パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞、未公開DVD、お気に入り自己所有のビデオ・DVDの感想などネタバレ有りで記録しています。

ヴィジット 消された過去★★★

2017年01月19日 | DVD作品ーあ行
2015年 イギリス映画で未公開作品。監督:アダム・レビンス。キャスト:主人公ジャニュアリーにエイミー・マンソン、ジェームズ・コスモ 、ジェームズ・ランス、サイモン・ウォーターマン。原題:Estranged 劇場未公開作品で、WOWOWにて放映。
あらすじ:若い女性ジャニュアリーは恋人のカラムとリオデジャネイロを旅行中、交通事故に遭って記憶を失った上、車椅子に乗るように。カラムとともに英国の郊外にある実家に帰るが、彼女は6年前に家出をしたのにその理由を覚えていなかった。しかも父親アルバートや母親マリリン、ジャニュアリーの兄や妹はカラムを歓迎していない様子だった。カラムが去った後、ジャニュアリーはリハビリに励むが、幼いころにあったある大事件を思い出す。

<感想>ホラーというよりもサスペンスであり、これって、女性の立場で見ると怖かったです。使用人一家が、主人を銃殺してそのまま屋敷に住み込んだというお話。何故かと言うと、屋敷の主人が使用人の妻を強姦して孕ませて、女の子ジャニュアリーを産み、その屋敷の子供として妻に育てるように命令。
屋敷のその妻は、娘が6歳くらいになると猟銃で自殺してしまう。その後、その事実を知った娘のジャニュアリーは、屋敷を出て行き、放浪の旅に出てカラムという男と知り合い恋人になる。その後、バイクの交通事故で、記憶喪失になり屋敷に帰ることになるわけ。

突然屋敷に帰って来た娘ジャニュアリーが見たものは、本当の母親である使用人の妻とその夫、息子に妹と一緒に屋敷を乗っ取り家族として住んでいた。父親と思っていた男は実は使用人であり、昔気質の厳格な男。母親も何だか痴呆症のような、夫に気を使い始終オドオドとしている。妹は、姉のジャニュアリーが帰って来たことで、父親がジャニュアリーを可愛がるのでヤキモチを焼く。虐めが酷いのは、姉に化粧をしてやるといいながら、ビューラーでジャニュアリーのまつげを引っこ抜くシーンは痛そう。兄は、精神状態が幼稚でジャニュアリーに近親相姦でもしようかと迫って来るアホ。

初めは優しくしてくれ彼女が記憶を失くしているので、使用人が父親気取りで娘を迎えるも、その内、邪魔者が帰って来たとばかりに、地下室で傷ついたジャニュアリーを強姦して孕ませる。自分の妻がご主人様にされたようにと、復讐なのだろう。
これは惨めだし酷い仕打ちだと思う。この使用人の男の娘と言うことではなく、妻が本当の母親なのだから、帰って来たジャニュアリーを犯して孕ませるのがこの使用人の復讐なのだろう。よほど、屋敷の主人は陰険で怖い存在だったようだ。近所には建物がなく森林地帯で、逃げるのも大変だ。
長年勤めている執事のトーマスだけが、一部始終を知っているのだが、自分もこの使用人家族が怖くて屋敷から出ていけない。ですが、ジャニュアリーに新聞記事を見せて、一部始終が解ると言う具合。
記憶がすこしづつ戻って来るジャニュアリーは、恋人のカラムを探しに屋敷を抜け出して森の中を探すも、洋服が脱ぎ捨てられて盛り土がある。殺されて埋められたのだ。自分も子供を産んだら殺されると思った。
ハラハラさせるシーンは、彼女が何度も屋敷から逃げ出そうと試みるも、腹ぼての身体では到底無理で、屋敷に油を撒いて焼こうとするも、使用人の父親という男に見つけられてしまう。最後に家族を皆殺しにするのは、執事のトーマスが力を貸してくれ、妹を刺し殺してくれたからで、その後は猟銃でジャニュアリーが父親を撃ち殺す。兄も簡単に撃たれてしまう。トーマスは車で逃げてしまい、母親には猟銃を渡して自害しろという。屋敷にはジャニュアリーが一人取り残されて終わるのだが、これから彼女はどうするのだろう。どうしようもなく無残な結末に、ジャニュアリーが人間として母親として生きることを望むしかない。
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DEMON デーモン★★★

2017年01月18日 | DVD作品ーた行
母親が遺した一軒家を相続するために、娘のリリアンは故郷の田舎町へと引っ越してきたのだが…ある時を境に、ブラックウェイという男から執拗につきまとわれるように…。飼い猫の首を切り落とされて殺され、自分の命も狙われているのではと、保安官に相談するも…まったく事件として取り合おうとはしてくれない。その代わり、製材所のスコッティという男に相談するようアドバイスされる。リリアンは製材所に向かうのだが、保安官の言うスコッティという人物は不在だ。他の人間に理由を話してもそっけなく“町から出ていけ”と言われるだけだったのだが、レスターという老人と彼を慕う若者ネイトが相談にのってくれて…。

<感想>サスペンスなんだけど、アンソニー・ホプキンスが出るというので鑑賞した。アメリカの閉鎖的な田舎町で、林業を主にしている。そこへ母親が亡くなり遺した家に舞い戻って来たリリアンに、どういうわけかその土地にいるブラックウェイという男が嫌がらせをしてきて、しつこく付き纏うのだ。それを保安官に相談したところ、「家を売ってここから出て行った方がいい」とつれない返事が返って来た。ここにいる男どもは、みんな関わり合いたくないとばかりに、リリアンに向かってこの土地からでていけとばかり言うのだ。
リリアンはどうしても、昔幼いころから住んでいた家だし、母親が遺してくれた家でもあるので、ここで落ち着きたいのだ。何とかしてその嫌がらせをするブラックウェイという男に話を付けてくれる男はいないのか?

そこへ、老人レスター、アンソニー・ホプキンスと彼の親戚である若者ネイトが引き受けてくれる。うっそうとした森林を抜けて製材所へと向かうと、いたんですね。ブラックウェイって男はレイ・リオッタで、良く悪役専門の俳優さんです。話し合いにならなくて、銃をぶっ放して脅しをかけると森の中へと逃げていく。薄暗い森の中を探すも、ブラックウェイを追い詰めて殺してしまう。

どうも、この親父はブラックウェイに何かしら恨みを持っているようなそんな気配がした。老人の妻は歯科医と駆け落ちし、娘は薬物で死亡という気の毒な老人に、アンソニー・ホプキンスの寡黙な演技が光っていて、物語自体はそんなに激しく殺し合いとかない。リリアンには「ジェイソン・ボーン」シリーズのジュリア・スタイルズが扮していて、綺麗というよりも逞しい女優さん。
邦題が「DEMON デーモン」になっていて、ついオカルト映画だと勘違いしてしまうが、最後に明かされるのが、つまりあの老人レスターが本当の悪魔であり、20年前にカナダの伐採チーム4人を殺した場所へブラックウェイを誘導して殺したということ。こういう物語の展開は、「ウィンターズ・ボーン」に似ているところがある。
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本能寺ホテル ★★★・5

2017年01月17日 | アクション映画ーハ行
「プリンセス トヨトミ」の鈴木雅之監督と綾瀬はるか、堤真一が再びタッグを組んで贈る歴史エンタテインメント。ひょんなことから戦国時代に迷い込んだ現代人の女性が、織田信長と心を通わせ、“本能寺の変”を回避しようと奔走するさまを描く。共演は濱田岳、風間杜夫ほか。
あらすじ:勤めていた会社が倒産してしまい、流されるままに恋人の吉岡恭一(平山浩行)のプロポーズを受け入れ、京都へとやって来た天真爛漫な女性、倉本繭子(綾瀬はるか)。ふとした手違いから路地裏にあるレトロなたたずまいの“本能寺ホテル”にチェックインすることに。するとなんと、ホテルのエレベーターは1582年の本能寺に繋がっていた。やがて織田信長(堤真一)や森蘭丸(濱田岳)と出会った繭子は、織田信長と2人で京都の町を見物するなどして彼の意外な人柄に惹かれていくのだったが…。

