魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

法令遵守

2024年04月25日 | 占いばなし

10代の頃、人相の本を読んで「早く自分も法令線ができるといいなあ」と憧れた。
ところが、近年、「ほうれい線をすっきり解消!」とか、「ほうれい線を作らない秘訣」とか、人相の観点からは想像もつかないフレーズが飛び交っている。
先日、口腔医療の専門家が、近年は堅いものを噛まなくなったために、身体全体に悪影響が起こっている。「食レポで、『柔らかくておいしい』などと言うから、柔らかいのが美味しいとスリ込まれている」と、笑いながら怒っていた。

産業革命パラダイムの中で、現代人は「売らんかな」に身も心も毒されている。身体中の毛を剃るかと思えば植毛する。日焼けクリームを売っていたかと思えば、日焼け止めクリームを売り始める。
派手な恋愛ルールや結婚式、葬式は、結果的に恋愛忌避や結婚減少、葬儀の簡素化を生んだ。すると今度は、長生き健康サプリであたかも死なないような宣伝をする。
枚挙にいとまが・・・と言うより、世の中この時代、すべてこの水の中で暮らしている。だから、みな本来あるべき姿に気づかない。「自分探し」と思ってみても、水の中では見つからない。

法令線
「深いしわが刻まれる」と言えば、苦労や試練を経験した表現だ。40を過ぎたら自分の顔に責任を持てとは、行状が悪いと悪いシワの配置になり、人相が悪くなるからだ。
法令線は、人生経験によって築かれた人格の深さに比例する。むっと歯をかみしめて、耐えて考え、そして笑っていると自然に生まれる。
法令線があっても人格者とは限らないが、善悪にかかわらず、確固たる自分を持っている印になる。
その法令線を、有ってはならないものと認識する社会は、自分を持たない人、覚悟を持たない人が望まれる社会ということだ。
これでは、いくら「自分探し」をしても、どこにも見つからない。

昔の人は、今のように学校でたたき込まれる知識や、絶えずささやき続ける誘惑の言葉がなく、各々が毎日、経験の学校で学び、シワを刻み込んでいった。
そうして生まれる憧れの法令線を遂に得たが、もう、顔中がぐちゃぐちゃになっていた。


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