Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「ゴーンガール」

2015年01月19日 21時00分27秒 | 映画(2014)
苦闘の末の富と名声と妥協。


結婚記念日に失踪した妻をめぐるサスペンス。と一言で言えばそうなるのだが、この映画、次々に観る側の意表を突く形で展開していく。

なにしろ物語の背景を説明していたはずの妻の日記さえ事件の小道具へと役割を変えるのだから、並みの人間が太刀打ちできるものではない。

ネタバレをすれば、妻のエイミーは映画史に残るといっても過言ではないクラスの悪女である。

特に狂気を胸の奥に隠しつつ着実に計画を実行する冷静さは、数多いるこれまでの悪女を超越している。

冒頭。見つめるエイミーの表情に「君は何を考えている?」と夫のニックの独白が重なる。

何も物語が語られない状態なのに、二人の間を流れる不安定で不穏な空気がスクリーンを通して伝わってくる印象的な場面だ。

再び同じ場面に戻ってくる終盤。この不穏さのすべてが明らかになって改めて感じるのは底冷えのする恐怖だ。

ニックは普通のありふれた「だらしない」男性だ。しよーもないことをしでかすが、罪を犯すほど悪くなければ大胆になれる性格でもない。

しかし、妻の失踪に関しては被害者のはずなのに、警察には容疑者として見られ、何故かマスコミや周囲からは吊るし上げを食らうようになる。

ある意味自業自得の部分が大きいのだが、それは彼の性格や行為ではなく、直接的にはエイミーという伴侶を選んでしまったことに関する自業自得であったことが分かる。

ある時点からエイミーの物語が並行して描かれるようになる。一つの目的に向かってぶれることなく突き進むエイミーだが、計算違いが起こるなどこちらも一筋縄ではいかない展開になる。

一体どうなるのか見当がつかなくなったそんな二人の行く末は、単純な勧善懲悪でもなければ、奈落の底に叩き落とすバッドエンドでもない、なんとも率直な感想を出しづらい形に収束していく。

「結婚とはそういうものじゃない」というエイミーの言葉に、観ている既婚者は頭を抱え込むはずだ。実におもしろい。

(90点)
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「6才のボクが、大人になるまで」

2015年01月04日 23時24分52秒 | 映画(2014)
干支がひとまわり。


「ビフォア~」シリーズのR.リンクレイター監督が仕掛けた別の長期プロジェクト。

なんとある家族の12年に渡る物語を、同じ12年をかけて同じ俳優で撮り続けたという実験的作品。「ビフォア~」が定点観測ならばこちらは連写というところか。

いわゆる「北の国から」方式といえるわけだが、はじめから企画ありきで予定どおりに計画を進めるのは、それはなかなかの難事業であったに違いない。

中心となるのはメイソン少年と母・姉の3人家族、そして別れた父親。父は定期的に会いに来るがヨリを戻す兆候は見られず、結果母は女手一つで子供を育てるために仕事に恋愛に奮闘する。

やる気も能力もある程度兼ね備えている母だが男性を見る目は良いとは言えず、その度に変わる環境に翻弄されつつも多感な時期を通過していく子供たち。

内面の成長と外的な刺激を織り交ぜて物語は進む。大半が淡々と進むので見応えという点で物足りなさは否めないが、一歩ずつ着実に家族の移り変わりを捉える。

どこまで描くのかなと思っていた話は、メイソンの大学入学=自宅を離れるところで終幕を迎える。家族がひとかたまりとして動いてきたフェーズが切り替わる段階だ。

メイソンはこの後も大きく成長するであろうが、それは別の話ということなのだろう。

個性的な顔立ちで目立った姉役のL.リンクレイターは監督の実娘とのこと。よく父親に付き合ったね。

(70点)
コメント (2)
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「あと1センチの恋」

2015年01月04日 23時01分19秒 | 映画(2014)
すれ違い過ぎる美男美女。


近過ぎて気付かない幼なじみの恋というのはよくあるプロット。

ただ美男美女でここまで王道を描き通してみせる映画はある意味珍しいのかもしれない。

冒頭、何かのパーティーでお酒に酔った二人がキスを交わす。二人とも異性としての意識があることを隠せない。

しかしその後に二人のすれ違いが始まる。

意識的な行動と無意識の行動が微妙にズレて入り交じった結果は取り返しのつかない後悔へ。

お互いが気になる。相手は知っている?隠している?実は何も分かっていない?

