Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「RRR」

2023年01月14日 21時28分34秒 | 映画(2023)
景気良く行こう!


うさぎ年は跳ねる、なんてことを正月のテレビ等で耳にすることがあったが、言葉と裏腹に周りには先行きが見えないことばかり。

ただでさえ1月は、一週間に例えると月曜日のようなもので憂うつになるのに、これは何とかしないと一年もたないぞ。ということで、新年のスタートは景気づけになるような映画を観ようと思った。

インドは今年じゅうに人口が世界一の国になると言う。いや、ひょっとしたら既にもうなっているのかもしれない。これまではあまり世界の表舞台に出ることが多くなかったが、巨大なマンパワーは潜在力だ。政治経済から文化スポーツまで幅広い活躍が今後期待される。

そんなインドの象徴とも言えるのが映画文化である。最初にマサラムービーのブームが来たのは20年以上も前のことと記憶するが、時を経てそのスケールは拡大。壮大なストーリー、豪華なステージ、そして、鍛え抜かれた肉体を駆使したパワーとスピードを兼ね備えたアクションやダンス。製作費は増大し、いまやターゲットは世界マーケットに広がっている。

大ヒットした「バーフバリ 王の凱旋」からおよそ5年。同じS.S.ラージャマウリ監督が手掛けた本作は、昨年10月の公開から、口コミ効果もありロングヒットを続けている。先日発表されたゴールデングローブ賞では歌曲賞を獲得した。

舞台はインドが大英帝国の植民地下にあった時代。インド人を人と思わぬ傍若無人の振る舞いを繰り返す支配者たちに対し、いつの日か祖国を自分たちの手にと、燃える想いを心の底に秘めた英雄たちが立ち上がる。

背景がシンプルなら、キャラクターも徹底して個性を際立たせる。

主人公となる二人の英雄、ラーマとビームは炎(FIRE)と水(WATER)。運命的な出会いから兄弟のような深い関係を築きながらも、やがて避けられない戦いへと巻き込まれていく様子は、観ている側に息つく暇も与えない。

本編の上映時間は3時間を超える。途中にはインド映画おなじみのインターバル(INTERRRVAL)も入り、体もキツくなってくるから、長さを感じないというわけではない。しかしまったく弛まないのだ。冒頭のラーマ登場の場面から勝負が決着する最後の瞬間までぎっしりと見どころが詰まっているのである。

これを観て何を感じるかというと、やはり熱さだと思う。そして勢い。思い出したのは、かつてもう40年くらい昔になるだろうか。J.チェンが若いころの香港のカンフー映画が、それこそ若々しくて勢いがあってひたすら楽しかった。図らずも当時の香港も英国領。現地の人たちが自由に映画を作って表現できる場所だった。

インドも地政学的には非常に神経質な立場にあり、今後国がどうなっていくかは分からない。でも、本作に出てくる人たちや、本作を作った人たちのように、これからも熱い思いを持ち続けてほしい。そしてそれを世界中に振り撒いてほしい。こんな時代だからこそ、そう思わずにはいられない。

(85点)→(90点)5月3日修正
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年の31作(1位→31位)

2023年01月07日 10時05分47秒 | 映画(2022)
ゼロコロナからウィズコロナへ。中国の話ではない。一応わが国も「コロナ、こわいこわい」から「経済も動かさなければ」に大勢が移った一年であったのだ。映画館も新しいルールへ。席を空けて販売する形態はなくなったが、上映前の予告やCMの時間におけるマスク着用は引き続き奨励されている。まあ、あまり守っている人たちは見当たらないので、エスカレーターの歩き上りと同じような状況になるのは間違いなさそうだが。
そのような状況の中、2022年は前年の1.5倍の作品を観ることができた。特に10・11月に映画館へ足を運んだ。大作のひとり勝ちや配信のみの作品が増えている傾向にあるが、今後も日常的に劇場へ通うことができるように、ささやかではあるがそんな期待を持っている。

1.「ザメニュー」(11月19日)

