Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

今年の15館(2015)

2015年12月30日 23時52分15秒 | 映画(2015)
観た本数は増加しましたが、足を運んだ映画館も若干の増加を記録しました。来年はどこにいるのか分かりませんが、良い環境で楽しい映画を観られることに感謝していきたいと思っています。

イオンシネマ北見(北海道)21回

国内で最も寒い映画館はオホーツク20万余りの人たちにとって希望の館でもあります。少し時期が遅れながらも、「セッション」「イミテーションゲーム」「博士と彼女のセオリー」といった賞レースを賑わせた作品を映画館でかけてくれたのはとてもうれしいことです。グッズ売り場を入場口の方へ移動したのも素晴らしい判断だと思います。

ユナイテッドシネマ札幌(北海道)9回
TOHOシネマズ海老名(神奈川)9回

北海道で初めて4DX方式を導入したUC札幌。特に夏時期に大作の公開が続いたので、一度くらい体験してみたかったのですが、かなり早い段階で前売りの座席が完売になっていました。

札幌シネマフロンティア(北海道)2回
MOVIX利府(宮城)2回
TOHOシネマズ新宿(東京)2回
TOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京)2回

仙台の中心に大きな全国チェーンのシネコンはありません。ただ、パルコが新しいビルを建てたときにTOHOシネマズができるという話があると聞きました。MOVIXの2館(仙台、利府)、名取のイオンシネマ、富谷の109シネマといった郊外型シネコンにどういった影響が及ぶのでしょうか。

シネプレックス旭川(北海道)1回
イオンシネマ旭川駅前(北海道)1回
イオンシネマ江別(北海道)1回
ディノスシネマズ札幌劇場(北海道)1回
シアターキノ(北海道)1回
シネマ太陽帯広(北海道)1回
シネマカリテ(東京)1回
イオンシネマ海老名(神奈川)1回

11月から12月にかけて、道内映画館を対象にしたスタンプラリーがありました。雪の降り出しが遅かったこともあって、今のところ特段の問題なく映画館通いができているのですが、スタンプラリーの懸賞である映画見放題は2月からと指定されています。まあ当たらないだろうから関係ありませんが、外に出られなくなるような低気圧は来ないでほしいものです。
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今年の55作(2015)1位→30位

2015年12月30日 17時00分32秒 | 映画(2015)
暖冬と言われながらもそれなりに気温が低い日はある。朝第1回の上映に間に合うために7時台に出発した車の外気表示が-17度を記録。イオンシネマ北見は、日本一寒い場所にある映画館と言っていいだろう(旭川もいい勝負ではあるが)。

そうした厳しい環境の割りに昨年を上回る本数を観ることができた。洋画は超大型のシリーズものが次々に公開され、話題的には久しぶりに活況を呈したように映った。

特に「ジュラシックワールド」は、新しい映画の観方である4DXを広めるのに大いに貢献した。年間興行収入の上位を見ると、ど派手なエンターテインメントとアニメ作品で埋め尽くされている状態だ。

果たして、自分の所感と世間の空気はどの程度合っているのか。それとも致命的に外れているのか。それが分かったからといって、自分の感性を変えることはできないし、変えたいとも思わないが、今年も年に一度のおたのしみを記録する。

1.「セッション」(5月2日)

厳しさの一線を越えた先の狂気を演じたJ.K.シモンズがオスカーを獲得。寸分のピッチのズレ、テンポの乱れを巡って繰り広げられるスリリングなバトル。鬼教官の猛烈な怒号がスクリーンを飛び出して圧迫してきて息が苦しくなるほどだった。

2.「キングスマン」(9月20日)

教会での大殺戮に要人たちの打ち上げ花火。想像のはるか斜め上を行く不謹慎を、お堅いイメージのC.ファースにさせてしまう発想には脱帽するしかない。

3.「マイインターン」(10月24日)

大作でもない、アニメでもない。しっとりとした秋興行の隙間にうまくはまり込んで、おそらく今年一番のサプライズヒットだったのではないか。R.デ・ニーロがおとぎ話のような完璧高齢者をさわやかに演じた。

4.「イミテーションゲーム エニグマと天才数学者の秘密」(5月24日)