主役のロージーを演じるのはL.コリンズ

まぶしいほどの美人なのに、やることなすことタイミングを外して、好きな人はおろか夢までも遠ざかっていく女子の役。

正統派恋愛映画ながらPG12指定となった原因と思しき下ネタ系エピソードも真っ直ぐに熱演。

まだ25歳というから今後が楽しみである。

・・・と思ったらこの女性、あのP.コリンズの娘だって。びっくり。

(75点)
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「海月姫」

2015年01月04日 20時24分18秒 | 映画(2014)
マイペース姫。


「あまちゃん」のあまりに強いイメージをある程度拭い去るために、次の作品としては敢えて色の違う「ホットロード」を選んだのだろうということは想像がつく。

で、この「あまちゃん」後2作めなのだが、万人が待ち望んでいた(であろう)コメディ映画を持ってきた。

しかも題材がクラゲだの、「尼~ず」だの、「あまちゃん」を連想させるキーワードが盛り込まれた作品である。

でも・・・どうなのかな。

同じドラマに出ていた有村架純福士蒼太らが積極的に自由にいろいろな作品に出ているのと比べて、何か仕事選びに窮屈になっている印象を抱かずにはいられない。

しかも東宝作品じゃないせいもあって、どこか広告展開までリミッター付きになっているように見えるのだ。

作品は、まあ並みの邦画だと思った。

速水もこみちが楽しそうに演じているのを見て、コメディで重要な振り切り感は出せているのは実感した。

菅田将暉池脇千鶴の「そこのみにて光輝く」姉弟コンビも、前作とまるで異なる役を真っ直ぐに好演していた。

でも広がりはないよね。能年玲奈本人も、これはお祭り映画と言っているし。

本人がマイペースで楽しんでいるかぎりはいいんだろうな、きっと。

(60点)
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「寄生獣」

2015年01月04日 20時01分02秒 | 映画(2014)
よくできている。


「永遠の0」「三丁目の夕日」。いずれも観ていないが興行的に大成功を収めた邦画であることは知っている。

そんな作品を手がけた山崎貴監督の最新作が、人間の顔が割れるVFX満載のホラー的な作品だという。

どんな空気に仕上がっているのだろうと興味を持ったのだが、まあこれが非常に楽しめた。

技術面からいえば不自然さがない。

物語をとれば、おどろおどろしい映像だけが立つのではなく、新種の生命体や人間社会全体について考えさせる部分も備わっている。

そして配役が豪華である。深津絵里など結構な俳優をバケモノにあてがえるのも、これまでの作品がヒットしたおかげなのだろうと勘ぐってみる。

主人公の新一を演じる染谷将太はいい立ち位置にいる。

同年代でいわゆるイケメン枠に入らずに多用されているのは彼以外になかなかいない。平凡からちょっと危険な香りがする人物までを違和感なく演じられるのが強みなのだろう。

新一の右腕に寄生する生命体「ミギー」は、映像は当然合成になるが声や動きは阿部サダヲが演じている。これまた達者だから新一との掛け合いなどに面白みが増す。

他の人間に寄生した生命体の個性も様々で興味深い。十把一絡げに人間を脅かすのではないところに、本作の特徴であり見どころが詰まっていることが分かる。

4月に公開される続篇では更なるキャラクターの登場でより盛り上がることが期待される。

(85点)
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「ベイマックス」

2015年01月04日 19時32分36秒 | 映画(2014)
才能ある少年はきちんとケアしよう。


原題は"Big Hero 6"。なんとMARVEL作品である。

そういう目で見れば、なるほど科学方面に突き抜けたキャラクターたちのデフォルメがきっちりと当てはまる。

主人公ヒロをはじめ全員が「超」のつく天才だ。およそ想像を超えた技を軽々とやってのけるのも、リアリティなドラマではなく超人アニメだからである。

その基準を見誤らないかぎり、そこは最近好調なディズニーアニメのこと、万人が笑って、手に汗握って、最後はほろりとできるドラマに仕上がっている。

特にベイマックスのゆったりとした動きが映画全体の根幹を支える。

大きな体で狭い空間を、物を倒しながらゆっくりと進む姿を微笑ましく見ているつもりが、逆にすべてお見通しされていて、観ているこちらがほだされてしまう。

ヒロの趣味でパワーアップした後も基本は変わらず、気はやさしくて力持ちの最強キャラとして鎮座する。

ベイマックスを含めた6人のヒーローはそれぞれ個性で活躍するが、あくまで中心はベイマックスとヒロ。そういった意味では邦題は正しかったのかもしれない。

でもヒロは、物語を通して成長はしたのだろうけど、おそらくメンバーの中で群を抜いた天才なのだろうけど、あまり好きなキャラクターではなかった。謙虚さが足りないというか・・・。まあ子供なんだけど。

