魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

モザイク

2023年08月20日 | 日記・エッセイ・コラム

多くの人は信じないだろうが、今は既に戦時中だ。戦争は、昔のように砲弾や爆弾による破壊だけではない。集団の激突は相手の集団を破壊することが目的だ。
物理的に破壊する時代から、情報戦や細菌戦など、相手集団を内部から破壊する時代に変わってきた。昔から、忍者やスパイによる噂の流布などの攪乱はあったが、通信や視聴覚の機器が発展すると、宣伝戦が重要になった。
それでもまだ、相手内部に直接入り込むのは難しかったが、インターネットの現代では自由に入り込める。

直接の破壊工作をするサイバー攻撃よりも重要なのは、相手集団の共通認識を破壊する「認知戦」で、これを破壊すれば、一滴の血も流さず「敵」を支配し、勝利する。
戦争は「信念と信念の衝突」だ。相手集団の「信念」が無くなるか、こちらの信念を信じさせれば戦争は起こらない。つまり、兵法の極致「戦わずして勝つ」であり、中国の目的とするところだ。
中国は当初から一貫してこの戦争を仕掛けている。先ず、SNS環境を国内産とし、国内の情報出入りを遮断し、自由主義国のオープンな環境で、鶏小屋に飛び込んだ虎のように、好き放題に食い散らかしている。
もちろんロシアの熊は早々にアメリカに飛び込み、やりたい放題だが、二番煎じの中国の場合はより周到だ。

アメリカだけではない、台湾や日本のような、中国の創り出した「敵国」には相当な「攪乱戦」が仕掛けられ、ネット上には膨大な偽情報、フェイクニュースや論陣が溢れている。
この危機から、日本社会を守る為に今、盛んにネットリテラシーが叫ばれている。
情報を遮断することが出来ない自由主義国では、個人の認識、識別能力だけが頼りだ。
ところが、そのキャンペーンの方法が「正しい情報の識別法」と、正に情報社会の弱点そのものなのだ。右足が浸かる前に左足を出して水上を歩くような話ばかりしている。

ネット取引の注意をメールで知らせてくる銀行の愚を、逆手に取ったフィッシング詐欺でネットが飽和状態になっているように、「情報」を「情報」で選別する思考自体が間違いだ。ネットでしかものを考えられなくなっている人は、ネット遮断など想像も出来ない。
ネット遮断とは、物理的に遮断することだけではない。ネット情報を意識の上で遮断する方法もある。
今こそ、「色即是空、空即是色」が役に立つ。

情報社会の現実は情報だ。全ての情報(色)は「空」であり、その無意味な(偽)情報の中に実情報「色」が眠っている。
これは、繰り返して言うように、「占い思考」に通じる。情報以前に一つの道理=尺度を体得し、それに照らして情報を取捨し、道理に照らして「実体」を再構築する。
ファクトやエビデンスを求めず、虚偽情報から実体をつかみ取る能力こそが重要だ。
モザイク動画を見る時、目を細めてみると何が映っているのか把握できる。これは映像を直視しないことで、あらかじめ持っている概念に照合するからであり、その、予めの概念を正しく磨くことこそが、究極のネットリテラシーになるだろう。


P.S.
これを上げた翌日、東洋経済オンラインで、齋藤 孝道氏が専門家として全く同じ記事を上げたので驚いた。


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