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元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

モノを書く

2017-08-08 | 実生活

いつも別に大したことは書いていないけれど、読んで下さっている方もおられるようで、「ブログ読んでいます」とか「ホームページ楽しみにしています」などと言われて気を良くして書いている。

何を書こうかとネタがない時は苦しいけれど、書くことは好きなので苦になりません。

何か思ったり、考えたりすることがあって、それを頭の中でじっくり考えてからノートに書くと上手くいくという自分なりのスタイルはできてきました。

これは高橋源一郎氏も「一億三千万人のための小説教室」でも言っておられるので、文章というのはそういうものなのかもしれません。

ブログを火曜日と日曜日に更新しようと思っているし、ホームページは毎週金曜日の更新なので、ストックがないと不安だと思い、前もって書いておいたことがありますが、パソコンで清書する時に楽しくない。

やはり文章を綴る楽しみは、その時の旬の気持ちを夢中になって紙に書いていくことなのだと思いますので、必要な時に食材を冷蔵庫から取り出すように、締め切り直前に頭の中のことを書く方がいいように思います。

このブログで11年半、ホームページの文章を書き始めてもうすぐ9年。会社にいた頃を入れると15年ほど定期的に書き続けているけれど、自分が仕事で扱っているペンやステーショナリーについての文を書くことが、仕事と生活の中心にあり続けてきました。

内容は置いておいていつも書くことを楽しんでこれたことは、本当に恵まれたことだと思います。

だから続けていられるのだと思うけれど、年を追うごとに真剣味が増してきて、締め切りが明けるとホッとするような、解放されるような気持ちが強くなってきた。

文章を売るプロのライターではないけれど、書いたものを読んで商品を買って下さる方もおられるので、そういう意味ではプロなのかもしれないと思うようになってきた。

何か書くということはずっと変わっていないけれど、何に書くかというのは、その時の気分次第でいろいろ変わっている。

このノートでないと書けないというものが決まっているといいけれど、いまだにいろいろ試してしばらく使ってみるけれど、しばらくするとまた変わっている。

万年筆店店主として、原稿用紙にかっこよく書けたらそれはプロっぽいのではないか

という憧れはいつも持っているけれど、原稿用紙にカッコよく書くのは本当に難しく、いまだにノートや手帳にに小さな字で原稿を書いている。


レディボーデン

2017-08-06 | 実生活

息子が「父の日に何が欲しい?」と聞くので、バケツ型のレディボーデンのアイスクリームが食べたいと言いました。

子供の頃、レディボーデンのアイスクリームはすごいごちそうで、あれを家族4人で分けて食べたことがありました。

これを一人で全部食べたいと思いました。

なぜか突然レディボーデンのアイスクリームのことを思い出した。

レディボーデンの、欧米の豊かな生活をイメージさせる映像(かすかな記憶)と、メロディにのせて歌われるブランド名のコマーシャル。

チューチューとか、王将アイスとか30円くらいでアイスを買っていた子供には、あまりにも世界観の違う、憧れのアイスクリームでした。

今でも売られているのか知らなかったけれど、突然食べたいと思いました。

息子はレディボーデンを知らなかったし、父の日までにレディボーデンは見つからなかったけれど、後になって妻がどこからか見つけて来た。

バケツがイメージよりもかなり小さいような気がするけれど、今も売られていて健在なのに感動しました。

製造、発売元のロッテのホームページのレディボーデンスペシャルサイトを見ると、シニア世代に訴求するアイスクリームとなっていた⁉

それから我が家ではレディボーデンが冷蔵庫に常備されて、夕食後のデザートとしてスーパー猛暑のオアシスのような存在になっています。

現在コンビニで買える高級アイスクリームの定番はハーゲンダッツですが、レディボーデンはハーゲンダッツよりも濃厚な味わいで、それだけは子供の頃の記憶のままでした。

子供の頃、レディボーデンのアイスクリームがあるような豊かな欧米の暮らしに憧れを持っていた。いい齢の大人になって、万年筆に同じようなものを見ているような気がします。