今年のアカデミー賞レースを争った、天才を描いた2本の作品の一つ。どちらも素晴らしい演技だったが、驚きの事実と報われない晩年という物語の深みの分だけこちらが上回った。

5.「ミッションインポッシブル ローグネイション」(8月8日)

様々なスパイが駆け巡ったこの1年。他のスパイは俳優の替えが効くかもしれないが、イーサン・ハントを演じられるのはT.クルーズをおいてほかにない。固定してきたチームの連携も更に充実。

6.「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(4月11日)

よくよく思い返せばけったいな映画ではある。ただ、全篇長回し風の映像や、絶えず鳴り続けるドラムの音など、徹底的に粗削りに挑んだ意欲と勢いは買いだと感じた。

7.「アントマン」(9月24日)

普通の人間が何かのきっかけでヒーローになる話は多いが、運命ではなく、極めて家庭的な事情からスーツを着る決断をする主人公が興味深い。もちろん極小化したときの、これまでにない目線におけるアクションも素晴らしかった。

8.「俺物語!!」(11月1日)

鈴木亮平のキャリアに燦然と輝く30kgの増量。能年玲奈以来の要注目株と勝手に認定した永野芽郁と仙台を舞台にラブコメする。今年いちばん幸せな気分になれた映画だった。

9.「ピッチパーフェクト」(6月21日)

PENTATONIXの大ブレイクで注目度が増しているアカペラ。そのブームの先鞭を付けたのはおそらく3年前に公開され大ヒットした本作。ちっとも理由が分からないが今頃になって突然の劇場公開。でも映画館で観られてよかった。凸凹キャラが集まるチームのサクセスストーリーは王道である。

10.「スターウォーズ フォースの覚醒」(12月19日)

そごう横浜に「スターウォーズ展」を観に行ってきた。細かいところに目を向けるほどおもしろみが増してくる。シリーズが再始動し、新しい世界が始まるということで世界中がお祭り騒ぎになってしまう存在の大きさにただただ敬服する。

11.「博士と彼女のセオリー」(3月14日)

E.レッドメインがホーキング博士を演じてアカデミー主演男優賞を受賞。こちらの天才も波瀾万丈な生涯を送っているが、存命中に然るべき評価を受け、比較的自由に生きていられる分幸せに映る。

12.「フォックスキャッチャー」(3月2日)

もう代表作が童貞男だとは言わせない。いや、この大富豪も精神が大人に成りきっていない点では通じるところがあるかも。「マネーショート」で豪華俳優陣との競演が控えるS.カレル、やがて転機になった作品と言われることだろう。

13.「海街diary」(6月13日)

性格が違う美人4姉妹はそれぞれに魅力十分。特に、天然イメージが強い綾瀬はるかが長女役をしっかりこなしていたのには感心した。ただ、ひとりだけ賞レースで置いてけぼり感のある夏帆は少しかわいそう。

14.「ANNIE/アニー」(2月1日)

前向きミュージカルの決定版がリブート。富豪が黒人のJ.フォックスになっていたり、携帯電話会社のオーナーだったり、背景は現代風にアレンジしているものの、基本線は変えようがないから、致命的な失点をしないかぎり楽しめる作品に仕上がるのは必然。

15.「寄生獣 完結編」(4月29日)

前編に比べるとGW公開ながら地味な興行に終始した印象。最強の敵・後藤との闘いを筆頭に特殊映像技術には目を見張ったが、原作の壁が高過ぎたのだろうか。

16.「アリスのままで」(9月26日)

必死に抵抗しても老化はやって来る。どう出迎え、付き合っていくかで、本人にも家族にも安寧が訪れる可能性はある。時間とともに進行する病状を演じ切ったJ.ムーアが貫録の演技で全体を引き締める。

17.「イニシエーションラブ」(5月30日)

ラストのどんでん返しといえば「シックスセンス」が真っ先に思い浮かぶが、この手の作品は騙されれば騙されるほど気持ちがいい。各所の感想を見る限り、堤幸彦監督はかなりの人たちを騙すことに成功したようである。

18.「アメリカンスナイパー」(3月1日)

ISに代表される中東発のテロの脅威や紛争は、米国が世界の警察という役割を放棄したことに端を発すると評する声がある。しかし、欧米の正義を貫き通そうとする度に、別のところから新しい勢力が台頭してくるのも事実。C.イーストウッド監督が描く伝説のスナイパーから見えるのは、光と影と、終わらない混沌。

