goo

ワン・シングの三つの誓い・四人の泥棒

『ワン・シング』より 目覚ましい成果 秘められた可能性を解放する

三つの誓い

 1.最高の自分を目指す--目覚ましい成果が得られるのは、最も重要な仕事で最高の結果を出すために最善をつくすときだ。それこそが熟達への道であり、そして熟達には時間がかかるからこそ、必ず達成すると誓わなければならない。

 2.目的に即した方法で「一つのこと」に取り組む--「E」(実務的な方法)から「P」(目的に即した方法)に変えること。あなたを最も目標に近づけてくれるモデルとシステムを探し求める。当たり前に得られるものだけで満足してはいけない。新しい考え、新しいスキル、新しい人間関係を受け入れよう。

 3.結果を引き受ける--目覚ましい成果を手にしたいなら、失敗を人のせいにして、自分は犠牲者だと思ってはならない。自分で責任を負うときにしか変化は起こらない。バックシートではなく運転席に座るのだ。

 4.パートナーを見つける--パートナーなしに目覚ましい成果をあげている人は、なかなかいるものではない。

四人の泥棒

 1.「ノー」と言う--何かにイエスと言うことは、その他のすべてにノーと言うことだ、ということを忘れてはいけない。他の要求を退け、気を散らさせるものには「いまはダメ!」と言おう。そうすれば、最優先事項に取り組むことができる。ノーと言えるようになれば自由になれる。これこそが、「一つのこと」に取り組む時間を見つける方法である。

 2.混乱を受け入れる--「一つのこと」を追求すれば、他のことは後回しになる。やり残しがあると行く手を邪魔されるように感じる。こうした混乱は避けられない。うまく対処することを覚えよう。「一つのこと」をやりとげたなら、ぶしい決斯をしたということだ。

 3。エネルギーをうまくコントロールする--あまりに多くのことを引き受けて、健康を犠牲にしてはならない。私たちの体は素晴らしい生物機械だが、保証があるわけではない。買い換えはできないし、修理は高くつく。自分のエネルギーをうまくコントロールすることが重要だ。そうすればやるべきことができ、手に入れたいものが手に入り、生きたい人生を送ることができるだろう。

 4.環境を自分のものにする--周囲の人たちと物理的環境を、私たちの目標を後押ししてくれるものにしよう。「一つのこと」をなしとげるには、つき合う人たちを選び、適切な物理的環境を整えなければならない。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

世界の歴史を18分でプレゼン

『TRD 驚異のプレゼン』より

複雑なテーマを簡単に説明できるスピーカーに対し、聴衆はその道のプロとして信頼感を抱く。アルバート・アインシュタインも「何かをシンプルに説明できないのは、それをよくわかていないということだ」と語っている。

アインシュタインも歴史家のデビッド・クリスチャンには称賛を送ったはずだ。2011年3月にTEDに登場したクリスチャンは、宇宙の歴史を18分にまとめてしまったのだから(正確には17分40秒)。クリスチャンは私に、130億年前のビッグバンから今日までの宇宙の全史を扱う、世界史のコースをつくるのが自分の仕事だと語った。「ビッグヒストリー」と呼ばれるこのコースはティーチング・カンパニーが制作し、30分の講義48回で構成されている。このテーマに精通しているクリスチャンは、聴衆の関心を引きつけ、地球というもろい星を守ろうという気持ちにさせるために、ビッグヒストリーの内容を絶妙な長さにまとめた。

「ビッグヒストリーを教えてもう20年になるからね。かなりよくわかっているつもりだし、様々なバージョンで語れるんだ」

『スモール・イズ・ビューティフル』(講談社刊)の著者で経済学者のE・F・シューマッハーはこう語っている。

「知性のある愚か者ならだれでも話を大きく、難しくできる。その逆は少しの才能と多くの勇気がいる」

キーワードは「勇気」だ。物事をシンプルにするには勇気がいる。パワーポイントのスライドに、聴衆がだれも読めないような細かい文字をぎっちり詰め込むかわりに、写真を1枚だけ載せるというのも勇気がいる。プレゼンで使うスライドの枚数を減らすのも勇気がいる。長時間だらだらと話すのではなく、18分だけ話そうと決めるのにも勇気がいる。レオナルド・ダ・ヴィンチは「シンプルさは究極の洗練である」と語った。洗練を目指そう。プレゼンテーションやセールスピッチを短くシンプルにするのだ。

ステップ1--ツイッターのようなヘッドラインをつくる

 ヘッドラインはプレゼンが終わるまでに顧客の記憶に刻みつけたい、最も重要なメッセージだ。「私の製品/サービス/ブランド/アイデアについて、聞き手に一番伝えたいことは何だろう」 メッセージマップの一番上に丸を書き、この問いの答えを書き込もう。それがあなたのヘッドラインだ。必ずツイッターの投稿(140文字以内)の文字制限に収まるようにしよう。自分の製品やアイデアを140文字以内で説明できないなら、もう一度コンセプトを練り直したほうがいい。

ステップ2--ベッドラインを支える3つのキーメッセージ

 人間の頭が短期記憶で処理できる情報は3つぐらいだ。プレゼンのアウトラインをつくるときには、全体のテーマを支える3つのキーメッセージを考えよう。ドクター・ジルは「脳卒中から学んだこと」を6分ずつの3セクションに分けた。脳の回路の説明、脳卒中を起こした日の様子、その経験から学んだ命、世界、その中における自分の位置づけである。

ステップ3--キーメッセージをストーリー、データ、具体例で補強する

 3つのキーメッセージの下に、それぞれ箇条書きで語るべき内容を書いていこう。全文を書く必要はない。ストーリーを語るのに役立つキーワードを2~3書いておけばいい。重ねて言うが、メッセージマップは紙1枚に収まるものだ。

 スティーブ・ジョブズが2005年のスタンフォード大学卒業式で行った有名なスピーチを、メッセージマップで表現した。スピーチの長さはTEDにぴったりの15分。ツイッター仕様のヘッドラインは「自分が大好きなことをやろう」。それが3つのパート(「点と点を結ぶ」「愛と喪失」「死」)に分かれ、それぞれに3つの項目がある。

 これで聴衆に語るべき内容がひと目でわかる。メッセージマップをつくるのは、まとまりのあるプレゼンをつくる手軽で効果的な方法だ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

自分を主人公にする心理学

『アドラー心理学』より アドラー心理学のおもな理論

自分を主人公にする心理学(自己決定性)

 アドラー心理学は、環境や自分の生育歴上の問題が性格形成に影響を与えることは認めますが、それらの影響をどう解釈し、そこからどう態度を決めるかは自分次第という立場に立っています。いわゆる性格の形成についても、遺伝などの身体面や環境の影響を認めながら、最終的にその人の性格を決める要因は、その人自身だと捉えています。その意味では、「あなたをつくったのはあなた。あなたを変えうるのもあなた」です。アドラーは「人間は自分の運命の主人公である」とか「人間は自分自身の人生を描く画家である」と言っています。その考え方に基づけば、自分の人生ドラマの作者・脚本家・演出家・主役はすべて自分白身です。誰かが代役を果たしてくれるわけではありません。


 それでは、人はどの方向に向かって自己決定するのでしょうか? アドラーは自己決定の向かう先について「人生の『ユースフル』か『ユースレス』な側面」という言葉を使っています。

 「ユースフル」と「ユースレス」を文字通り訳せば「有益」と「無益」ですが、私はあえて「建設的」と「非建設的」という言葉を使っています。つまり、「自分と他者にとって建設的な方向か、それとも非建設的(場合によっては「破壊的」)な方向」のどちらに向かって自己決定するか、ということです。

 私達は、何かの困難に出合って決断を下して対処する時、どうしても「良い」「悪い」か「正しい」「間違っている」の自分自身の正邪善悪に基づく判断基準があります。しかし、アドラー心理学では、判断基準は「自分と他者にとって建設的な方向か、それとも非建設的か」にあります。この判断基準を使うと、他者を悪者扱いして排除することがなくなります。また、非建設的な対応をしている人には、教育によって建設的な対応に導くことができるととらえています。

人間の行動には目的がある(目的論)

 アドラー心理学は、未来志向の「目的論」の心理学で、一時期主流をなしていた過去志向の「原因論」の心理学の対極にあります。これがアドラー心理学のユニークなところです。

 人が何かをしようと動機づけられた時は、必ず未来に向けての意思が働きます。意思は、未来と現在との懸け橋になります。そして、マイナスからプラスヘと目的に近づこうとする行動へと私達を誘います。

 未来は、自分の意思で主体的に創造するものです。取り戻せない過去の原因に執着するよりも、変えられる未来をありありと描き、他者の協力を得ながら作り出していく方がずっと自分自身の勇気づけにもつながります。

 アドラーは、「すべての人を動機づけ、われわれがわれわれの文化へなすあらゆる貢献の源泉は、優越性の追求である。人間の生活の全体は、この活動の太い線に沿って、即ち、下から上へ、マイナスからブラスヘ、敗北から勝利へと進行する。しかし、真に人生の課題に直面し、それを克服できる唯一の人は、その〔優越性の〕追及において、他のすべての人を豊かにするという傾向を見せる人、他の人も利するような仕方で前進する人である」と、『人生の意味の心理学上』(岸見一郎訳、アルテ)で書いています。

勇気づけと共同体感覚

 アドラー心理学は勇気づけの心理学です。繰り返しになりますが、ここで、大事なことは、「勇気づける」ことと「ほめる」ことは違うということです。勇気づけとは「困難を克服する活力を与えること」であり、相互尊敬・相互信頼に基づく共感的な態度が欠かせません。それに対して、ほめることは、ほめる側の人間にとって「良い・悪い」という評価的な態度から始まります。同じプロセスを踏んでいても、自分が期待するような「良い」結果を出したら相手を賞賛するものの、自分の期待していないような「悪い」結果の場合は、相手をくさしたりけなしたりすることがあります。

 最後に、アドラー心理学の教育やカウンセリングなどの支援には目標があります。それは、共同体への所属感・共感・信頼感・貢献感を総称した「共同体感覚」の育成です。周囲の人達をライバルだとみなす競争的な対人関係に代わる協力的な人間関係を志すのがアドラー心理学で、共同体感覚の備わった人が精神的に健康だとみなしています。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )