Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「オールユーニードイズキル」

2014年06月29日 00時17分29秒 | 映画(2014)
戦場のまどか☆マギカ。


ループもので思い出す最近の作品が「魔法少女まどか☆マギカ」だ。

暁美ほむらが鹿目まどかを救うために何度も時間を行き来したように、本作の主人公・ケイジ少佐は異星から来た「ギタイ」と戦い続ける。

死んでもリセットして戦い続けること、それ自体はテレビゲームの仕様なので決して新しくはないのだが、生身の人間に当てはめると極めて異形の物語として組み上がる。

特に本作の場合、途中までは本人の意志と関係なく強制リセット+コンティニューさせられてしまうところが過酷であり、並みの精神力しかない人間だったら、絶望感に覆われて、それこそ精神に異常を来していただろう。

しかしそこはT.クルーズだ。はじめは情けなくても、要領を掴むと本来の敏腕エージェントの姿を取り戻していく。

ほかにT.クルーズ作品を感じたのは、醜い宇宙生物に人が次々に殺される話であるにも拘らず、グロい画がほとんど皆無に近かった部分だ。

ギタイの造形は、気持ち悪さと強さが巧みに織り込まれた外観や動きをしていたが、エイリアンから連なる系譜である粘着質については抑え目であった。ハリウッドスターを主役に据えた以上は、万人仕様に仕上げたといったところか。

ただ前述のとおりループの繰り返しが全体のテンポを軽快に保つので、映画として退屈になることはまったくなかった。

パートナーとなる女性戦士・リタについても、単に同じ能力を有する人物というのではなく、設定に一ひねり入れているところがおもしろかった。

それにしても、目覚めたら戦場で、不条理な戦いを無限に続けなければいけないなんて、まさに悪夢である。せめてある程度進んだらセーブポイント作ってもらわないと。

(75点)
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「300 帝国の進撃」

2014年06月28日 08時44分56秒 | 映画(2014)
数が少なくてもギリシャは手強い。


前作のスマッシュヒットから結構経ってから作られた続篇。前作で全滅したレオニダス王のG.バトラーは出てこない(一瞬前作の場面が映るが)。

正確には、レオニダス王の戦いと並行して繰り広げられていたギリシャとペルシャ帝国のせめぎ合いを描いたものとなっている。

相変わらず前作を復習することなしに観たが、クセルクセスの名前と特異な容姿は強く脳裏に残っていた。

でも今回の主役がレオニダス王からテミストクレスに移ったように、クセルクセスも実は陰で操られていたという設定ができて、アルテミシアという女性闘士が敵役として登場。

どこまで史実に基づいているのか分からないが、とにかく極端で過激な描写と破天荒な物語で全篇突き進む。

筋肉男子がぶつかり合う戦場に血しぶきと生首が飛び交う。暗いトーンの画面ではあるけれど、見どころはスーパースローで細部まで映してくれるので見づらいことはまったくない。逆によく見え過ぎてグロいのが苦手な人は目を背けたくなるくらいだ。

確か前作もこんな感じだったんだと思う。好き嫌いはともかく、こういう作品の存在は有りだと思う。

にしても、さじ加減は難しい。テミストクレスとアルテミシアが対峙して何故かセックスに至ってしまう場面などは、「これ、まじめに作ってるのか?」と引いてしまった。

前作との違いを際立たせるために女性を前面に持ってきたのかもしれないけれど、これによって、ただでさえハードボイルドなタッチでとんでもない話を描く劇画だと思っていたものが、より成人漫画の域にシフトした気がした。

基本、筋肉と過激な描写があれば成り立つ作品なので、スターがいなくても問題ないことはよく分かったし、新味が感じられない限り続篇も要らないと思った。

(60点)
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「X-MEN:フューチャー&パスト」

2014年06月28日 08時40分16秒 | 映画(2014)
ミュータント×タイムトラベル。


昨年、「ウルヴァリン:SAMURAI」がおもしろかったと書いてから他の人の記事を見たら、「ミュータントが少な過ぎてX-MENじゃない」という感想が多く、思わずはたと手を打った。

その点、今回はがっちり出てくる。それどころか、過去のシリーズに出てきたあの人この人まで登場してきて、シリーズをずっと観続けてきたごほうびをもらった感じだ。

出演者が豪華なだけではない。とにかく、限りなく拡がり続ける世界観に身を委ねる2時間余りがとてつもなく楽しかった。

ミュータントと人類の抗争だけでも見応えのある物語ができているところに、「ファーストジェネレーション」で本当の米国史を巧みに絡ませ、それを経ての今回の時代を超えたタイムトラベルである。普通の娯楽大作が3本分ぎっしり詰まったくらいの内容なのだ。

インタビューでH.ジャックマンが、「まさか7作もウルヴァリンを演じるとは思わなかった」と言っていたようだが、このシリーズ、その時々の演者の勢いを展開に反映させつつ話を繋げているところがまたおもしろい。

1作めでウルヴァリンと同様に主役級の扱いを受けていたのは、当時幼くしてアカデミー助演女優賞候補となったA.パキンだった。

その後、H.ベリーがオスカーを獲得すると1作めで脇役だったストームが活躍するようになり、今回は今まさに脂がのっているJ.ローレンスのミスティークが最重要ポイントになる。

一方で、A.パキンやH.ベリーも消えたわけではなく、ちゃんと今回も名前を連ねているところがうれしい。

そしてシリーズ永遠のライバル、チャールズとエリックの互いの歩んだ道のりに今回また新たな物語が追加された。

理想に大きな差異はなく互いを認め合う関係ながら、交差しては離れる運命の2人。

P.スチュワートI.マッケランはさすがに達観の域に達しつつあるようだが、代わりに70年代のJ.マカヴォイM.ファスベンダーが熱い。2人ともタイプは違えど、熱い心を持った強い眼力が素晴らしい。

そしてウルヴァリン。人生を救ってくれた恩師へのお返しに体当たりで臨む。

このミュータントの物語が秀逸なのは、それぞれの特殊能力が決して万能ではなく、それ故に悩み苦しみ、助け合って補って成長していく点にある。

過去に行って危機を摘み取る役目を務められるのがウルヴァリンしかいないなんて下りは涙ものである。

1点だけ下らないツッコミをすれば、チャールズが挫折する前に送り込んでいたら、もう少し円滑に事が運んだような気がするが、辻褄の合う説明はあったかな。

いずれにしても、今回の加筆と上書きでまた更に可能性が拡がった本シリーズ。最後の映像が意味するものは何なのか。すぐにでも続きが観たくて仕方がない。

(90点)
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「MONSTERZ」

2014年06月28日 08時36分09秒 | 映画(2014)
「俺の世界から出て行け」歩く"どくさいスイッチ"。


藤原竜也の最近の役柄って、どこか固定化しつつあるのではないだろうか。

「デスノート」以来だろうか。「カイジ」や「インシテミル」などは観ていないけれど、SF的なストーリーで生死の境を綱渡りする危ないキャラクターが多い感じ。

今回は、他人を操れるという特殊能力を持って生まれたばかりに、他者と接触ができず天涯孤独を強いられてきたという設定。簡単に言えばミュータントだね。

そのライバル・田中終一を演じるのが山田孝之。「勇者ヨシヒコ」などコメディにも顔を出すが、基本こちらも熱い印象。驚異的な治癒能力を持つということで、こちらはウルヴァリンか。

監督は中田秀夫。昨年の「クロユリ団地」がなかなかのヒットだったらしく、「リングの監督」という呪縛から逃れられるかの段階に差し掛かっている。

ただ彼の真骨頂はやはりホラーであり、藤原竜也(役名がないのでこう言わざるを得ない)が他者を殺すときの首ねじ曲げや、操られた人間が終一にゾンビのように群がる場面など、本作にも「リング」らしい画が至るところに垣間見られる。

そんな、「いかにも」な3人が集まって「いかにも」な作り方をしているので、期待というか予想を裏切るようなことはない(ついでに言えば、木村多江も「いかにも」な薄幸女子として出演)。

もちろんベースが韓国映画ということもあるのか、お話のツッコミどころは満載である。藤原竜也の視界に入れば操られるのか、視線を見切ってどの段階で我を取り戻すのかなどはかなり適当だし、何より警察や周りの人たちの学習能力がなさ過ぎ。とにかく眼を塞がないと。

でも飽きることなくそれなりに楽しく観られるので、それはそれで良いかと。あとは石原さとみが首ねじ曲げなくて良かった。

(65点)
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