大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2014年03月01日 | 祭り

<910> お 水 取 り

       水取りや 数多の願ひ 堂の内

 今日より三月である。三月一日からの二週間、十四日(十五日未明)までは、春を呼ぶ東大寺二月堂の修二会のお水取りである。本尊の十一面観世音菩薩に一年分の御香水を供えて悔過法要を行うもので、十一人の籠りの僧(練行衆)によって行なわれ、修二会の連夜、練行衆を導く大松明が火の粉を振り撒きながら舞台を走る。十二日深夜(十三日未明)には二月堂近くの閼伽井屋(若狭井)から御香水を汲み上げるお水取りが行なわれ、このときには一段と大きい籠松明が用いられ、修二会はクライマックスを迎える。

  この修二会のお水取りは天平勝宝四年(七五二年)に始められ、これまで一度も途絶えることなく、今年(二〇一四年)で1263回を数えるという。持続は力と言われるが、このお水取りの回数はまさに持続を意味するもので、継ぎ来たった人々の仏道への帰依の力と言える。言わば、願いは尽きぬ人の世の道の一つの姿で、お水取り自体が功徳の現れと言ってもよいように思われる。

                                   

  今日は生憎の雨模様だったが、修二会のお水取りは本行に入った。午後七時過ぎから鐘の音を合図にお松明が始まり、二月堂はにぎわった。 写真は火の粉を降らせながら二月堂の舞台を走るお水取りの大松明。なお、今日の大松明は十本見られた。十二日夜のお水取りには十一本の一段と大きい籠松明が用いられる。これは松明が練行衆の足許を照らす道明かりだからで、十本の日は、まだ、明るい時間に練行衆の一人が準備のため、堂内に入ることによる。


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