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伊東・下田・熱海の旅2020【登録有形文化財のゲストハウス・K’s house Ito onsenその二】

2020-10-03 | 伊東&下田&熱海の旅2020

登録有形文化財のゲストハウス・K’s house Ito onsenその二は、他の客室の紹介を。
こちらは「松の間」。ドミトリー用に使われてる。


赤松の皮付き丸太の床柱に、違い棚の床脇、書院がつく。


ゆったりした広縁はリバービュー。


次の間との境に入れられた欄間は菱格子。
こちらは職人技が必要な曲線をくり抜いた吹き寄せの組子なのだそう。



ほんとに~きれいに曲線にくりぬかれてる!!
こんな部屋に3500円で泊まれるなんて・・


こちらは5畳の個室。


やはり小さな床の間がついていて、木材もこだわりのもの。


こちらも広縁付き。


廊下には火灯窓があったり、


階段の手摺子には筏をこぐ人の姿が彫り込まれていたり。


玄関の正面上部に見えた装飾窓は、2階廊下に付いていて、
引き戸になっていたので、明かり採り兼、風通しも考えられているようだった。


スタッフの方にはツィッターに載せたら、早速反響がありましたよ。
と、お伝えすると、他の部屋もどうぞ、と空いてるお部屋を教えて頂け、
自由に見せて頂くことができた。


こちらはかもめの間。
といってもかもめの意匠があるわけではないようだが、、


欄間障子は松葉が組み合わさったもの。


床の間は桜皮付き丸太の床柱と杉磨き丸太の床框が合わせられていて、
琵琶台の正面には縦長の変形八角形の窓が開けられている。


次の間との間の組子細工は、ただの菱型ではなく松皮菱になってるとは・・
手が込んでるなあ。


こちらは菖蒲の間。


書院の小障子には菖蒲や鯉、上部には柳やツバメなどの彫刻が施されていて、
風流だなあ。


牡丹の間。



書院には牡丹の花と一羽の雀の姿が彫られている。
シルエットが美しいなあ。
素材は彫刻しやすい楠の木が用いられているそう。

ああ、とても見応えがあった。
中にはシンプルな造りの部屋もあったが、いつくかの部屋は部屋毎に違った意匠で、それぞれに趣向が凝らされている。
外国人が主なゲストハウスとして営業されてきたそうだが、
日本にやってくる外国人は日本文化に関心が高いだろうから、こういった歴史的な日本建築に泊まれるのは本当に素晴らしい体験になるだろうなあ。


ここからは共有スペース。
K’s house の前の旅館「いな葉」の時代に造られたものだそうだが、10年もたつのにきれいに使用されている。


いくつかに分かれた畳の部屋にはテーブルやソファがたくさん置かれていて
思い思いの場所でくつろぐことができる。



こんな和を意識した石畳があったり・・


こちらはキッチン。IHコンロや電子レンジ、魚焼きグリルまであって、
自炊可能。


思わず朝ごはんには、駅前のマックスバリューの地物コーナーにて
名物だという干物を買ってきて焼いてみた。


お風呂は各階にもプライベート温泉があって、更に大浴場も源泉かけ流し。


全てにおいて、とてもゲストハウスとは思えないような施設は感涙もの。

外国人宿泊客が減った今、古い建物に理解と関心のある日本人の方々にもぜひ泊まってもらって、建物を維持していってもらいたいな。
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伊東&下田&熱海の旅2020【登録有形文化財のゲストハウス・K’s house Ito onsenその一】

2020-10-03 | 伊東&下田&熱海の旅2020
この3月に行こうと計画していた2泊3日伊東、熱海の旅が、コロナで行き辛くなり、、しばらく様子をうかがっていたが、やっと決行してくることができた。
伊東の登録有形文化財のゲストハウスK’s house Ito onsenもリベンジで予約。
ここが思った以上にすばらしい宿だった!


