パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞、未公開DVD、お気に入り自己所有のビデオ・DVDの感想などネタバレ有りで記録しています。

オーバー・フェンス ★★★★

2016年09月23日 | アクション映画ーア行
近年再評価が進む不遇の作家・佐藤泰志の小説を、大阪芸術大学出身の気鋭監督で映画化する「海炭市叙景」「そこのみにて光輝くに続く“函館三部作”最終章。人生に挫折し、将来の展望のないままに孤独で無気力な日々を送る主人公が、キャバクラで働くヒロインや職業訓練校の仲間たちと織りなす不器用な交流を通して少しずつ変わっていく姿を描き出す。主演はオダギリジョー、共演に蒼井優、松田翔太。監督は苦役列車」「>味園ユニバースの山下敦弘。
あらすじ:妻子と別れ、故郷の函館に戻り、職業訓練校に通いながら失業保険で暮らす男、白岩。訓練校とアパートを往復するだけの毎日で、すっかり生きる意味を見失っていた。そんなある日、同じ訓練校に通う代島に連れて行かれたキャバクラで、聡という男みたいな名前のホステスと出会う。昼間は寂れた遊園地でバイトし、鳥の動きを真似て踊るこの風変わりなホステスに急速に惹かれていく白岩だったが…。

<感想>同じ原作者の前2作の気取りと名作志向は感じられなかった。作品を山下敦弘監督が自分の世界にしているのも良かった。舞台となる函館の灰色の空を、数羽のカモメが飛んでいる。空が曇るのは鳥が飛ぶ時だけのようだ。晴れやらないのはオダギリジョー演じる白岩の心のようだ。

だが、傍目にはそうは見えない、職業訓練校では白岩は静かな雰囲気の兄貴分のイメージであり、仲間から慕われているようだ。何処へ行くにも自転車で移動する。
主人公は引っ越してきて3か月も経つのに、段ボールはそのまま開けていない。そこへ妹の旦那がやって来て、存在感も隠し味的に効いている。主人公のことを、実家の父親とか心配しているのだ。

職業訓練校のやるきの感じられない建築課の訓練の後で、決まってソフトボールの練習をするのだが、こちらもやるきのなさが感じられるのだ。若い教官にしてみれば、みんなのチームワークを図るための運動なのだろう。

ここへ通っている生徒たちは、経歴も年齢もバラバラな連中に、大工や自動車修理工の技術を習得させることを建て前とした場の、生徒と教官双方を覆う独特の倦怠感が感じられるのだ。中には定年退職者の年齢の人もいるし、みんなどういうわけか喫煙所でたばこを吸いながら飲み屋の女の話とかしている。
しかし、大人同士なのに、いい年をして弱いもの虐めみたいに、やる気のない大学中途出の男を教官からして、ダメ人間とハンを押したように決めつけ、だからなのか、生徒たちもみなその男を阻害して仲間外れにしてしまう。その男、森が精神的にキレてしまう場面では、ソフトボール大会では外されて見物状態に、そして教官を襲う森くんの行動に驚き、みんなが止める。結局は、彼は退学となるのだ。

そして、松田翔太演じる代島が白岩をキャバクラに誘う。つまり、彼はそのキャバクラの店長として働くことを決めているも、白岩を副店長として一緒に働かないかと誘って来る。

そこで働いている女、聡が店の中で機嫌のいい時には、鳥の求愛ダンスの真似をしてはしゃぐという特異な存在が強調されている。

この聡という女を演じているのが、蒼井優であり情緒不安定で鬱病らしく、白岩が結婚指輪をはめていることや、別れた妻と会って泣いていたりすることに過剰に反応し、鬼の形相をして暴力的であり、破壊的な行動に出るのだ。

それに、白岩を自分の部屋に招き入れ、暗い台所で全裸になり体を洗う姿とか、ここでは奇怪なふるまいを通して、危うい傷つきやすい魂を抱えている女を演じて上手いのだ。

そんな危ない女、聡を好きになり、失業保険で暮らしている中年男の白岩のいい加減さも含めて、将来性もまったく感じられないし、そういう絶妙な距離感というか、別れた妻の優香との久しぶりの逢瀬。喧嘩別れをしても、幼い女の子がいる元夫婦。妻が指輪を返してくれ、自分はまだ未練たらしく指輪をしている白岩の男心(ここでさめざめと泣く白岩)も垣間見えて良かった。
タイトルの意味が最後に判明するのだが、ソフトボール大会のことであり、大負けに負けていたのに、白岩がホームランをかっ飛ばすその瞬間の感銘には、分かっているのに衝撃を受けた。これは、白岩がウジウジしていた今までの生活に決着をつけるという意味もあるかと、そう思ってならない。

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ハイ・ライズ ★★★

2016年09月21日 | アクション映画ーハ行
巨匠J・G・バラードのSF小説を「マイティ・ソー」のトム・ヒドルストン主演で映画化。上層階と下層階の間に大きな階級格差が存在する40階建て高層マンションを舞台に、ある出来事をきっかけに内部の秩序が破壊され、それまで死守されてきたヒエラルキーが崩壊していくさまを、不条理かつ退廃的なタッチで描き出す。共演はジェレミー・アイアンズ、シエナ・ミラー、ルーク・エヴァンス。監督は「サイトシアーズ ~殺人者のための英国観光ガイド~」のベン・ウィートリー。

あらすじ:セレブばかりが住むゴージャスなタワーマンションで、一体何が起きたのか?現代社会のヒエラルキーの崩壊を描くミステリードラマの傑作!1975年のイギリス。ロンドンから北2マイルに位置する富裕層向けの新築タワーマンションは、ラグジュアリーな内装や抜群の眺望のみならず、敷地内にスーパーマーケット、プール、銀行、医療施設、小学校、レストランなど、ありとあらゆる設備が整う、人々の生活の夢を具現化したかのような住居空間だった。

医師のラング(ヒドルストン)は25階に新たに独りで越してきた。入居者たちは俳優、モデル、アーティスト、TVプロデューサーなど、すべて一流のセレブリティばかり。彼らは毎晩、派手なパーティーを開き、自らの成功に酔いしれ人生を謳歌していた。ラングもまた、この狂乱の宴の中に身を投じていく。最上階に住む、マンションのコンセプトを考案した建築家ロイヤル(アイアンズ)にも気に入られ、順風満帆な生活がスタートするかに思えた。ある時ラングは、ワイルダー(エヴァンス)という住民と出会い、フロアの高低に基づく階級間の摩擦が存在することを知る。そして突如起こった停電を境に、ついに住民たちの問題は顕在化する――。

<感想>「太陽の帝国」で知られるJ・G・バラード原作のSF小説を映画化。理想のライフスタイルを求め高層マンション群の「ハイ・ライズ」に引っ越してきた医師のラング。上層階にはよりセレブが、下層階には家族連れのそれなりなセレブが多く住み、フレンドリーな雰囲気に反して『階級』がガッツリ根ざすセレブマンション。

自分で設計したビルの最上階に住み、屋上庭園でくつろぐタワーの設計者ロイヤルは真っ白な服をまとい神のような存在である。演じているのはジェレミー・アイアンズ、しかしここでの神なんて渦巻く思念の前では通用せず引きづり下ろされるのだ。

憧れてビルの中階に仲間入りをしたトム・ヒドルストンの医師のラングが敵役である。それに、低層階に住むワイルダーに扮したルーク・エヴァンスの存在感に圧倒される。だが、ビルの内部崩壊の図式化を急ぎ過ぎて人物像が混乱し、リアリティを欠いたことも確かであります。

これは評価が分かれるようですね。物語世界のカオス化と同時に語りもカオス化するお話しを、1本の筋書きとして追えなくなり、時間も空間も混乱するという大胆さゆえに高く評価する人もいるだろうが、一方では崩壊する過程の描き方が単なる思わせぶりな映像の断片の羅列ではないかという、これは演出の放棄ではないかと思うのだが。

合理的な世界ではないので、どうしてみんな逃げ出さないのか、という疑問も湧く。上下のあるところで人が暮らすと、本作のように、だからと言って前後しても「スノーピアサー」のように死人が出ても誰もマンションから出て行かず、その破滅をただただ受け入れ・狂い・暴動を起こし上へ上へと昇っていく。

スーパーの食料も底を尽き、牢獄のようなディストピアと化す。犬のバーベキューに、タワーの設計者ロイヤルの屋上庭園で飼っていた白い馬のバーベキューを見た後での高層ビルの実景描写が妙に恐ろしく感じた。

決して良いとは思わないが横並びが無難で、それを分かっていた昔の日本の長屋の暮らしはたいしたもんだと痛感できた。映像も凝りに凝っているし、出演者の顔ぶれにもグッとくるし、特に主人公のトム・ヒドルストンのスーツ姿の着こなしぶりに惚れた。

舞台となる高層マンションを筆頭に、仮装パーティーのベルサイユ宮殿のような雰囲気とか、美術や衣装はクラクラするほど完璧で良かった。

しかしだ、肝心のビル崩壊への経緯も崩壊後の混乱も、死んだ人間はプールが墓場となり、金持ち人間は掃除洗濯など生活一般のことが出来ない人たちばかり。だからなのか、ダラダラしてばかりでノレないのだ。

