Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「完全なる報復」

2011年01月29日 09時47分47秒 | 映画(2011)
不完全な善悪の彼岸。


この映画のポイントは2つ。

被害者のクライドと検事のニックのどちらを正当として描くかと、獄中の身となったクライドがいかにして報復を成し遂げるかである。

結論を言えば、両者とも満足のいくものではなかった。

娯楽作であれば勧善懲悪が成立してめでたしが一番なのだが、本作の場合、ただ直接犯罪に手を染めた者が消滅すればおしまいという話にはならない。

クライドが敵は司法制度と言い、更に冒頭で理不尽な事件の場面を映しているのだから、観る側としては少なからずクライドに肩入れするのが自然というもの。

でも結局司法制度は生き残る。ニックは追い詰められこそはするものの、彼の信念が転換したようにも見えない。

これこそこの映画の答えなのかもしれないが、到底カタルシスを得られるものではない。

他方、クライドの報復の手法であるが、こちらは種を明かせばなんとも単純。

時間や場所を越えて犯罪を遠隔操作するといえばジグソウであり、あそこまで神懸かりな仕掛けだったら逆に白けちゃうと思っていたので、まあ許せる範囲ではあるが、ちょっとニックをはじめ守りの側があまりに抜かり過ぎだろう。

しかし実はこれはまったく一笑に付してしまえる問題ではなく、翻ってみれば、わが国の重要施設の隣接地が平気で外国人に売却されているらしい。

完全じゃなくても膨大な被害や損失を招きかねない現実。起こり得る犯罪の種は数知れず。クライドが最後にしようとしてたのは単なるテロだし、身の安全は運次第ってことか。

テーマから離れたところに見どころを見出して、点数はなんとかってところ。G.バトラーJ.フォックスも結構好きなので。

(65点)
コメント (2)
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「ハイブリッド刑事」

2011年01月23日 23時38分32秒 | 映画(2011)
LIVE!! 鷹の爪団。


FROGMAN氏待望の新作は、トヨタ店の全面協力を得て1週間限定の無料上映と来た。

しかも上映は首都圏でもわずか2箇所で1日1回。ちょうど夕方にのみ会が入っていたので、始まる前にチケットをとって帰りしなに立ち寄る形に。中身は気楽な映画だから、別に酒気帯びでも大丈夫だろう。

予想の付けづらかった人の入りは、土曜の20:50で950席ほどある日劇1のほぼ9割がたが埋まった。

これに感動してか、FROGMAN氏本人がサプライズのあいさつ。やっぱり日本の中心は違う。

総統、吉田君、デラックスファイターの声色を使った「たかのつめ」コール三唱に会場の熱気が上がり切った状態で上映開始。それにしても、生声で聴けたのはちょっとした感動モノだった。

作品の中身はといえば、トヨタの宣伝に行政改革なんて時事ネタを軽くまぶして笑いを生み出す独特の技は健在。しかしながら、いかんせん時間が45分と短いのでやや物足りなさが残った。吉田君たち他の団員も出てこないし。

忙しいから仕方ないか。JR西日本でも頑張っているようだし。



(75点)
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「ソーシャルネットワーク」

2011年01月15日 23時56分05秒 | 映画(2011)
14匹のマスと5億人のともだち。


告白します。前半少し眠りこけました。

レイトショーと回転の速い会話が・・・。心配はしてたんだけど。ボート部の双子がマイクに接近するあたりからぽつぽつ抜けてます。

そんな前置きをしつつも、目が覚めた後の展開はおもしろかった。事前情報をあまり入れなかったので、そういうことになっていくのかと意外なドラマ性に見入った。

学生ビジネスが世界を制覇するということは、もちろん普通では考えられない話であり、その過程の大きな転換期には間違いなく正負入り混じった物語が隠されているに違いない。

ナップスターを立ち上げたショーンがその鍵を握る。マイクがショーンに信奉を寄せた時点で、学生ビジネスは終焉する。共同創業者のエドゥアルドとの確執は一見男女の仲のようでもある。

