魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

屋敷の中 8

2008年09月22日 | 結婚コン

だけど心はすぐ変わる
ボスのことを尊敬もしていなければ、好きでもない。日頃から、ただのおっさんだと思っていたとしよう。

そのおっさん。様子からして下心まる見えだ。出張とか言っているけど、何とかしようと思っているな、ぐらいのことは解っている。
しかし、仕事でもあり、断るのも意識しているようでシャクに障る。
フツーの顔で出張したら、案の定、何のかんのと言いながら迫ってきた。

頼みもしないのに、おみやげにとか言って色々買ってくれる。食事もお酒も、勝手に興奮している。一応、断ったが、
「遠慮しなくていいよ」とか言いながら、どんどん押しつける。
断れば、怒ったりショゲたりすることは、日頃の経験で知っているから、とりあえず我慢して受けた。

食事の後、部屋にいると「書類を持ってきてくれ」と言うから「明日じゃいけませんか」と言うと、「取りに行く」と言うから持って行った。
「説明してくれ」と言うから、やむなく中にはいると、案の定
後ろから抱きついてきた。
「何をするんですか、止めてください」

(ここで巻き戻し)
部屋に入るのは断れたが、角が立つ・・・と本人は思っているが、無自覚な本音は多少違う。
『おっさんがどうするか、ちょっと様子を見てやろう。調子に乗ってきたら、いつものようにガツンと言ってやればいい』

案の定、抱きついてきたから、ガツンと言ってやった。
ところが、いつもの低姿勢と違って、見たこともない形相をしている。
鼻息も荒く、ものも言わずにキスを迫る、服を引きちぎる・・・

で、通り相場の展開になった。

しかし、
これは、おっさんが、ただのおっさんの場合だ。

例えば、この際、若い女の予想に反して、この書類に関する猛烈な仕事を始めたとする。
ミスを発見し、
「明日に間に合わない!」と徹夜作業にかかった。
矢継ぎ早に猛烈な指示を出され、焦りと緊張で興奮状態になって朝まで作業を続け、ヘトヘトになりながらも、ようやく完成。
「やったー!」
モーローとしながら、二人で完成を喜び、シャンペンを入れて
「がんばったね、やっぱり君がいてくれて助かったよ」と、頭をなでながら軽く抱きしめ、髪に軽くキス
「ありがとう、少しでも寝てね」と、帰すそぶりで離れ際に、もう一度引き寄せて・・・

へたな小説を書く気はないので、これぐらいにするが、
展開が変われば、男女の仲というものはどう転ぶか解らないという話だ。

恋愛なら、互いの価値観や感覚をマッチングさせるには、確かめ合いながら徐々に調整するのが正統だが、あの手この手で、感性を麻痺させる手もあるというわけで、
もちろん、この例でも、もう一度引き寄せるか、そのまま帰すかの判断が、ベテランの極意というものだろうが。

実際の展開は、さらにもっとデリケートで、言葉の言い回し一つ、タッチ一つで、どのようにでも転んでしまう。そこが人間の複雑さだ。
始まる前の「つもり」と、展開による結果はほとんど関係ない。
「イヤよイヤよも好きのうち」と言うのも、このあたりの事だ。

犯されそう動
行きずりの、凶悪な強姦は別として、
顔見知りに「犯されそう」とは、犯されなかったから言えることで、犯されたら、犯されたのではなかったことにも成るかも知れないのだ。
それ故に、人権も男尊女卑も関係なく、男は掛かった以上、決して止めるわけにはいかない「決死隊」だ。
ところが、掛かっても出来なくなるのは男の方だ。
そうなった時の男の立場は、もう・・・「死ぬしかない」
女もはっきりその気だったら、まだ許される。
しかし、女が「そんな気はない」と思っている場合は、悲惨だ。
女は、そこにいたる自分の関わった責任プロセスを完全消滅したいから、一方的被害者として、罵り、わめき、吹聴する。
(未遂でも、現場にいた女が責められた昔なら、言わなかったが)

くだんの教授夫人の「犯されそう動」が実話とすれば、「じゃま」が入って未遂に終わった事件だから「犯されそう」だったのであって、相手の男だけでは飽きたらず、夫までも非難して、自分を完全な被害者だと、手記まで書いて、世間に訴えようとしている、のかも知れないのだ。
「犯されそう」だったのか「イヤよイヤよ」だったのか・・・
今となっては、教授夫人にも解らない、屋敷の中のことである。