文句を言えば、使用人を使ってないのか掃除とか、インフラ整備もスムーズじゃないし、スーパーの品揃えなんて明かに乏しいし、ダストシュートが狭くて粗大ごみ袋はダメなんて、どうするのセレブなのにゴミ分別までやらなければならないの。至れり尽くせり設定のマンションなのに、設備や内容がそこまで魅力的じゃないのが残念であり、そこが惜しい。

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めぐりあう日 ★★★

2016年09月20日 | アクション映画ーマ行
『冬の小鳥』のウニー・ルコント監督がメガホンを取り、親を知らずに育ったヒロインと母親の30年振りの再会を描くヒューマンドラマ。出生の秘密を調べるため、とある町に引っ越した理学療法士が、運命的な再会を果たすさまを映し出す。主演は、『君と歩く世界』などのセリーヌ・サレット。治療を通して共鳴し合う娘と母の心と共に、ジャン=リュック・ゴダール作品などの撮影を手掛けてきたカロリーヌ・シャンプティエによる叙情的な映像も胸にしみる。
あらすじ:生みの親が誰かわからない理学療法士のエリザ(セリーヌ・サレット)は、自分の出生について調べようと息子と一緒に北フランスのダンケルクに移り住む。しかし、実母は匿名を望んでいた。ある日、息子が通う学校に勤務しているアネット(アンヌ・ブノワ)が、エリザの療法室を訪れる。治療を重ねるにつれて、二人は不思議な親密感を覚え……。

<感想>韓国の孤児院を舞台に、里親を待つ子供たちと過ごす9歳のジニの“通過儀礼”を描いた冬の小鳥』(09)に感動しつつ、今回もウニー・ルコント監督の生い立ちを反映した、孤児の女性の母親探しの物語。原題は、アンドレ・ブルトン「狂気の愛」の末尾の一言。これだったら、邦題の付け方の優しい感じがいい。
観ていてあの「冬の小鳥」のあの孤児院の少女が、この映画の監督なのだと言う思いが頭から離れなかった。確かに、前作「冬の小鳥」のタッチと繊細さと頑固さが共存しており、さりげなく動くカメラも悪くはない。

理学療法士であるヒロインは、情報よりも先に、直接その探していた母親の肌に触れるという手掛かりを得るが、漂う予感が確信に変わるまでの不確かさが美しく感じた。
エリザは母親を知りませんが、母親の肉体から生まれたのです。その出産という極めて肉体的な行為を想起させるような、手と肌と骨の映像が観ているこちらにも伝わってくるようでした。だから、エリザが施術をする時の肌の描写が、息をのむほどに美しかった。

この物語は、子供を捨てた母親と養父母の元で育った子供、その二人の30年後の姿、再会を描きたいということから始まっている。その内にお互いが親子と知らない段階で、既に再会していたらどうなるのだろう。
自分探しというのは嫌いな言葉ですが、生みの親を知りたいと思うことは、自分を知りたいことに他ならない。監督が韓国の孤児院で育ち、9歳で養女となりフランスへと渡ったルコント監督の切実なテーマであります。

エリザが息子を連れて自分が育った養護施設を訪ねるけれども、塀に阻まれて中には入れないという、痛切な光景が映し出される。子供を養子にだした母親が匿名を希望する場合には、それぞれの事情があると思います。しかし、子供が自分を探していると知って名前を公表するのは、果たして誰のためなのだろうか。知りたい子供、知りたい親、さらには知らせたいという親の想いが加われば、当事者同士の望むところは合致するはずなのに。理屈どうりにはいかないところが、逆に真実味があるのです。

そしてエリザを生んだ母親のアネットが、匿名を解除して実名を名乗るために書類に書くシーンがあります。1981年11月17日にダンケルクの産院で女児を出産。エリザベットと命名。彼女はその後は、結婚していないようで、現在は小学校の給食のおばさんと、掃除の仕事をしている。合間に近所の犬の散歩も。その小学校で、エリザの息子のノエと出会い、孫が宗教上の理由から豚肉を食べられないという、その時の給食は豚のソーセイジでした。転校生でもあり、他の子供たちかた虐められているような感じもしました。

それに、息子の父親とは別居生活という、エリザのお腹には彼の子供が宿っており、自分のルーツのこともあり彼の2人目の子供を産みたくないという選択をします。そういう意味のあってなのか、彼女が自分の生い立ちを知りたくなって、母親の住んでいる場所へと引っ越してきたのでしょう。結局は、彼女の判断で2人目の子供は中絶してしまう。この迷いも女性には、大変精神的にも肉体的にも辛い選択だったと思います。
エリザは確信を得て、生みの母親であるアネットのところへ。そこには兄妹と住んでいる母親の幸せそうな姿がありました。自分の出生の秘密を知り、本当はこんな理由だったなんて知らなくても、孤児院で育った子供には、親が自分で育てる力がないという理由が多いのに。

自分が里親のところで幸せに暮らし結婚もして、息子を生み、それに第二子まで授かったのに。自分の出生の事実を知ったことで、何が変わると言うのか。他人の生き方にあまり苦言は言いたくないが、もっとしっかりと足を地に付けて生きて欲しかった。息子は母親の生き方を良く見ているから。
もっとドラマチックに描かれるところを、抑制が効いており良かった。あまり私には好きなタイプの映画ではないが、こういう母娘ものは、日本では受けるのだろう。最後の朗読は唐突でもあるが、これを言いたかったのだと思う。
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怒り ★★★★

2016年09月19日 | アクション映画ーア行
「悪人」の李相日監督が再び吉田修一の小説を原作に、実力派俳優陣の豪華共演で贈るヒューマン・ミステリー・サスペンス。残忍な殺人事件が発生し、犯人が逃亡して1年後、千葉・東京・沖縄に現われた前歴不詳の若い男3人が、やがてその土地で新たな愛を育んでいく中、真犯人を巡る謎と犯人ではとの疑念が思わぬ波紋を周囲に広げることで生じるそれぞれの葛藤のドラマを描き出す。出演は渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡。

<感想>「悪人」で多くの賞を総なめした李相日監督が、再び吉田修一の小説を、更に力を込めた作品であります。殺人現場には被害者の血で殴り書かれた“怒り”の文字が、凶々しい夫婦惨殺の未解決事件の真相が、東京、千葉、沖縄の3地点の“身元不明の”男たちとの恋、人間模様を通じて明らかになってゆく物語。

まずは、千葉から家出をして東京で風俗店で働いている娘の愛子、人生を放棄してただ、毎日男にいいようにされてだらしなく生きている娘。父親が迎えに来るも、愛らしい顔の愛子を演じた宮崎あおい。どんな役にでも徹して、こなしていく上手い女優さん。
どこか頭が弱い女を演じていて、父親のところで働いている身元不明の男、松山ケンイチを好きになり一緒にアパートで同棲することに。心配する父親、東京で自堕落な生活をしていても、顔を叩くわけでもなく怒鳴るわけでもなく、ただ娘のことが心配で怒らないだけ。

この父親も娘のことを溺愛するばかりに、警察の指名手配写真を見て愛子が好きになった男,田代がその殺人犯だと思い込み、娘もじっとその写真を見て警察に通報するのだ。ですが、その田代は、殺人犯ではなく、その写真の男によく似た別人だったということ。失ってから信じてやれなかったことを悔やみ、しかし、娘が彼を探し出して迎えに行くと言うのを、許してあげ父親として暖かく迎えてあげようと思う親心。父親の渡辺謙さんは、現実でも実際に子供を叱れない優しい父親なのでしょう。

そして、東京の会社員のゲイの優馬に妻夫木聡が演じていて、相手はどこか女性らしい身元不明の直人役の綾野剛。優馬の母親が死の床につき、見舞いについていく直人に、母親は自分の息子のことを何処まで知っているのか、連れてきた直人が親切にも最後を見届け、母親のお墓のことで「お前も一緒に墓に入るか」という優馬の言葉に嬉しそうに頷く。

だが、悲しいのは愛してたのに最後まで信じきれなかった妻夫木聡と綾野剛の関係。TVの指名手配写真を見て、直人と似ているような、そんなことから彼を信じられなくなり辛く当たり散らす。そのために、直人は家を出てゆく、その後に聞いたのが直人は重い病気だったということ。その後、公園で亡くなっていたという。今更悔やんでも悔やみきれない同性愛の恋人同士。

そして、沖縄では離島に引っ越してきた東京の高校生の泉は、無人島に1人で住みついている謎めいたバックパッカーの田中に心惹かれていくが…。その沖縄の無人島の空を爆音を立てながら戦闘機が飛んでいるシーンと、青い海の色に白い砂浜の美しさ。泉役の広瀬すずのアメリカ兵のレイプシーンは、観ていて余りにも酷い衝撃を受け、今まで高校生の純真な役どころばっかりだったけれど、今回の役は汚れ役で女優さんには嫌な役だと思う。