今回話題になった日本トリビュートの数々。サンフランソウキョウの街並みをはじめ、ヤマ、モチ、ワサビなど、至るところにわが国を意識した設定が登場していた。うれしいね。

短篇「犬とごちそう」。これも毎度のことながら良かった。

(75点)
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今年の12館(2014)

2015年01月02日 23時27分30秒 | 映画(2014)
北海道という新たな土地へ踏み入れた割りには、館数は減ってしまいました。

TOHOシネマズ海老名(神奈川)25回

年々回数は減っていますが、1か月無料パスポートで年末に大きく取り戻しました。

イオンシネマ北見(北海道)8回

新たなホームグラウンド。マイナーな作品は入ってきませんが、ないより遥かにいいです。北見しんきんのCMも見慣れてきました。

札幌シネマフロンティア(北海道)3回
ユナイテッドシネマ札幌(北海道)3回

奇しくも札幌のシネコンが揃って3回。駅直結のシネマフロンティアはとても便利でお客さんもいつも多い気がします。幕間の音楽が何故かTOHOシネマズと同じ。ユナイテッドはビールファクトリーに併設だけど、のみ会と映画は両立しません。

TOHOシネマズ川崎(神奈川)2回

番組の妙で、パスポートを使って連続で観たということです。

シネプレックス旭川(北海道)
イオンシネマ釧路(北海道)
TOHOシネマズ日本橋(東京)
TOHOシネマズシャンテ(東京)
チネチッタ(神奈川)
TOHOシネマズららぽーと横浜(神奈川)
MOVIX橋本(神奈川)

2015年は遠出してでも観たくなるような映画がどれくらいあるでしょうか。
そういえば4月にはTOHOシネマズ新宿がオープンです。もう建物はできあがっていました。ミラノ座の閉館と入れ替わりのタイミングというのも感慨深いものがあります。
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今年の48作(2014)

2015年01月02日 19時54分58秒 | 映画(2014)
4月から北海道に住居を移し、最も近い映画館が車で1時間という環境になった2014年。

大分に単身のときも似たような状況ではあったが、今回はその北見市も7スクリーンのイオンシネマだけと厳しさはレベルアップ。

その中で、途中まで貯まっていたTOHOシネマズのマイルをなんとか6,000まで押し上げたのでありました。

年末に観た作品は記事のアップが追い付いていませんが、ひとまず1年の振り返りを先に上げておきます。

1.「ジャージーボーイズ」(10月2日)

これまでC.イーストウッド監督作品を高く評価した記憶はなかったが、これは文句なしに心に入ってきた。音楽の力を再認識する以上に、要所を的確に押さえて作品に仕上げる力量に感服した。

2.「アバウトタイム~愛おしい時間について」(10月18日)

R.マクアダムスが正調ヒロインとして出演していることにまず喜び。恋愛+タイムトラベルの素材をうまく生かしつつ、深く味わいのある着地点へ導く物語に更なる満足。

3.「X-MEN:フューチャー&パスト」(6月7日)

H.ジャックマンのウルヴァリンにまた会えるだけでも感動モノなのに、「ファーストジェネレーション」の出演陣も加わって、時空を超えるスケールの物語が展開するのだから贅沢だ。しかもまだ続くらしい。

4.「ダラスバイヤーズクラブ」(2月23日)

M.マコノヒーが見事にオスカーを獲得。マッチョな古いアメリカを具現化したようなカウボーイが現代社会にくさびを打つ意外性という本作の売りを見事に体現。

5.「ゴーンガール」(12月29日)

ある女性の失踪事件から、ひとつひとつ事実が明かされるごとに、表だったカードがすべて裏にひっくりかえるように話が大きく展開。気持ちよく振り回された挙句に、どうにも動きようがなくなった時点でEND。あーこわい。

