Con Gas, Sin Hielo

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「9<ナイン> 9番目の奇妙な人形」

2010年05月22日 01時15分22秒 | 映画(2010)
なんで今年は9なんだ?


相変わらず混沌の世の中。株価もまた暴落。

世界の週末を描く映画がひっきりなしに作られるのは、終わりを楽しんじゃおうという自虐的な姿勢が強くなっているのかもしれない。

でも、これだけ多くの作品が作られると、少なくとも印象に残る個性がないと「フェーズ6」のように埋没してしまう。

この「9」はCGアニメである。そして生きている人間が出てこないのが特徴だ。

人類が息絶えてしまった世界で、人間が作ったマシンと人形が戦うという苦い設定。

人間以外を主役に立てて話を作る点ではピクサー作品、特に「ウォーリー」を思い起こさせるのだが、もちろんそうはならない。

主役の人形は邦題の副題にあるように一見「奇妙」である。おそらく体型や質感のせいだと思うが、ピクサーのキャラクターのような安定感に欠けている。

しかし、冒頭でその不安定さが効果となって現れる。

人形「9」が、目を覚ましていきなり荒涼とした世界を目にしたとき感じたであろう不安感が、なんともバランスの悪い人形の第一印象と重なるのだ。

そして、不安を共有しているだけに、「9」の成長とともに観客は同化して感情移入を深めていく。この辺はうまくできていると思った。

対して、徹底して恐怖と不快を撒き散らす金属体として描かれるマシンも強い印象を残す。

人形から魂を抜き取る攻撃もなかなかえぐいし、"OVER THE RAINBOW"の流れる中で砂煙とともに向かってくる光景も強い。

そんなわけで、さすがはCGアニメというキャラクターの作り込みには感嘆したが、不満がないわけでもない。

細かい話だけど、科学者の心が込められた9体の人形はなぜ9体なのか。「2位じゃだめなんですか」的な議論ではなく、どの思いをどう託していったのかをもう少し描いても良かったと思う。

同様に、テンポが良いに越したことはないが、「9」は結構あっという間にヒーローになってしまった気がするし、「1」に授けられた「人間の心」の良さがあまり描かれていないなど、もう少しじっくり描くべき部分があったのではないか。

(75点)
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4 コメント

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Unknown (mig)
2010-05-23 10:06:48
おはようございます☆コメ遅れました

あ、結構高めですね!
これいっちゃうとどんな映画もそうだけど
やっぱり好みによるところが大きいですね。
キャラクターはよかったんだけど
期待してた以上のモノはなかったかなぁ、
長編にすることのメリットもあまり感じられず。
あ、多くの人がより見られるってことかな☆
全部CGってより、手作り感あるのを感じる方が好きなんですよね、、、、

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想像どおり (クラム)
2010-05-23 11:46:16
migさん、こんにちは。

期待してた以上のものがなかったという点では近いかもしれません。
CGはあまり気になりませんでした。
ああそういえば、という感じで。これも個人差でしょうね。

長編になったお陰で観られたのは私も同じ話なので、
それだけは確実にメリットと言えそうではあります。
でも、あまり上映館数多くないですね。
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はじめまして。 (naotomo)
2010-05-25 13:27:08
私も、人形たちやマシーンの造形はすばらしかったと思いますが、ストーリーに関してはすっきりしない感じでした。

思ったのは、人形たちがマシーンを倒しても、それで人間世界が復活するわけではなく、世界は破滅したままだったところに、すっきりしないものを感じたのだと思います。

もうひとつ思ったのは、スケールの問題です。奇妙な人形たちの大きさから考えると、人間と比べてマシーンたちが特別に巨大というわけでもないようで、そんなマシーンに人間が滅ぼされたというのが、ちょっと...

まあ、毒ガスのせいなんだろうけど...
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ポスト人間界 (クラム)
2010-05-26 23:15:27
naotomoさん、はじめまして。

人類は自らの愚かさ故に滅んだわけでありなんとも厳しいですが、
良心だけは伝えられていくという点に救いを求めるのでしょう。

人形に比べれば大きいマシンも確かに巨大ということはなさそうですね。
ただ敵に合わせた戦闘マシンを創造しているとすれば辻褄は合うかもしれません。
にしても、小さな人形たちをも全力で潰しにかかる様は
凄まじいと思うとともに、なぜ?の部分も少なからずありました。
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