<3620> 野鳥百態 (35) 群で行動する鳥と単独で行動する鳥
暮らしに欠かせない
最低限必要なもの
衣・食・住
野鳥のような
自然の鳥にも
これは言える
野鳥の中には群をつくって行動するタイプと単独で行動するタイプがいる。大小にかかわらず見受けられる。そして、シラサギのように群れているときと単独のときが見られる鳥もいる。渡りをする鳥の中にもこの違いが見られる。
また、群をつくるタイプでも大群になるものがいれば、十羽ほどの小グループのものも見かける。大群をなすタイプで言えば、スズメ、カラス、ムクドリ、ヒレンジャク、アトリの仲間たち、カモメ、カモの類。小グループではメジロ、ヤマガラ、シジュウカラ、エナガなど。この小グループはよく一緒に行動する混群をなす光景に出会う。
単独で行動するタイプではモズ、ウグイス、オオヨシキリ、セキレイ、ヒタキの仲間たち、ミソサザイ、ホトトギス、コマドリ、コゲラ、ホオジロ、ヒバリ、キジ、ヤマドリなど。ときに単独、ときに群をつくるタイプで言えば、ツバメ、ヒヨドリ、サギの仲間たち、トビなどが思いつく。
果たして、このタイプの違いはどのような理由によっているのだろうか。思うに、暮らしというここでの考察では二つの要因が考えられる。一つは身の安全、安心のため。今一つは食(エサ)の違いによるということ。そして、生殖に関わる特殊事情によるなど。どうであろうか。
一つ目で言えば、群れをつくり、群れの中に紛れて過ごす方が安全、安心でいられ、他力の作用に与れるから。二つ目の食(エサ)による点は、豊富にエサがある場合とない場合の違いが影響していると考えられること。概して、エサが豊富で、食に困らない鳥では群をつくる。エサが限られ、少ない鳥では、群がつくれない。群になるとエサにありつけないことになるから。
よく観察してみると、群を作るタイプでは草木の実や虫など求めるエサが多種であるうえ豊富で、求めるだけの量が整っていることが見て取れること。例えば、水中に豊かなモなどのエサ存在する池沼のカモたちの光景が見られる。また、カラスのように雑食で何でも食べるタイプも食に困ることがなく群がつくれる。この二つの要素、即ち、安全、安心と食(エサ)の点は、野鳥たちが生きてゆく上に極めて重要な要素であるからと言える。この点で言えば、塒の違いも、このタイプの違いに関わるということが言えそうである。
こういう視点で単独行動をするタイプの野鳥を見ると、食(エサ)が虫などに限られ、極めて少ないということがわかる。同じような小鳥でも混群で暮らすメジロ、ヤマガラ、シジュウカラ、エナガなどでは木の実や虫など同じバライテイ―に富んだエサに与かって食生活をしているのに気づく。
これに対し、単独行動のジョウビタキでは虫を食べるが草木の実を食べる姿はめったに見ない。つまり、ジョウビタキでは食(エサ)が限定的で群ではまかない入れないというところにあるのではないか。このため群をつくる余裕がない。そして、単独で行動する方が暮らしやすいということなのであろう。この点で言えば、安心、安全より食が優先的であることが思われる。
言わば、食わなければ、生きていけないということ。これが言える。とにかく、野鳥の中には群をつくるものと群をつくらず、単独行動する鳥がいる。 写真は群れで飛ぶマガモ(左)と単独行動が目につくジョウビタキ(右・メス)。