計算されたシナリオ。先が見えない展開。メニューが進むごとに不穏な空気が段階を追って増していくテンポの良さ。観ていくうちに引き込まれる感覚をひさしぶりに感じた。オチも意外性があって、かつ納得のいく頃合い感。95点を付けたのは実に3年ぶり。

2.「ゴーストバスターズ/アフターライフ」(2月6日)

年寄りの懐古思想と言われそうだけど、旧作の「ゴーストバスターズ」にはそれほど思い入れはなかった。でも80年代への愛着というのだろうか、あのメンバーがそろったときにはうるっと来てしまった。M.グレイスの好演が光った本作、賛否はあれどそれなりの評価はあったようで、同じキャストでの続篇が決まったとの情報が入っている。

3.「コーダ あいのうた」(4月16日)

2014年のフランス映画「エール!」の英語リメイク。元作の名前は聞いていたが観ないままであった。そちらのファンがどう評価しているかは分からないが、本作はなんとアカデミー賞作品賞まで取ってしまった。

4.「天間荘の三姉妹」(10月30日)

東日本大震災を正面から扱った作品として後述の「すずめの戸締まり」が注目を浴びたが、先立って公開された本作もがっつり震災の映画であった。良作だと思うのだが、週間の興行収入TOP10にも入らず残念。

5.「ブレットトレイン」(10月1日)

B.ピットには珍しく娯楽に振り切った作品。原作は伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」。真田広之がこれまでにないリスペクトされた役柄で出演。中国の攻勢に見慣れた中で久々の快作だった。

6.「スパイダーマン:ノーウエイホーム」(1月8日)

数あるアメコミヒーローものでもスパイダーマンは最も物語性が強い。それも青年である主人公が成長する物語だから、観ている側の感情移入もしやすくなっている。T.ホランド版の完結篇として、MCUの第3フェーズの最終話として、ドラマティックな大団円となった。

7.「すすめの戸締まり」(11月12日)

新海誠監督が満を持して東日本大震災を描いた。緻密な画筆と同様に彼の思考も極めて繊細で、震災後の作品の作り方を相当考えていたことが、後のインタビュー等で伝わってきた。「君の名は。」以降の流れに区切りを付けたともいえる本作。今後どのような作品を作ることになるのかに注目していきたい。

8.「トップガン マーヴェリック」(8月11日)

新型コロナの影響で公開延期を重ねたが、苦労の末たどり着いた劇場公開は空前のブームを呼び起こす結果に。自信があったからT.クルーズは映画館での上映に拘ったのだろうと想像する。2022年の映画界の救世主となった。

9.「エルヴィス」(7月18日)

引き続き多く作られているミュージシャン伝記の新作。スーパースターの生涯はドラマティック。いや、ドラマがあったからこそ人々の支持を集めてスターになったのかもしれない。

10.「SING/シング:ネクストステージ」(3月21日)

5年ぶりの続篇。バスタームーンはひとつの成功に満足せず更なる野望を持ってラスベガスへ向かう。この時代、止まったら置いていかれるのだろう。理解はできるけど疲れそう。

11.「ドクターストレンジ/マルチバースオブマッドネス」(5月4日)

MCUの新サーガはマルチバースサーガ。ドクターストレンジはその中心となるべき存在だが、今のところ前サーガのアイアンマンやキャプテンに匹敵するまでには至っていないというのが世間の評価である。

12.「グッドナース」(10月21日)

配信限定作品を劇場で公開してくれるのは非常にありがたい。E.レッドメインがその澄んだ瞳の奥で何を考えているのか分からない看護師役を好演。

13.「MEN 同じ顔の男たち」(12月17日)

賛否両論(たぶん否定派が多数)のとんでも作品。クライマックスの主人公の呆れた表情がツボにはまった。

14.「ドントウォーリーダーリン」(11月11日)

こちらもあまり評価は高くないようだが、シリーズものではないオリジナルで果敢に勝負することにそれなりの意義があると思う。H.スタイルズは本業の音楽で大活躍。本作監督のO.ワイルドとは別れた模様。