<感想>オリジナル脚本のSFストーリーを、綾瀬はるかと堤真一と鈴木雅之監督ほか、「プリンセス トヨトミの制作陣が映像化。時を超えるエレベーターを介して出会った現代の女性と戦国時代の織田信長。時代も立場も異なる者同士のユニークで心温まるやり取りと、本能寺の変の顛末を描いている。
現代の若者がタイムスリップをして、織田信長になる信長協奏曲小栗旬が演じている信長も良かった。それに豊臣秀吉の末裔が現代にいるという「プリンセス・トヨトミ」(12)などいろいろとタイムトラベルものがあります。
その他では、戦国時代にタイムスリップするNHKのドラマを映画化したもの劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日(13)も良かった。

婚約者の吉岡恭一が予約をしたホテルに行くも、手違いでホテルは取れず、ウロウロしながら路地裏のモダンなホテルにチェックインをする。そのホテルは「本能寺ホテル」であり、彼女が宿泊するするために部屋へ上がるエレベーターに乗り、5階まで行くと扉が開き、そこは何処かのお寺の廊下であった。さまよう内に森蘭丸と出会い、やがて織田信長のところへ連れて行かれる。その時自分が時を超えてしまったことに気づく。

エレベーターでタイムスリップとは、平凡な女性と信長の奇妙な交流を描き、その日は、歴史を揺るがす“本能寺の変”の前日であった。最初は信長に曲者扱いされるが、往来している内に次第に理解し合うことになる。

繭子がつい口をすべらして信長に言ってしまう“本能寺の変”で信長は殺されることを。その謀反を起こす者はだれかと聞かれて、明智光秀だと答えてしまう。「早くこの寺からお逃げなさい」と繭子が言うも、覚悟を決めた信長はそのまま寺にいることになる。
その間にも、家来に襲われて逃げると、何故かしら現代のエレベーターの中に戻っていた。エレベーターの謎を探る繭子だが、その夜は結婚式場の下見や、婚約者の父親に会うために料亭に行く。ですが、自分が本当に結婚を望んでいるのか悩み出すのです。

婚約者の吉岡恭一は、建築関係の会社に勤務し、繭子とは2年間の交際であり、繭子が務めていた会社の倒産で途方にくれていた彼女にプロポーズ。父親は京都で和食の名店を営んでおり、妻は昨年亡くなったのだが、結婚50周年の金婚式を挙げることを希望していた妻のためにも、次の日にはお祝いの金婚式に招かれることに。そこでも、繭子はあのエレベーターで戦国時代の信長のことが気になり、途中で抜け出してまたもや信長のいる時代へタイムスリップする。

面白いエピソードに、初めに廊下で森蘭丸に出会い、胃がキリキリと痛むと言う森蘭丸、ストレス性の胃炎だろうと、持っていた現代の胃薬を上げる。確か、森蘭丸は美少年だというのに、こういっちゃなんだけど濱田岳さんにはガッカリでした。でも、ユーモアたっぷりの森蘭丸を演じているのでこれも有りかと。

そして、信長の堤真一さんはハマリ役であり、西国攻めの加勢を前に本能寺に滞在し、家臣からは恐れられているが、誰よりも民を思い平和が訪れるようにと願っている。
そして、謀反を起こす明智光秀には、高嶋政宏が横柄な信長を嫌い謀反を起こすことに。その原因が、客人に出した魚が生臭かったと言う理由で、信長が怒り心頭で直ぐに「打ち首じゃ」とか言う短気な性格の信長を嫌っている。

この作品では、繭子が職を失くして結婚という安易な生活を選ぶのがいいのかと悩む場面もあり、あの古いオルゴールと金平糖の相乗効果で、タイムスリップで戦国時代に行き、いろんなことを経験して学び成長して、もう少し自分の生き方を見つめ直そうとする展開も良かったですね。

中でも本当に綺麗だったのが、京都の鴨川周辺を初めとし、金平糖にあぶり餅など昔からの京都の美味しいものが続々と登場します。本能寺でのシーンでは、東福寺、妙心寺、随心院などの複数の寺社、繭子が辿り着くホテルへの道筋は、祇園の先斗町や青柳小路を実際に歩いて撮影している。さらには、恋人の父親が経営する料亭には、川床で有名な鴨川などを舞台に、京都を散策したくなる風景が数多く登場するのですから。京都旅行をしたい方にも、観て損はないと思います。
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僕らのごはんは明日で待ってる★★★

2017年01月16日 | アクション映画ーハ行
瀬尾まいこの同名小説を「ピンクとグレー」の中島裕翔と「インターン!」の新木優子主演で映画化した恋愛ドラマ。高校生のときに付き合い始めた対照的な性格の男女が、それぞれに成長を重ねながら繰り広げる山あり谷ありの恋愛模様を綴る。監督は「箱入り息子の恋」の市井昌秀。
あらすじ:高校の体育祭で“米袋ジャンプ”のペアになったことがきっかけで付き合い始めた亮太と小春。無口であまり自分を主張することのない亮太と、ポジティブで自分の考えをしっかり持っている小春。まるで対照的な2人だったが、順調に愛を育んでいたかに思われた。ところが、2人が大学生になったある日、小春が突然亮太に別れを切り出す。理由も分からず、途方に暮れる亮太だったが…。

<感想>「Hey! Say! JUMP」の中島裕翔くんのファンばかりの観客で、おばさんはいずらいの何のと、小さくなりながら鑑賞。無口でおっとりしている主人公亮太に扮した中島裕翔くんは、端正なマスクでほっそりとしたイケメン。その恋人役の新木優子が小春役に扮しており、長セリフになると棒読みになるのが辛い。この二人の出会いが高校の体育祭で“米袋ジャンプ”のペアになったことで、小春の方がズケズケと気弱な亮太の中へ入っていくと言う感じでしたね。体育祭での“米袋ジャンプ”では見事に優勝という快挙で、この機会に2人は仲良くなり一緒に暮らしているような。

食事を作る小春が、自分は鶏肉嫌いでも、2人はたびたびファーストフードで食事をして恋を育んでいく。やがて別々の大学に進学し、ファミレスで他愛もない会話を楽しんでいたある日、小春が突然別れを切り出す。フライドチキンが大好きで、鳥のから揚げが大好きな亮太のために、ケンタッキーふうのから揚げを作ってくれた。美味しそうに食べる亮太の顔、嬉しそうな小春といった、2人はこれからも仲良くしていくのだろうと思っていたのに。
小春が、突然私たち別れようと言って強引に出て行く。普通だったら、そこで追いかけて理由を聞くとか、間を置こうとか言うもんじゃないの。心の中に小春の想いでをぎっしりと詰めての別れだから、それからもこもりっきりでみんなと馴染まない。

心配した友達が合コンに連れて行き、そこで新しい恋人をゲットする。というか、こちらも女の方が強引で、積極的に亮太に迫ってきて、部屋まできて料理を作るといった具合。まだ小春のことを忘れていないし、心の中では愛しているから、可愛い女のこでも暗い表情で接する亮太。

やっぱり小春のことが忘れられない亮太は、入院していると聞き、病院へといくのだが、きっぱりと断られる。病気が子宮癌らしいとのことで、結婚しても子供は望めないし、そのことで小春は亮太との結婚をあきらめたのだった。

亮太が小春の「別れよう」と言った秘密を知り、毎日通ってこの恋を運命にすると決めたことを。物語が進むにつれ、ネガティブヘタレ男子が最後には頼りがいのある男性に成長していくという物語。小春のお婆ちゃんには松原智恵子さんが、同じ病室の片桐はいりさんのわざと可笑しなことを言う患者とか、それに、病院まで小春の気を引くために、ケンタッキーのカーネルおじさん盗んじゃダメでしょうに。病院まで重いのを運んで、オジサンの像を勝手に持ち去り、まったくもって意味がないと思う。小春に届ける馬鹿さ加減も呆れかえります。
退院後にレストランで2人で向き合って一緒にご飯を食べる姿に、そして初めてのキスをする亮太にも、愛する人と一緒に食べる食事は美味しいにきまってますからね。
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ピートと秘密の友達 ★★★・5

