m's diary

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「世界の民芸玩具」と日本玩具博物館

2020-10-12 | 美術館・ギャラリー他
週末、E家の夫妻が、めっきり長距離運転が出来なくなったうちの旦那に代わって、どこか車で連れて行ってくれるというので、この前から興味を抱いていた姫路の「日本玩具博物館」へ連れて行ってもらうことになった。
そもそもはこちらの「世界の民芸玩具」の本を購入し、この本に載っていた
素朴なおもちゃたちに惹かれ、実物も見てみたいと思ったのがきっかけ。
世界各国から集められたおもちゃは、その地方ならではの自然素材が使われ、その土地の伝統的技法で作られ、長年伝承されてきたもの。どれも素朴で妙な味わいがあって興味深い。


日本玩具博物館は昭和49年に個人の方が会社員のかたわら、収集した郷土玩具を展示するために開館。最初は1棟だった建物だが、その後も資料収集と施設の拡充に努められ、現在は世界160か国9万点の資料を所蔵し、6棟もの建物に5千点の展示が行われているという。


最初見た時はいくつもの古い蔵を改装して、博物館にされたのかと思っていたら、
一棟一棟、館長さんが一代で徐々に増やしていかれたと伺って驚いた。


最初の展示室は、凧と、比較的新し目の昭和から平成にかけてのおもちゃ
や食玩などの展示があって、懐かしいな~と、自分の子供の頃を思い出させるものもあり、親子で訪れても楽しめる工夫がされている。


博物館を作られた館長さん直々にお話を伺うこともできたのだけど、
玩具を集められたきっかけは、単なる趣味ではなく使命感からだ、
というお言葉が印象的だった。
子供たちのために創り上げられてきた庶民の文化が各地で失われつつあることを危惧し、それらを守ることが自分の使命だと感じて、長年収集と保存に携わってこられたのだという。


玩具や人形に関しては世界屈指の博物館ということで、外国からのお客様も多く、又これまで世界数か国でも、企画展を開催してきたのだそう。


田んぼから出土したという「泥めんこ」
紙のめんこしか知らないけど、最初は陶器だったんだな。
各地方のめんこが並べられている。
落雁みたいでかわいい。



グリコのおまけ。
30年代にはウレタン製のおまけが作られてたようだ。


ブリキのおまけ。
いろんな道具類がリアルで可愛い。


木製の乗り物のおまけも。
おまけにしては質が高いなあ。


プラスチック製のおまけ。
この辺は自分世代かなあ・・なんとなく見覚えがある感じ。


ゼンマイ仕掛けのおもちゃ。
戦後、輸出用に作られたおもちゃも多くあったそう。


このクマ、可愛い~


昭和20年代終わりには新素材としてプラスチックのおもちゃが登場。
プラスチックの色合いは毒々しいほどカラフルだなあ。






陶器の水笛もかわいらしいな。
たぬき型も。


明治末期のブリキのお皿やじょうろのおもちゃ。


明治末期から大正期の貝殻のおはじき。
カラフルに色が塗られてる。


子供たちが遊べる木製のおもちゃコーナーも充実してる。
大人もついつい遊んでしまう。

3号館では日本女性が古来から伝承してきたちりめん細工やてまりなどの展示もある。


4号館は1階は日本の郷土玩具、2階は世界の玩具と人形が展示されている。


土人形も地方によってそれぞれ特色があるようで、
館長さんから頂いた冊子には、一軒一軒蔵のある民家を訪ね歩いてその地方の土人形を苦労して収集したエピソードなどが綴られていた。


福岡県筑後市の赤坂土人形。
笛状になって素朴でほのぼのした感じがいいなあ。


熊本県玉名の木の葉三猿は、造形がなんだかもう突き抜けた感じがあって面白い。


2階の世界の玩具コーナーへ。
中国の起き上がりこぼし。
いろんな表情が面白い。


ドイツの木のおもちゃいろいろ。



ペルーの箱型祭壇レタブロ。
「世界の民芸玩具」の本によると、レタブロはクリスマスに飾られる携帯用の祭壇だそうで、人形の生地には主食であるジャガイモが混ぜ込まれているものもあるのだとか。


イヌイット族の毛皮人形や抱き人形など。
動物の骨や毛皮などで作られた人形、さまざまな造形に興味そそられる。



ギリシャのキャンドルスタンド。
壁掛けみたいで、細かな細工が美しい。
まだまだ展示ケースには山のように日本、世界各地の玩具が展示されていて、
ゆっくり見るといくらでも時間がかかってしまいそう。


奥にある6号館では「日本の祭礼玩具と節句飾り」の特別展が行われていた。
来月からはクリスマスのおもちゃの展示も始まるとか。
ああ、それが見たかった~


ミュージアムショップもさまざまな玩具が置かれてた。
この神戸人形は、廃れそうになっていたものを館長さんが作者を養成し、
復刻させたものだそう。スイカを切って食べる人形と、お酒を注いで飲む人形。単純な動作が面白い。



本当にまだまだ膨大な展示があって、なかなか一つ一つ見切れないくらいだったけど、「世界の民芸玩具」の本では、その中から取り上げられたいくつかの民芸玩具にスポットが当てられ、丁寧に解説されているので、後から見ても楽しい。
最後は館長さんにも様々なお話もお聞きすることができた。81歳というお年にはとても見えないくらい早口でしゃきしゃきされていて、廃れゆく玩具を守りたいという情熱をひしひしと感じることができて、私も応援したくなった。

コメント
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