19.「映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃」(4月18日)

シリーズ20年を超えて、これまでで最高の興行収入記録を叩き出した。これは007シリーズにも劣らない勢いだゾ。早くも来年の最新作の話題として、脚本に劇団ひとりが名前を連ねることが発表された。まだまだ攻める。

20.「ドラフトデイ」(2月13日)

目の前にぶら下がっていたスーパー連覇のチャンスを一瞬で逃してしまった失意の中で鑑賞した架空の物語。シーホークスはもっとドラフトを上手く使って選手を育成しているよ。ただケガ人がなぁ・・・。

21.「オンザハイウエイ その夜、86分」(7月3日)

道路をひた走る車ということではアウトドアだが、構図としては密室劇。会話だけで物語を進行させる一点アイデア勝負。それにしても、電話で入ってくる情報ってたいてい悪い話と相場が決まっている。携帯の着信音が鳴るとどきっとするね。

22.「アベンジャーズ/エイジオブウルトロン」(7月4日)

再びのヒーロー集結。2度めだから最初よりは打ち解けるというか、それぞれの個性を理解している感じ。メンバーの描写の質や量に関し偏りなく描いているように受け取れた。でもこのお祭りは、あったとしてあと1回かな。

23.「ターミネーター:新起動/ジェニシス」(7月25日)

少しでも採掘できるものがある鉱脈は何度でも掘り返される。思うような成果が得られなければ少し違う場所から掘ってみる。A.シュワルツェネッガーが大復活した最新作は「2」の正当な続篇と言われているらしい。

24.「プリデスティネーション」(3月7日)

E.ホークはSFに合うよなーと思うのは、いまだに「ガタカ」の印象が強いからか。映画としては小粒であるが、タイムトラベルを精巧に練った脚本で最後まで一気に引っ張る。

25.「007 スペクター」(12月23日)

D.クレイグで新たな頂点を極めたボンドも一つの区切りを迎える。それにしても、最近はダブルオー部隊が毎回存続の危機に晒される設定となっており、情報戦を制する争いこそが世界の最先端だということを実感する。

26.「ナイトクローラー」(9月22日)

もともと濃ゆい顔のJ.ギレンホールの眼が窪んで狂気を増している。多かれ少なかれ、境界を踏み越えたりあいまいにしたりする誘惑は誰の近くにも存在する。

27.「暗殺教室」(3月29日)

日本テレビ土曜21時のノリに近いものを感じるが、対象層を的確に見極めた娯楽作品に仕上がっている。来年3月には続篇公開、二宮和也は実写でも登場するようだ。

28.「コードネームU.N.C.L.E.」(12月15日)

米ソ代表どちらも頼りになるし、おしゃれでかっこいい。間に挟まれたら女性冥利に尽きるというもの。選べない、というより選ばないことが懸命であろう。

29.「脳内ポイズンベリー」(5月17日)

気が強いイメージの真木よう子を主役に起用した意図は、冒頭の階段を駆け下りる場面ですべて説明され尽くしている。脳内被りの「インサイドヘッド」の前に公開できてよかった。

30.「ピクセル」(9月25日)

かつてのアーケードゲームに馴染みのある世代にとっては夢のような映画ができたと歓喜したが、世の中的には意外と盛り上がらず。興行でも特筆すべき点はなく、続篇制作についても聞くかぎりは未定。
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今年の55作(2015)31位→55位

2015年12月30日 16時48分13秒 | 映画(2015)
31.「ジュラシックワールド」(8月15日)

本年の映画興行収入ランキング、堂々の年間1位を達成。前作の「3」から随分と時間を要したが、その間に巨大テーマパークがオープン。恐竜という一つのコンセプトのみで一大娯楽施設ができたことに感心と感慨を抱く。

32.「海難1890」(12月12日)

わが国とトルコの友情よ、永遠に。トルコは地政学的に危険と隣り合わせの地域である。また、いつかどこかで巡り会ったときにお互いが助け合える関係で居続けたいものである。

33.「イントゥザウッズ」(3月21日)