ルーペ

2017-07-30 | 実生活

ルーペは調整士にとって、それがないと何も始まらないとても重要な道具です。

私は万年筆の調整を教えてもらうようになった時にいただいたものをいまだに使っています。

万年筆がよく売れていた時代に、ペンの販売員に配っていた25倍のルーペで、一般的に性能の良いルーペと違っていて、レンズの中央でしかクリアに見ることができません。

小さなペンポイントを見るので視野が狭くてもよくて、ルーペを前後させることで被写体を大きくしたり、小さくしたりして見ることができればいいので、こういう仕様なのだと思います。

誰にでも配った、というものなので特別な素材など使われていない普及品的な真鍮にクロムメッキしたものです。

同じ見え方をしてもっとゴージャスなスターリングシルバーとか、金無垢とか、銘木などのものがあれば喜んで買うのに、なかなか代わるものがなく、もう20年以上使い続けている。

ルーペを使い始めたばかりの時、いかにかっこよく構えて、ペン先を見るかということを研究したことがありました。

目から40cmくらいの位置にルーペを構えて、焦点を探し回らずに一瞬で合わせて見るのが一番かっこいい。視野が狭く、焦点が合わせにくい高倍率なルーペでそれをするから、よりかっこ良くてプロっぽい。

ルーペを目に近付けて焦点を探しまくるのはかっこ悪いと思い込んでいて、ルーペを離して、一発で焦点を合わせる練習を家で密かにしていた。

本当に下らない調整の本質とは何の関係のないことだと思うけれど、当時の自分には重要なことだった。でも、若い頃はペンポイントがルーペなしで見えていた。今はルーペがないとペンポイントの状態が見えなくなっているので、その道具も使い方も重要度がより高くなっているのかもしれません。

私たちは時には一日中これを見て、この中の景色を何とか美しくしようとする。細かい作業ですねとよく言われるけれど、私自身はこのルーペのおかげでそんなに細かい仕事だと思っていない。

 


人口島の夜

2017-07-25 | 実生活

恒例の正方形ダイアリーカバーの打ち合わせに3人でル・ボナーさんを訪れました。

店を閉めてから行くので六甲アイランドに着くのは8時頃になってしまいます。

夜の六甲アイランドは行き交う人も少なく、所々照らされているライトの輝きがかえって物悲しく見えます。

周辺のお店の灯りが消えて真っ暗な中、ル・ボナーさんの灯りだけがあって、この街で繁栄している数少ないお店のひとつであることを象徴しているような風景だと、夜訪ねるたびに思う。

松本さんが当店に来て下さったりして、何度も会っているけれど、ル・ボナーさんを訪れるのは1年振りです。

毎年のダイアリーカバーの製作の用事がなければ、なかなか六甲アイランドに来ることがないと言うと寂しいし、用事がなくても松本さんに会いに来ればいいと思うけれど、仕事の邪魔をしたくないとか色々考えてしまいます。

打合わせ前に近くの中華料理屋さんで食事をしながら世間話をしました。

私も、その思い出で一生生きていけると思うほど楽しかったし、松本さんもあの旅行は楽しかったと言ってくれる松本さん、分度器ドットコムの谷本さんと行ったドイツ~チェコ~イタリア旅行の話は毎回しているけれど楽しい。

こういうところで言うべきことかどうか分からないけれど、当店が立ち上がる10年前以前から助けてくれていた松本さんに対しての私の感情は複雑です。

心から慕っていて、会えばとても楽しいし、いつまでも話していたいので常に関わっていたいと思う。

でも何かを作ってもらったり、仕事を頼むことは面倒をかけているような気がして、申し訳なくてとても言いにくい。

松本さんはご自身のお仕事で手一杯で、仕事がなくて困ることなどない。

独立系鞄職人界のヒーローで、カリスマだけど、苦労して今の地位を築いてきたことを知っているので、仕事に困っていない今はマイペースで好きな仕事だけをやってもらいたいと思う。

本当は毎年お願いしているダイアリーカバーも面倒を掛けていて、松本さんに甘える形で作ってもらっているので、心苦しいけれど、これがなくなるのも寂しい。

そこには身内に対する心の葛藤しかなく、良い物を作るなどプロとしての意識とか、それを求めているお客様の存在はなくて、聞く人が聞いたら何でそんなことを思うのか分からないかもしれない。

