サムエル記第二 3章1−21節
皆様、暑中お見舞い申し上げます。
8月を迎えました。気がついてみると、日の出も日の入りも少しずつ早くなっています。夏の暑さは今が盛りですが、そのようなことからも秋が近づいているようにも思います。
3章にはサウル王に仕えた武将アブネルのことが中心に描かれています。ここを読むと、アブネルはダビデが全イスラエルの王となるべく備えをしたことが分かります。
それとともに、力を増していく者の陥りやすい罠に彼がはまりこんで行く様子が描かれていきます。まず彼は、サウルの側女と通じます。それをサウルの子であり、後継の王となったイシュ・ボシェテにとがめられた時、アブネルは逆上したのです。「誰がおまえを王にしたのか。私だ。その私に口出しなどするな!」と……。そのために、イシュ・ボシェテはアブネルを恐れ、何も言えなくなってしまうのです。
全イスラエルの王にするとダビデに言ったアブネルのことばからも、高慢が透けて見えます。さらに、ミカルを返してほしいとのダビデの要求にイシュ・ボシェテが答えた時にも、アブネルは夫婦の絆を平気で引き裂くようなこともします。そのようにして、彼はダビデに貸しをつくるようなことをしたのでしょう。
21節の「アブネルは安心して出て行った」ということばに目が留まります。他の日本語聖書では「アブネルは平和のうちに出発した」と訳します。このことばはよく知られている「シャローム」が用いられています。この時のアブネルの安心、平和とはどのようなものだったのでしょうか。