しかしマイクのおもしろいところは基本的に迷いがないところだ。ステップアップと友情のどちらという選択肢はなく、常に揺るぎない自信とともに前へ進んでいく。

それは「おいおい」と思うような冒頭の彼女・エリカとの下りから変わらない。他人の会話は関心がなければ耳に入ってこない。仕返しをしようと思ったら後戻りはしない。

資金調達の手法に関しても判断基準はクールであるか否か。悪気があってしてるのではないし、富や権力にもさほど関心がないから、彼は決して悪い人間とみなされない。

J.アイゼンバーグはそんなマイクの無臭感を全体を通して好演している(わが国でこの役を演じるとしたら二宮和也だろうか。どこか似ている気がする)。

文無しでチャラいのにカリスマ的オーラを放つショーンにはJ.ティンバーレイク。実はクセのある顔だから、この役はかなりハマる。

裁判の審査会と過去の場面を交互に行き来する構成は、慣れるまで少し時間がかかったものの小気味いい。

最後にマイクが一人PCに向かってする行動は一篇の話の締めとしては非常にきれいだ。止まったり振り返ったりする姿に若干の違和感は感じるが。

◇◇◇↓↓↓以下、2度めの鑑賞をしたので追記します。↓↓↓◇◇◇

キャラクターが分かっている状態で観るとさすがに違う。やっぱり鍵となる登場人物の名前くらいは予習しておいた方がいいのかもしれない。

双子は本当に無視されてたんだ。あれじゃプライド高い人種として怒るのは止むを得まい。

改めて思うのは、「しあわせの隠れ場所」のときも感じたことだが、まだ存命の、というより現役真っ盛りの人物を題材にした映画を作ってしまう思い切りである。

しかも、今回はマイク・ザッカーバーグ本人を直接接触して掘り下げることができない中で、批判を浴びてしまいそうな人物として物語を作っている。

劇中のマイクのキャリアには、常にともだちとの関係がつきまとう。

エリカとの別れ、ショーンとの出会い、そしてエドゥアルドとの確執。近付きたいと思った人たちとの関係からステージの変化が訪れるが、肝心の関係はいずれも結局破たんを迎えた。

自業自得もあるが、マイクの存在はあまりに大きくなり過ぎた。ハーバードのファイナルクラブを自由に操れる力を持っても、実際には新米弁護士と食事に行くことさえできない。

人とのつながりを求めて世界一のコミュニティを作った成功の裏の孤独。

一分の隙もない構成で説得力もあるが、まとまり過ぎている感もする。

最後の場面を含め、実は常にともだちを求め続けているように映るマイク。本作の成功を本人はどう感じているのだろう。笑って受け流せるくらいクールなのか、それほど関心がないのか。

(85点)
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「チェブラーシカ/くまのがっこう」

2011年01月15日 14時11分26秒 | 映画(2011)
無国籍の時は穏やかに流れて。


パペットアニメーションといわゆるアニメ。種別が異なるものの、どこか似た世界観を持つ2作品が併映されるこの年末年始企画。

特に注目なのは、ロシアで広く愛されている児童向け作品を日本人の手によってまったく新しく映像化した「チェブラーシカ」だ。

入ってくる情報は少ないが本国での評価は高いらしい。他国の文化を受け入れ自在に加工するわが国技術の面目躍如といったところか。その出来映えを観たくて劇場に足を運んだ。

はじめは「くまのがっこう」。12人の生徒(児童?)という設定から典型的な絵本の世界。

明るく活発なジャッキーと病弱なケイティとの出会い。温かく見守るケイティの父と、賑やかに彩りを添える11人のお兄さんくまたち。

限りなく鉄板の世界。絵本に興味を持ちはじめた年代の子供に見せれば、夢のような楽しい世界に映ることだろう。

「チェブラーシカ」はとにかくかわいい。たどたどしい大橋のぞみのしゃべりと、パペットアニメのおぼつかない動きが効果を倍増している。

更にこちらは、ただかわいいのを見るより少し進んで、「ともだち」というテーマを一貫して持っている。

単純だが子供時代の最大の問題でもあり、ともだちがいない寂しさと、ともだちがいることによって叶う夢を真っ直ぐ描く姿勢は正しい。

もちろん楽しく微笑ましい場面も満載で、個人的にはワニのゲーナが動物園で働く姿が好きだ。

HPによると、本作は日本、ロシアに韓国のスタッフまでもが加わり、実に6年もの歳月をかけて作られたらしい。作り手は多国籍、できた作品は無国籍といったところか。

表の外交が難題を多く抱えるだけに、こうした草の根の技術交流が貴重であり、非常に重要であることを改めて思い知らされる。

(75点)
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「僕が結婚を決めたワケ」

2011年01月14日 23時19分51秒 | 映画(2011)
独り善がりを尽くす。


久しぶりに誉めどころのない映画に出会ってしまった。

記憶が間違っていなければ宣伝ではラブコメと謳っていたはずだが、どうにもラブコメの長所が見当たらなかった。

まず何より笑えない。

一部の客が局所的に大ウケしていたが、笑えるとしたら外国人?と思うくらい感覚の不一致を感じた。

更に追い討ちをかけたのが役者たちの魅力のなさ。

ラブコメに美男美女が必然と言うつもりはない。でもそれならば、せめて何かしら観ている側が応援できるような設定にしてくれないと困るのだが、主役のロニーにとにかくいらいらしっ放しだった。

