未唯への手紙

未唯への手紙

岡崎図書館の10冊

2014年08月17日 | 6.本
岡崎図書館の10冊

 159『ワン・シング』一点集中がもたらす驚きの効果

 501.6『エネルギー問題入門』カルフォルニア大学バークレー校特別講義

 675『コミュニティマネージャーの仕事』熱く盛り上がるコミュニティの作り方、教えます

 159『日々の暮らしを楽にする』

 302.2『インド2』政権交代で9億人の巨大中間層が生まれる 日本人が理解できない混沌の国

 501.8『感性イノベーション』感性をビジネスに活かす

 402『科学の地理学』場所が問題になるとき

 312.2『暴政による人間の退化』~北韓社会の身体矮小に関する研究~

 321『リーガルマインド』自分の頭で考える方法と精神

 375.4『宮本算数教室の授業』この一冊で、オリジナル教材を一挙公開!

成果を生む小集団活動

 小集団活動が活性化するのには順序があります。最初は話し合いが上手でない段階から始まります。外国人と違って、日本人は話し合いが下手です。何をしゃべっていいのかがわかりません。また、話題と違った方向にすぐずれてしまいます。グループリーダーや先輩従業員が話下手なメンバーをやさしく指導することから始まります。まず、日常考えていることから、話を誘導します。特に若い従業員に「○○についてどう思う」と問いかけます。だんだん話ができるようになると、特定の課題に結び付けて考えさせます。[モノが言える]までが第一段階です。

 第二段階は、モノが言えてホンネがしゃべれるようになると、自分たちの職場の問題を意識し始めます。考える力が出てきて問題点に気づき始めます。グループで問題点を話しますから、みんなでどうすべきかの方向が分かってきます。第三段階とは「問題意識1‐の段階です。ここまで宋るとみんなの視点は、どのようにして職場の川題を解決して、自分たちも楽になり、厄介な仕事をしなくてもよくするか、という思考へ方向づけられます。しかも、みんなのアイデアでどしどし問題が解決されていくと、面白くなり、ますます問題解決の力が向上します。

 第三段階は「問題解決」のレベルに入ります。この段階では、上司から言われなくても会社が何をしてほしいかが理解でき、またその方向で問題解決をすることが自分たちにとってもプラスになることが理解できます。

 こうして「創造的な解決」の第四段階に達します。グループの力は格段に生産的に成長します。この段階に至ると、思考は会社の目的の方向へ動きますし、問題や課題が自然とメンバー全員の頭で理解できるようになり、まるで管理者か経営者のように問題解決運動へと走ります。三菱電機飯田工場の女子社員たちがまさにそうでした。

「アラブの春」はもう起こらない

2014年08月17日 | 4.歴史
『第五の権力』より

オンラインでつながる国が増えるにつれ、私たちは、革命の地域的流行を示す兆候にも目を光らせるようになった。

次はラテンアメリカだという人もいる。深刻な経済格差、弱体化した政府、リーダーの高齢化、共通の言語で結ばれた多数の人口という条件が揃っているからだ。

またアフリカだという説もある。世界で最も脆弱な国家が集まる一方で、携帯電話の普及が急拡大し、携帯電話市場は世界のどこよりも急速に成長している。

あるいはアジアかもしれない。独裁体制下で暮らす人が最も多く、経済の急成長の陰で、社会的、経済的、政治的緊張が高まっている。すでにベトナムやタイ、マレーシア、シンガポールなどでは、大規模な抗議運動やデモを組織化しようとする動きが始まっていて、今後ますます活発化するだろう。

だがこうした地域がますますつながり、住民が他国のできごとや共通の不満に影饗回れやすくなっても、アラブの春で見られたような伝染効果が再び生じるとは考えにくい。ただし、抗議運動やデモを広めやすくはなる。

アラブ世界には、ほかの地域にない独特な地域性があり、数十年に及ぶ統一の試みや、アラブとしての一体感が、それをさらに強化している。もちろん、共通の言語と文化、類似の政治体制も、地域性の大きな要素である。最新の情報通信技術は、中東の活動家や抗議者が活用したネットワークをゼロから生み出したわけではなく、もとからあったネットワークを増幅したにすぎない。

加えて、古くからの宗教的ネットワークの存在がある。独裁体制のもとでは強力な市民社会は存在しないため、市民は最も組織化された民間主体として地域を支える、宗教的ネットワークを頼りにしてきた。

チュニジアのベン・アリー、エジプトのホスニームバラク、リビアのムアンマルーカダフィ、イエメンのアリ・アブドラ・サレハといった、二巡の革命によって権力の座を追われたアラブのリーダーたちはみな、諸制度の発達を妨げるような政治体制を構築、運営していたため、宗教団体や組織がそれに代わって重要な機能を担うことが多かった。

近年の革命では、モスクが人々の集会場所となり、イスラム教の導師(イマーム)や聖職者の存在が、抗議運動の大義に正当性を与えることもある。宗教的結束は多くの人にとって、抗議運動に参加する重要な動機づけになっている。