2017年01月14日 | アクション映画ーハ行
1977年製作のディズニー映画「ピートとドラゴン」を最新の映像技術でリメイクしたファンタジー・アドベンチャー。深い森の中で出会った少年ピートと不思議な生き物エリオットの絆と大冒険の行方を描く。少年ピート役にはオークス・フェグリー、共演にブライス・ダラス・ハワード、ロバート・レッドフォード。監督は「セインツ -約束の果て-」のデヴィッド・ロウリー。
あらすじ:事故で両親を亡くし、深い森の中でたった一人になってしまった5歳の少年ピート。そこで出会った心優しい不思議な生き物に助けられ、森の中でのびのびと暮らしていく。6年後、ピートは近くの田舎町ミルヘイブンに住む森のレンジャー、グレースに発見され保護される。当初、エリオットと名付けた不思議な生き物と一緒に暮らしていたと語るピートの話を信じることができないグレースだったが、その絵が彼女の父ミーチャムがかつて出会ったという生き物にそっくりなことに驚く。やがてグレースとミーチャムは、ピートの案内で向かった森の奥で、ついにエリオットと遭遇するのだったが…。

<感想>森の奥で出会った少年とドラゴンの絆の物語。1977年に制作されたディズニー映画「ピートとドラゴン」のファンタジーを新たに映像化したもの。「セインツ -約束の果て-」のデヴィッド・ロウリー監督がオリジナルを基にしてストーリーを再構築。観客が少ないし、今週で終わりだというので鑑賞。

少年とドラゴンの物語は、「ヒックとドラゴン」(2010)や

「アーロと少年」(2016)のように「少年と恐竜」の友情といったアニメ作品の定石があるも、実写化は初めてでは。

両親を事故で亡くして独りぼっちの少年と、愛くるしいドラゴンが友情を育み、冒険を繰り広げる姿を雄大な自然を背景に映し出している。何だか、「ジャングルブック」と同じような展開であるも、この物語はまた別物であり、人間の子供が何時までも森の中で暮らして行けるはずもなく、6年間一緒に過ごして友情を育んだピートとドラゴンのエリオット。
彼らの間には独りぼっちだったもの同士が互いを守る、暗黙の約束があったわけ。その約束を守り、人間を恐れるエリオットの窮地を救うために少年ピートが奔走する。

6年ぶりに人間と出会った少年は、初めはグレースのことを恐れて保護されても、森へ帰ろうとする。ドラゴンの存在を信じていた祖父のミーチャムは、ピートとエリオットのために,街から脱出を助ける。ロバート・レッドフォードがこの作品を最後に引退するというが、まだまだ元気であればスクリーンに出て欲しいですね。

森の中に住むドラゴンの話を子供たちに語るミーチャム。大人は聞く耳を持たず、そこには目に見える物事だけに捉われず、未知なることに遭遇しても受け止められる心を持って欲しいという願いが込められています。

守の中で森林伐採の仕事をしている大人たちは、森の中で暮らす少年の事よりも、一緒にいたドラゴンの存在に驚き、このドラゴンを生け捕ってサーカスにでも売り払おうと、金儲けの材料にする。だから、みんなが見ていたのに、一人の男が、「あのドラゴンは俺にものだ」と言い張り、麻酔銃で生け捕りにしてトレーラーに乗せて街まで運ぶのだ。街では大騒ぎになり一目ドラゴンを見たいと、人だかりが出来てしまい、森へ返したいグレースとピートはどうにか街からの脱出に成功する。
しかし、金ずるを逃がすものかと追いかけて来る男たち、森の中に着いたのはいいけれど、追いかけて来る大人たちにまたもや連れ戻されてしまう。でも、エリオットは姿を森の緑色に同化して、消えてしまう。

ですが、少年のピートは11歳で、これからのことも考えて、学校へ通わせねばならず、社会福祉の人たちも来て、孤児院へ入れようとする。そこで、グレースが幼いころに、父親のミーチャムが森の中で見たというドラゴンの話を聞き、自分も見たいと森へと行くのだが、その時に磁石を失くしてしまい、それを拾ったのが少年のピートなのだ。

大きな翼で空を飛ぶ、緑色のフワフワとして毛に覆われたドラゴン。CGなんでしょうが、良くできていました。いつまでも、ドラゴンと森の中で暮らすことは出来なくなり、別れの日が来ます。それでも、森の中へと北の方角へ行けばエリオットに会えるので、グレースと恋人のジャックの娘ナタリーを連れて北へと向かうと、谷間にはたくさんのドラゴンか飛び交い、エリオットの仲間たちと仲良く過ごせるでしょう。

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世界の果てまでヒャッハー!★★★・5

2017年01月13日 | アクション映画ーサ行
ブラジルの高級リゾート地にバカンスにやってきた男たちが大騒動を繰り広げるアドベンチャーコメディー。ジャングルの秘境ツアーに繰り出した一行の珍道中が描かれる。脚本やプロデューサーもこなしてきたニコラ・ブナムと、主演も務めるフィリップ・ラショーがメガホンを取り、『コルシカン・ファイル』などのクリスチャン・クラヴィエらが出演。おバカな男たちが巻き込まれるハプニングの数々に笑いが止まらない。
あらすじ:フランク(フィリップ・ラショー)は恋人ソニア(アリス・ダヴィ)、悪友たちとブラジルの高級リゾートホテルを訪れる。彼はこの旅をきっかけにソニアにプロポーズしようと考えていたが、彼女の祖母の世話を押し付けられてしまう。やむなくフランクと友人たちは祖母を連れてジャングルの秘境ツアーに繰り出すが、一行はハンディーカメラ1台を残して行方不明になり……。

<感想>フランス映画です。それが極彩色豊かなハチャメチャ・コメディを輩出するとは思ってもみなかった。しかも本国では驚異的な大ヒットだなんてね。懐の深いラテン的民族性を感じたのに。舞台はブラジルの高級リゾート地イタカレであります。監督・主演でもあるフィリップ・ラショーが主人公のフランクに扮して、プロポーズする予定の恋人ソニアと悪友数人と共にバカンスにやってくる。宿泊はソニアの父親が経営する豪華なホテルなのだが、ここの様子が少し怪しい。

流行りのエコロジーを売りにしていて、再生材から作ったというカヌーが飾り者ように並べられていて、生態系を守るためと称して亀の背中にはGPSが取りつけてある。ちょうどエコ認定を受けるための審査員ファミリーを招待中であり、このホテルにはソニアの祖母で高齢のヨランドも暮らしている。ところが、車いすの老人がウロウロしていると体裁が悪いと、フランクらに世話を押し付けるのだ。

仕方なしにおバカな面々は、老人を連れてジャングル秘境ツアーに出掛ける羽目になり、その後行方不明になってしまう。アイデアが次々と繰り出されて、テンポが良くて面白いので、邦題のキワモノ感から敬遠するようなことはありません。ですが、かなり低俗なネタも含まれているのに、耐え難いほど下品になる寸前で踏みとどまっているように見えた。
それに、この手の映画で貶められがちな老人や若い女の子や先住民を、時にはかっこよく描いているのも良かった。

物語は、ここからホラー映画ばりのファウンド・フッテージになっていて笑えるのだ。持ち主不在のカメラに残された映像から、事件の真相を探るという手法で、臨場感たっぷりのリアルな冒険を楽しめますから。冒頭で、主人公が婚約者に渡すはずの指輪を友人が飲み込んでしまい、お尻から出てくるのを待つというギャグがあって、下品な作品になるかと思った。ですが、それよりも全編、イージーな手持ちカメラ撮影なのが辛くて、笑いそこねたところもある。

監督・脚本のニコラ・ブナムは、YouTubeに溢れる素人のライブアクションよりも上をいくものをと、かなり本気モードなんですから。命綱が必要な崖の飛び降りも装置の設置ができなかったが、俳優たちは次々に飛び降りるわけ。

離陸中の飛行機によじ登り、高度4千メートルの高さから空へとダイブし、パラシュートを開くという、命がけなシーンも俳優自らこなしたというから凄い。
「食人族」と「ハングオーバー」をくっつけたような作品で、どこまでもノリは軽い。しかし物語の構成は、けっこう緻密で終盤における収束感もピシット決まっていて気持ちがいい。どれもがしっかりと笑えるものであり、大満足。