正直でいることがすべてと周りの迷惑顧みず。親友の生活をかき乱し、恋人の両親のパーティーの雰囲気をぶち壊す。翻ってみれば自分は嘘ばかりついて、昼に夜に仕事する素振りもない。

それでも途中までは何とか救える部分を見つけようと頑張った。でも、ロニーが親友の奥さんの粗探しを執拗にするあたりで見切った。

もうこんな奴は散々な目に遭わせてしまえ。大事な車がボコボコにされる場面はすっきりしたし、銃口を向けられたときは、このまま撃っちゃえばいいのにと思った。

しかし残念なことに、物語はあっさりロニーの主張に迎合していく。彼への理解を示し謝罪の言葉まで述べる恋人や親友に幻滅。

点数をあげるとすれば、彼と道を違える役柄を健気に演じたW.ライダーくらいか。

(20点)
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「スプライス」

2011年01月13日 08時06分40秒 | 映画(2011)
芳しき倒錯の結合。


V.ナタリの名前を久々に聞いた。「CUBE」はおもしろかったね。

当時と変わらぬ予算のかからなそうな映画。力の入れどころはクリーチャーに集中。

生まれはエイリアン風なのに成長するとアバターになってしまう造形に時代を感じる。

そんなDRENに並々ならぬ愛着を寄せる女性科学者・エルサ。危機感を抱き続けながらもブレーキをかける決断を下せないパートナーのクライヴ。クライヴの心情を軸に話が展開するため、「アバター」では慣れと親しみを感じた観客も本作でその一線を越えることはない。

遺伝子がどうとか、メッセージ性がどうとかに特に興味はなく、関心は専らクリーチャーの進化と2人の科学者がどう破滅するか。そうした意味では分かりやすいし、期待は裏切られない。

成長したDRENは、2人にとって時には子供でありペットであり、でもやっぱり試験体であり。その狭間を行き来するうちに倫理観を見失い、ついにはそのすべてを超えた存在が現れる。

クライヴの行為に激怒するエルサに失笑。最後のエルサの選択にまた失笑。倒錯の失敗が彼女を目覚めさせるどころか助長してしまっているという。

毒食らわば皿まで。予算がもっとあったらすぐにでも人類滅亡の危機が来ていたところだろう。助かった。

(80点)
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「アンストッパブル」

2011年01月10日 01時35分18秒 | 映画(2011)
過ちを犯すのも人間なら、命懸けで救うのも人間。


T.スコットと聴くと、観てハズレはないなと思う。

すごく心に残るというほどではないものの、ほぼ間違いなく楽しめる上質な娯楽作品を作る。そんな印象だ。

リストを見るとそれが改めて分かる。前回は・・・、あれ、前もD.ワシントンが列車を動かしてるじゃないか。

アクションの撮り方はもちろんのこと、ドラマ部分の設定や筋書き、それぞれにおける全体の構成と実にソツがない。

ソツがないといえば、対照的なのは本作の登場人物だ。

乗客の命を預かる身でありながら、仕事への姿勢が隙だらけの鉄道マンたち。事故の発端となるミスを犯す作業員だけでなく、後にヒーローとなるフランクやウィルも、家庭の問題が頭を過ぎり業務中に携帯電話を手にしてしまう。飲食店で油を売っていた職員もいたっけ。

事が動き出した後はといえばこれも実は大差がない。曲がりなりにもこれでお金をもらっている身として、形は違えどある程度体を張って抑えにかかる姿勢は共通だ。

唯一大きく方向が分かれたのは現場の責任者と会社の幹部であるが、果たして立場が逆だったら同じ判断ができたのか。

失敗したとはいえ列車を止める手段を講じようとしていただけに、一概に幹部側を袋叩きにするのもどうかと思ってしまう。フランクの採った手段も無謀の度合いとしては近かったわけだし。