かわいくない赤ずきん、少しキツめで現代風な顔をしたシンデレラ、頭からっぽで物事をあまり深く考えない王子様。概念を裏切ってこそのダークファンタジーである。賛否両論あるようだが、問題は中身ではなくて売り方。はじめからひねくれを覚えた大人を主客層と認めればよかったのに。

34.「ミニオンズ」(8月2日)

「怪盗グルー」から満を持してのスピンオフデビュー。言語を扱うことはできないが、訳の分からないミニオン語や身振り手振りは万人に通じるサイン。ただ、行動が成果に直接結び付くことはまずない。

35.「ビリギャル」(5月5日)

うちの子はきっとYDK。そう信じていればいつかやる気が芽生えてくれるかもしれない。実話がベースではあるが、子を持つ親にとってはちょっとしたおとぎ話である。信じ切る自信がなければ、著書を買ってしまうのだろう。

36.「カリフォルニアダウン」(9月12日)

最近のディザスタームービーは、想起させる災害が実際に発生してしまうと公開を延期しなければならないらしい。でも、サンフランシスコのビル群が次から次へと崩れていく様は、よくできた映像だがあまりに脆過ぎる。中国だとしてもここまでにはならないのではないか。

37.「ゼロの未来」(5月16日)

T.ギリアム監督には「天才」の称号がよく似合う。そのこころは、一度観ただけでは作品の良さや深さを理解することはできないということ。

38.「ロマンス」(8月29日)

TOHOシネマズ海老名が誇る1番スクリーンに大島優子見参。本人が登壇する舞台挨拶は「変態仮面」の鈴木亮平以来ではないだろうか。隣の座席は最後まで空席だったけど、転売しようとして失敗したのかな。

39.「わたしに会うまでの1600キロ」(9月25日)

ただれた人生をリセットしようと一念発起。ポジティブもネガティブもメンタルの問題だから、荒療治の方法はいろいろありそうだ。できればそんな必要なく一生を過ごしたいものであるが。

40.「グラスホッパー」(11月14日)

人気が高い作家の原作本は引く手あまただ。池井戸潤のような社会現象を生み出すまでには至っていないが、伊坂幸太郎作品も頻繁に実写映像化される。今回は平凡な一社会人だった主人公が裏社会の抗争に巻き込まれていく物語。最後まで内なるヒーローに目覚めないところが良い。

41.「きっと、星のせいじゃない」(2月21日)

閉塞してしまった人生に希望の明かりを灯してくれたパートナー。それがあっという間に自分を追い抜いて遠くへ行ってしまった。あまりに切ないけれど、今度は楽しい経験が自分を生かしてくれる。だから自分一人の足で歩いて行けるんだ。

42.「メイズランナー」(5月30日)

「ハンガーゲーム」シリーズが完結を迎えた年に新たなシリーズものがスタート。しかし、イオンシネマ北見では第1作は上映したものの、2作めを流す予定はないらしい。遠征してまで観るものでもないし、個人的には1作で完結かな。

43.「フィフティシェイズオブグレイ」(3月8日)

ひとことで言えば官能小説。M.グリフィスとドン・ジョンソンの子供であるD.ジョンソンが主人公の清楚な大学生を演じ、近年の映画では珍しい脱ぎっぷりを披露。作品の性格から必然ではあったが、その度胸には天晴れというところか。

44.「マジックインムーンライト」(4月11日)

軽いのはW.アレン監督の持ち味であるが、味わい深い軽妙さがなければ記憶を通過するだけで終わってしまいそう。E.ストーンにもあまり魅力を感じていないので、今年はハズレだったかも。

45.「バクマン。」(11月6日)

漫画界の頂点に君臨する「週刊少年ジャンプ」の存在を全方位展開。実際よくあれだけの人気漫画が次から次へと誕生するものだと思う。でも、コミックスは持っているけど、本誌を買ったことはない。

46.「テッド2」(9月12日)

また性懲りもなく、映画館まで足を運びながら低い点数を付けてしまった。ペイトリオッツは今期もAFCの第1シードを獲得。またスーパーを獲ってしまうのだろうか。

47.「インサイドヘッド」(7月21日)

今のピクサーにはあまり期待していないけれど、ほぼその通りの結果に。とどめはドリカムのフルコーラスPV。これが功を奏したのか、国内映画興行収入では年間10位にランクイン。これじゃ、この傾向まだまだ続きそうだわ。