しかし、そんな仕事の建前も、プロフェッショナルの肩書も松本さんとの関わりにおいては捨てる。

革の保管室で面白そうな革を松本さんが広げてくれて、その話を聞いているのは楽しい。

いつまでもそうやって聞いていたいけれど、そういうわけにもいかないので、松本さんが勧める革の中で私も今回はこれを使いたいと思うものを選びました。

夜が更けて、さらに寂し気になった六甲アイランドを出る時、いつも後ろ髪引かれるような気持になります。

でもまた松本さんに会うために訪れたいと思います。


仕事道具

2017-07-23 | 実生活

 

あまり敏感な方ではなく、有難味というものをジワジワと感じてくる性質で、自分の仕事道具への愛着も時間が経って持ち始めます。

どの道具も代わりの利かないもので、しかもまた手に入れるには大変なエネルギーも要るので、大切にはしていたけれど、それにモノ以上の愛情は持っていなかった。

でもそれらの道具によって自分の仕事が成り立っていると思うと、そして出張販売などで旅をともにすると思い入れも強くなってきます。

出張販売のために新調しました携帯用ペン先調整機は、これを持ち運ぶために道を選ばないといけなかったし、飛行機では預けないといけなかった。

新幹線では自分の席からはるか離れて最後尾に置いておかなくてはならなかったので、駅に停まるたびに盗まれていないか見に行かなければならなかった。

携帯用と言っても、10数kgの重さがあって、探し回って一番フィットしたホームセンターコーナンのアルミ運搬ケースに入れて、大きな車輪のキャリーカートに載せて運ぶ。

でも手をかけられると愛着がより増すのかもしれません。

機能的には完璧で、調整機に対する私の全ての要求を叶えてくれているので、苦労して持ち運ぶ価値は十分にありますので、どんなに大変でも仕事に持って出る。

一番重宝しているのは、最近かなり機会が多くなった細字研ぎ出しやスタブ加工時に使う、粗研ぎ用のヤスリを装備している点です。使い捨てのヤスリをロッドを外さずに簡単に早く交換できる機能です。

他にもいろんな機能があって、何でも言いたいし、細部の写真も掲載したいけれど、大切に思えば思うほど、隠したくなってきました。

紹介したいのか、したくないのか分からない内容かもしれないけれど、仕事道具への愛着を書いてみたいと思いました。

 


個性

2017-07-18 | 実生活


デザインは普通で、無難だけど、ペン先が個性的な国産の万年筆


子供の頃から特に個性的でもない平凡な人間でした。

普段、自分が平凡であるということを意識しているわけではないけれど、何かに秀でた才能を持つ人を見たり、カッコよく個性的な身なりをした人を見たりすると、自分の平凡さ加減を思い出します。

見た目も、起伏のない性質も、それが何となく負い目に感じられていて、若い頃は本来の自分以上に個性があるように見せかけようとしたこともありましたが、無理していることは自分がよく分かっているし、他人から見てもそれは見苦しかったと思います。
あまり思い出したくない若気の至りでした。

しかし、もう自分の何かを変えるというのは難しい年齢になったし、何よりもありのままの自分を自分が受け入れるようになって、自分と戦わなくてもいいようになりました。

自分は見た目も、性質も平凡だから普通の行動をする。
自分の個性を表現するのは、仕事ですればいいと思えるようになったのは、結構いい齢になってからで、もっと早く気付いていればよかった。

お祭り騒ぎに興じて騒いでハメを外す、いわゆるバカになるということがとても嫌いでお祭りを楽しめたことはないし、だいたいお祭り騒ぎという言葉自体大嫌いだと言うと、とても陰気な人間に思われるのかもしれないし、それも負い目に感じていた。

ついでに言うと、飲み会などで今日は無礼講でと聞くと、嫌な気分にしかならないのは、私がお酒を飲めないからなのかもしれないけれど。

個性的な身なりも自分には似合わない。何せとても特徴のない外見をしているから。
雑誌などを参考に服をコーディネートしたり、同じものを買って着ても絶対に似合わないのは、モデルと自分の個性が違うからだ。