そう考えると、出てくる人物がみな人間臭いところが好感が持てるし、何よりこの物語の本質を突いていて面白い。

現実臭い人間とは裏腹にアクションはまさに映画。

ゆっくり動き始めてから最後に止まるまで、この列車の暴走史は定期的に見どころが刻まれている。

子供が大勢乗っている列車とのすれ違いもスリルがあったし、最後の見せ場となるスタントンの大曲がりは、冒頭に引きの映像で印象に残るように見せているおかげで、緊張感がしっかりと高まった。雰囲気として、古い映画だが「カサンドラクロス」を思い出した。

少し甘いかもしれないが、大画面でこういう映画を観るのは何よりの喜びである。

(90点)
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「バーレスク」

2011年01月09日 14時34分34秒 | 映画(2011)
隠し切れぬオーラの功罪。


ミュージカルといえば、通常の会話さえも歌にしてしまう非日常の印象が強いが、本作はやや違う。

舞台の上以外では、BGMとしてNEON TREEなど最近のポピュラーな楽曲がかかったりするくらい。

それだけ舞台の華であり物語の核となるC.アギレラシェールへの比重を強めた構成とも言える。

そして、もはや説明の必要のないビッグネーム2人のパフォーマンスは、そうした期待に十分に応えている。

特にC.アギレラであるが、半ばアイドル的に鮮烈なデビューを飾ったのは10年以上も前。確か子供も産んでるはず。

なのにデビュー当時と変わらぬ可愛さと、歌に入れば力強く伸びる声量と声圧。まあ立派の一言である。

ただ気になったのは、あまりに彼女の可憐さやパフォーマンスに欠点がないため、主人公・アリがアイオワの田舎から出てきた当初の存在に説得力がないことである。

初々しさと垢抜けなさは違う。働き口を探しにLAの街を闊歩する時点で、もはや雑誌から抜け出た「超」の付くセレブ級オーラが全開のアリ。

だから、シェール扮するクラブ経営者のテスたちが目もくれない場面には大きな違和感を感じざるを得ない。

そう考えるとC.アギレラとミュージカルというのは、企画するのが10年遅いくらいの抜群の相性なのに、中身次第ではハマらないこともあるという何とも微妙な関係だ。

配役はよかった。相変わらず作品ごとの印象が変わるS.トゥッチには唸らされたし、アリの相手役となるジャックの甘い外見も合格点だ。

ただ、ストーリーはどうだろう。

三角関係でじりじりしていたアリとジャックの間は、突然のアクセル、ブレーキ、急転回の繰り返し。アリが来る前に店の看板嬢だったニッキーや不動産会社のオーナー・マーカスが絡む話も、ざくっと中抜けしておきながら突然進行。

登場人物の設定や話の大まかな流れは変えようがない王道でよいとしても、とにかく繋ぎが雑という印象が残った。

結論としては、主演の華やかさを表面的に楽しむにはよいが、掘り下げようとすると長所が帳消しにされる恐れあり。ややもったいない。

(75点)
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「きみがくれた未来」

2011年01月06日 23時12分10秒 | 映画(2011)
不覚にもR.リオッタに気付かず。


二人兄弟の弟ということもあり、兄ほどではないにしても兄弟ものには少なからず感じるところがある。

それだけにある程度の覚悟をして臨んだのだが、感動の涙が訪れることはなかった。

もちろん泣ける映画かどうかで良し悪しを決めるつもりはない。でも、前宣伝で見る限りは、ほぼ間違いなく兄弟愛が話の中心だと思っていたから、本作の展開は意表を突かれるものだった。

もちろん兄弟愛は重要なテーマとなっている。

しかし、弟は現世とあの世の間を宙ぶらりんで、キャッチボールするだけ。ちょっとしたアシストもするが意図したものではないし、何か存在感が小さかった。

11歳ならもっと兄貴を気遣ってやってもいいんじゃない?と思うが、与える愛は無理か。

そもそもこの邦題にも惑わされた。「きみ」って誰だ?

「未来」の指すところを生き長らえた先と捉えるならば、「きみ」は救命士になってしまうのだが。

そこでR.リオッタである。命を救っただけでなく、兄を正しい方向へ導くのも彼の役割になってしまった。これはうがった見方をし過ぎなのかな。

ただ、Z.エフロンをはじめ、作品全体を通して流れる爽やかな空気はまったく嫌いではない。これからも王道を期待します。

(65点)
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