48.「アオハライド」(1月3日)

美男美女の正統派恋愛映画はときどき見たくなるもの。だから、高校生に見えようが見えまいが、気分が入っていきやすいときは楽しいし、別に求めていないときには冷めた目で見ることになるだけだ。

49.「エイプリルフールズ」(4月9日)

東宝の作品は宣伝を巧妙に打って来るからつい観てみようという気になりやすいのだが、実はハズレ作品も相当多い。観る以前にCMの時点で地雷臭が漂っていた「ギャラクシー街道」は言わずもがなだが、本作も微妙だ。群像劇といえば聞こえはいいが、一つ一つのエピソードや人間関係を見るとしっちゃかめっちゃかな部分が多く見られた。

50.「フォーカス」(5月1日)

こき下ろすほどの酷さというわけではないが、積極的に評価するところも同じように見当たらない微妙な作品。W.スミスの名前だけで全国の映画館で公開できるのは大したものである。

51.「ピッチパーフェクト2」(10月29日)

いまいちノレなかった・・・。「1」と同じストーリーラインに無理やり持って行っている割には、越えるおもしろさは感じられず。音楽は相変わらず素晴らしいので、観て損したとまではいかないが。

52.「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」(8月23日)

「ギャラクシー街道」が公開されるまでは、今年のワースト評価を走ってきた本作。2部作にしたのも仇となり、約1か月後に公開した「2」の興収は1作めの半分までしか伸びなかった。原作ものを安易に映画化しようとする製作者側は、この記録を正面から受け止めて今後のあり方を考えるべきだ。

53.「ソロモンの偽証 後篇・裁判」(4月12日)

新人さん含め俳優陣はそれなりに演じていたと思う。気に入らないのは1本の映画としての形を成していない前篇の存在と、肝心かなめの物語のオチである。この事実に全員が振り回されるって構図が腹立たしい。

54.「ヒロイン失格」(9月20日)

ネット民含めて広く人気のある桐谷美玲が変顔やコミカルな演技を披露することが話題になり、見事なサプライズヒットに。年間の興行収入成績でも23位に食い込んだ。でも、個人的には登場人物の誰にも共感できなかったので残念としか言いようがなかった。

(番外)「ソロモンの偽証 前篇・事件」(3月29日)

 採点不能。
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「007 スペクター」

2015年12月28日 00時53分20秒 | 映画(2015)
蛸と凧との絡み合い。


前作「スカイフォール」の敵は、Mに対する私怨が育て上げたと言って過言ではない人物であったが、今回はボンドとの浅からぬ縁が鍵となる。

D.クレイグのシリーズはすべて続きものになっているので、前の作品を復習しておかないとついていけない部分ができてしまう。「金曜ロードショー」に感謝だ。

続きものは話がインフレになりやすくなるところが辛い。今回の敵・オーベルハウザーは、シリーズこれまでの災難はすべて自分の組織が仕組んだものであると暴露する。

前作はおもしろかったし、あんなにがんばったのに・・・と思うと少し複雑。「嵐の中で踊るだけの凧」という表現がぴったりハマる。時々羽目を外さないとやってられない稼業なわけだ。

最強かつ最大の敵は、絶対的な力を持って世界を牛耳ろうとしていたが、心のどこかではボンドが困難を乗り越えて自分のところへやって来ることを期待してもいたと思う。

スカイフォールでの攻防をくぐり抜け、Mが遺したメッセージを発見し、ボンドは細い細い道を通ってオーベルハウザーの元へたどり着く。

ボンドが現れなければあっさりと世界を手玉に取れていただろうけど、きっと物足りなく感じてもいたであろう。闇の組織スペクターでは影の存在に徹していたものが、ボンドを目の前にしてからいきいきと自ら手を下し始める。

九分九厘勝利が決まった段階から形勢を逆転されても、逆上して自分を見失うような素振りは決して見せない。実は喜んでいるのではと思うほど冷静な敵なのである。

そんなオーベルハウザーを演じるのはC.ヴァルツ。出番こそ少ないものの、知的でありながら狂気を秘めた敵役を好演している。ボンドにとっては極めて私的な宿敵であるし、このまま終わってしまうのはもったいない気がした。