15.「ソー ラブ&サンダー」(7月16日)

サノスとの戦いや仲間との別れを経て燃え尽き気味だったソーが復活する物語。しばらくは神々の世界で過ごすようであり、ひとまわり大きくなってサーガの中心に戻ってきてほしい。

16.「チケットトゥパラダイス」(11月6日)

G.クルーニーJ.ロバーツの大御所二人が力を抜いて作った(?)という感じの娯楽作品。ゆったり幸せな気分に浸って映画を観たいという層はニッチかもしれないが存在すると思う。

17.「百花」(9月15日)

「半分の花火」のオチはいまひとつの感があるが、認知症が進む母親の姿と、女性として生きていた昔の姿の、いわば二役を演じた原田美枝子が光っていた。否応なしに進んで行く時の流れが切ない。

18.「モービウス」(4月9日)

最近増えてきたヴィランを主人公にした作品。J.レトを起用する点に力の入りようが垣間見えるが、今のところ存在感は未知数。

19.「シン・ウルトラマン」(5月15日)

PSBのCMで香川照之の後釜に収まった山本耕史は、本業でも怪優を目指しているのだろうか。ウルトラマンの斎藤工もそのままのノリでHINOKIYAの新CMで競演。

20.「かがみの孤城」(12月30日)

画はキレイ。キャラクターも魅力的。ストーリーをもう少し練り込んでいればかなりハマったと思うのだけれど。當真あみは2023年大きく伸びるでしょう。

21.「NOPE/ノープ」(8月26日)

得体の知れない恐怖という点では、先述の「MEN」や「ドントウォーリーダーリン」と同じカテゴリーに入れていいだろう。おそらく世間的にはJ.ピール監督作のこちらの方が評価は高い。ただ個人的には入ってこなかった。相性か?タイミングか?

22.「さかなのこ」(9月1日)

全般的に楽しいし、のんがさかなクンを演じるのも、意外性がありながらハマっていて良かった。でも、途中の集団コントか学芸会かというノリは見ていて少し恥づかしかった。

23.「ヴェノム:レットゼアビーカーネイジ」(1月9日)

ヴィランとしては古参の部類に入るヴェノム。T.ハーディ演じるエディとの名コンビぶりは安定して観ていられる。敵役にW.ハレルソンを迎えて万全の体制のはずだったけど、良くも悪くもあまり記憶に残っていない。

24.「LAMBラム」(10月23日)

絶好調のA24スタジオらしい突拍子もない発想に基づく作品。何故とか考えるものではないことは分かるのだけれど、設定の勢いを超えるものは見当たらなかった。

25.「母性」(11月23日)

前宣伝のミスリードは良くない。永野芽以が不幸になる姿は見たくないので、結果としては良かったのかもしれないけど。

26.「はい、泳げません」(6月23日)

天然でありながら運動神経は良いらしい国民的女優・綾瀬はるかを崇めるので十分なのだが、タイトルからは想像できない深い物語が隠れている。売り方を間違えたのでは?

27.「X エックス」(7月16日)

これもA24スタジオ作品。老いることは醜いという、身も蓋もない現実を見せつけてくれる。この後に作られた前日譚はどうなっているのか、それはそれで気になる。

28.「ブラックアダム」(12月3日)

せっかくD.ジョンソンを持ってきたのに、DCのシリーズは全面見直しが決まり、ポストクレジットで登場したスーパーマンとともにお役御免に。

29.「ブラックパンサー/ワカンダフォーエバー」(11月17日)

ワカンダは正しい。

30.「映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝」(4月23日)

ひさしぶりにおもしろくなかったクレしん映画。2023年は3DCGアニメらしい。不安しかない。

31.「ドライブマイカー」(2月13日)

子供のころからキュウリが食べられない。付き合っていた女性が作ってくれた料理でもだめだった。でも好き嫌いより深刻な、間違って摂取すると命に関わるアレルギーを持っている人も多くいる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年の9館(2022)