しかし、ほかの地域にはこうした要素が見られない。アフリカ、ラテンアメリカ、アジアは、文化や言語、宗教や経済があまりにも多様なため、アラブ型モデルを模倣することはできない。中東に比べて地域性が薄く、社会、ビジネス、政治のネットワークはより局所的である。

とはいえ、これらの地域にも、変革の兆しがはっきり見てとれる。

こうした変革はそれぞれの国内に限定され、また体制転換ではなく、より幅広い成果をもたらしているといった違いはあるが、それでも政治的、心理的に重大な変化になることは間違いない。

所得格差や失業、食料価格の高騰、警察の蛮行といった問題が蔓延している地域では、政府は国民の要求に対応するために、政策やメッセージを臨機応変に調整して、国民の要求によりきめ細かく応えていく必要がある。比較的安定した社会でも、指導者はネットでつながった市民の圧力にさらされ、デジタル新時代には改革と適応が必要なことを痛感している。どんな政府も、こうした迫りくる脅威を免れることはできないのだ。

シンガポール首相のリー・シェンロンほど、政治的圧力と最新技術との関係をよく理解している人物はいないだろう。彼は地域のリーダーであり、コンピュータ科学者としての教育も受けている。

そんな彼は「インターネットは、ガス抜きにもってこいです。ただし、それが新たな火種になる場合もあります。危険なことに、将来は何かに賛成するより、反対するほうがずっと簡単になるでしょ

世界の若者はつねにクールなことに関わっていたいと感じ、「若者がソーシャルメディアを通して権力に立ち向かう様子を見ると、計画など必要としていないことがわかります。ちょっとしたできごとがあっけなくエスカレートして、オンラインでのさまざまな活動が始まり、それを反体制派集団が利用している」のだという。

市民の期待と政権交代後のギャップ

2014年08月17日 | 3.社会
『第五の権力』より

反体制派集団は、革命後を見据えた制度づくりを、オンラインで行うようになるだろう。これには閣僚に誰を立てるか、治安機構をどのように組織化するか、物資やサービスをどのように供給するかといった情報を提供することも含まれる。

今日であれば、特にコネクティビティの普及が遅れている地域では、適当なことをいって支持者を丸め込めるかもしれないが、情報に通じた未来の市民は、詳しい裏づけを要求してくる。本国または追放先に革命前から存在する反体制派集団は、しっかり準備しておくべきだ。

政権運営の青写真は、単なる口約束にとどまらない。計画はそのまま新体制の基盤になるのだから、計画を示さない集団や適切に実行できない集団は、支持者を組織化する能力に長けていても、指導力や統治能力に疑問をもたれて当然だ。

それに、たとえ反体制派運動が確かな青写真を示し、優れたスキルをもった真のリーダーを擁していたとしても、革命を頓挫させかねない、不測の事態は起こるだろう。

たとえば部族や派閥、民族間の緊張は、多くの社会に地雷のようにあちこちに隠れていて、うかつに踏むと大変な問題に発展しかねない。テロリスト集団や武装集団、暴徒、外国軍など、内外のあらゆる妨害者が、治安かく乱の要因にもなる。

また多くの革命が、不況や財政運営の失敗によって勢いを増すため、景気のほんのわずかな浮き沈みが、抗議者の心理を一変させることもあるだろう。

恐るべきは「期待とのギャップ」があるということだ。

革命が成功裏に「終結」して、政権が交代すれば、国民の高揚感は最高潮に達滓るが、この時点で国民の期待と希望に応えられる新政権は少ない。コネクティビティのおかげで何百万もの人たちが大衆蜂起に参加するが、革命が終結すると同時にそうした人たちの多くは、政治プロセスからは突然締め出されたと感じるようになるのだ。

私たちはリビアとチュニジアで、活動家と政府閣僚に話を聞いたが、双方ともが、不満と報われない気もちを抱いているようだった。

エジプトでは、ムバラク政権崩壊後に暫定統治を担った軍最高評議会(SCAF)への不満が高まり最初の蜂起が起こった夕ハリール広場が再び占拠された。

革命後初めて行われた大統領選挙では、軍のシンボル的存在アフマド・シャフィークと、ムスリム同胞団のシンボル、ムハンマド・モルシの一騎打ちという限られた選択肢に、国民は不満と疎外感を募らせてもいた。コネクティビティにより、民衆が二体感を感じるようになればなるほど、期待はいやがうえにも高まる。

新政権は説明責任と透明性を求める声に応えて、「オープンガバメント」(開かれた政府)の取り組みを進めるだろう。たとえば閣僚のスケジュールを公開する、オンラインフォーラムで市民と交流する、市民との情報交換の場をできるだけ設ける、といったことだ。