それと、先住民に追われながらプロペラ機が離陸して、燃料がゼロであり、落下傘で脱出して、島に着地というシークエンスをシームレスで映すなど、映像も凝りまくっているのに驚かされる。
そこに至るまでには数か月の訓練を要したとのこと。忘れそうになるが、これは観客を笑わせるという一点のみに、費やされた労力なのであります。怪しげなエコ精神を笑い飛ばして、誠心誠意作られたおバカで下品な物語に拍手を贈りたいですね。

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湯を沸かすほどの熱い愛 ★★★★

2017年01月12日 | アクション映画ーヤ行
『紙の月』などの宮沢りえと、『愛を積むひと』などの杉咲花が母娘を演じ、余命宣告を受けた主人公の奮闘に迫る家族ドラマ。行方不明の夫を連れ戻すことをはじめ、最後の四つの願い事をかなえようと奔走するヒロインの姿を捉える。『チチを撮りに』などの中野量太が監督と脚本を担当し、物語を紡ぎ出す。母親と娘の強い絆はもとより、人生の喜怒哀楽を詰め込んだストーリーに夢中になる。
あらすじ:1年前、あるじの一浩(オダギリジョー)が家を出て行って以来銭湯・幸の湯は閉まったままだったが、双葉(宮沢りえ)と安澄(杉咲花)母娘は二人で頑張ってきた。だがある日、いつも元気な双葉がパート先で急に倒れ、精密検査の結果末期ガンを告知される。気丈な彼女は残された時間を使い、生きているうちにやるべきことを着実にやり遂げようとする。

<感想>やっと今年になってから東北でも上映されました。ネットで皆さんの高評を見て断然観たくなり、駆けつけました。死期が迫る母親が、遺される家族のために奮闘する姿を描いたヒューマンドラマです。主人公の母親に扮する宮沢りえが、人情味あふれる母親を情感豊かに演じているのが最高。それに、娘役の杉咲花と父親のオダギリジョーの飄々とした姿も完璧の演技陣に拍手を贈りたい。

とても私には、こんなにも強く優しく血のつながりもない子供たちを育てる母親像が、羨ましくもあり、いつもの余命いくばくもないという映画を観て、涙を流してきたのが1年間に数十本もあるのに、中でも死という生を軽んじる安直な映画が許せなかったが、この映画だけは違っていた。

本作は白い煙の煙突に始まり、赤い煙の煙突で終わる。立ち上る煙の様子に、生きることを象徴させて、登場人物たちの成長と共に煙突の姿もまた成長させているように見えました。
残された家族は、双葉がパートで働いて生活をしていたが、職場で急に倒れて病院へ行き、余命宣告を受けるほどの末期癌だったとは。普通は、そこで親戚とか友達に相談して、夫を探し当て、家を売ったお金を半分貰って離婚するんですけどね。この映画では、まったくもって違っていた。

夫であるオダギリジョーが、パチンコに行くといって出て行ったきり戻って来なかったことから始まり、実は浮気をしていて、子供までいて隣街のアパートで暮らしていた。探偵に依頼して探してもらったのだが、ひょうきんな顔をしてオダギリジョーが暗くなる作品を上手く笑いのとれるコメディにしてくれる。双葉が死ぬ前に生きたいと言っていたエジプト旅行。入院先の病院の庭で、家族で作る人間ピラミットで驚かすのには苦笑いでした。
それからは、一度は銭湯の風呂場で泣き明かした双葉だが、意を決してそれからは、銭湯の再建と家族の複雑なしがらみを1人で踏ん張って解決していく。

まさか、長女の安澄が先妻の子供であり、そして出て行った夫が連れてきた娘と、自分がお腹を痛めて生んだ子供がいないのが難点。それに双葉の生い立ちも詳しく描かれていない。それに長女は学校でいじめられており、登校拒否をする。そこで母親は、負けるな、強く立ち向かえとばかりに、安澄の好きな水色のブラジャーとパンツをプレゼントして、「ここぞと言うときの勝負パンツだよ」と笑って娘に言う。娘が学校で、意地悪3人娘に対して、その下着の使い方が大変気が利いて良かった。でも、これは恥ずかしさが先に出て、勇気がなければダメ。

そして、夫が戻ると銭湯を開くといい、双葉は「働かざる者食うべからず」とみんなに手伝うように仕向ける。それに、毎年のように安澄の誕生日にタカアシガニを贈ってくる、安澄の母親に会いにいくのだ。聾唖者である母親のために、安澄に手話を覚えるようにと言う双葉。会いに行き、複雑な思いの安澄の心に、双葉はお母ちゃんが2人いて良かったねと。

それに、夫の連れっ子である娘は、母親恋しさから番台からお金を盗み家出をする。双葉は、前に住んでいたアパートに行くと、そのドアの前に座っていた。母親に捨てられたのではないと、待っている。その娘も、双葉の優しと愛情で次第に懐いて来るのだった。

その旅行中に、若い青年がヒッチハイクで車に乗せてくれと言う。その男は、松坂桃李くんで、父親が再婚をしては腹違いの弟がいて、家に帰りずらいと言う。この青年も、心を病んでいるのを知って双葉が愛の手を差し伸べる。

最期には、双葉が探偵に自分の母親探しを依頼していて、見つかったというので行くと、再婚をしており大豪邸に住んでいて幸せな顔の母親が見えた。そして、一目だけでも会いたいと言うと、母親は「私には子供はいない」と、つれない返事で会ってもくれない。頭にきて、孫と遊んでいる幸せそうにしている母親に、門にあった置物を投げつけてやる双葉。

それでも最後まで、ひねりのある人情味あふれる脚本と、細部にさりげない遊びを取り入れた演出も巧いですね。確かに死に往く母親の心配りということでは、「バースデーカード」の母親に設定は似ているし、痛いエピソードもある。けれども、その痛さをしっかりと蹴とばすことになる伏線が、巧みに用意されており、気が付いたら泣き笑いしていた。
本作で思わず涙腺が緩むのは「死」が悲しいからではない。厳しい現実に直面しながらも、生きることを諦めない姿に心動かされるからであります。ラストの葬式のシーンでは、湯船に双葉の好きな赤い色を中心に花畑を作り、その中に双葉が白いワンピースを着て寝ていた。もしかして、双葉の遺体はお風呂を沸かすために焼いたのだろうか。ちょっとこれは気に入りません。
それから、家から車で出て河原にピクニックにでも行くように、みんなでお昼を食べ笑って見送る家族の姿は素敵でした。
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傷物語〈III 冷血篇〉★★★・5

2017年01月11日 | アクション映画ーカ行
西尾維新原作の大人気TVアニメ〈物語〉シリーズ初の劇場版。すべての〈物語〉の原点となる主人公・阿良々木暦と伝説の吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの出会いを描いた原作小説『傷物語』を、引き続き新房昭之総監督、シャフトのアニメーション制作で全3部作にてアニメ化。本作はその第3部。
あらすじ:ドラマツルギー、エピソード、ギロチンカッターという3人の強敵に勝ち、吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの四肢を奪還した阿良々木暦。これで普通の人間に戻ることができると思っていた暦だったが、キスショットに吸血鬼の恐るべき本質を知らされる。暦は自分のしたことを後悔するが、そんな彼に同級生の羽川翼があることを提案する。

<感想>西尾維新原作のTVアニメ〈物語〉シリーズ初の劇場版です。2016年の傷物語Ⅰ<鉄血篇>傷物語Ⅱ<熱血編>を鑑賞したので、最後まで観たいと思いましたね。これは最初の鉄血篇から熱血編と見ていないとつまらないでしょう。

これでラストということで、主人公の高校生阿良々木暦くんが、キスショットの両手、両足を取り戻すことに成功し、キスショットがまたもや吸血鬼として君臨するということに。
阿良々木暦君一人だけだったらとても3人の使者から、キスショットの四肢を取り戻せなかったと思うし、阿良々木くんを大好きな羽川翼の存在があってのことでもあり、それに、金で殺し屋をする謎の男・忍野メメがいなかったらとてもじゃないが、無理だったのではないか。

それに、吸血鬼退治専門のおっさん、アロハシャツ姿の謎の男・忍野メメが、キスショットの心臓を持っていたことが解り、その心臓をも阿良々木くんに返してあげるのだ。いつの間に心臓を獲ったのかは定かではないが、スゴ技の使い手とみた。