6.「ビフォアミッドナイト」(2月13日)

映画のような美しい出会い(映画だけど)。あれから9年+9年。出会いは想い出のままが良かったのか?でも、枯れた関係もそれはそれで味があるもので、どう転ぼうと人生は続く。正解と思った者が正解。

7.「アメリカンハッスル」(2月1日)

オスカー最多ノミネートも派手に撃沈。手際の良いだましもいいが、どこか不完全で人間臭い人物が織りなす悲喜劇の方が観る者をひきつけるのは常。

8.「ガーディアンズオブギャラクシー」(9月19日)

2014年の掘り出し物。がらくたに近い寄せ集め集団という設定だから、肝となるのはそのがらくたぶり。特に植物をキャラクターに入れてくる意外性はポイント高かった。

9.「ブルージャスミン」(5月23日)

またW.アレンがオスカーをもたらした。C.ブランシェットは折り紙つきの実力を持つ女優だが、物理的アプローチではない演技で文句なしの戴冠というところに、アレン作品の真骨頂をみた。

10.「映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」(4月27日)

今回は父ひろしにスポット。「泣ける」を安易に押す風潮はどうかと思うが、これはまさにガチンコで泣けてしまうのだからしよーがない。日常の家族の風景を積み重ねてきた20年超はだてじゃない。

11.「寄生獣」(12月28日)

染谷将太、結婚だそうです。相手が菊池凛子とはミギーもびっくり。

12.「西遊記 はじまりのはじまり」(12月13日)

実は妖怪だった孫悟空を、とんでもねー映像で楽しく見せる。なぜかの「G-MEN75」にも心が躍った。

13.「怪しい彼女」(7月27日)

変な歴史映画が空前のヒットとなっているらしいが、韓国といえばやっぱりコメディかなと再確認。最後にほわっとした気持ちにさせる作品、意外と作るのは難しいようで。

14.「アナと雪の女王」(3月21日)

言わずと知れたモンスター作品。J.トラボルタが名前を言い間違えたI.メンゼルは紅白歌合戦出演。なぜここまでヒットしたかって?分かりません。

15.「超高速!参勤交代」(9月7日)

アイデア次第でまだまだ時代劇はイケる。案外続篇も作れそうな素材である。

16.「TOKYO TRIBE」(9月16日)

最近はバラエティ番組で恐妻キャラを披露するなどとっつきやすくなってきた園子温監督作品。ラップミュージカルには驚いた。「練馬ザF○○KER」が耳から離れない。

17.「あと1センチの恋」(12月27日)

近年まともな恋愛映画を作れる唯一の国イギリス。下ネタをところどころに挟みながらも下品になり過ぎないところがお国柄か。当然主人公は文句のつけようがない美男美女。

18.「her 世界でひとつの彼女」(7月8日)

「LUCY/ルーシー」と公開順が逆ならば、続きモノとして観られたかも。声に惚れるって決してないことではないので、ぎりぎりで現実感がとどまっている感じ。

19.「ベイマックス」(12月28日)

元はMARVELの話と聞いて納得。サンフランソウキョウの街をただ散歩する映像だけでも楽しそう。

20.「大統領の執事の涙」(2月16日)

リベラル大好きハリウッド。本作も大ヒットしたらしいが、オバマ大統領は中間選挙で大敗北。難しいものです。

21.「LUCY/ルーシー」(8月30日)

S.ヨハンソンを愛でるための映画。そのあたりは巧いL.ベッソン監督

22.「フライトゲーム」(9月17日)

闘うオヤジを土壇場まで追い込む展開は見事も、後半は力技に頼ってしまい主人公に屈するハイジャック話。邦題に魅力なし。

23.「嗤う分身」(11月13日)

いつでもなければ、どこにもない世界。不安定な世界観にJ.アイゼンバーグの二役演技がハマる。

24.「ホットロード」(8月17日)

3代目J SOUL BROTHERSはレコード大賞受賞だそうです。視聴率もそれなりに2ケタとっていたようです。自分が関わらない世界が激増しているようです。

25.「インターステラー」(12月13日)

気が遠くなる旅を続けて絶望感しか持てなくなったところに5次元が出てきてすべてを繋いでしまうという荒業。頭のいい人は違うなと。

26.「GODZILLA」(8月16日)