ボンドガール(若い方)はL.セドゥ。「M:I」の殺し屋から順調に出世街道をまい進。美しさにも磨きがかかっている。

D.クレイグのシリーズは区切りの段階を迎えた。本作は007としての半世紀を超える歴史の中で最高の興収を挙げているが、次回作はどうなるのか。もしD.クレイグが降板するとしたら、次のボンドは誰で、ストーリーは続きになるのか再度リブートすることになるのか。

ただ誰が取って代わるにしても、相当ハードルが高い挑戦になることは間違いなさそうだ。

(75点)
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「スターウォーズ フォースの覚醒」

2015年12月27日 10時35分56秒 | 映画(2015)
子育ては難しい(実感)。


「スターウォーズ」との出会いは、エピソードⅥ「ジェダイの復讐」(当時のタイトル)を映画館へ観に行ったときに遡る。

ただそのときは、前作の予習をしない上に、当時仙台で最大規模を誇った東宝劇場の最前列という条件下で、何がなんだか分からないうちに終わってしまったので、本格的に向き合ったのは、その後のシリーズ再始動に当たって公開された特別篇ということになる。

エピソードⅣ「新たなる希望」の公開から40年近くを経ても、新作の発表や再始動の度に新たなファンを獲得してきたシリーズ。初期のファンは70・80代も多く、今回のムーブメントは史上最大になっていると思われる。

新たに綴られる物語で登場人物たちがどのような運命を辿るのかがもちろん最大の関心事ではあるが、同時に、ルーカスフィルムがディズニーに買収され、G.ルーカスが表舞台から去ったことで、どれだけシリーズのテイストが保たれるかなどあらゆる面で興味は尽きない。

そんな大役を任されたJ.J.エイブラムス監督をはじめとするスタッフ陣だが、ここまでは堅実に仕事をやり切っている印象である。

特に、公開日まで本篇の秘密を守り通したことと、対照的に相当前から関連商売を多角的に展開し興味を社会現象まで盛り上げた手腕は、お見事としか言いようがない。

たださすがに公開後は情報が漏れてくることが予想されたため、ネタバレを食らわないよう東京へ戻る前に観ることにした(日付入りの限定パンフレットを売っているというので思わず購入。徹底した商業主義に恐れ入る)。

冒頭。”A long time ago in a galaxy far, far away …”の文字に続くテーマ音楽と宇宙空間を流れていく導入の英字説明に、コアなファンでなくとも心が揺さぶられるのを感じる。

新しい3部作のスタートであり、序盤は初登場の人物ばかりだが、脚本やキャラクター設定が上手く書かれているためか話を見失うことは一切ない(ストームトゥルーパーから脱走するフィンについて、マスクに血糊を付けるあたりなんて実に親切)。

そして旧作ファンが待ち焦がれたハン・ソロ、レイア、C-3PO、R2-D2、チューバッカの登場。ここぞという場面での少しずつの登場。これも脚本が上手い。

戦闘場面のご都合は相変わらずではあるが、「スターウォーズ」はあくまでスペースオペラであるからこれで問題ない。

そして本作最大の謎。ルーク・スカイウォーカーはどこへ行ったのか?出てくるのか?引っ張るだけ引っ張る。上手い。

それにしても、これは偶然の産物だと思うが、このエピソードⅦが図らずも最初の3部作から30年以上の時を経て作られたというのがすごい。はじめは1977年から3年ごとに1作製作し、2001年に9作が完結する予定だったと記憶しているが、結果的には良かったのかもしれない。

C.フィッシャーなんて見事に年をとって、特殊メイクなしでぴったりの容姿になっていたし、大スターになったのがH.フォードくらいで、全員が健康な状態で再結集できたのもちょっとした奇跡だ。

新しいキャラクターの魅力も十分伝わってきたし、問題といえば、今後エピソードを重ねるに当たって、爆発的なブームから右肩下がりにならざるを得ない状況を世間が許容するかどうかくらいではないか。