建物は大正末期に稲葉惣次郎氏により旅館「大東館」として建てられたと伝えられる。
その後、増築や改装などを繰り返し現在の姿になった。
この玄関の唐破風は昭和28年に改築されたもの。
戦後、お隣の旅館、「東海館」の所有者であった稲葉安太郎氏が購入し、
昭和23年より旅館「いな葉」として営業開始。
平成19年に旅館は閉業。
その後平成22年より、現在のK’s house Ito onsenとして、
海外からのバックパッカーなどの旅行者をターゲットに営業されている。



スタッフの方のお話によると、今までは特に日本人向けには宣伝はしてこず、外国人のバックパッカーだけで十分需要があったそうなのだが、
このコロナ禍で、外国からの旅行者が減ったため、今後日本人向けにもアピールを考えなければと思われていたところだという。
建物の価値を理解してくださる方々に来てもらえたら、有難いとのこと。


玄関ホールは欅の広幅板が貼られている。
左手に見えるガラス戸の向こうは坪庭。


暗くなりがちな玄関に採光と風通しが考えられている。


建物は、古い部分はできるだけそのまま残されて改修されていて、
廊下などにも、自然木が生かされた細工などがあちらこちらに見られる。
この右手の竹の間が今回宿泊した部屋。


アップグレードしてくださったという部屋はリバービューの広縁付きの8畳間で、一人で泊まるにはもったいない広さと造り。


窓の外は松川が流れる。
結局一日バタバタしていて、ここでゆったり座ってくつろぐ時間はなかったが;


まずは部屋に案内される途中に廊下で目に留まったモザイクタイル貼りの洗面シンク。ゆったりとした幅広で、10mm角のモザイクタイルがびっしり貼られている。



シンクの縁、壁面の縁はトーンの違った色が貼られていて、全面に貼られたやわらかいトーンのシンクを引き締めている。


似たようなシンクが2階にもあり、両サイドのもの置き台のスペースがあったり、


シンクの底のタイルの色などが違ったり、3階の物とは少しアレンジされてた。


共同のトイレは、懐かしい感じの土壁が使われていて、
扉には細工が施され、


小便器の床面には玉石タイルが貼られ、


手洗いの背面にも紫のグラデーションのモザイクタイルが貼られてた。


やはりタイルが気になるので、少し離れたお手洗いも覗きに。



光りの加減がマチマチなのは、チェックイン後すぐと、夜、翌早朝と・・
写真を撮った時間が異なるためなので、悪しからず;



御手洗いの扉を開けると、こちらもびっしりとモザイクタイル貼りに。
ブルーのタイルを基調に、黒で縁取り。


10mm角のタイルなので、コーナーのアールは自由自在。


亀甲竹が使われた、洗面所との境の壁。



暗がりに?こんなピンクの洗面シンクも発見。


4階には望楼もあって、上ることもできた。


望楼は昭和4年頃、当時の評判の大工によって造られたとか。



向かいにすぐ建物が建っているので、引きで写真が撮れないため、
望楼入りの全景を撮ることができないのだけど、、
この写真のドームの部分が隣の東海館から見た望楼。


そして2階の大広間。
53畳の大広間、格天井には和風のシャンデリアが下がっている。


中央仕切りの欄間には手の込んだ繊細な透かし彫りの彫刻が見られる。


地元の彫師で伊東の社寺建築を多く手掛けていたという森田東光の作品だそう。


鶴や亀、松など縁起の良い素材が細やかに描かれている。



床の間には「えんじゅ」という木の床柱が、ゴツゴツした節だらけで
存在感を放っていた。



もう一方は金屏風が立てられた小さな舞台に。
蒲団が積み上げてあったけど、団体客だと、この部屋に泊まれるのかなあ。
それはそれで、贅沢かも。


和風のシャンデリア。
見どころがたくさんありすぎて・・

次回は各部屋の詳細と快適な共有スペースの紹介へ続く・・

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