転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
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ベルリン交響楽団@ALSOKホール
クラシック音楽
/
2012年07月07日 09時55分33秒
昨夜は、ベルリン交響楽団の広島公演を聴いた。
リオール・シャンバダール指揮、ソリストはイリヤ・カーラー。
前半はメンデルスゾーンで、交響曲第4番『イタリア』と、
『ヴァイオリン協奏曲ホ短調』。
交響曲のほうはともかくとして、メン・コンには馴染みがあり、
また当夜の使用楽器がグァルネリだということで、
自分としては結構期待していたのだが、
どうも、完全には入りきれないまま終わってしまった。
思ったよりテンポが速かったということかもしれないが、
私がまだ存分に聴いていないのに、音楽がどんどん進展してしまって
そんなに弾き飛ばさないで、もう少し待っていてくれたら……、
勿体ないから、まだ先に行かないで……、と言いたいような気分になった。
ところが、ソリストのアンコールではこれが一変して、
バッハの『無伴奏パルティータ』第2番のサラバンド、第3番のガヴォットが
演奏されたときには、私は俄然、音楽を楽しむことができたので、
もしかしたらイリヤ・カーラー自身に、今はメンデルスゾーンではなくて、
バッハのほうが『降りて』来ていたということではないだろうか、と思った。
職業的演奏家ならば、そのとき弾きたいものだけを弾いているわけではないし、
決められた曲目で最善を尽くさなくてはいけないのは致し方ないことなのだが、
やはり、弾き手の気持ちのあり方が、
どうしようもなく演奏に出てしまう瞬間というのはあるだろうな、
ということを感じた、アンコールの2曲だった。
後半はベートーヴェンの交響曲第6番『田園』。
田舎の風景描写が美しいのは勿論だが、
この曲の終わりのほうでベートーヴェンが、「神は確かに存在した」
ということを歌っている瞬間があって、私はそれがとても好きで、
この曲は昔から破格に気に入っているもののひとつだ。
だから、最後は、音楽が途絶えたあとに真摯に祈りを捧げるような静寂が、
時間としてはあと数秒で良いから欲しかったのだが、
昨夜の聴衆はあまりにもノリが良すぎて(^_^;、
ブラボーーーー!!!になってしまったのは、個人的に残念だった。
しかし勿論、客席の熱狂的な反応というのは良いものでもあって、
指揮者もオケの面々も、ああした拍手や歓声を喜んでくれていただろうと思う。
アンコールは4曲もあって、
ドヴォルザーク『スラヴ舞曲第8番』、
ブラームス『ハンガリー舞曲第2番』、
ビゼー『「アルルの女」より「ファランドール」』
エルガー『「エニグマ変奏曲」より 第9変奏「ニムロッド」』。
最後のニムロッドが、ある意味、ベートーヴェンへのオマージュになっていて、
しゃれた選曲だなと思った。
これを演奏する前に、指揮者のシャンバダールは日本語で謝辞を述べ、
広島という地から、世界平和への祈りを込めて演奏したい、
という意味のスピーチをした。
演奏も含めて大変感動的で、客席では涙をぬぐう人の姿も見られた。
**********
このベルリン交響楽団が、
5月13日
以後の私の、
「演奏会活動」復帰・第一回演奏会(笑)で
(5月26日には
仮装ぴあにすと様のリサイタル
を聴かせて頂いたが、
これは演奏者を個人的によく知っている特殊な演奏会だったので、例外だ)、
曲目に思い入れがあり、独奏は弦楽器、という内容のものにしたのは、
我ながら、手堅くて良い選択だったと思った。
心地よく音楽に浸れて、客席も演奏家に対して大変好意的で雰囲気が良く、
最後はブラボーの声が飛び交い、盛り上がった演奏会になった。
こういう場に、そろそろ、また積極的に来るようにしたいな、
と久しぶりに思った一夜だった(笑)。
ときに、『ALSOKホール』はこの7月から、またしても名前が変わり、
『上野学園ホール』になるのだそうだ。
『ALSOK』自体、タクシーで行き先として言ったときに一発で通じることは
最近でもまだ、決して多くなかったのだが、更に『上野学園』って。
しかも( )つきで『広島県立文化芸術ホール』って書いてあるし。
なんとかもうちょっと、安定的に一本化できないものか。
結局のところ広島人にとってあのホールは、未だに、
『郵便貯金ホール』以外の何物でもないのだがな(汗)。
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