だがそれでも不満を持ち続ける市民は必ずいる。追放された政治エリートは、こうした市民をとり込んでオンラインの支持基盤を築くだろう。抜け目のない旧体制支持者は、この期待とのギャップを逆手にとって、オンラインで国民とのつながりを保ち続け、不満をかき立てながら、政権再建をめざすのだ。いずれ彼らが新たな反体制派として、オンライン運動を起こすかもしれない。

革命の未来

2014年08月17日 | 4.歴史
『第五の権力』より

「アラブの春」は誰もが知っている。

だが、「次に何が起こるか」は誰にもわからない。

情報通信技術によって新しいつながりが生まれ、表現の場が増えるなかで、近い将来、革命が多発することは、ほぼ間違いないだろう。

また多くの国で携帯電話とインターネットの普及率が高まる。それに伴い、群衆を動員したり情報を拡散させたりといった戦術が容易に行えるようになることもはっきりしている。

しかし、革命運動は増えても、そのほとんどが成果を挙げるには至らない。革命が完全に達成され、劇的で進歩的な政権転覆が実現することは、むしろ減るだろう。革命後も持続して運動を指揮できるようなリーダーがいないこと、そして国家が革命運動に対して、より周到に対処できるようになることが、その理由だ。そのため、2010年末に始まったアラブ革命がもたらしたような根底からの変革は、よいものも悪いものも含め、妨げられるだろう。歴史では一貫して、その時代ごとに進歩を遂げてきたさまざまな「技術」が、革命の進展を促し、活動を方向づけてきたが、根本に目を向ければ、過去に成功したすべての革命には、制度的構造や外部支援、文化的結束などの「共通の要因」があることがわかる。

未来の世界では、かつてないほど多くの人が多くの場所でつながることで、歴史上類を見ないほど活発で声高な、グローバル化した市民社会が実現する。

「誰もがつながる世界」で、革命そして国家権力はどう変わっていくのか説明しよう。つながった社会では、革命は増えるのか

コネクティビティが広がり、新たな地域がオンラインに迎え入れられるなか、革命がかつてないほど簡単に、そして頻繁に芽吹くようになる。

仮想空間とその技術へのアクセスを手に入れた世界中の人々や集団が、この機会に乗じて、長年の不満や新たな懸念を、根気と信念をもって解決しようとするだろう。

この動きを先導する人たちの多くは、若者である。

なぜなら、オンラインで新たにつながる国の多くが、人口構成が驚くほど若いからだ。たとえばエチオピア、パキスタン、フィリピンは、人口の過半数が35歳未満である。また若者は世界中どこでも、積極的で大胆で、自分には現状を打開できると信じているから、立場を表明する機会さえ与えられれば、迷わず立ち上がる。

将来は、インターネット技術を早々に導入した社会だけでなく、あらゆる社会で、これまでとは違う形の抗議運動が見られるだろう。

人々は情報技術の力を借りて国際社会の関心を集め、世界中の支持者を動員し、組織できるようになる。

フェイスブック、ツイッター、ユーチューブなどのプラットフォームは、今もすでに抗議活動に利用されている。これらのプラットフォームでは、さまざまな「大義」を広めるために、動画や画像、メッセージを活用する新しい方法が、世界中で開発されている。こうした動きを先導するデジタル活動家が続々と現れ、自ら掲げる大義の広報役として活動するうちに、国際社会で英雄として祭り上げられていくだろう。

デジタル新時代になってからまだ大規模な抗議運動の洗礼を受けていない国にも、いずれ世界規模の運動が起こることは間違いない。こうした運動は、世界の注目を集め、ときにその意義が過大評価されることもあるだろう。

民主主義国家では社会の矛盾や経済格差の是正を訴える抗議運動が頻発し、抑圧的国家では不正選挙や汚職、警察の蛮行などに抗議するデモが起こる。ただし、新しい主義主張が掲げられることはほとんどなく、単により大勢の人に呼びかけやすくなって、参加者が大幅に増える点だけが、今と違う。

これまで反乱を起こすのは、適切な武器をもち、外国政府の支援をとりつけ、訓練を受けた一部の集団に限られていた。だがいまや一般人の参加を阻んでいた年齢、性別、社会経済、状況の障壁がとり除かれ、このような排他性はほとんどなくなっている。

これからは、市民が孤立感や孤独感を覚えながら、不公平をかみしめることはなくなる。世界中の誰もがどこにいても意見をぶつけ合える場ができたおかげで、多くの人たちは刺激を受け、今まで心に秘めていた思いを伝えられるようになる。

アラブの春の革命が示したように、いったん「恐怖の壁」が打ち破られ、政府の弱さが露呈すれば、ものいわぬ従順な市民たちも、ためらわずに運動に加わっていくだろう。

ソーシャルメディアがアラブ革命で用いられたことで、女性が革命で大きな役割を担うようになるという、前向きな変化が見られた。

危険で街に繰り出せないときも、SNSという手段を通じて、意思を伝えることができたのだ(もちろん、危険を冒して行動した女性も多かった)。

革命によって手に入れた自由を誇示するだけのために、オンラインや街頭で毎日のように抗議運動が行われるようになるだろう。