そして、体育館の倉庫の中で阿良々木くんが吸血鬼キスショットと対決しなければならなくなり、同級生のボインちゃん羽川翼の身体を欲しいと迫るシーン、「乳だけ触らせろ」と何度も迫るシーンが長いのなんのと、こんなに長くなくてもね、男性には嬉しいサービスなんだろうが、とにかくエロイシーンでした。

そして、物凄くグロイシーンのキスショットとの対決シーンである。阿良々木くんの首が飛ぶし、手足が斬られてしまうし、キスショットの腹の中に日本刀が忍んでいるとはね。ですが、阿良々木君も吸血鬼なんですぐに元どうりになるわけ。

1番目にキスショットを助けた鎧兜の戦士が、幽霊のように出てくるし、2番目に助けた阿良々木くんも吸血鬼になってしまっているしで、キスショットも前(500年前)は人間であって、吸血鬼になってからは人間の生き血を吸うどころか、腹が減ると人間を食ってしまうシーンがグロかったです。

人間に戻りたい一心で、阿良々木くんはキスショットと闘うのですが、自分が吸血鬼のキスショットを助けたばかりに、こんなことになるとはね。以前のように、色っぽいことはそうなんですが、両手足に心臓を取り戻したキスショットの強いことといったらない。

ですが、キスショットもこの際この世から消えたいという思いが伝わってきて、それを吸血鬼退治専門のおっさんゲンジの力で、キスショットが人間を食べないように、子供の姿にもどしてしまうということになる。生き血は、阿良々木くんの首から上げてましたね。単なる吸血鬼退治じゃない、人間と共存して生きるためには、「人間を食べないこと」という結論になったわけ。

ラストがまた作画が繊細で綺麗なので、映像も見事でこれはこれで、でも羽川翼との恋愛成就がなかったのが残念。それでも、個人的には好きな作品です。

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MILES AHEAD マイルス・デイヴィス 空白の5年間 ★★★・5

2017年01月10日 | アクション映画ーマ行
「ホテル・ルワンダ」でアカデミー主演男優賞にノミネートされ、近年は「アベンジャーズ」シリーズでも活躍するドン・チードルの初監督作品。ジャズ界の帝王マイルス・デイビスに実際に起こった出来事からインスピレーションを受けたチードルが、共同脚本、製作、自身の主演でマイルスの活動休止期間にスポットを当てる。

あらすじ:1970年代後半の5年間、ミュージックシーンから完全に姿を消したマイルス・デイビスは、慢性の腰痛に悩まされ、ドラッグや鎮痛剤の影響から、自宅で1人すさんだ生活を送っていた。そんなマイルスのもとに音楽レポーター、デイブ・ブレイデンが強引におしかけてきた。それから2日間、2人は盗まれたマイルスの最新曲のテープを取り戻すため思わぬ追跡劇に巻き込まれる。チードルがマイルスを演じ、レポーターのブレイデン役をユアン・マクレガーが演じる。ライブシーンではマイルスとの共演経験もあるハービー・ハンコック、ウェイン・ショーターをはじめとする一線級のミュージシャンも登場する。

<感想>この映画の邦題のせいで、ジャズ好きは、マイルスの空白の5年間の謎を知りたくて観てしまう。回想シーンに警官と揉めて殴打される、有名な事件も出て来て期待が高まります。ですが、やがてマイルス秘蔵のテープをめぐり、銃弾戦やカー・アクションが始まると、唖然とさせられます。

髪型を変えたり、サングラスを外すとドン・チードルにしか見えないことについては、致し方ないと思う。これを見ると、ドン・チードルが「ホテル・ルワンダ」が民族紛争の原因究明よりもアクションに重点をおいたのを連想してしまう。

前記のチェット・ベイカーもそうだったが、どうしてこうもトランペット奏者は、ドラッグにどっぷりと浸かっているのだろう。

物語の中に恋人のフランシス(エマヤツィ・コーリナルディ)が出て来て、結婚するも生活は荒れ放題で、殺伐としておりコカインまみれなのだ。彼女をナンパする場面も愉快だ。20ドル札に自分の電話番号を書き、手渡してキザに去ってゆくシーンだ。

さすがに自分が苦労して録音したテープを取り戻すために、拳銃をぶっ放し、カーチェイスまでやらかすのはやりすぎじゃないかな、と思うのだが、結局、マイルスは足を撃たれてしまうのだが、病院へいったのだろうか。ですが、背景に流れるマイルスの演奏に、ふさわしくあろうとするかのような脚本と構成でもある。
そして、エレベーターの壁を押して70年代の高層ビルから50年代のクラブへと移動するといったジャンキー視点に満ちた場面転換が効いていて、何も気にならなくなる。

過去と現在とが自在に交錯して、やがてはすべてが華麗にクライマックスへと流れ込む形式には、「オール・ザット・ジャズ」のような感じもするが、完全にフィクションなのだけれども、普通に伝記映画を撮ってもマイルスという人物は、表現できないと言えば、批判への答えとして十分なのだろう。雑誌記者としてユアン・マクレガーが共演しているは、もったいない役のような気がする。

マイルスの仕草やトランペットの演奏まで本人そっくり! チードル渾身の演技に驚きます。迫力のトランペット演奏シーンはチードル本人によるものであり、特訓を重ねて臨んだそうです。そして、独自のファッション・センスも注目を集めた。

とにかく「カッコ良くあること」にこだわったマイルスであり、ファッション面でも独自のセンスで人々を引きつけたが、本作でもそのこだわりを語るシーンが登場する。敵地に乗り込むというのにクローゼットにユアンを誘い、「好きな服を選んでいい、服装にはこだわれ」とさとすのだ。ファッションはセンスであり、どんな時でも自分を表す主張なのだと言わんばかりに。

そして、「ジャズ」ではなく「ソーシャル・ミュージック」と自身の音楽を呼んだのも時代を先取りしていた。ドン・チードルが自分で監督・脚本・制作・を兼任して、主人公マイルスを演じたかった情熱は伝わって来るし、偏屈な風貌もよく演じられていたので、最後のエンドロールでの演奏には感動しました。

チードル自身のプレイによる迫真のライブシーンは圧巻であり、現代のジャズ・シーンをけん引するグラミー賞ピアニスト、ロバート・グラスパーや「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」でドラムを響かせたアントニオ・サンチェス、そしてマイルスとともに演奏をしていた生きる伝説ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーターなど、豪華アーティストによる共演は見逃せません。絶大なインパクトを誇る破天荒なカリスマの生き様を、本作で目の当たりにしようではないか。

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ブルーに生まれついて★★★

2017年01月09日 | アクション映画ーハ行
「ビフォア・ミッドナイト」「6才のボクが、大人になるまで。」のイーサン・ホークが伝説のトランペット奏者チェット・ベイカーを演じて高い評価を受けた感動の音楽伝記ドラマ。50年代のジャズ・シーンで一世を風靡するも、麻薬でどん底へと転落したチェットが、愛する女性に支えられて再起を目指す苦闘の日々を見つめる。共演はカーメン・イジョゴ。監督は、これが長編2作目となるカナダの新鋭、ロバート・バドロー。

あらすじ:白人ジャズ・トランペット奏者のチェット・ベイカーは、その端正なルックスも相まって1950年代に一世を風靡する。しかしドラッグに溺れ、たびたびトラブルを起こして、いつしか表舞台から姿を消してしまう。そんな中、暴力沙汰に巻き込まれ、病院送りに。アゴを砕かれ、前歯を全部失う重傷で、トランペッターとしては致命傷かに思われた。それでも、恋人・女優ジェーンの献身的なサポートのもと、ドラッグの誘惑を断ち、再起に向けて懸命に歩を進めていくチェットだったが…。

<感想>1950年代に一世を風靡したジャズ・トランペット奏者のチェット・ベイカー。この天才トランペット奏者に「6才のボクが、大人になるまで。」のイーサン・ホークが扮した音楽伝記映画であり、ベイカーがドラッグで身を持ち崩し大怪我を負った頃から、恋人のジェーンの愛情に支えられながら、ついに再起するまでの期間にスポットを当てて描いている。

恋人役には「グローリー/明日への行進」のカーメン・イジョゴが扮しているほか、「ウォークラフト」のカラム・キース・レニーらが共演している。監督・脚本・共同制作は、元ジャズファンでベイカーについての短編を撮ったこともあるロバート・バドローが担当している。

さすがにベテラン役者であるイーサン・ホーク、役に成りきるのではなく、役を自分に引きつけてそこに新しい人間を作り出すという演技。だからいわゆる演技派の演技ではなくて、まるでドキュメンタリーのようにその役を生きるのだ。そのイーサンが、見事にチェット・ベイカーに成りきったのがこの映画。

モダンジャズ界に新風を吹き込んだ、白人のトランペット奏者チェットが、1966年に、公演先のイタリアで麻薬密輸の疑いで投獄された後、解放されて帰国して、今度は俳優として自伝映画の撮影に参加するあたりからこの映画は始まる。
モノクロの映画の世界とカラーの現実世界。その双方を行きつ戻りつしてチェット・ベイカーの、内面に迫る冒頭のシーンから、ロバート・バドロー監督は一気に彼独自の世界観へと侵入を試みる。

映画は、彼が麻薬の売人らの暴行で前歯を失う重傷を負った後、奇跡的な復活の軌跡を追うのだが、その間のチェットの繊細な内面をイーサンは我がことののように表現していくのだ。トランペットの音色とヴォーカリストとしての、スィートな歌声で装いながら、愛と救済の独自の音楽の世界を作り出していく。特に、あの独特の中性的なかすれ声のヴォーカル、とりわけ「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」は絶品だった。イーサンが特訓の末にトランペットに歌も披露しているのが最高。

ジャズクラブでの演奏していると客席には、あのジャズの帝王といわれたトランペッター、マイケル・デイヴィスが座っていた。この作品と一緒に彼の”空白の5年間”という映画も鑑賞しました。

麻薬との闘いの物語は、また夫婦愛の物語でもあるのだが、ラスト近くで「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を妻のジェーンに贈る場面ではぐっと来ますから。

ですが、チェットがドラッグにまた夢中になりだしたころから、妻のジェーンが家を出て行く。それからは、何でも屋になり楽団に混ざってトランペットを吹く姿も、しかし、旅先のアムステルダムで自殺という悲劇が報じられる。何だか、チェットの澄んだトランペットと、甘い歌声をもう一度じっくりと聞きたくなりました。

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ミス・シェパードをお手本に ★★

2017年01月07日 | アクション映画ーマ行
英国の劇作家アラン・ベネットの驚きの実体験を、アラン・ベネット自らの脚本で映画化したヒューマン・コメディ。オンボロワゴン車で寝泊まりする偏屈老婦人と、彼女のために自宅の敷地を提供した劇作家の15年にわたる奇妙で心温まる交流をユーモラスに綴る。主演はともに舞台版でも同じ役を演じたマギー・スミスとアレックス・ジェニングス。共演にジム・ブロードベント。監督はアラン・ベネットとは数々の舞台でタッグを組む盟友で、映画でも「英国万歳!」「ヒストリーボーイズ」に続いてこれが3度目のコラボとなるニコラス・ハイトナー。

あらすじ:ロンドンのカムデン、グロスター・クレセント通り23番地。文化人が多く暮らすリベラルなこの地区に、壊れかけた一台のバンが停まっている。所有者はみすぼらしい身なりの老婦人、ミス・シェパード(マギー・スミス)。ホームレスの彼女は、このバンで寝泊まりし、自由気ままに暮らしていた。プライドが高く、心配する近所の住人の親切にも、悪態で返す偏屈ぶり。ある日、ついに退去命令を受けて途方に暮れるミス・シェパード。劇作家のベネット(アレックス・ジェニングス)は、そんな彼女に自宅の敷地を提供する。一時しのぎになればと軽い気持ちで提案したベネットだったが、まさかそのまま15年間も居座り続けるとは思いもしなかった。頑固で変わり者の彼女に振り回されつつも、決して互いに深入りすることのなく、一定の距離を保って奇妙な共同生活を送るベネット。それでも作家として、ミス・シェパードの謎めいた人生に興味を抱かずにはいられないベネットだったが…。

<感想>実話だというから驚いた。ロンドンの郊外に車での生活をしている老婆の物語なのだが、国の福祉が行き届いているであろうイギリスのお話に、本当にそうなのかと感慨深く思ってしまった。何処の国でも身寄りのない一人暮らしの老人はいる。しかし、日本でも実話ではありませんが、前に西田敏行さんが演じた星守る犬(2011)で、北海道で犬と一緒に放浪の旅をつづけて最後には飢え死にしたようです。

とにかくも、私だって年取ってから最期を迎えるまで自分がどう生きるべきか、などと年を取るとつい考えてしまう昨今です。この物語の老人は、若い頃はピアノ奏者で活躍をして、結婚はしなかったのか、その後は修道女になろうと修道院へ入るも、厳格な規則の中で上手くみんなと合わせて生活できずに修道院を出てから、ワゴン車で放浪の旅に出たようです。それでも、一応は学校も出ていて、ピアノを弾く腕もあったのだから結婚はしなくても、老後はピアノを教えて生活保護も受けて暮らしていけたのに。

ですから、この邦画のタイトルは「ミス・シェパードをお手本に」は、気に入らない。自分一人で、他人には迷惑をかけていないとばかりに威張っているようですが、飛んでもなく意固地な老婆であり、みんなに迷惑をかけているのですから。
とにかく、偏屈で頑固で、老人とは特にこのようになるものかと、観ていて同じ女性として「こんな老後はごめんこうむる」とばかりに、つい非難したくなる。それに、冒頭での事故ですよ。何故に警察へ行かなかったのか。
ボケもはいっているのか知らないが、車のフロントガラスに人間が体当たりして、ガラスが血だらけになるも逃げてしまうのだから。その事故を見ていたのか知らないが、後でミス・シェパードの住んでいる場所を探しあて、一人の男が車のガラスを叩くのだ。そして、老婆はその男にお金を渡す。これは一体何なのか。きっと、男は老婆を轢き逃げ犯人だといい、口封じに金を請求したのだろう。

道路に車を止めて、トイレもビニール袋にして、車の周りに捨てて置く。なんて不潔で不衛生極まりないのだ。どうしても老人はお風呂へ入るのを面倒くさがるが、この老婆は、車での生活だから風呂なんて入らない。画面から臭ってくるような錯覚を覚える。たまには、作家の家のトイレを借りることもあるが、当たり前のようにずうずうしくトイレを借り、綺麗にトイレを使わないから後始末が大変なのだ。だから、その後はトイレを貸さなかったらしい。

それにして、親切に庭に車を止めること許可したこの作家、アラン・ベネットの優しさと親切が仇となってしまう。本当だったら、強引に社会福祉に連絡をしたのだから、強制的に施設へ入れてしまうようにするべきだと思う。社会福祉の人も、たまには様子を見に尋ねてくるも、邪険にして迷惑そうに追い返す。作家のアランは、自分の母親を施設に入れているので、ミス・シェパードも施設へ入れようと努力するも、断られてしまう。
しかしだ、観ていて気の毒には思うが、同情しても何の得にもならない。彼女が死ぬまでの15年間は、その車の中で、自由きままに過ごしてきたのだから。人の迷惑も顧みずに、親切心を当たり前のようにとり、最後まで車の中で暮らすとは呆れて物も言えない。
確かにそのまま、庭に車を止めさせて暮らしていたのだから、そうしたら、こんな映画なんて出来なかっただろうが、とにもかくも、近所の隣人たちの優しさもあってか、彼女は幸せに最期を迎えたようである。
ベテランのマギー・スミスが、ミス・シェパードを演じているが、実にぴったりと頑固老人がハマリ役であり、彼女の演技力でこの作品をB級映画にしないくらいの頑張りであった。

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誰のせいでもない 3D★★★

2017年01月06日 | アクション映画ータ行
「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」のヴィム・ヴェンダース監督が、一つの事故によって人生が変わってしまった主人公の心の軌跡を3Dで描き出した異色ドラマ。主演は「127時間」「オズ はじまりの戦い」のジェームズ・フランコ。共演にシャルロット・ゲンズブール、レイチェル・マクアダムス、マリ=ジョゼ・クローズ。
あらすじ:カナダ、モントリオール郊外。作家のトマス(ジェームズ・フランコ)が夕暮れの雪道を車で走っていると、突然、丘からソリが滑り降りてくる。慌ててブレーキをかけ、車から飛び出すと、幼い少年が呆然と座り込んでいた。幸いにもケガはしていないようで、車をその場に残し、彼を家まで送り届ける。すると出迎えた母親は、弟がいないことに気づき半狂乱となる。ほどなく弟は、車の下で亡くなっているのが発見される。罪悪感に苛まれたトマスは、恋人サラ(レイチェル・マクアダムス)との関係も壊れてしまう。心に大きな傷を抱えながらも、書き続けることで自らの責任と向き合おうとするトマス。やがて月日は流れ、作家として成功を収め、編集者のアンとその娘ミナと新たな生活を始めようとしていたトマスだったが…。

<感想>冒頭の事故のくだりで、観ていて猛烈なショックを感じてしまい、これからどうなるのだろうと思ってしまった。不可抗力な交通事故で、子供を死なせた主人公は、法律とは別の意味でひどいトラウマを抱えてしまう。
これは、人身事故を起こしてしまったら、誰でもがかかるトラウマであり、一生涯付き纏うことでもあり、運転ができなくなることもある。
ですが、心理スリラーになるのかと思っていたら、いや違っていた。主人公が小説家ということで、悩んだ末にそのことを題材にして、「冬」という小説を書いて賞を取ってしまうのだ。その後も、今までスランプ状態だったはずが、事故の後には、驚くほどに小説が巧く書けて来るのだから。

長い長い歳月を経て、人の心は変化するものだというかのごとく、3年後、4年後と、時を操って物語が展開する。初めの付き合っていた女性サラを演じた、レイチェル・マクアダムス。子供を車で轢いたということで、子供が欲しいという彼女と、子供はいらないというトマスとの意見の違いで別れてしまう。

その後に、編集社で女の子を連れたアンと出会い結婚をする。しかしだ、被害者の家族は、残された母親と息子は、生活は何も変わらずに、その場所で生活をしていて、突然思い出したかのように現れるトマスに、被害者の母親は恋人のように甘える。母親を演じている幸薄そうな風貌のシャルロット・ゲンズブールが、痩せて化粧っけのないまるで老婆のような姿に驚く。
事故の時には、もう一人弟が一緒にいたわけで、確かに子供を轢いてしまったのだ。車の下をよく見ていれば、その時発見して病院へ運んでいれば助かったのかもしれないのだ。
ですが、その被害者である母親は、その後に、賠償金をもらって解決したかのように、主人公を恨むわけでもない。事故があった時に、母親は好きな本に夢中になっていて子供を家の中へ入れなかったと詫びるのだ。
ですが、もっとも傷が浅いと思われていた少年、生き残った兄の方が、大きくなって主人公のところへ連絡を取って来る。まるでサスペンスフルな登場が見事なんです。タイトルが身も蓋もない題名であり、中身がはっきりとしていない。他人を不幸にしてしまった過去の出来事を、プラスなものへと転化させる小説家のサガも、そういうものだと言いようがない。

編集者が口にする「創作者は、結局のところどんな経験も作品に生かせる、創作のために栄養にできるのだ」と言うのだ。そのことを責め立てるかのように、被害者の助かった兄貴の方が、主人公を小説を読んで尊敬しているし、憧れてもいる。だからなのか、勝手に家に中に入り寝室のベットに小便をかけて行く。

その時には、まさか犯人がその被害者の兄貴クリストファーとは思ってもいなかったトマス。庭に潜んでいるその兄貴が成長して立っているのに、サスペンスを感じてしまう。ですが、ラストシーンのトマスを演じたジェームズ・フランコの笑顔を見ていると、サスペンスふうの味を作ってはいるが、どうしてもヴェンダース監督ならではのチンタラとした感じが強くて、あまり面白くはない。彼自身の事故であっても、この作家は書くことで生き延びただろうと思うと怖くなってくる。
何故に3D映画にしたのかという問いに、3D映像ならではの、窓から差し込む光にまばゆく反射する部屋のホコリとか、白銀の街に舞う散る粉雪といった3Dならではの、圧倒的な風光明媚感に息を呑む。

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シークレット・オブ・モンスター★★★

2017年01月05日 | アクション映画ーサ行
後にヒトラーを彷彿とさせる独裁者へと成長していく男の少年時代に焦点を当て、癇癪持ちの少年と周囲の大人たちが織りなす狂気を孕んだ不条理な日常を描いたドラマ。少年役は本作が映画デビューとなるトム・スウィート。共演にベレニス・ベジョ、リーアム・カニンガム。監督は「ファニーゲーム U.S.A.」や「メランコリア」など俳優として活躍するブラディ・コーベット。これが記念すべき長編監督デビューとなる。
あらすじ:第一次世界大戦末期の1918年。ヴェルサイユ条約締結を目的にフランスに送り込まれたアメリカ政府高官。同伴の家族は、信仰篤いドイツ人の妻(ベレニス・ベジョ)と少女と見まがうほど美しい息子(トム・スウィート)。父親は仕事に追われ、少年は母親と多くの時間を過ごしていた。しかし、少年はしばしば癇癪を起こして大人たちを当惑させる。やがてその無分別な行動は際限なくエスカレートしていくのだったが…。

<感想>序章として、癇癪とは、これは良く子供が親や先生に対して反抗する行動。よく癇癪もちなんて言われる子供もいるから。要するに、何も考えずに直ぐにキレてしまう子供のこと。大人になると、短気でいつもイライラとして、人の話を聞かないで自分の考えを命令する男。終いには手をあげて叩いたり、乱暴をすること。自分の欲求をすぐに行動に移して、衝動を抑えられないのだ。

そして、映画の中での不協和音である。モノクロ映像かと間違えるほどの暗い大豪邸を舞台に、物語の中での不協和音が多すぎるのだ。物凄い重低音の気味の悪い音、グワングワンとしたまるで怪物が地の底から這い上がってくるような音に悩まされる。この映画の音楽を担当したのは、ウォーカー・ブラザーズのスコット・ウォーカー。

冒頭での背中に天使の羽を付けた美しい少年。彼こそがこの映画の主人公であり、癇癪を起して庭で拾った石を友達や神父たちに投げつけるのだ。その主人公が、のちに独裁者へと変貌していくプレスコット。なぜにこんなにも美しい少年が、独裁者へと変貌したのかが描かれている。

何故にこんな仰々しい演出にしなくてもいいのではないか、という気もしてくるが、この仰々しさこそが作品の世界をギリギリに成立させているのだから。まずもって不穏な時代の空気感。異国での慣れない生活に、父の不在。母の厳しい干渉。女教師のブラウスから見える透けた乳房。少年時代の女性への憧れ、私生児、祈りの放棄。孤独、被害妄想など。

知性も教養もあると自負する両親が、一人息子を「いい子」に育てたいと考えるのだが、少年は教育など受けていないのだ。素朴な老婆のお手伝いに懐き、両親の良かれと思う行為のすべてが気に入らない。
母親は、息子を甘やかすお手伝いを首にし、挙句に家庭教師までも首にする。子供の面倒を他人任せの母親が、自分で見るわけでもないのに。子供部屋に閉じ込めてしまうのだ。だから、息子のその気持ちが痛いほどに、画面から伝わって来るので、今に何かが起こるとハラハラして見入ってしまう。こんな少年は体験を活かして、アーチストにでもなってくれたらと思うのだが、政治の世界へと進んでしまう。後に独裁者となった男の少年記ということだが。

少年に課せられた生活の中で、大人の愛情不足、厳しい躾も必要ですが、幼少期の親の愛を知らないで育った子供は、大人になって自己権威が強く他人との交わりを必要とせず、己の権威をひけらかす傾向がある。折角与えた児童文学の「ライオンとネズミ」の物語も、少年にはライオンの脅威がそのまま大人への階段になってしまったよう。

両親は、父親が少年の教師と不倫をしていて、母親は夫の友人の文筆家である、チャールズと。つまりこの主人公は、母親がチャールズと不倫をしてできた子供であり、ラストで独裁者となった男が、ロバート・パティンソンが二役したようにそっくりだったから。

この少年がフランス最後の夜のパーティで、父親が母親にスピーチを願ったのだが、その母親が息子にそのスピーチをしてくれと命令するから。それから決定的な癇癪を起こして、階段の踊り場で昏倒した主人公プレスコットが倒れている。大事なパーティの場で、息子にスピーチをさせる母親がいるのか。

