大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2014年03月10日 | 写詩・写歌・写俳

<919> 大和寸景 「吉野山雪景色」

         全山に 雪降り込めり 吉野山

 最近の天気予報は正確さを増している。今日、吉野山に出かけてそう感じた。テレビによる昨夜の天気予報では、今日一日寒くなるとのことで、日本地図上に時間の推移をもって雪の降る範囲を全国的にシミュレートしていた。その地図上の範囲で、奈良県は南半分が雪であった。そのときはおやっと思い、もしかしたら北は平野部で南は山間地だから、その地形によってそのようになるのかも知れないということが考えられた。

 で、今日のことになる。自宅を出るときはよく晴れていた。大和の北に当たる自宅辺りに雪は微塵もなく、南に車を走らせた。と、雪化粧した金剛山や葛城山が目に入り、明日香から吉野に入るころには、周囲の低い山にも積雪が見られるようになった。吉野山は雪だとそのとき思われたが、吉野辺りを境に南の山間は雪で、吉野山に着いてからは、ときおり雪が降り、昨夜の天気予報が正しかったことが思われたのであった。

     

 吉野山は深いところで、積雪十センチほどと、かなり積もっていた。道路に雪はなかったが、もしものことを考えて、下千本の駐車場に車を停め、上千本まで歩いた。山は下から上まで全山雪景色で、桜には雪の花が咲いた感じであった。途中から雪が降り出し、激しく降ることもあった。土産物店などは半数以上が店を休み、通る人も少なく、開いている店も開店休業の状態に見えた。

 花の吉野山には何度も足を運んでいるが、雪の吉野山は今日がはじめて。地元の人の話によると、今年はよく降るという。雪の日に吉野山を訪れる人は大概が写真をする人だとその人は言っていた。私もその部類であるが、そういう人は雪の中でも、上の方まで登るという。吉野山は雪もまた一つの眺めではある。写真は雪の降る吉野山の土産物屋の通り(左)。上千本から雪を積む蔵王堂を見る(中)。下千本から雪の吉野山。

   雪を積む 大屋根見ゆる 蔵王堂

   降る雪や 人影なくも 開けし店