何度でもよみがえるゴジラ。今回のハリウッドは愛情たっぷり。凶悪クリーチャーにさんざん暴れさせた後に御大として登場。渡辺謙も名誉職のような出演に見えた。

27.「オールユーニードイズキル」(6月28日)

コンティニューしますか?経験値は引き継ぐことができます。いかにもゲーム世代の発想はメイドインジャパン。冒頭の無力なT.クルーズが新鮮。

28.「プリズナーズ」(5月24日)

P.ダノの顔がとんでもないことに。物理的に囚われ、精神的に囚われ、台無しになっていく人生。

29.「私の男」(7月13日)

流氷殺人と近親相姦。モスクワ国際映画祭で栄誉を得ても未だに地元凱旋情勢ができない問題作。二階堂ふみは同世代の中で頭一つ抜け出した感じ。

30.「6才のボクが、大人になるまで」(12月30日)

R.リンクレイター監督、こんなプロジェクトも手掛けていたのね。実験としては面白いけど、その先に訴える何かがもう一つ欲しかった。

31.「LIFE!」(3月21日)

思えば昨年の今頃は「アカデミー賞最有力」の文字が躍った宣伝を打っていた気がする。結果的には賞レース、興行とも地味な展開に。

32.「マチェーテキルズ」(3月1日)

なさそうだからこそ作られた続篇。宇宙に行って次はどうなる?と思わせておいて何も作らないのがベストと思う。

33.「そこのみにて光輝く」(5月3日)

退廃した空気が充満する夏の函館。綾野剛の外見が輪をかけて荒んでいてぴったり。池脇千鶴ともども地に足のついた路線を歩みつつあるようだ。

34.「キックアスジャスティスフォーエバー」(2月22日)

C.グレース・モレッツが成長してしまう前に撮らなければいけなかった続篇。とはいえ、キックアスが修行で強くなっちゃって普通のアクションになってしまった。

35.「イコライザー」(11月4日)

無敵のD.ワシントン。楽しそうにDIY仕置人を演じる姿は意外に映った。

36.「好きっていいなよ。」(8月9日)

福士蒼太、どんどんお仕事引き受けます。映画にドラマに引っ張りだこも役柄はほぼ一定。2015年も壁ドンキャラで貫けるか。

37.「アメイジングスパイダーマン2」(5月5日)

こんなに短期間のリブートがアメイジング。それでも続篇が作られる程度に評価が良かったのもアメイジング。

38.「MONSTERZ」(5月30日)

この手のおおげさ作品に欠かせない存在になったのが藤原竜也。同じく暑苦しい山田孝之とのコンビはぴったり。石原さとみは暑さで気絶。

39.「白ゆき姫殺人事件」(4月6日)

井上真央の笑顔なき地味演技よりも違和感だったのは、固形石けんがヒット商品になるという設定。

40.「チェイス!」(12月14日)

インドが真剣になった。国力が増してきたことで、世界を意識するようになってきたのだろうか。シカゴを舞台に牧歌的な要素は皆無。

41.「紙の月」(11月22日)

幸薄い宮沢りえというキャラクターを前面に手堅く作っているように見えた。ただまとめ方をみるかぎり、この愚かしい人物と行為を全否定しているわけではないんだよね。

42.「海月姫」(12月27日)

待望のコメディエンヌ能年玲奈も、物足りない感は否めず。同世代女優が積極的にキャリアを重ねるのと対照的に選ぶ作品を限定しているようだが、この戦略は功を奏すのか。

43.「300 帝国の進撃」(6月22日)

まさかのエロ展開に開いた口が塞がらなかった。邦題もとってつけたようで安っぽさ全開。

44.「渇き。」(7月4日)

中島哲也監督作品としては最も残念な結果に。それはどこをどう見ても娘がバケモノだから。「真実の行方」のE.ノートンくらいに前振りをしないと驚けない。これで娘が実は天使だったら凄かったのだが。

45.「NY心霊捜査官」(9月21日)

俗人神父ががんばる悪魔祓いモノ。神父のキャラをもっと突き詰めていけばもっと面白い話になったかもしれない。

46.「美女と野獣」(11月15日)

さしたる理由もなく美女に想いを寄せられる野獣がうらやましい。R.セドゥはディズニーアニメのプリンセスより明らかに美女だった。

47.「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」(12月14日)