2023年01月07日 08時48分34秒 | 映画(2022)
7月に異動になり、7年ぶりの北海道勤務となった。今回の勤務地は札幌市内。映画館が日常にある地に単身赴任するのは実は今回が初めてである。となれば資金が続くかぎり映画も観放題・・・となるはずなのだが、そこは観たいと思う作品がどれだけあるかにかかってくるわけで、そこまで映画館通いが激増するという結果にはならなかった。また、札幌市は人口200万人近くの大都市にしては映画館が少ない。サツゲキも複数スクリーンを持つが、メジャー作品を封切する大型シネコンは札幌駅のシネマフロンティアとサッポロファクトリーにあるユナイテッドシネマしかない。札幌経済圏に範囲を広げても江別のイオンシネマが入るくらいで、これは仙台圏を下回っている。将来的に人口減少が見込まれる中で規模拡大という話にはなりづらいのかもしれないが、ここにはもう少し可能性があるのではないかと思う。なお、2023年秋にはTOHOシネマズがすすきのにやって来る予定とのこと。人の流れに変化は出るだろうか。

札幌シネマフロンティア(北海道)10回

2003年にオープンしたシネマフロンティア。東宝、東映、松竹の大手3社が共同経営するという、全国でも極めて珍しい形式で開業したシネコンである。上述のとおりユナイテッドシネマを除いた大手のシネコン(特に映画会社系)が参入してこなかったのは、そのためかもしれない。幕間に流れるBGMはTOHOシネマズのものと同じというのもその流れを感じる。来秋のTOHOシネマズの本格進出でどう変わるのかが見どころである。

TOHOシネマズ海老名(神奈川)7回

年の前半はやはりここがホームタウン。ビナウォークも開業から20年が経ち、当初は「ヴァージンシネマズ」だったことを憶えている人も少なくなったであろう。当時の売りは、全スクリーンTHX、プレミアスクリーンであった。20年という時間は長く、街のにぎわいは西口に大きく移り、映画館の名前だけでなくTHXもプレミアスクリーンも看板を下ろした。ただ、西口に映画館はないことからTOHOシネマズは以前と変わらない活況を呈している。この先の20年でどんな変化が生まれるのか引き続き見守っていきたい。

ユナイテッドシネマ札幌(北海道)6回

サッポロファクトリーは地下鉄やJRのアクセスはいまひとつであるが、やはり休日になると人でごった返す札幌市を代表する商業施設である。ユナイテッドシネマは道内唯一のIMAXや4DXといった体験型施設を持つ映画館として重宝されている。来秋上陸するTOHOシネマズがどのような設備やサービスを持ってくるかによっては結構影響を受けるかもしれない。ドルビーシネマが来ないかな。

イオンシネマ海老名(神奈川)3回

せっかく55歳になったのにイオンシネマが遠くなってしまった。江別まで行ったら交通費で安い分が相殺されてしまうし。しかも今の職場は福利厚生で映画がそれなりのお値段で観られたりするので、本格的にイオンシネマを利用するようになるのはもう少し先の話になるのかもしれない。それまで無事でいてくれますように。

サツゲキ(北海道)1回
TOHOシネマズ仙台(宮城)1回
TOHOシネマズ新宿(東京)1回
イオンシネマ新百合ヶ丘(神奈川)1回
TOHOシネマズ川崎(神奈川)1回

地元資本のスガイディノスという娯楽系企業が、かつてすすきので運営していたディノスシネマズ札幌を事実上継承している映画館がサツゲキである。ディノスは他にも道内で数館の映画館を運営していたが、どうやら民事再生法を申請し、現在は別の運営会社が管理しているらしい。もともと北海道経済は他の地方よりさらに厳しい中で、この新型コロナ騒動である。東京の豊島区長ではないが、街の文化の衰退を憂う気持ちにならざるを得ない。ミニシアターは東京でさえ経営が厳しそうだからね。ただ、NETFLIXやDisney+を観ればと言われても・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする