みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

進言が聞かれる時

2017年04月18日 | ダニエル書

ダニエル書 4章19−37節

 住まいの入口に木蓮があります。去年の満開は4月15日ごろでしたが、今年は一週間以上も早く満開になり、5日には花びらの多くが落ちてしまっていました。暖かな春だなと思っていましたが、きのうは雨の後の晴れ。外に出たら風が冷たくて、冬に逆戻りしたようでした。

 ベルテシャツァルことダニエルは、王の見た夢の話を聞いているうちに、「しばらくの間、驚きすくみ、おびえた」と記します。王の身に大変なことが起こるのを神によって知らされた彼は、王に促されるかたちで夢の解き明かしをします。自己保身のためならば、決してしません。たとい知っていたとしても、肝心なところは曖昧にしてしまうでしょう。

 ダニエルが王の前で驚きすくんで、「思い悩んでいた」(新共同訳聖書による)のは、神が教えてくださった夢の意味を曖昧にしたり伝えなかったりはできない、かといって、そのまま話したら王はどのようになるのかを恐れていたのだと思います。自分の身を守るための算段をしていたのでなかったのです。

 「これは、いと高き方の宣言であって、わが主、王さまに起こることです」とダニエルは包み隠さずに言いました。王はどうしたのでしょう。ここには、王が憤ったとか、おびえ落ち込んだとかなどとは記されていません。30節によりますと、ダニエルの進言に王は耳を傾けなかったのです。

 1年後に、自分の身にダニエルの解き明かしどおりのことが起こって初めて、王は「目を上げて天を見、…いと高き方をほめたたえ」ます。

 砕かれてやっと天を見るのは、この王だけではありません。


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