しかし、その汚れ役を必死で演じていた広瀬すずが、海辺で叫ぶ“怒り“の魂の叫びには感動しつつ、今後の作品で女優として大いに役立ったと思う。
そして、犯人の動機という意味ではあやふやな描き方で、夏の暑い日に仕事先に出向いて行った犯人が、そこには誰もいないし電話をすれば全然違う場所であって、結局は仕事はもらえなかったという。イライラする話であり、若者がキレる状態、つまり太陽が照り付ける熱い夏で、休んでいた家の奥さんが親切に麦茶を出してくれた。
それなのに、その男は何を思ったのか、その家にそのまま強盗に入って、奥さんを殺して冷蔵庫の中の物を食べ、そこへ旦那が帰ってきて殺して、朝方までそこにのんびりと居たという。そして、壁に被害者の血で“怒り”と殴り書きする。朝になりそこの自転車で平然とした顔で帰るという、その犯人の神経は尋常じゃない。

冒頭から、3人の男が別々のパターンで描かれており、3つの場所で生まれる人々の疑心暗鬼。人間の奥底に潜むこの感情はいったいどこへ向かうのか。そのうちの誰が犯人なのかと想像をしてしまう。指名手配の写真は整形もしており、3人とも良く似ているのだ。だから、疑うのも無理はない。
しかし、沖縄の田中だけは異常に違って見えた。それは世田谷一家殺人事件や、市橋達也の事件を思い出し、沖縄の無人島に逃げた市橋達也のことを。そこへいた男は、森山未來が演じており、民宿を手伝ったりして温厚そうな性格だが、何かがキレ始めると壊れだして暴れ始める。
この作品では、誰かを信じることの難しさ、あるいは人を疑ってしまうことの闇。誰かを、何かを永遠に信じ続けることは不可能かもしれません。他人を信じないことと、信じてしまった理由を積み重ねていくと、結局は自分自身を信じ切れるのかということに繋がっていくような気がする。この映画は、深遠にして鮮やかであり、過酷にして堂々たる第一級の人間ドラマとなっていた。

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BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント★★★

2016年09月18日 | アクション映画ーハ行
「チャーリーとチョコレート工場」の原作者ロアルド・ダールのロングセラー児童書『オ・ヤサシ巨人BFG』をスティーヴン・スピルバーグ監督が実写映画化したファミリー・ファンタジー・アドベンチャー。孤独な少女と心優しい巨人を主人公に、2人の間に芽生える奇妙な友情と、世界を救うために2人で繰り広げる大冒険の行方を描く。主演は少女ソフィー役に新人ルビー・バーンヒル、巨人のBFG役に「ブリッジ・オブ・スパイ」でオスカーを獲得したマーク・ライランス。
あらすじ:10歳の女の子ソフィー(ルビー・バーンヒル)は、ロンドンの児童養護施設で生活していた。寝付きの悪いソフィーが窓から夜の街を見ていると、身長約7メートルの巨人(マーク・ライランス)が出現し、彼女を巨人の国へ連れていく。巨人の名はBFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント。優しいBFGに、ソフィーは心を許すようになる。そして、子供たちに夢を吹き込む仕事をしているBFGと一緒に、ソフィーは夢の国へと向かう。

<感想>孤児院で暮らす好奇心旺盛な少女ソフィーと、ある真夜中に謎の巨人に捕まり、“巨人の国”へと連れて行かれる。これは、少女と独り暮らしの巨人との友愛を描く物語。主人公の少女ソフィーは自立心に富んでいて、彼女には施設で暮らす哀感は微塵もなく、両親がいない寂しさなど一度も口にしない勝気な少女。友達もいないようだが、孤児院では虐められているわけでもなく、完全に自分の世界を作っている。わが身に降りかかる事態に驚愕しつつも、着々と運命を切り開いていく。そうした少女こそが、スピルバーグ監督が示そうとするストーリーということなんですね。

ソフィーは、消灯後にフトンをかぶり、懐中電灯の光で本を読む。普通だったら、母親が語る物語を聞きながらやがて眠りに落ちる。ですが、孤児院ではそんなこともなく、一人で夜に懐中電灯の灯りで本を読む。ですが、一度だけ、BFGが彼女の小さな本を読み始めると、それを聞いていたソフィーはいつしか眠ってしまう。やはり読み聞かせは眠りへの最良の誘いなのだ。

初めは巨人に怯えるソフィーだったが、見た目とは違う穏やかで優しい彼の内面にふれ心を通わせて行く。普段はのっそりと動く彼も実は驚異的な走力と跳躍を持っているのだ。施設のベッドから毛布ごとつまみ上げられた彼女は、あっという間に遥か遠く“巨人の国”へと。

主人公の少女ソフィー役には新人のルビー・バーンヒルが、めがねっ子でお茶目な素直な感じの女の子を堂々と熱演している。巨人のBFGには、「ブリッジ・オブ・スパイ」の老スパイ役でアカデミー助演男優賞に輝いたマーク・ライランスが熱演していた。

ですが、そこで驚いたのが、BFGが“巨人の国”の外れにある“夢の国”で採取した夢を調合し、人間の子供たちに吹き込むこと。

そのことに興味を持ったソフィーは、自らも夢を捕まえようと心躍らせるのだった。瓶詰にした夢の中には、なんと“ソフィーの夢“という瓶もあったのだ。

そして、最も素敵なシーンでは、子供たちに夢を吹き込むためBFGが瓶に詰めている夢は、まさにこの映画に描かれたようにフワフワと宙に漂うのだ。まるで妖精のように、それはティンカー・ベルにも似たような夢の形でした。ですが、映画の中では実際にはその夢がどんなものかを、映像として一切見せようとはしない。

ところが、巨人の国では世界中に脅威をもたらす悪の巨人たちも住んでいる。何と彼らをやっけたいソフィーとBFGは、英国女王の協力を求めてバッキンガム宮殿へと向かう。BFGが女王の夢に悪の巨人たちが、子供たちをさらい食べている夢を見させて、退治するように頼むわけ。
宮殿の中へ招かれたBFGとソフィーは、朝食をごちそうになり美味しそうに食べるシーンも。そして、軍隊のヘリと兵士を出してくれ、“巨人の国”へと。ヘリに吊り下げられて、誰も知らない孤島へと。

それに、原作者ロアルド・ダールは言葉遊びのギャグが大好きなようだ。ことにBFGはダジャレと地口によって現実を転倒させる箇所だらけだ。巨人の主食の“ニンゲンマメ”はもちろんのこと、人間族でもお国柄によっていろんな味がするし、泡が下に向かって落ちる“泡立ちエキス”を飲むと、口からげっぷが出る代わりに、お尻からオナラが出るのだ。女王陛下がオナラをするこのシーンも痛快だった。
ファンタジー文学が近年ぞくぞく実写化されたのは、現実部分を現実として撮り、さらには不思議な部分も現実として撮り、CGの進歩は別世界を現実の世界とするためのものとなったようですね。この映画は、どちらかというとお子様と一緒に鑑賞するといいようです。
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ゆずの葉ゆれて ★★・5

2016年09月16日 | や行の映画
コピーライターとしても活躍する作家、佐々木ひとみの児童文学「ぼくとあいつのラストラン」を基にしたドラマ。苦楽を共にしてきた夫婦の深い愛と絆を、一人の少年との触れ合いを交えながら映し出す。監督は、『蛇女』などの助監督を務めてきた神園浩司。ベテランの松原智恵子と津川雅彦が中心となる妻と夫を演じ、その脇を西村和彦、小林綾子、芳本美代子らが固める。舞台である鹿児島県喜入地区の牧歌的風景に注目。
あらすじ:鹿児島県喜入の小さな町。走るのが大好きな小学4年生の武(山時聡真)は、隣家に暮らす老夫婦をジイちゃん(津川雅彦)、バアちゃん(松原智恵子)と呼んで実の祖父母のように慕っている。だが、寝たきりになってしまったジイちゃんの姿を見るのがつらくて会いに行かなくなっていた。そんな中、ジイちゃんが亡くなってしまう。人の死というものを初めて経験すると同時に、彼を避けてしまったことを悔やむ武。そこへヒサオと名乗る見知らぬ少年が現れ、競争しようと武を誘い出して速く走るコツを教えてくれるが……。

<感想>ロケ地の全面協力を取り付けての、鹿児島の山村、ご当地映画としても過不足のない作品だと思います。ですが、物語の焦点が今一つ定まらない弱さが難点ですね。
主人公の少年の家族と、隣家に住む老夫婦との絆を軸にして、老人の突然の死、お通夜、お葬式と進む中で、残されたお婆さんの回想へと展開していく。

葬式で集まってくる知人や親族は、駅伝選手で監督だった爺ちゃんの武勇伝を語り始め、婆ちゃんも古いアルバムを開いて思い出にふける。セピア色として紡がれる、夫婦の若き頃の出会いと、駆け落ちをして結ばれる2人のラブ・ストーリー。

次々と現れる登場人物に、映画自体が溺れかけているような、そんな感じがしないでもない。走るのが好きな少年が、津川雅彦演じる爺ちゃんの過去を知って奮起するというお話と、松原智恵子が演じるバアちゃんの夫婦愛の物語とが、根っこのところできちんと結び合わさってないので、エピソードを並べただけにしか見えなかった。

これは少年がただ走る映画にすれば良かったのに。走りが得意なのに、1位になれない主人公ながら、原作がしっかりとしているせいもあるのだろう、破たんのない丁寧な作りになっている。
空撮もそっち方面にたくさん効かせてくれたら、ずっと楽しかったと思いますね。彼に走り方の手ほどきをする謎の少年、実はという構成なのに消化不良になっていた。
それから、謎の少年が宝探しをしようといい、老夫婦ゆかりの柚子の木の根元を掘る。すべてがかけがえのない記憶となってよみがえる。
ですが、その少年が始終ウジウジとしているところがいいので、そのためお姉さんや同級生少女のしっかりぶりが光っているのがいいですね。男はウジウジ生きてこそ良いという教訓なのであろう。

確かに芸歴55年の松原智恵子には“おめでとう”と言いたい。彼女のベテランの存在感が、往年の児童映画を思わせるような、華やいだ空気にさせるのだ。彼女の語りに頼るだけでは、なんとも弱すぎるのに、諸事情もあろうが、構成が半分に削れると思うのですがね。

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きみがくれた物語 ★★★

2016年09月15日 | アクション映画ーカ行
『きみに読む物語』などの原作者として知られるニコラス・スパークスの小説を実写化したラブストーリー。交通事故で昏睡(こんすい)状態となった女性と彼女を懸命に支える夫に降り掛かる試練、それによって強いられる過酷な選択を描く。メガホンを取るのは、製作者として『マリー・アントワネット』などを手掛けてきたロス・カッツ。出演は、『白鯨との闘い』などのベンジャミン・ウォーカー、『魔法使いの弟子』などのテリーサ・パーマー。運命に翻弄(ほんろう)される中で、愛をより強いものにしていく主人公たちの姿に胸を打たれる。

あらすじ: ノースカロライナ州の海沿いにある小さな町で、父の経営する動物病院を手伝う獣医の青年トラヴィス(ベンジャミン・ウォーカー)。気ままな独身生活を謳歌していたある日、隣に若い女性ギャビー(テリーサ・パーマー)が引っ越してくる。最初は何かと衝突していた2人だったが、いつしか恋に落ちて結婚。2人の子どもにも恵まれ、幸せな家庭を築いていく。ところが、トラヴィスが久々のデートに遅れてしまった日、ギャビーは交通事故に遭い意識不明の重体に。生命維持装置に繋がれたままのギャビーだったが、彼女はあらかじめ残された家族を苦しめたくないと3ヵ月を超えての延命措置を拒否する書類にサインしていた。悲しみに暮れる中、決断の時が迫るトラヴィスだったが…。

<感想>アメリカの南部の小さな町で獣医をしているトラヴィスに、「リンカーン/秘密の書」(2012)11月1日で、ヴァンパイア・ハンターのリンカーン大統領を演じたベンジャミン・ウォーカー。「白鯨との闘い」(16)では金持ちの息子を演じていた。その隣に犬を飼って住んでいる医学生のギャビーには、「ライト/オフ」で娘レベッカを、「ウォーム・ボディーズ」(13)のテリーサ・パーマーが、引っ越しして来て、爽やかな青春気分で物語は始まります。

あの「きみに読む物語」のベストセラー作家、ニコラス・スパークスの、いかにも恋愛映画化というだけあって、プロットを気にしないで書いたせいか、行き当たりばったりのような展開になっていた。「運命のいたずら」という話が多いけれども、獣医が主人公だから、愛犬家にはお薦めできるし、米国南部の湿地帯のロケーションが素晴らしい。

原題が「選択」となっているだけあって、人生はちょっとした選択で決まってしまうという、古典的なハリウッド映画を思わせる「喧嘩友達が恋に発展する」という展開の話になっている。しかも、女性を婚約者から奪い取るという黄金のパターン。

主人公が困難な選択を迫られる後半部分の方が、この映画を薦めたい部分なのかもしれないが、私には、前半部分での二人のエピソードの方こそが捨てがたいですね。だって、二人には恋人がいたのですもの。

それを、彼女の恋人の医師が出張中に、トラヴィスが自分にも恋人がいるのに、ギャビーに夢中になり強引に近づき肉体関係を築くという。この出会いはあまりにも二人の恋人たちには辛くて許せない関係だと思う。

だからというわけでもないが、二人が結婚して子供が二人生まれ幸せな生活を送っているけれど、そこに神様は二人に試練を与える。つまり、彼女が交通事故に遭い、記憶が戻らなく延命措置を拒否する彼女に、死神が近づいて来る。

出てくる人たちが殆ど人畜無害で、泣いて笑ってフォーリングラブという展開と、どこを切ってもニコラス・スパークスの世界観で溢れている。この映画のキャスティングに、チャニング・テイタムや、レイチェル・マクアダムズとか、ライアン・ゴズリングだったら、うっとりしてハマってしまうし、感動も倍になるに違いないのに。

今作の主演の男女は、スラッシャー・ムービーの序盤で殺されるような風貌にオーラが漂っているような気がした。こうなると、途端に陳腐に見えてくるから、キャスティングって、大事ですよね。

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四月は君の嘘 ★★★

2016年09月14日 | アクション映画ーサ行
第37回講談社漫画賞に輝き、アニメ版も放送された新川直司による人気コミックを実写映画化。母の死をきっかけにピアノが弾けなくなった天才ピアニストの少年と、自由奔放なバイオリニストの少女が、互いの才能を認め合い成長していく姿を切ない恋模様を交えて描く。『海街diary』などの広瀬すずと、『ヒロイン失格』などの山崎賢人が主演を務める。監督は『潔く柔く きよくやわく』などの新城毅彦、脚本をテレビドラマ「砂の器」や『ストロベリーナイト』シリーズなどの龍居由佳里が手掛ける。
あらすじ:類いまれな才能を持つ天才ピアニスト有馬公生(山崎賢人)は、母親が他界してから演奏できなくなってしまう。高校2年生のある日、幼なじみを通じて彼は勝ち気で自由奔放なバイオリニスト宮園かをり(広瀬すず)と出会う。その独創的な演奏に触れたことで、公生は再びピアノと母との思い出と向き合うようになる。一方のかをりは、ある秘密を抱えており……。

<感想>「月刊少年マガジン」に連載されアニメにもなった漫画を実写化したもの。どちらも未読ですが、湘南を舞台に、音楽活動をきっかけに惹かれあっていく男女のせつない青春ラブストーリーが綴られています。
「ちはやふる」でも元気いっぱいの広瀬すずちゃんを観て、今作でも彼女の感情が赴くままに役をいきていく姿勢に感動します。主人公の宮園かをりは、勝ち気で自由奔放なバイオリニストであり、友達の椿を通じて友達になり強引に二人っきりになるように、ピアノの伴奏をしてくれと頼む彼女。

しかし、天才ピアニスト有馬公生は、母親の死後ピアノを弾くことが出来なくなった。そのことを知っているのか、かをりは強引に自分のバイオリンコンテストの伴奏をしてくれと願います。この辺からして、彼に恋していて、ピアノが弾けなくなった公生をなんとか弾けるようにと、彼女は頼みます。

しかし、公生を好きな女の子、椿がいることも忘れてはならない。椿はかをりの友達でもあり、公生との間を取り持ってくれた人。だからいつも、かをりの陰にいて、自分の想いを伝えられないもどかしさを表している、石井杏奈も良かった。

天才ピアニスト有馬公生を演じている山崎賢人くんは、いつもより控えめなおとなしい役を演じており、母親がピアノの先生をしていて、小さい頃から母親に厳しくピアノを練習させられ、天才ピアニストと有名になる。それが、母親に向かって「お前なんか死んじゃえばいい」と言ってしまった後、母親の病気が悪化して亡くなってしまう。母親の死は、自分が殺したと心に想い、母親の叱咤激励の声が聞こえなくなり、精神的にピアノを弾く気力がなくなるのだ。

その彼女の猛烈なアタックに負けてしまい、やっと公生もピアノの練習に励むようになるも、やはり途中でピアノの音が聞こえなくなり、音符が見えなくなり、ピアノの音が止んでしまうのだ。それでも、かをりはバイオリンを弾き続ける。

そんな公生を、かをりは自分のペースに巻き込んでいく自由奔放な女の子。もう一度ピアノを弾かせるためにも、彼に対する溢れるばかり熱量と態度が強烈すぎるのだ。それは、猪突猛進のような、かをりの川に飛び込むシーンとか、特にバイオリンの弾き方も強弱の付け方とか、個性的というか普通じゃない弾き方。

かをりにすれば、他の人とは区別をつけて自分らしく弾きたいというのだ。そんな彼女のバイオリンの弾き方にも、文句をいうわけでもなく、彼も自分らしく、昔を取り戻したいと思ってのことなのだろう。

かをりが幼い頃に、同じ年の男の子の天才ピアニスト有馬公生の、リサイタルを父親と聴きに行き感動して、自分もバイオリンを始める。それが、同じ高校に通っていることを知り、近づく機会を狙っていたわけで、でも、かをりは不治の病にかかっており、高校生になって病状が悪化して、最後は帰らぬ人となる。

そうか、愛した人が難病で亡くなるなんてね、有馬公生が精神的ストレスでピアノが弾けなくなったのを、彼女の励ましと愛情でまたピアノが弾けるようになったことに感謝して、手紙を読みながら彼女の本当のことを知るという物語。
かをりが、子供のころからの病気に苦しんでいることを秘密にして、表面的には明るくその日を精いっぱい生きている。かをりは公生と演奏がしたい、彼にもう一度ピアノを弾かせたいという想いが真っ直ぐで、何かを目指す彼女の最後の願いが胸に響きます。
またかと思いながら観てしまった。難病に天才ピアニストの苦しみ、そして若いっていいなぁと思わせる青春ラブストリー。原作が漫画だものね、仕方がないっていえば嘘になる。
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超高速!参勤交代 リターンズ★★★★・5

2016年09月12日 | アクション映画ータ行
幕府の陰謀で5日以内の「参勤」という難題を突き付けられた東北の弱小貧乏藩が、知恵を絞って危機に立ち向かう『超高速!参勤交代』の続編。前作で行きの「参勤」を果たし藩の取り潰しを免れた湯長谷藩一行が、彼らへの復讐(ふくしゅう)に燃える老中が仕掛けた謀略により、帰りの「交代」でさらなる大ピンチに見舞われるさまを描く。主演の佐々木蔵之介をはじめ、深田恭子、伊原剛志ら主要キャストが続投するほか、古田新太、渡辺裕之、中尾明慶、宍戸開ら多彩な面々が新たに参戦する。
あらすじ:江戸時代、幕府から5日以内の「参勤」という無茶な難題を、知恵と工夫で何とか果たした湯長谷藩。藩主・内藤政醇(佐々木蔵之介)率いる一行は帰途に就く「交代」の道中、湯長谷で一揆が起きたという知らせに仰天する。彼らに敗北した老中・松平信祝(陣内孝則)の逆襲によるもので、一揆を鎮めるため大急ぎで帰郷した政醇たちだったが、城は奪われており……。
  2014年超高速!参勤交代

<感想>参勤交代はまだ終わっていなかった。前作では、行きの参勤交代も、金もなく人手もなく、10日の道のりをわずか4日で走り切った東北の弱小貧乏藩が、帰りの参勤交代でもさらなるピンチに襲われるという物語。前作よりも面白可笑しく、危機迫るシーンもたくさんあれども、最後まで面白かった。

復讐に燃える彼らに敗北した老中・松平信祝の策略にかかり、城まで奪われた彼らが、藩と故郷の民を守るために行きの倍の速さで、帰ることを余儀なくされる。果たして彼らはどんな知恵と工夫で、新たな試練を乗り切り、巨悪に立ち向かうのか?・・・湯長谷藩の家来には、寺脇康文、上地雄輔、知念侑孝、柄本時生、六角精児、西村雅彦、石橋蓮司、陣内孝則、市川猿之助など。

前作のメンバーが再結集しており、さらには、南町奉行の大岡に古田新太、寺脇の妻に富田靖子、柳生の剣士に渡辺裕之、中尾明慶らが参戦した痛快時代劇になっていた。

湯長谷藩藩主、内藤には佐々木蔵之介が扮して、お人よしだが、民に愛される人情に厚い殿様であり、だが、厠も扉を開けて入るほどの閉所恐怖症でもある。前作では、幼少時代に閉所恐怖症になる事情が描かれていた。

帰りの旅費稼ぎに奔走する湯長谷藩一行に、故郷で一揆が勃発したとの知らせが入り、幕府の目付が来るまでに一揆を収束できなければ、藩の取り潰しは確実のこと。かくして一向は、行きの倍の速さで帰ることになるのだが、飲まず食わずで、不眠不休で走っても無理なこと。しかし、家老の西村雅彦の知恵袋にて、何とか計画して、時間短縮のため川を渡る一行だが、カナヅチの家老西村が船から落ちてしまい、助けようと川へ飛び込む知念くん。そこへ流木が流れてきて、知念の頭に当たりそのまま気絶をして流されてしまう。あいつなら泳ぎも達者だから、後で追いついて来ると先を急ぐみんな。

ですが、帰り道の参勤交代の大名行列を披露しなければならず、集まったのは30人足らずで、道具もボロボロ、家老の西村さん、さぁ、どうするの?って、ことで、考えたのが竹竿に3人分を案山子のように着物を着せて、さも家来に見せかける知恵。普通は2人か3人揃っての行列なのに、5人組の行列とは。バレるのを恐れて、関所の番人に裸体のちらしを見せて、それは相撲取りの押絵だったとは。猿を放して将軍様から献上された大事な猿、菊千代さまだといい、猿が暴れるので偽の行列が前を通るのを上手くかわせるという作戦成功。

しかし、復讐に燃える老中・松平信祝の恐ろしい陰謀と策略に遭遇し、宿場に着くと、「湯長谷藩の者、謀反人なり。通すべからず」との手配書が。そこでは何と、棺桶の中に死に装束で入って、死人に化けて何とか宿場役人チェックを切り抜けるというシーンも。これは、ハラハラよりも死人の演技が上手くて大いに笑ってしまった。

さらには、松平信祝と手を組んだ尾張柳生の刺客に襲われるという、何とも、次から次と待ち伏せされて、体が休まる暇がない。やっと、湯長谷藩に辿り着くも、田畑は荒らされ収穫した米は奪われ、挙句に城まで尾張柳生に奪われてしまった。しかし、藩主・内藤政醇は、民を守るために、松平信祝率いる1000の幕府軍とわずか7人の家来で、迎え討つことになるとは。

まさかの速さで続編が公開されるとは、本作では、1作目のいいところを受け継ぎつつ、新しい魅力も加わりスケールも大きくなっていた。金なし、人なし、時間なしに加えて、故郷では一揆が起こり城もないという内容。さらには、敵も1000人になるなど、負荷が大きいのだ。

それでも、主人公の佐々木蔵之介を先頭にして、前作の倍を走り、3倍もの立ち回りと。綺麗な着物を着ているのは最初だけで、後は髪の毛ボサボサにドロドロの着物を着て鎧を付けての立ち回りと、もう大変だったと思います。

奥方になる深田恭子さんと佐々木蔵之介の、敵と戦いながらの愛を確かめるシーンとか、家来の奥方たちの長刀の立ち振る舞いとか、知念が好きな女が実は年増女だったとか、柳生相手に家来たちの剣術の見事な殺陣さばきも披露され、チャンバラシーンも楽しく見られた。

大岡裁きとは良く映画で観ていますが、奉行役の古田さんの演技も光って良かったです。
撮影現場のいわき市の小浜海岸を、早朝から走るシーンとか、最後がいわき市の青年団のみなさんと伝統芸能の“じゃんがら念仏踊り”を一緒に踊るというシーンも良かった。

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スーサイド・スクワッド ★★★★

2016年09月11日 | アクション映画ーサ行
DCコミックスに登場する悪役がそろい、危険な任務に挑む部隊“スーサイド・スクワッド”を結成して悪対悪のバトルを繰り広げるアクション。悪役の中でも人気抜群の『バットマン』シリーズのジョーカーをはじめ、アンチヒーローたちが減刑と引き換えに作品の垣根を越えて共に任務に挑むさまを描く。出演は、ウィル・スミス、ジャレッド・レトーら。メガホンを取るのは、『エンド・オブ・ウォッチ』『フューリー』などのデヴィッド・エアー。強烈な個性やビジュアルを持つ悪役たちのぶつかり合いに期待が高まる。
あらすじ:世界崩壊の危機が到来。政府は、最強のスナイパーであるデッドショット(ウィル・スミス)や、ジョーカー(ジャレッド・レトー)に夢中のハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)ら、服役中の悪党たちによる特殊部隊“スーサイド・スクワッド”を結成する。命令に背いた者、任務に失敗した者には、首に埋め込んだ自爆装置が作動するという状況で、寄せ集めの悪党たちが戦いに挑む。

<感想>この映画のタイトル「スーサイド・スクワッド」(自殺行為部隊)は、DCコミックの悪役たち。だから当然DCの正義のヒーローもちゃんと登場する。オープニングはバットマンVSスーパーマンのスーパーマンの国葬シーン。正義のヒーロー亡きいま、世界の運命は飛んでもない奴らに委ねられたのだ。だから、バットマンのベン・アフレックも途中と最後の場面で登場する。2016年のアメコミ原作ヒーロー映画は、マーベルもDCも単純な「正義VS悪」の構図ではもう物語を作れず、設定の時点で何をどっちにズラすか、という戦略の勝負になっているようですね。

本作もまた、そんな流れの中の作品であり、一言で言うと、DCコミックが誇る悪役キャラたちを寄せ集めて、「荒野の用心棒」の七人というチームを結成させて、戦場に放り込んだら?という物語なんです。ですので、キャラの数の多い分、物語の動き出しが遅いのが難点ですが、新種のミリタリー・アクションだと割り切ってみれば少なくとも、「バットマンVSスーパーマン」よりはずっと楽しくなっていて、人類を滅ぼそうとする最強の敵を倒すため、ルール無用のクレージーな闘いを繰り広げるスーパー・アメコミ・アクションですから。

極悪人たちを集めて、敵を退治しようと発案したのが、米国諜報担当高官のアマンダ・ウォ-ラー。アメリカの治安を守るためなら手段を選ばない冷酷で非情な、サイコパス的な女であり、今では、バットマンをも威圧する鋼鉄の女なのだ。そして、アマンダの忠実なる部下で、米軍最強の軍人のリック・フラッグ隊長。ゴリゴリの愛国者でありエリート軍人のため、考古学者のジューン・ムーンと恋仲になる。フラッグ隊長率いるネイビー・シールズも活躍するが、何せ敵が人間相手じゃないのでダメダメ軍隊になっていた。だが、魔女の弟の化け物退治をする時に、地下水道に潜って爆弾を設置するネイビー・シールズ。
フラッグ隊長の恋人の身体に、強大なパワーを持つ魔女エンチャントレスが憑依して、“夢は人類滅亡”という極悪非道な感性の持ち主になってしまう。この魔女は、ホームレス感が漂うルックスに汚れたパンツ一丁という姿に呆れてしまう。演じているのが、カーラ・デルヴィーニュで可愛いお姉ちゃんです。

そもそもこの映画の舞台は、バットマンの地元であるゴッサム・シティだから、本作では、ジョーカーのキャラが久々に復活する作品でもあり、ジャレッド・レトーが演じる“三代目”ジョーカーの、仕上がり具合が楽しみですよね。

今回は、精神科医のハーリーン・クインゼルを自分好みに染めた挙句、脱獄を手伝ってもらう。その後真剣に交際するも、今回“スーサイド・スクワッド”に強制参加させられた恋人を奪還するために奮闘するというジョーカー。

そして、情に厚いスゴ腕スナイパーのデッド・ショット。一匹オオカミの殺し屋で射撃の腕は世界一だが、バットマンに捕まってベル・レーヴ刑務所にブチ込まれ、別れた妻との間に一人娘がいて、娘の将来をもの凄く心配している。
日本人の福原かれんが扮しているKATANAは、もじどうり刀で勝負の女剣士だけど、歌舞伎マスクに聞くの御紋の特攻服、真っ赤なタスキに暴走族ふうないでたちで、フラッグ隊長や皆のボディ・ガードを務めている。それが結構強いのなんのと、見せ場を作っているのだ。

その他に、ロープがあれば何でも出来る暗殺者のスリップノット、彼はキャプテン・ブーメランの提言に乗ったばかりに悲惨な運命になってしまうとは。そして、炎を操る能力を持ち、全身に彫ったイレズミがパワーの源になっていき、パワーを使うたびにイレズミが消えてゆく、エル・ディアブロ。それに、キラークロックという、怪力な上に俊敏で、全身を覆うウロコ状の皮膚は弾丸を撥ね飛ばし、下水道の中で暮らしている。それに、キャプテン・ブーメランもいるよ。

さて、この物語の敵は、人間に憑依することで数千年も生き続けてきた魔女のエンチェントレス。現在は、フラッグ隊長の恋人のジューン・ムーンに憑依して、弟まで見つけてパワーを授けて強大にして、無数の兵を作り出し人類を滅ぼそうとする。その化け物たちをあっと言う間に死滅させ、そのあまりの強さに軍人たちは陰に隠れてしまうのだ。

しかし、米国諜報担当高官のアマンダ・ウォ-ラーが、敵のエンチェントレスに捕まり、彼女が持っていた魔女の心臓も取られてしまう。それに、地球上の軍事施設が次々と破壊され、世界の終わりも近い。そんなことには無関心な“スーサイド・スクワッド”たちは、事態の裏側を知ってしまい白け切ってしまう。フラッグ隊長が彼らに頼むのだ。悪党どもが世界を救うために戦い始める。
だが、この映画のMVPはダントツでハーレイ・クインを演じた、マーゴット・ロビーでしょう。精神病院の元精神科医というサイコな経歴を持ち、キャンディ・カラーのポップな衣装を纏い、彼女こそはマーベルが嫉妬するほど待ち望んでいた新ヒロインであり、彼女のソロ作品も観てみたいものだ。

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キング・オブ・エジプト ★★★

2016年09月09日 | アクション映画ーカ行
『ノウイング』などのアレックス・プロヤス監督がメガホンを取り、古代エジプトの王座をめぐる壮絶なバトルを描く冒険アクション。神と人間が共に存在する世界で、王座獲得の命運を左右する“神の眼”を盗み出そうとする泥棒の奮闘を映し出す。『ギヴァー 記憶を注ぐ者』などのブレントン・スウェイツが泥棒を熱演し、ジェラルド・バトラーやジェフリー・ラッシュらが出演。予測不能の展開に胸が高鳴る。
あらすじ:人間と神が共存していた古代エジプトで、人々は天空の神ホルス(ニコライ・コスター=ワルドー)から王座を奪った砂漠の神セト(ジェラルド・バトラー)の圧政に悩まされていた。そんな中、良心ある神々は、暴君セトに反逆を試みる。ある日、セトの神殿の宝物庫に侵入した盗賊ベック(ブレントン・スウェイツ)は、キラキラと光る球体を奪うが……。

<感想>神である国王オシリスは王位を息子の天空の神ホルスにに譲ろうとするも、その席にオシリスの弟で砂漠の神であるセトが兵を率いて現れ、兄のオシリスを殺して王位を奪う。格闘のすえホルスの両眼を奪ってしまう。
エジプトの王座を奪還し圧制を敷く神セトには、「エンド・オブ・キングダム」のジェラルド・バトラーが演じて、悪役に成りきり悪者にヒーローの要素を入れ、人物像に深みができ人間味も加わり、嫌なヤツなんだけどちょっと魅力的で予測不可能な感じだ。とにかく善玉は善玉、悪玉は悪玉と、一つ一つミッションをクリアして、ハッピーエンディングに突進していく。

息子のホルスには、TVドラマのニコライ・コスター=ワルドーが扮しており、叔父のセトに両眼を奪われたが、盗賊のベックが神殿に忍び込みホルスの片目を盗みだしてくれる。神殿に入り、ホルスの片眼を盗む時に、恋人の奴隷になっていたザヤを連れて脱出しようとして、ザヤが弓で射られて死んでしまう。狼狽したペックは盗んだ片眼をホルスのもとへ持参し、引き換えにザヤの命を生き返らせてくれと頼む。

すると、ザヤが死出の旅路を終える前なら生き返らせることが可能だという。そのために、ベックはホルスの王座奪還の手助けをすることになる。ホルスは、オシリスの父である太陽の神ラー(ジェフリー・ラッシュ)の元に赴き、“創造の水”を手に入れ、次は扉のない動くピラミッドに入って、セトの炎を消さなければならない。
ホルスとベックは、知恵の神トトを訪ね、何とか協力を得ることに成功。スフィンクスの謎を解くが、セトの守りは強力だった。セトは混沌の化身である死者の国に住む大蛇アピボスを使って世界を意のままにしようとしている。それを阻もうとするホルスを倒すために、次々に刺客を送るセト。
獣面の神ムネピス、巨大な蛇を操る二人組の戦争の女神アスタルテとアナト。ベックとホルスは愛と音楽と酒の女神で、かつてはホルスの恋人だったが、今はセトの愛人になっているハトホルの、秘かな協力を得て刺客たちを撃退していくのだ。
いよいよ、アポピスを操るセトとホルスの最後の対決が始まる。ザヤの冥界への死出の旅路も終わりに近づいているし、果たしてホルスは叔父のセトを倒して、エジプトの地に平和をもたらすことができるのだろうか。また、ベックの恋人ザヤは、無事に冥界から生者の国に戻ることができるのだろうか。

感想としては、舞台はエジプトであり、観ていて「ハムナプトラ」のような感じがした。それに、神話というとギリシャですよね。ですが、古代エジプトの神話には、1000を超える神々が存在していたそうです。この映画にも登場する天空の神ホルス、砂漠の神セト、太陽の神ラーなどが代表的な神だが、エジプトの神話自体が長い歴史の中で変容を繰り返してきているため、その他の神々は神話の語られた時期により変わっていることも多い。

神々が人間よりも大きいのは、この映画独自の表現であり、猛牛軍団を率いる牛怪人ネヴィス、巨大カブトムシ、マンモス、巨大コブラ怪獣、スフィンクス、冥界神怪人アヌビスなど、動物や爬虫類、虫のような形態で描かれていることもある。人間の身体には血液が流れているが、神の体内には黄金が流れているというのだ。
だが、実在したエジプト王朝がどうのとか、史実前提で観ようとすると可笑しな結果になるのだ。これは、マーベルやDCコミックスのキャラクターものとして楽しめばいいのだろう。あり得ない設定と古代文明都市で、エジプトの話なのに、主要な役に白人のスターたちしか起用していないということに、目くじらたてることもないと思う。ですが、、ココという頭脳明晰の神には黒人俳優が扮していた。

怪獣やロボットが出てきて、ホルスの両眼はダイヤモンドの眼になっていて、これを取られると変身不能になってしまう。そして、悪役のダークヒーローであるセトも、様々な神のいい部分を装着した野獣型パーフェクト・ブラックメタルスーツ姿で、バトルに挑むわけ。これはもう、「スリーハンドレッド」を観ている気分。変身とか解除のタイミングは、日本の仮面ライダーと同じってことは、何度でも戦えるってことなの。
それに、戦争の女神アスタルテとアナトが操るかっこいいコブラ型怪獣との一騎打ちでは、変身前でもって残念な結果に。人間のベックの活躍が凄かった。そして、オール神々大集合に加えて、猛牛軍団を率いる牛怪人ネヴィス、巨大カブトムシ、マンモス、巨大コブラ怪獣、スフィンクス、冥界神怪人アヌビスなど、動物や爬虫類、虫のような形態が参戦するバトル映画ではね、まぁ、かなりの迫力とアクションも観れるので、怪獣映画がお好きな人には満足できるでしょう。
それでも、オシリスの父である太陽の神ラー(ジェフリー・ラッシュ)の存在感は良かった。セトに殺されるも、しかし、神様は永久不滅なのでは?・・・宇宙を浮遊していたしね。最後には、ベックとザヤのラブストーリーになっている。
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ヒマラヤ 地上8000メートルの絆★★★

2016年09月09日 | アクション映画ーハ行
エベレストで遭難死した後輩の遺体を回収するため、命懸けの登山に挑んだ登山家オム・ホンギル率いる「ヒューマン遠征隊」の実話に基づく感動作。『パイレーツ』などのイ・ソクフンがメガホンを取り、名誉や栄光よりも大切な仲間との絆を描き出す。『ベテラン』などのファン・ジョンミンが主人公を演じ、テレビドラマ「応答せよ1994」などのチョンウ、『サスペクト 哀しき容疑者』などのチョ・ソンハ、『王になった男』などのキム・イングォンらが共演。

あらすじ:ヒマラヤ8,000メートル級高峰14座の登頂に成功した登山家オム・ホンギル(ファン・ジョンミン)は現役を退いた後、後輩ムテク(チョンウ)がエベレストで遭難死したことを知る。そこは地上8,750メートル、人間が生存できないデスゾーンと呼ばれる領域だった。後輩の遺体を回収するため、オム・ホンギルは共に偉業を成し遂げた仲間を再び集結させ「ヒューマン遠征隊」を結成し、記録には残らない遠征に挑む。

<感想>これは登頂ではなくて、仲間の遺体回収のためヒマラヤに登った韓国の遠征隊の実話を基にしたヒューマン・ドラマです。米映画エベレスト 3D』、日本映画エヴェレスト 神々の山嶺と、鑑賞しました。
邦画の「エヴェレスト~」は、悲壮感丸出しであった。それとは違って笑いの味付けがある。それに、登頂のカタルシスがちゃんと描かれているのも救いです。

山岳映画が公開する中で、次は韓国から。山男の友情に重心を置く熱血漢的な内容には、実話だけに文句のつけようがない。それだけに、落命した仲間への鎮魂の念を、受け手は主人公たちと共有してしまう。しかし、映画という困難きわまりのない剣が峰を、本作が登り得ているかというと、疑問符がつくのだ。

一番弟子といえる後輩のムテクとの友情が、メインテーマかと思っていると、中盤から意外な展開を迎える。後半では、無謀とさえ思える目的のエベレスト遠征が繰り広げられるのだが、その熱量が凄まじいのだ。
過酷な自然の中で、友愛を育む西部劇のようでもあり、神のようなホンギルとすべての使徒たちとの、絶望的な愛を謳う神話のようでもあります。

役者陣も緩急のツボを心得ていて好演しているし、これも韓国らしい情けの絡め方があって、そこに違和感が。遭難するのが分かり切っているのに、救助に駆けつけたり、遺体捜索のために集団で決死の登攀をしたりと、本当にこういう事実があったのだろう。でも、もう少し冷静なというか、客観の視点で、記録映画の感覚が欲しくて。これじゃ、体育会系の根性さえあれば、岩をも砕くですよね。
題材の大きさに劣らず、山岳のロケは圧巻でした。ダイナミックで、かつスペクタルであり、エモーショナルな迫力に呑まれてしまった。
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ロング・トレイル!★★★★

2016年09月08日 | アクション映画ーラ行
作家ビル・ブライソンの実話を基にした著書を、ロバート・レッドフォードが主演と製作を務めて映画化。ルックスも性格も全く違うシニア男性二人組が、およそ3,500キロに及ぶアメリカの自然歩道「アパラチアン・トレイル」踏破の旅の中で、自身の人生を見つめ直すさまを映す。監督は『だれもがクジラを愛してる。』などのケン・クワピス。ロバートふんする主人公と一緒に旅する相棒を、『白い刻印』などのニック・ノルティが演じるほか、オスカー女優エマ・トンプソンが共演。
あらすじ:60歳を過ぎ故郷での平穏な日々に物足りなさを感じていた作家のビル(ロバート・レッドフォード)は、ふと約3,500キロ続くアメリカの自然歩道「アパラチアン・トレイル」の踏破を考える。旅の相棒に酒好きで型破りな旧友カッツ(ニック・ノルティ)が名乗りを上げ、 旅がスタートする。ところが体力の衰えや、自然の猛威という現実に直面し……。

<感想>北米有数の自然歩道「アパラチアン・トレイル」を歩くかつての友人同士。その道中記を綴ったビル・ブライソンの実話を基にしたのを映画化。出演が主人公のビルに80歳のロバート・レッドフォードが、こんなに普通っぽい老人をチャーミングに、楽しんで演じているレッドフォードも珍しいのではないか。それに相棒は、トラブルメーカーの旧友のカッツに75歳のニック・ノルティが演じている。このメタボ体系の悪友を演じるニック・ノルティは、登場時に、大丈夫かと思うほどの老体だけど、さすがに味のある演技には貫禄さえ感じる。

余りにも無謀だと心配する主人公のビルの妻に、エマ・トンプソンが好演。

二大名優が人生の黄昏を意識しつつ、アパラチア山脈3,500キロに及ぶトレッキングに挑む。ふと思い立って大自然の長距離徒歩の旅に出る男たち。老いに触れる自虐ネタもなんのその、知的な品性は健在であり中々艶やかであった。
彼らの珍道中が人生経路と重なりつつ、そこは大御所2人のこれまでのキャリアあってのこと。まるで芸人コンビ、あるいはバディムービーに相応しい自然体の演技で程よく歩き、程よくテントで眠り、過去や行く末を振り返ったり見つめたりするのだから面白くないわけがない。

ですが、老人ののんびりした紀行ものを観ていると、若い人ならつまらないとイライラしてくるかもしれない。しかし、60を過ぎた人たちならユーモアたっぷりの彼らの会話にニンマリしてくるのだ。過去を振り返りつつ残りの人生を楽しむ余裕に浸ったり、共感を覚える向きも多いのではなかろうか。
本作は映画の作り全体と対峙するものではなくて、両スターの滑稽な芝居を苦笑しつつも微笑みながら鑑賞すればいいのだろう。
今年は、メキシコ国境からアメリカ経由、カナダ国境までアメリカ西海岸を「パシフィッククレストトレイル」南北に徒歩で縦走するハイキングにチャレンジした「わたしに会うまでの1600キロ」リース・ウィザースプーンが演じているのを観て感動したばかりだ。

なにせ老人二人の山登りだから無理は出来ない。元アル中のカッツが、いつ酒に手を出すかのサスペンスであり、熊に襲われてのスリル満点のシーンと、人妻に手を出しての騒動と、挿話は数々あれど、途中で馴れ馴れしく絡んできた、超身勝手なおしゃべりの女性ハイカーから逃走する作戦で二人は意気投合する。

結構、クスクス笑えるほどの緩い展開なのだ。体力の限界なのでここらで失礼の幕切れまで、観ている方ものんびりとした気分で楽しめた。

二枚目のロバート・レッドフォードは完全に受けに回り、もっぱら元悪童ニック・ノルティの不出来に対して苛立ったり赦したりする。二人のコンビネーションがとても感じよくて、セリフも粋で奥が深く、この諦めこそが人生の粋ということなのかもしれない。地味な作品だがゆったりした気持ちで人生を考えさせてくれる大人のコメディになっていた。

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ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS ★★★

2016年09月07日 | アクション映画ータ行
リチャード・ウーとすぎむらしんいちによるコミックを原作とする、『ライアーゲーム』シリーズなどの松田翔太が秘密組織の警官を演じたテレビドラマの劇場版。密入国外国人が作った秘密組織・裏都庁の警官が誘拐殺人事件をめぐり、アジア人犯罪組織や、ヤクザとのデッドヒートを展開する。監督は、本作のドラマ版や、『私の男』などで知られる熊切和嘉。浜野謙太や柳沢慎吾、康芳夫らドラマのキャストに加え、須賀健太や安藤サクラらが共演。怪しい世界観や登場人物、ハードなストーリーに期待。
あらすじ:密入国して東京に住んでいる外国人が自分たちを守るべく組織した裏都庁。その異邦警察「ディアスポリス」の警察官であり、国籍不詳の久保塚早紀(松田翔太)は、誘拐された裏都民マリアの監禁先を見付けたものの彼女は殺害されてしまう。殺害現場から逃げたアジア人犯罪組織「ダーティイエローボーイズ」の周(須賀健太)と林(NOZOMU)を追った久保塚は、地下教会が二人の手掛かりを握っていると知るが……。

<感想>都内におよそ15万人はいるという密入国異邦人。不法就労外国人たち、彼らの駆け込み寺が裏警察にある異邦警察「ディアスポリス」であります。
そこの署長の久保塚早紀を松田翔太が演じているわけで、TVドラマ版も観ていましたが、真っ赤なスニーカーが目につく彼。最終版では外国人排斤集団S・O・Pの犬崎からひどい拷問を受けており、映画版ではまだその傷が癒えておらず腕にギブスをはめたままという設定である。
たくさんの外国人俳優がエキストラとして参加していて、日本語を流暢に喋る人もいれば、英語など外国語を話す人もいて、エキゾチックな雰囲気が漂う。そんなアクの強い空間に、松田翔太は少しもひるむことなく、堂々と立っている。そして、何カ国語も喋るので、北京語を話す場面では、じつに流暢に話すのが印象的でした。

その雑多なエネルギーの空間のルツボで最も元気だったのが、裏都庁のメンバーの一人・アー坊役の柳沢慎吾。少ないシーンで常に笑いを振りまいて現場を盛り上げていた。
松田翔太の相棒には、浜野謙太が凸凹コンビで演じており、裏都民のマリアが殺され、犯人がアジア人犯罪組織「ダーティ・イエロー・ボーイズ」の二人、周(須賀健太)と林(NOZOMU)に殺害されたというのだ。
二人は中国から密入国してきた地下協会の一員であり、大阪まで追いかけるのに、相棒の浜野謙太が名古屋に行っていると頑張るので喧嘩になる。この凸凹コンビはどうしようもなく喧嘩ばかりしている。

犯人の中国人・周役の須賀健太は、体は小さいが目に義眼を入れてかなりヤバそうな雰囲気の強烈キャラを演じている。久保塚は、ヤクザの若頭伊佐久真人役の真木蔵人の命令で、子分が殺された腹いせに二人を捜せというのだ。久保塚にしてみれば、周(須賀健太)と林(NOZOMU)を生け捕りにして東京まで連れて帰りたいと思っているも、幼少期に宗教弾圧から人生が狂い、あんなに辛い想いをした2人に対して、愛情というか殺さないで罪に服して欲しいと思っている。

だが、ヤクザの若頭伊佐久はそうは思っていない。真木蔵人の出番も多いし、アクザとして見た目もかっこいいし、重要な役どころなのに、どうしてパンフに名前が無いのか不思議でした。演技もそれなりに巧いし、ヤクザとしての威厳もありますからね。クレジットを観ていたら最後に出ていましたよ。
大阪のヤクザの若頭伊佐久のビルには、闇金の銀行があり、地下室へ行くと大きな頑丈な大金庫がある。そこまで行き着くのが、ヤクザの用心棒たちが拳銃を構えて立ち塞がっている。ところが、大金庫の横に地下道の扉を発見した久保塚は、地下道の地図を頼りにその金庫の扉に辿りつくのだが。
周(須賀健太)と林(NOZOMU)の二人も厳重な用心棒たちと銃撃戦をしながら、大金庫に辿りつくも、用心棒の一斉射撃を林(NOZOMU)を盾にして自分だけ助かろうとする周(須賀健太)の図太さ。そこへ、地下道から金庫の横の扉を開けて助ける久保塚。

トラックで待っていた相棒の鈴木と共に、2人を乗せて闇医者のところへと急ぐも、ヤクザに追いつかれてトラックの横に体当たりを食わされ、横の田んぼへとトラックが転げ落ちて行く。ヤクザの若頭伊佐久のケジメで周は射殺されてしまう。
それにしても、凶行も手当たり次第の殺害になってしまい、裏警察どころか、本当の警察が出てくるものなのに、本物の警察は一切出てこないのだ。
ほんのちょっとだが、安藤サクラが顔を見せているし、映画だからスケールアップになっているのに、B級アクション映画になっているのが惜しい。
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シング・ストリート 未来へのうた ★★★・5

2016年09月06日 | アクション映画ーサ行
「ONCE ダブリンの街角で」「はじまりのうた」のジョン・カーニー監督が、自身の少年時代の体験をベースに撮り上げた音楽青春映画。80年代のアイルランドを舞台に、学校にも家庭にも様々な問題を抱え、悩み多き日々を送る14歳の少年が、愛しの彼女を振り向かせようとバンドを組み、音楽を通して仲間たちとの友情を深めていくさまと、ヒロインとの切ない恋の行方を、80年代ヒット・ナンバーの数々とともに描き出す。主人公にはオーディションで選ばれた新人、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ。共演にジャック・レイナー、ルーシー・ボーイントン。
あらすじ:1985年、大不況にあえぐアイルランドの首都ダブリン。父親の失業で優秀な私立学校から荒れた公立学校への転校を余儀なくされた14歳のコナー。両親はケンカが絶えず、学校でもさっそくイジメの標的に。そんな彼にとって、音楽オタクの兄ブレンダンの解説を聞きながらミュージックビデオ番組を観るのが唯一の楽しみ。すっかりデュラン・デュランの虜になってしまったコナー。ある日、自称モデルの美女ラフィーナと出会い、たちまち一目惚れ。思わず口をついて出た誘い文句は“僕のバンドのビデオに出てくれ”だった。慌ててメンバーを集め、即席のバンドを結成して猛練習を開始するコナーだったが…。

<感想>初めは、好きな女子ラフィーナの気を引こうとバンドを結成。物語の舞台は、歴史的な不況に突入した1985年のアイルランドのダブリン。ミュージックビデオを見ることだけが楽しみな14歳の少年コナーは、自称モデルの少女・ラフィーナの気を引こうと「僕のバンドのPVに出ないか」と声をかけてしまい、あわててバンドを結成。次第に音楽への情熱が沸き上がり、ロンドンの音楽シーンを驚がくさせるMVを撮るべく、曲作りを開始する。

両親の経済状態で学校を転校され、ダブリンの荒れた学校に通わされる少年。学校では虐めっこたちに殴られ、挙句に校長が彼の履いている靴の色が茶色なのに難癖をつけて、この学校では黒の靴が規則だと命令し、靴を脱がせて靴下で帰らせる。家では、父親が失業して母親と大声で怒鳴り合いの夫婦喧嘩をしているし、子供としては家にいるのがいずらい環境なのだ。挙句に母親が不倫をして、別居生活になる。そんな状況の中でもめげずに学校へ行く少年。

そんな中でも、学校の虐められている仲間というか、落ちこぼれのクセモノ揃いを集めてバンドを作り、自分で歌詞を友達が曲を作ってボーカルは自称モデルの一目惚れをしたラフィーナ。それでも、結構ニヤニヤしながら楽しめる。

家ではブラブラしているけれど、ロックに精通の兄貴も面白いキャラで、両親の経済的都合で大学も中退してブラブラしているが、音楽が好きで弟にいろんな助言をしてくれるのだ。
MV作りに勤しむバンド高校生たちを描くとは斬新な着目だ。男が化粧をして女みたいな衣装を着て歌う。やたら派手なのに、影も濃かった80年代。そういえば、デュラン・デュランの曲、私も好きで聞いていたっけ。この時代はロックにポップス系のバンドがやたら流行っていた。

それに、子供と大人の世界が明確に分離していた時代でもあった。改めてファッションがダサイなぁと思ったが、それすら逆手に誇らしく謳うジョン・カーニー監督の心意気に拍手。監督の半自伝的な青春音楽映画になっている。

英国に旅立ちのラストも青春映画らしく、惚れたラフィーナと一緒に爺ちゃんのボートで海へと航海に出る。しかし、大雨が降り霧が立ち込めて前方が見えないし、そこへ大型客船と鉢合わせをしても難なくすり抜ける。これは、惚れた女と一緒に駆け落ちして、ロンドンで一旗揚げようと行ったのはいいけれど、金もなし、行く当てもなしの逃避行。上手くやっていけるのか心配だが、そこに行けば何かが変わるという、若い青春の賭けでもあり希望でもあるのだろう。一番の見どころは、カチンコの音を合図に幕が上がる、満員のパーティ会場のステージに立ったコナー。彼の歌に合わせて人々が踊り始め、次第にダンスが激しくなっていく。やがて現れたラフィーナも、頭を振って熱狂する。フロアの高まりとともに、見る者の心も躍る映像となっている。
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