期待値が高くなかったので憤ることもなかったのですが、もう少しこの作品独自の見せ場が広げられたのではないか。お決まりのハッピーエンドへ続く道のりもお決まりでは評価のつけようがない。

48.「神さまの言うとおり」(12月13日)

退屈するわけじゃないから時間つぶしとしてはいいのだろうけど、あのエンディングはないかなと。予告篇で何度も観てきたし、その後を見せなければお金払う意味がありません(と言いながらフリーパスポートで観たのだけれど)。
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「チェイス!」

2014年12月27日 22時39分01秒 | 映画(2014)
明るくなくなったボリウッド。


インド映画といえば、単純明快なストーリーに豪華絢爛な歌や踊りがことあるごとに散りばめられる王道スタイルで一躍有名となった。

しかし本作は少し違った。まず舞台が米国シカゴである。サーカス興行を催していた父が銀行からの融資を断られて目の前で非業の死を遂げる。

復讐を誓った主人公がサーカスで培った芸術的な軽業を駆使して銀行強盗を企てるのだが、主役の俳優は、ラジニカーントでも典型的な二枚目でもなく、福岡ソフトバンクホークスの内川聖一選手のような風貌をしている。

もちろん肉体は鍛え上げられ、歌も踊りもがっちりこなすのだが、特に中盤で重要な秘密が明かされてからは、娯楽一辺倒ではなく演技でみせる部分が多くを占める。

その分コミカルな部分は影を潜める。対抗するインド警察コンビの片割れが女性の尻ばかり追いかけるおとぼけキャラ設定となっているが、その彼とてバイクに跨れば真剣なチェイスシーンを繰り広げる。

インド映画界としては、これはもちろん進化であり、世界に向けた狼煙でもあるのだろう。

ただある意味、寅さんのように定番を期待して観に来る観客もいるわけで、そうした人たちにとってはエンディングのほろ苦さとともに若干消化不良になってしまったかもしれない。

インドはやがて人口で中国を抜き世界一になるとも言われている。いやがおうにも存在が世界の中心へ近付いていくとき、映画界において独自の良さを残しつつ発展を遂げていくことができるのか、引き続き注目である。

(65点)
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「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」

2014年12月27日 22時35分52秒 | 映画(2014)
今年の12月、東京以外は雪が結構降りました。


かつてSMAPで草なぎ剛が5番目ないし6番目の男と言われ、初めて連続ドラマに主演したときには「最初で最後の主演」などと宣伝していたものだ。

その後、彼はあれよあれよという間に様々な方向へ才能を開花させたのは周知の事実であるが、嵐でいえばおそらく相葉雅紀くんが5番目の男ということになるのだろう。

テレビドラマでは何度か主演を務めているが映画の主演は今回が初めて。どちらかと言えばいじられ役で不器用な印象のある彼に当てられた役は、「ごめんなさい」が口癖の心優しき漫画家志望の青年。

原作があるようだが、まさに相葉くんのために作られたような設定と言っても過言ではないだろう。思い返せば、草なぎ剛の初主演ドラマも「いいひと。」だったし、入口として無難な選択ということか。

物語はといえば、何の変哲もない幼なじみの恋愛モノ。あまりに存在が近過ぎて本当の想いを打ち明けられないというよくある設定。

本作に唯一特徴があるといえば、主人公が創造した「デビクロ」というキャラクターで、何か良からぬことが起こると、やさしい彼の内に潜む本音を人知れず消化させるために出現しひと暴れするのだが、これが残念ながら決定的に弱い。

あまりダークな映画にできないのは分かるが、話の展開に影響を与えることもせずにとってつけたお飾りに終始してしまうのは、期待外れでいかにももったいない。

もったいないと言えば生田斗真の扱いも、特別出演(クレジットは付いていないが)と分かってはいても、もう少し複雑に絡めばおもしろくなるのにと思わざるを得なかった。

そしてダメ押しは甘甘なクライマックスの展開。クリスマスイブに雪がちらつきはじめて、大切なひとを追いかけて都心から空港までほとんど走って駆けつける離れ業。

ファンタジーだからね。これこそがデビクロくんの魔法なわけだ。

帰り際に複数のお客さんが「おもしろかったね」と言っていたから、これでいいのだろう。

(50点)
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