(85点)
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「コードネームU.N.C.L.E.」

2015年12月27日 10時33分16秒 | 映画(2015)
結局U.N.C.L.E.が何を指すのかはよく分かっていない。


本作の予告篇はしばらく前から目にしていた。

米国とロシアという冷戦の敵国同士が異例のタッグを組んだスパイ映画という基礎知識はあったが、わざわざ映画館へ足を運ぶまでのものは感じていなかった。

今回、空いている時間にぴったりはまったのでたまたま観ることになったのだが、なんだこれ、結構おもしろいじゃない。

しかも米国のスパイが「ナポレオン・ソロ」と呼ばれている。それなら知ってる。既に再放送だったろうけれど、子供のころ見たおぼえがある。

G.リッチー監督は洒落た映像を撮るのに長けているから、1960年代の街並みや人々のすべてが洗練されて見える。

その舞台で輝く2人の敏腕スパイと謎の女性。3人とも危うさを讃えた魅力を十分に放っていた。H.カヴィルはスーパーマンだけあって、カチッとした人物がハマる。

騙したり騙されたり、アクションだけじゃなくロマンスやコメディーも盛り込まれ、終盤には意外な人物が鍵を握る場面も。

サービスいっぱいのお得感のある作品であったのだが、世界的な興行面ではあまり芳しくなかったらしい。

よく見かける分析としては、今年は「M:I」や007という「超」が付くほどメジャーなスパイ映画シリーズが公開されており、埋没してしまったのではないかということ。

ただ一方で「キングスマン」はきちんとヒットしているわけで、スパイ映画というジャンルが原因ではなかったことが分かる。

配役のネームバリュー、エッジの効いた描写、何か突き抜けたものがないと人は呼べないということなのかもしれない。

DVDレンタルでは受けるような気がする。気軽に手にとって観てみたら案外おもしろかったというような。ただ、せっかくのアクションは映画館で観なければもったいない。

(75点)
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「海難1890」

2015年12月27日 10時30分32秒 | 映画(2015)
仲良きことは美しきかな。


世界有数の親日国として知られるトルコ。その歴史を遡ると、100年以上前の海難事故に当たるという。

かつて、海難事故に遭ったトルコの人たちを懸命に救った漁民たちがいた。そして、1世紀後の中東・テヘランで、途方に暮れた邦人たちを最優先して飛行機で避難させてくれたのはトルコ人であった。

混迷を極める時代の中で、目には見えないけれど確かな人どうし、国どうしの繋がりがあることを、日本・トルコ政府全面協力のもと映画という形で表した作品である。

うがった見かたをする人からすれば、非常に政治的な胡散臭い映画と映る。冒頭にトルコ大統領がひとこと述べることで、その印象はよりいっそう強くなる。

(政治的な)配慮は映画の端々に垣間見える。物語の配分、俳優の数のバランスや、両国を、そして100年前と現代を繋ぐ小道具の配置。誉め言葉に聞こえないかもしれないが、非常に優等生な作りだと思った。

二部構成の前半は、映画の題名となっている海難事故が描かれる。これはかなり見応えがあった。嵐の場面も、座礁・爆発の後の救出も、その後の島民とトルコ人のふれ合いも、丁寧に綴られていたと思う。

しかし残念ながら、後半のテヘラン脱出劇がどうにも安っぽかった。

48時間以内にイランから出国しなければいけない中で、様々な制約が絡み自国からの救援が不可能となったわが国。そこに救いの手を差し伸べたのがトルコである。

そこには100年以上前の恩義が少なからず影響しており、当時の首相は自国民より優先して邦人を救援機に乗せたという。

これは驚くべき話である。そしておそらく事実なのだろう。

しかし、結果が美談だからといって、トルコ人全員が卒業式のように通路を空けて邦人を送り出すという演出は、ありえなさ過ぎて醒める。

映画なのだから、ドラマ的な演出を否定するつもりはない。どのような演出が良かったのかという問いにも答えられない。ただ、残念だったとしか言えない。

もう一つ残念だったのは、この作品が東映の映画だということ。東映が悪いというのではなく、宣伝上手の東宝が客層の被る「杉原千畝」をぶつけてきたことで本作の存在が霞んでしまっていることである。本当に政治力が働いた作品なら、東宝にこそ圧力をかけるべきだったであろう。

俳優陣は良かった。頼もしい佇まいの内野聖陽、東洋的な容姿で国際経験豊かな忽那汐里の存在感は光っていた。忽那汐里は将来工藤夕貴のようなポジションになれるかもしれない。

(70点)
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