24時間緊張を保てるとしたら、それは中毒でしかあり得ない。
この映画の上映時間は131分。その間、生命を削る兵士たちの闘いが切れ目なく描かれる。
正直言って疲労が溜まる。2時間ちょっとでこれなのだから、前線に派遣された者が味わう戦慄はもはや想像の域を遥かに超える。
映画だから多かれ少なかれ脚色が加わっていると思う。有名ではない俳優が演じているとはいえ、配役にこれから何が起こるか予兆を感じるし。
たぶん本当の戦場は、もっと地味で更に過酷なのではないだろうか。誰もが1秒後の運命が分からない中で歩を進めて行くのだ。
冷静に考えれば、こんな割に合わない任務を何故好き好んで引き受けるのかと思うのだが、そこが「戦争は麻薬」なのである。
任務を終えた軍曹が家族とスーパーで買い物をし、ベッドで子供を寝かしつける。しかしそこで気付くのは、いるべき場所にもはや馴染めない自分だ。
彼のように「何か違う」と感じる場合もあれば、戦場のトラウマに押し潰される場合もあるだろう。それは皮肉にも現地で全力を尽くすほど傷が深い。
理不尽な争いの連鎖はどうすれば止めることができるのか。常に考え続けなければいけない問題であるが、一方で、戦争を知らない我々が軽々しく語るべきではないとも思う。
そういった意味では、本作でアカデミー監督賞を獲得したK.ビグローの姿勢には感服する。
個人的な主張は極力抑えて、過酷な前線で生存するということを生々しく描いた姿は、まさしく作品賞の風格が備わっている。
冒頭で脚色について批判的とも取れる書き方をしたが、映画としてみた場合それぞれのエピソードは非常に骨太で、観る側に強烈な印象を与えることに成功している。
多くの傷が早く癒えますように、そして新たに生まれる傷ができるだけ少なくなりますようにと祈るばかりである。
(90点)
この映画の上映時間は131分。その間、生命を削る兵士たちの闘いが切れ目なく描かれる。
正直言って疲労が溜まる。2時間ちょっとでこれなのだから、前線に派遣された者が味わう戦慄はもはや想像の域を遥かに超える。
映画だから多かれ少なかれ脚色が加わっていると思う。有名ではない俳優が演じているとはいえ、配役にこれから何が起こるか予兆を感じるし。
たぶん本当の戦場は、もっと地味で更に過酷なのではないだろうか。誰もが1秒後の運命が分からない中で歩を進めて行くのだ。
冷静に考えれば、こんな割に合わない任務を何故好き好んで引き受けるのかと思うのだが、そこが「戦争は麻薬」なのである。
任務を終えた軍曹が家族とスーパーで買い物をし、ベッドで子供を寝かしつける。しかしそこで気付くのは、いるべき場所にもはや馴染めない自分だ。
彼のように「何か違う」と感じる場合もあれば、戦場のトラウマに押し潰される場合もあるだろう。それは皮肉にも現地で全力を尽くすほど傷が深い。
理不尽な争いの連鎖はどうすれば止めることができるのか。常に考え続けなければいけない問題であるが、一方で、戦争を知らない我々が軽々しく語るべきではないとも思う。
そういった意味では、本作でアカデミー監督賞を獲得したK.ビグローの姿勢には感服する。
個人的な主張は極力抑えて、過酷な前線で生存するということを生々しく描いた姿は、まさしく作品賞の風格が備わっている。
冒頭で脚色について批判的とも取れる書き方をしたが、映画としてみた場合それぞれのエピソードは非常に骨太で、観る側に強烈な印象を与えることに成功している。
多くの傷が早く癒えますように、そして新たに生まれる傷ができるだけ少なくなりますようにと祈るばかりである。
(90点)