魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

詐欺時代

2022年01月29日 | 日記・エッセイ・コラム

詐欺師はダマそうとして嘘をついているケースは少ない。自分自身がそう信じているから他人がダマされる。ドラマや小説の作者が、書いているうちに登場人物に引っ張られるのも、人物の背景や資質が定まれば自ずと、その現実感に引き込まれるからだ。
詐欺師も状況の中で、その人物に成りきる。
都民ファーストの木下富美子が無免許事故で、あたかも政治試練かのような態度をとったのも「成りきり」の一つだ。ただ、自分でも解っていたので成りきれなかったのだろう。そこがやはり素人だ。
政治家は、大衆を納得させる役者の資質が必要だ。役者は役作りでドラマの人物に成りきろうとするが、政治家は紛れもない本人であり、役に酔えばポピュリズムに陥る。

第二次大戦後75年。朝鮮、ベトナム、中東と冷戦の混乱の中で築き上げた、経済や平和の財産を、今世紀のポピュリズムが食い尽くした。
この20年の世界の政治家は、前世紀の遺産をバラ蒔いた道化役者であり詐欺師達だ。ある意味では、無限の荒野を創造してくれたとも言える。
何もしない組織は腐る。大戦後生まれた国連などの世界のあらゆる組織が、事実上無意味になった。科学、産業の進化の中で環境が激変し、新たな脅威が生まれたが、無意味なランク付けや宣言しかできない。実態も実効性もない言葉ばかり飛び交う。
フランス革命があったから、「ラ・マルセーズ」が生まれ、独立戦争があったから「星条旗よ永遠慣れ」が生まれた。実働の中で歌が生まれたので、歌によって革命や独立が成ったのではない。歌やデモや、宣言では何も生まれない。

日本のポピュリズム
世紀末の夢を見ている世界で、各国の政治家も無意味な言葉遊びを続ける。
先日、菅直人元総理が維新の橋下徹をヒトラーに例え物議を醸し、安倍晋三元総理が佐渡金山で韓国と論争すべしと檄を飛ばした。
菅直人は学生運動出身だが、過激派ではなく、現実的な穏健派で市川房枝を押し立てた、いわば、体制内反体制の人で、おそらく、過激派のような挫折経験はないだろう。
一方、安倍晋三は言うまでもなく、体制保守の御曹司だ。方向性にかかわらず、二人とも体制内の人だ。これに対し、橋下徹は全く異次元の、在野の人と言える。

ヒトラーは政治体制を利用して成り上がった体制内反体制が原点だ。菅がヒトラーを例えに出すのは、自身が理解しやすい思考次元だからであり、橋下には当たらない。
また、執拗な韓国に、ガツンと言ってやりたいのは、多くの日本人の本音だろうが、軍艦島の申請時、日本は論争ではなく曖昧な取引で決着し、禍根を残すことになった。しかし、これは安倍政権下だったはずだ。拉致問題、慰安婦問題、そして今回の世界遺産登録問題。言うことは立派だが、何も結果を残さず、むしろ問題を広げ、ドタンバでは居なくなる。

世界中で、体制に安住した無責任な政治や組織がまかり通り、多くの人がそれを歓迎した。サイバー時代の現実感喪失も寄与しているだろう。
詐欺にかかっている人は、自分が欺されているとは決して信じない。
前世紀の夢の中で、惰眠をむさぼる世界に冷水を浴びせたのがコロナだった。
今世紀も早、20年が過ぎた。もう、寝ているわけにはいかなくなった。

超越見識


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