だが、いっきに時代を飛び越えて、何故だか独裁者として君臨している主人公の姿が描かれ、これで幕切れとなります。それは、成長した独裁者のプレスコットであり、演じているのが、あのチャールズと2役をしたロバート・パティンソンなんです。

しかしである、独裁者として決定づけるエピソードみたいなものがないので、癇癪子供の怒りっぱなし状態しか見せておらず、20代の青年時代を飛び越えてしまっているので、ただただ、美しい少年が豪邸を走り回って癇癪を起し、どこまでも追いかけるカメラが醸し出す、独特の雰囲気だけが目立ってしょうがなかった。

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ダゲレオタイプの女 ★★★・5

2017年01月03日 | アクション映画ータ行
「岸辺の旅」「クリーピー 偽りの隣人」の黒沢清監督が、オールフランスロケによる全編フランス語の作品に初挑戦し、キャストのみならずスタッフもほぼ全て現地で活躍する外国人を起用して撮り上げた異色のゴシック・ラブストーリー。“ダゲレオタイプ”という世界最古の写真撮影方法をモチーフに、写真家の父とモデルを務める娘、その娘を愛するアシスタントの三者が織りなす愛憎の行方を静謐かつ幻想的な筆致で描き出す。出演は「預言者」のタハール・ラヒム、「女っ気なし」のコンスタンス・ルソー、「息子のまなざし」のオリヴィエ・グルメ。

あらすじ:ジャン(タハール・ラヒム)がアシスタントとして採用されたのは、パリの古い路地に建つ屋敷にスタジオを構えるダゲレオタイプの写真家ステファン(オリヴィエ・グルメ)。その技法は、銀板に直接ポジ画像を焼き付けるため、長時間の露光が必要だった。そのため人間の被写体は、数十分にわたる露光の間、決して動くことのないよう全身を特殊な器具で拘束して撮影に臨まなければならなかった。そんな過酷なダゲレオタイプのモデルを務めていたのが、ステファンの娘マリー(コンスタンス・ルソー)だった。ジャンはその不思議な撮影方法に魅了される一方、次第にマリーに心惹かれ、父親の芸術の犠牲になっている彼女を救い出したいとの思いを募らせていくのだったが…。

<感想>黒沢清監督作品は、「岸辺の旅」「クリーピー 偽りの隣人」の2作品とも好きですね。冒頭から、青年がバイト先へ面接に訪れるところから話は始まる。玄関のソファで待っていると、背後の扉が音もなく開いたり、頭上の階段に女の姿が見えたり、気配だけがあった後、彼は雇われる。170年前に生まれた古い写真装置の、ダゲレオタイプによる撮影の助手として働くうちに、その家に幽霊が出没するのを目撃する。
幽霊の気配、写真、となればこれは堂々たる時代錯誤で語られる、黒沢清監督念願のゴシック・ホラー作品ですね。「岸辺の旅」でも亡き夫と旅行する作品でした。
青年ジャンは、古い屋敷の地下のアトリエで、露光のため被写体を拘束器具で固定する撮影が1時間以上もかかるため、巨大なカメラの前に立ったモデルのマリーの全身を奇妙な器具で固定するのである。

写真家のステファンは、マリーの父親で妻の亡霊に脅かされている。後で分かるのだが、マリーの前に妻を同じく器具で固定してモデルにして、写真を撮っていたのだが、1時間以上もの間その状態では、モデルになる女性もたまったもんじゃない。
しかし、妻は夫に言われるままに、動かぬように器具に固定され、挙句に筋弛緩剤を注射されて亡くなったのだ。そのことは、夫である写真を撮っているステファンしか知らない。彼が拳銃で自殺をした後に、最後に明かされるから。だからなのか、亡き妻の亡霊を見るようになるのだ。

それに、娘のマリーに恋をしてしまった青年ジャンも、何時間もの間器具で固定されて動けないマリーを見て、まるで拷問を受けているような感じもする。父親の写真撮影に対して文句も言わずに、ただ従っているのだが、ジャンがマリーを説得して、この老朽化した家を売却に関わるあたりから、話は劇的な展開へと突き進む。

庭にある温室で植物を育てているマリーは、遠く離れた植物園での就職が決まっている。このことが、父親とジャンの写真撮影と、くっきりと対照をなしているのだ。マリーの身体を固定する撮影が疑似的な死を思わせると共に、現像に用いた水銀の廃液が地面に零れて、植物を枯らすことになるから。そして、マリーがアトリエの階段を踏み外して転落死する。
父親は娘の死に衝撃を受け、酒に溺れてゆくのだが、ジャンはまだ彼女が生きていると信じて、車に乗せて自分のアパートで同棲をしていると妄想し、屋敷の売却作戦に乗り出す。娘のマリーは階段の下に倒れて死んだのか、生きているのか、気絶をした後に蘇生したのか。マリーが階段から足を滑らせたとは思えず、何者かに突き飛ばされたように見えたのだが。すべては定かではない。

マリーの生死が判然としないことを明確にするのは、ジャンがマリーを車に乗せて、一度後部座席からマリーが転げ落ちるのだ。慌てて、抱き上げてまたもや車の後部座席に乗せたようだが、その時、マリーは川の中へ落ちたのではなかろうか。というのも、後で、警察がその川に女性らしい死体が浮いていることを映像でにおわすから。

しかし、ジャンは自分のアパートで、マリーの亡霊と暮らしセックスまでするのだ。これはいらないと思うのだが、何せフランス映画だからなのか。屋敷はパリ郊外の再開発地区にあり、破壊と再生ということが物語の基本に設定されている。不確かさ、これがこの映画の核心であろう。
父親のステファンが撮ったマリーの等身大の写真が、印象深く出て来る。カラーなのに写真のモノクロが際立つのだが、その濃淡は実在感の希薄さを印象づける。ステファンはそれを見て、永遠の生を定着させたと確信している。
妻の亡霊をアトリエの階段の下で見たステファンは、後に全身を固定するための筋弛緩剤とわかる薬瓶を拾い、階段の上へと行き、その後にマリーが階段を上った途端に転落するのだ。

この階段は生と死の境界なのだろう。マリーと一緒に旅に出たジャンが、教会で二人っきりで結婚式を挙げ、その後に神父から声をかけられてハァっと目が覚めたように、マリーの死の事実を確認させられて哀しみつつ、亡霊と結婚式まで挙げようと思いつめていたのだろう。銀板写真家の助手の青年が経験する異常な世界の、死と愛の物語でもある。猟奇的な世界を描きながらも、確実な技術に基づいた映像美は、格調高く趣味の良さを失わない。
驚いたのは、ステファンの友人でマチュー・アマルリックが共演していることだ。
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2017年新年のご挨拶と、2016年邦画部門ベスト10ランキング選出

2017年01月01日 | 年別の映画ランキングベスト10
新年明けましておめでとうございます。皆さまには、幸多き新春をお迎えのこととお喜び申し上げます。 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
2016年劇場鑑賞作品から、16年はアクション映画好きの私にとっては、洋画のアクション作品に恵まれて大豊作でした。
それでも、邦画も中々の良作ぞろいであり、また2016年は、アニメが大活躍をし、上位をアニメでしめているのに驚きです。
それでも、順位を付けるとなると迷ってしまいます。私が★★★★★を付けた作品の中から選んで見たいと思います。


第1位:君の名は。

第2位:この世界の片隅に

第3位:64-ロクヨンー前編 

第4位:映画「聲の形」

第5位:世界から猫が消えたなら

第6位:怒り

第7位:ミュージアム

第8位:超高速!参勤交代リターンズ

第9位:聖の青春

第10位:海賊とよばれた男
第10位:日本で一番悪い奴ら 
次点:アイアムヒーロー 
次点:残穢【ざんえ】−住んではいけない部屋−
次点:続・深夜食堂



2016年、ワースト部門ベスト10ランキング選出
今年から初めてワースト選出をしてみました。

第1位:ドクムシ
第2位:珍遊記

第3位:のぞきめ

第4位:ホラーの天使

第5位:無伴奏

第6位:アンフレンデッド
第6位:ラザロ・エフェクト


2017年も、皆様にとって良い年でありますように。そして、たくさんの良い映画が観れますように。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
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