2つ年上なのに「Y君」と君付けで呼ぶのは、かなり昔に
私が5年ほど籍を置いた父が営んでいたアパレル小売会社に勤めていたからで
(馬鹿)息子の私が専務、彼が常務だった頃以来の習慣です。
その後、2人とも別々の道を歩いて来て今では同じ隠居の身になっているのですから
本来は「Yさん」に改めなければならないのですが、気にはしていても
これがなかなか直せなくて本当に申し訳なく思っています
特に2年前に始めた野菜作りにおいては
私より1年先輩であるばかりでなく、当初の1年間は5、6回は畑を見学に行ったり
ケータイで分からないことを何度も訊いたりして、いわば先生だったのですからなおさらです。
おかげさまで生まれてこのかた、ほとんど土など触ったこともなかった私でさえ
農薬と肥料だけは教えを一切守りませんでしたので、彼の作る野菜とは
比べ物にならないほど貧相だったとはいえ、1年目からそれなりの収穫をすることが出来ました。
今年の春からは県のカルチャースクールの講座に通い出し
T先生の唱える作り方を学びそれに従っていますので、昨年の数分の一程度しか
Y君に質問していませんし、今年の春以来、畑も訪れていません。
もともと知人の畑だった場所をそのまま借りて、かつその指導に従っているY君の野菜作りは
その方が耕運機で耕してくれたり、化成肥料や農薬をマニュアル通りに使う方法のため
私が目指す自家消費だけの自然菜園とは別物であることが分かってきたためです。
Y君の2つある畑の合計は200坪は下らない広さがあるのに
春はそのほとんどにジャガイモとネギが植わっていたのは
彼が行く数軒のスナックや飲み屋にこれらを持って行き、自分のツケと一部を相殺してもらう
いわば物々交換という趣味と実用を兼ねた上手い方法を見つけたためと聞いています。
そんなY君の畑を久し振りの訪れたのは、結構、自家消費が多いのに
植えた本数が少なく、今のうちに追加したいと思った玉ネギの苗を譲ってもらうためです。
数百本植えて余って予備にしてある中から40本ほどを分けてもらえることになっていたのです。
なるほどで聞いていた通り、昨年は消費し切れず
12月まで放置されていた葉物野菜の姿が今年は2畝だけで
残りは全部ニンニクと玉ネギで、これも飲み屋とスナック行きなのだそうです。
その少ない葉物野菜を見てもキャベツ・白菜・ブロッコリー・カリフラワーは
各5株しかなくそれでも食べ切れないと言います。
その替わりに〇〇菜と称する野沢菜・ユキナ・中国野菜などは数多く植わっているのですから
彼の食事における野菜の好みはどうも私とはかなり違うような気がします。
尋ねると案の定、「他人の食生活は勝手じゃないか」とつぶやきながらも
でもでも“酒ならなんでもござれ”の彼の好みはツマミにする「おひたし」用とか…。
そう言えば、これだけ広い畑なのに
今までダイズ、トウモロコシ、サトイモの姿を見た記憶がないのでは…。
こうして、Y君は飲み屋の物々交換用がほとんどと自分の酒のツマミ少しのため
一方の私は我々夫婦と娘や孫達が食すため、という各々の野菜作りを楽しんでいます
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