それよりも自分なりに上質だと思える、自分好みのスタンダードなものを身に着ける方が自然で楽しい。


そんな風に思えるようになったのは齢をとったからかもしれないし、自分なりに個性を表現できる仕事の意味がやっと分かりかけてきたからかもしれません。

私たちのような店は、人の心を掴む他のお店がしていないことをいかに見つけるかが大切だと思っている。

流行を追いかけたり、誰もがしていることはしたくない。

これは平凡な人間のせめてもの反発のような気もするけれど。

 

 


KA-KU奈良店さんの調整応援

2017-07-03 | 実生活

大和西大寺といういくつもの近鉄電車の路線が交差する奈良の交通の要所のようなところに、奈良ファミリーというショッピングセンターと近鉄百貨店があります。

その近鉄百貨店内に筆記具専門店KA-KU(カーク)奈良店があります。

東急ハンズさんの横の目立たないあまり大きなスペースではないお店ですが、そのお店で、そのお店の顧客サービスを目的としたペン先調整会をしてきました。

このお店のテナント元である近鉄百貨店さんが、この企画を新聞折り込みしたチラシに盛り込んで下さった効果は大きく、チラシを見て来られたというお客様が、年配の方を中心に来られました。

皆様、持っていていつかまた使いたいと思っていた万年筆を持って来て下さり、ゆっくりと時間をかけながらペン先調整をしながらお話しました。

そういう時の私の興味はいつも同じで、どちらから来られたかということです。ほとんどの方が地元の方でしたので、チラシが効果を発揮したのもうなずけました。

神戸も好きでよく行くと皆様言って下さり、奈良の話題よりも神戸の話をよくしました。

札幌での出張販売同様、第1回目ということで課題と反省のたくさんあるものでしたが、明るい光が見えて、次回できることが見えたことは幸運でした。

百貨店の社員食堂も初めて経験して、大いに気に入りましたし、売場とバックヤードの境目で、お辞儀して入退出することもやってみたかったので、楽しい経験ができました。

最後になったけれど、KA-KU奈良店のスタッフの皆さんに大いに助けてもらって、ペン先調整に集中することができたこと、楽しく過ごすことができたことに感謝しています。


札幌でのイベント

2017-06-27 | 実生活

イベント自体は、オリジナルインク、新製品のインクノート、筆文葉のリフィルなどは人気があり、予想通りでしたが、ぺン先調整、それも細く書けるようにする調整の重要がやはり多かった。

でもあれもこれもと欲張ってしまい、商品ラインナップがぼやけてしまったことは来年以降の反省です。

たった2日間のイベントで、丸3日間の滞在でしたが札幌の街に愛着を持って帰ってきました。

雑多だけどスッキリした街の雰囲気、メリハリのある気候、本州にない広大さを感じさせる地形など。

しかし、一番の愛着の理由は人との出会いでした。

イベントに来られたお客様とどこから来られたのか、その知らない町がどんなところかなのかといった話を様々な土地に詳しい北晋商事の金さんを交えて話すのがとても楽しかった。

商品の販売やペン先調整をするために札幌に来ていて、採算が取れなければ大人の仕事とは言えないけれど、どれだけの人と楽しく話せたかということもイベントの成果だと、イベントをするうちに思い始めました。

イベントは行列ができるようなものではなかったけれど、お客様お一人ずつとそういうお話をすることができて本当に嬉しかった。

普段はモノクローム写真のオリジナルプリントを飾って販売しているギャルリー ノワール/ブラン の場所を貸して下さった北晋商事の金さんご夫妻には、イベントの準備からイベント中の接客、後片付けまで手伝っていただいて、お世話になりっぱなしで申し訳なかったけれど、お二人との時間も札幌に愛着を持った理由でした。

狸小路商店は、外国人観光客も多く、様々なお店が立ち並ぶ活気のある商店街でした。

土産物屋さんと同じくらい飲食店も多く、お昼ご飯や夕食を食べる店を探しに来ても楽しめると思います。

札幌市内の方はもちろん、北海道内全体からお客様に来ていただけるように、このイベントを恒例のものとして定着させたいと思いました。


休みの最終日

2017-05-07 | 実生活

少し前ですが、加東市の桜。上手くはならないけれど、写真を撮ることが休日の何よりの楽しみ。

 

