Con Gas, Sin Hielo

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「海街diary」

2015年06月21日 00時06分37秒 | 映画(2015)
安定の4。


若草物語。ポッキー四姉妹。てるてる家族。現実には多くはないが何故か絵になる四姉妹。

同じ血を引いていても、兄弟姉妹は不思議なくらい性格が違ってぶつかり合う。単純に組み合わせの数が増えれば、化学反応が生み出すドラマも多様になる。

更に本作は末子を腹違いの設定にしたことにより、別次元の深い問題が他の3人との間に挟まった状態で物語が進む。

しかし、どこかがうまくいかなくても、別のどこからかフォローが入るというのが、「4」が持つ独特のバランス。だから絵になるのだ。

父が別の女性を作って去り、母もまた家を出て行き、古い家に残された三姉妹は寄り添いながら生きてきた。

いつ崩れてもおかしくなかった3人を持ちこたえさせたのは、長女・幸の意地もあったかもしれない。しかし、画面を通して伝わってくるのは、3人を優しく包む空気だった。

完全な田舎ではない。むしろ地理的・文化的には都会に近い。でも、海があり、山があり、日常に人とのふれ合いがあるそこは、あたたかい居場所。

時々面倒な親戚の付き合いや、性格が違う姉妹の諍いはあるけれど、それも大波ではない日記の1ページに過ぎない。

そんな街の空気に包まれてそれなりに育ってきたことを自覚していたからこそ、幸は腹違いの妹・すずに一緒に住むことを切り出した。同じく一人で踏ん張ってきたすずの波長を感じ取って。

字幕など一切使わずとも鮮やかに映し出される鎌倉の四季。

見事な彩りを見せる春の桜、秋の紅葉。冬は安易に雪を降らせるのではなく、重ね着とこたつと歩く姿勢で伝える。そして夏は梅雨と海に映る花火だ。

札幌から数年ぶりに出てきた実母が、梅雨がひさしぶりだと呟く。

暑さ寒さの後に色づく季節があり、雨の日があれば晴れる日もある。だから明日を新しく生きられる。

日本の四季っていいなあ、家に帰りたいなあと思った。

しっかり者の幸には綾瀬はるか。もともとキリッとした表情が似合う女性である。縁側にいても「ホタルノヒカリ」をまったく思い起こさせない。

恋愛とアルコールにのめりがちな奔放な次女・佳乃には長澤まさみ。観る前は長女と次女の配役のバランスを心配したが、こちらも最近適度な露出が多いこともあり、しっかりハマっていた。

自由でマイペース、周囲からは変な趣味とも言われる三女・千佳には夏帆。上二人の正統派と比べるとズレるけど、それが持ち味でもあってこちらも好印象。

そして話の中心でもあるすずには、今が旬の広瀬すず。ゼクシィのCMで花嫁だったのに、セーラー服を着れば田舎の中学生になるし、ユニフォームに着替えれば少年サッカーの女子選手になれる。もっと色がついてからではできない透明感が良かった。

樹木希林大竹しのぶ堤真一加瀬亮といった実力者ががっちりと脇を固める。おそらくスタッフを含めて、物語と同じく四姉妹を大事に包み込むように作ったのだろう。

(85点)
コメント
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