家族が分からない二人の行く先。
津波で両親を失くした子。子を引き取った孤独な男。ともに欲していたのは家族だったはずなのに、いつしか二人の関係はねじれていく。
このような道理から外れた親子の関係は成り立つのか。
子は男の孤独を察した。体を重ねることで同じ血が流れていることを感じ取った。言葉には出てこないが、男もきっと似たような感情を抱いている。
「お前には無理だよ」。
男は、子に恋人ができる度にそうつぶやく。それは血を感じた故の揺るがない自信だ。
この世に二人だけ。他の何者も立ち入ることを許さない、血によって閉ざされた世界。覗き見て領域を侵そうとする者には力ずくの排除をもいとわない。
しかしそれは彼らが望んでいた「家族」ではなく、血でつながれた「男」と「女」。血の結束の先に待ち受けるのは新たな悲劇しか見えてこない。
若手女優の中で独自の路線を進む二階堂ふみは、この難役を文字通り体当たりの演技でこなしてみせた。
目元などは宮崎あおいを思い起こさせるかわいらしい顔立ちなのだが、鼻から口にかけてのもったりとした肉感が、強い情念を持った女性の役にハマる。
注目していると言いながら、先日観た「渇き。」では金髪にされただけで気がつかないお粗末さだったのだが、本作で改めて鮮烈な印象を植え付けられた。
(70点)
津波で両親を失くした子。子を引き取った孤独な男。ともに欲していたのは家族だったはずなのに、いつしか二人の関係はねじれていく。
このような道理から外れた親子の関係は成り立つのか。
子は男の孤独を察した。体を重ねることで同じ血が流れていることを感じ取った。言葉には出てこないが、男もきっと似たような感情を抱いている。
「お前には無理だよ」。
男は、子に恋人ができる度にそうつぶやく。それは血を感じた故の揺るがない自信だ。
この世に二人だけ。他の何者も立ち入ることを許さない、血によって閉ざされた世界。覗き見て領域を侵そうとする者には力ずくの排除をもいとわない。
しかしそれは彼らが望んでいた「家族」ではなく、血でつながれた「男」と「女」。血の結束の先に待ち受けるのは新たな悲劇しか見えてこない。
若手女優の中で独自の路線を進む二階堂ふみは、この難役を文字通り体当たりの演技でこなしてみせた。
目元などは宮崎あおいを思い起こさせるかわいらしい顔立ちなのだが、鼻から口にかけてのもったりとした肉感が、強い情念を持った女性の役にハマる。
注目していると言いながら、先日観た「渇き。」では金髪にされただけで気がつかないお粗末さだったのだが、本作で改めて鮮烈な印象を植え付けられた。
(70点)