休みが長くなればなるほど、明日から仕事に行くという日は家でゆっくりしたいと思うのが人情で、連休が長くなればなるほど、その最終日はお客様が少ないと経験から知っています。

働き出した時からサービス業で、大型連休とか、週末の休みとは無縁な生活を送ってきました。

自分の若い頃を振り返ると、憂鬱な気持ちになります。
それは何も分かっていなかったという恥ずかしい気持ちと、家族にも申し訳なかったという悔恨のような気持ちを感じるからだと思っています。

息子は、父親は家にいないことが多く、母親といつも二人きりだったと幼い頃を振り返って言うけれど、人が休んでいる時に働いて、人が働いている時に働く、時間を売っているような仕事だから休みは少ないと思っていました。

今は店で仕事をしていることを天職だと、誇りを持ってやっているけれど、はじめの3年ほどは自分には能力がないから店でしか働くことができないと腐っていた。

当時の休みの日は、大した所に行っていたわけではなく、近場のショッピングモールをローテーションで行くくらいだったけれど、家に帰ると休みの日が終わることを認めるようで、なるべく遅くまで外にいたいと思って早く帰りたそうにしている妻と息子を引っ張り回していたような気がする。

ある時、自分の中のスイッチが入って、時間を売っていると思っていた販売の仕事が全く違うものに思えるようになりました。

時間を売っていると思っていた時は、与えられた仕事だけをしていて、仕事以外の時間に自分で勉強したり、考えることなど、仕事する人間として当たり前のことをしていなかった。

それから真っ直ぐに今の道を進んで来たけれど、時代と今自分が所属している会社の現状を自分なりに読んで、そこに自分を当てはめてやるべきことを見出して行くことができたら、仕事は時間を売るだけでなくなるような気がします。

大型連休の最終日にはいつも、若い頃の休みの日にしがみついていた情けない自分の気持ちを思い出します。

 


小さな世界

2017-04-30 | 実生活


山本通 


店が始まる前に東急ハンズに行く途中に声を掛けられて振り返ったら、カンダミサコさんが優雅に自転車で走ってきました。

近所なのでカンダさんとは偶然会うこともあるかもしれないけれど、休みの日でもちょっとその辺に出掛けた時に知り合いに会うことが多く、本当に小さな街だと思います。
でも神戸のそんなところが気に入っています。

当店のスタッフ森脇直樹が外に招かれて聞香会をした時の縁で、当店に万年筆を買いに来て下った若い女性がおられました。

その方が、姪と一緒に店に来られて驚きました。

万年筆屋さんに行きたいという友達について来た店が、伯父さんの店だったという偶然でした。

世の中は本当に狭いなと思うことがよくあるけれど、それは万年筆というキーワードが入ると尚更だと思っています。

万年筆を使う人も、扱う店も少なく、それが世の中を狭くしていて、知り合いの知り合いが知っている人だったということは非常に多い。

小さな世界なので、お客様の数が限られていると思って、お客様の取り合いを店同士がしているとますます万年筆の世界は小さくなって、発展や未来がなくなっていく。

それぞれの店が自分たちの世界観を表現して、それに共感するお客様を増やしていける活動ができたら、万年筆という狭い世界はまだまだ大きくなっていけると思っているし、万年筆というものについて考えた時、潜在的なお客様はたくさんおられると思っている。

歩けば知り合いに会うような小さいと思っている神戸だけでも120万人もの人がいて、当店に来られたことがある人はいくら多く計算しても、100分の1くらいで、まだまだ余地がある。

新しいペン先調整機の製作で大変お世話になった高木会長のペンランドカフェは、規模も当店と同じくらいの同業者だけど、ペンランドカフェさんと当店とは、目指すものは近いけれど当然個性が違っていて、棲み分けができている。

本業の食品会社を立ち上げて、今のように大きくした才覚も、力もある高木会長の人間の大きさに甘えて、私が勉強させてもらって、お世話になってばかりだけど、ペンランドカフェさんとは協力関係が成り立っていて、ことあるごとにやり取りしている。

名古屋には当店と違うやり方で、万年筆を使う人を増やしたいと夢を持って営業している店がある。
その店の繁栄は刺激になるし、その店と協力し合えていることを誇りに思っていて、これが世界を大きくすることにつながるものだと思っています。