪いハッピーエンドになっているところが致命傷である。

山崎賢人は、朝ドラの「まれ」でも三角関係で選ばれる男性を演じていたが、相手の柳楽優弥が良かっただけに、結果として評判を下げているように見受けられた。老婆心ながら、売り方を再考した方がいいのではないか?

利太のライバルとなる坂口健太郎は人気のモデルらしいが、コリアン・エンターテインメント風の顔立ちは、初見で「イケメン」と断言するのに少し違和感を覚えた。

違和感といえば、福田彩乃の高校生役はあり得ないレベルだ。彼女は美人だとは思うが、この役にあてがう必然性はまったくない。

とまあ、口を開けば文句だらけなのだが、結局桐谷さん見たさで足を運んでいたのだから、それを裏切らないかぎりは「金返せ」というほどでもないのも事実なのである。

(40点)
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「テッド2」

2015年09月23日 10時22分33秒 | 映画(2015)
テッドは隠れても、おやじ臭でバレると思う。


前作が本邦でも予想以上の大ヒットとなった喋るぬいぐるみの映画「テッド」の第2弾。北米の興行で叶わなかった初登場第1位を記録したようだから人気は健在である。

前作を復習せずに観たが、強く記憶に残っている「フラッシュゴードン」押しが再登場するなど、時間が経っても成長しないテッドたちをすぐに実感。

結婚しても、下ネタ、差別、クスリと、不道徳極まりない生活は変わらず。市民権獲得の裁判へ足枷となる描写はあるが、徹頭徹尾堕落した性格のままでハッピーエンドを迎えるところは、ある意味すごい。更生したらテッドじゃないのだけど、この辺の許容度は米国ならではだと思う。

不道徳な主人公たち以外の本作の特徴といえば、北米ショウビズ界のネタだろうか。台詞の端々に出てくるだけでなく本人まで登場するが、これは前作でもあったかな。

ただし、ジェイ・レノ、R.ニーソン、T.ブレイディという顔ぶれについては、本国では疑う必要のない超一流どころだが、わが国で全員知っているという人はおそらく1割に満たないと思う。

もちろん私だって分からないネタだらけなのだけど(新スーパーマンのジョナ・ヒルは分からなかった・・・)、小ネタの元を一つも知らなくとも本作を高く評価する人は、それ以外の下ネタや不謹慎な振る舞いが感性に合ったということなのだろうね。

テッドに市民権を認めるか、単なる所有物と認定するかという裁判が話の中心にあるが、裁判映画ではないので法廷場面にはさほど大きく時間を割かず。

一度所有物と裁定されたテッドを巡って、コミコン会場でどたばた劇が繰り広げられるのがクライマックスになるのだが、これも助けがあっさり来るなど残念ながらあまり盛り上がる感じがしない。

そう考えると、やはり本作の魅力は、見た目に反したテッドのだらしなさと、ところどころに挟まれる小ネタに尽きるのだと思う。だからこそ後半はもう少しあっさりしてもよかった。

そんなわけで、前作同様微妙な感想となるけれど、ブレイディに不正球のネタを振ったことと、A.セイフライドを「ゴラム女」と言い切った(後半でご対面!)点は大いに評価したい。

(60点)
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「カリフォルニアダウン」

2015年09月23日 10時19分08秒 | 映画(2015)
R.エメリッヒ魂が炸裂(彼の作品ではないが)。


今夏の「ジュラシックワールド」が証明したように、映像技術の発展は同じネタをまったく新しい商品に作り変えることができる。

いわゆるディザスタームービーは大昔から作られてきた。ネタはそれほど多くない。地震、火災、竜巻、あとは宇宙人襲来か。

ただ、最新の映像でサンフランシスコの街ごと壊滅させるというと、やはりどう仕上がっているのか興味が湧いてくる。

結論を言えば、まあすごい映像である。

地震学者が言っているM9.5と整合が取れているかは分からないが、建物が我先にと倒壊しまくる。東日本大震災(M9.0)では地震による建物の被害はほとんどなかったのだが。建築業の方、ひとこと言ってもいいと思います。

そして津波が襲う。それまでの群発した余震(かなり大きいのもあった)で一度も来なかった津波が、最後の本震だけで発生するというのはご都合っぽいが、向かってくる波の大山に小船で乗り越えようと挑む無謀さは、「パーフェクトストーム」を思い出した。まあ、啓発映画ではなく娯楽映画だから。

そんな娯楽映画のあるあるとして、ストーリーは添え物ということが挙げられるが、実は本作、結構特徴のある脚本となっていた。

D.ジョンソン演じる主人公のレイはレスキュー隊員なのだが、地震発生後はただひたすらに家族の救助に専心するのだ。

はじめは、救助を求めた妻が近くにいたし、現場に行ったら救えたのが妻だけだったというようにも見える。が、その後は、離れたSFにいる娘の元へ脇目も振らずに一直線(正確には、球場で数人助けたが・・・)。

確かに、娘かわいいから。気持ちは分かる。レスキュー隊員としての行動としては問題あるようにも思えるが、これも娯楽映画だから。地球規模の巨大災害と最小単位の家族愛という対照的な構図は、潔くて気持ちいいくらいだ。

そのかわいい娘。クセのある顔立ちだが、華があってスタイルもいい。A.ダダリオ、今後の活躍が期待される。

(70点)
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「ロマンス」

2015年09月23日 10時16分55秒 | 映画(2015)
祝!ロマンスカー海老名停車。


火山活動が活発化し、大涌谷など目玉の観光スポットが立ち入り禁止になってしまった箱根。

本作の舞台はまさにその箱根。撮影されてから1年も経っていないのに、規制がいつ解除になるか分からないと思うと、途端に郷愁がこみ上げてくる。

主人公は、小田急ロマンスカーの乗務員として働く鉢子と、乗客の中年男・桜庭。二人は、偶然の出会いと感情の弾みから箱根を一昼夜動き回ることになる。

しかし、そこに男女間に芽生えるであろう、いわゆる「ロマンス」は存在しない。

二人が向き合うことで浮かび上がってくるのは、日常の陰に隠しておいたはずのかさついた過去。

桜庭がしよーもない男だと感じながらも、確信してからもなお、見つかるあてのない過去捜しの旅を続ける鉢子。

いろいろ頭をひねって考えてみると、鉢子のこの旅は、縁遠くなった母を、取り返しのつかない過去を追い求めるのではなく、過去に負い目を感じる今の自分を受け入れる旅だったのかなという結論に至る。

強がって突っ張って生きてきた自分を脱ぎ捨て、弱い自分と愚かな同行者を許した経験が、最後の場面の笑顔に繋がっていく。

ではタイトルの「ロマンス」とは何か?と問い質したくなるのだが、それはおそらく小田急が何故特急の愛称に「ロマンス」を冠したのかということと同じ次元の話なのかもしれない。

ロマンスは狭義のものではなく、それぞれが旅路に馳せる思いを称したものであると。これでいいかな。

大島優子は、「紙の月」の計算高いOL役が記憶に残っているせいか、器用な女性という印象がある。それは同時期にAKB48のセンターを争った前田敦子と比べて好対照である。

それ故、勝手な想像ではあるが、AKB時代以上の大化けは難しいと察して、大作よりも等身大の女性を演じる小品を選んだところに、改めて彼女の賢さを感じた。もちろん的外れな感想かもしれないが。

(70点)
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