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元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

大晦日にて

2006-12-31 | 万年筆
仕事をするようになってから、今まで何の迷いもなく生きてきたように思います。ゆっくり考えることもなく、分かれ道で立ち止まって迷うことなく歩いてきました。
でも今年1年は迷いと試行の1年であったと思い返します。
どうすれば他人に気に入ってもらえる仕事ができるかということに惑わされたこともありましたが、結局自分にできることは自分らしいこと、自分にしかできないことだと気付いた年でもありました。
他人の意見を聞いてその通りにする方が楽な時もありますし、和が保たれることもありますが、私の本心でないことをしてもどこか無理が出て、とてもつまらないものになってしまいます。
来年はもう少し成長して、今年のように立ち止まる年ではなく、少しでも前進したいと思っています。

豊かな心

2006-12-27 | 万年筆
最近店に来るようになった、アメリカ人がいます。
彼は日本語が上手く、私が言うこともほぼ理解してくれますので、スムーズにいろんなことを話しています。
何度目かの来店の時かなり気心が知れてきましたので、お互いの人生観について話したことがありました。
彼は最低限のお金は要るけれどと前置きして、お金を求める人はいくらあっても満足できない。お金を求める人の心はいつまで経っても豊かになることはないと言いました。
アメリカ人にも吾唯足るを知るの心があることに驚き、共感を覚えました。
私は自分ができることが、少しでも世の中のためになるのなら、ただそれを生かしていきたいと言いました。それができなければ、私は世の中の役に立てないと思っていますし、社会人として自分が一番世の中のためになることをしていかなければいけないと思っていると言うと、かれはあんまりアンビションがないんだねと笑いましたが、分かってくれたようでした。
物は壊れたり、古くなったりするけれど、知識、技術、信条は持ち続けて磨きをかければどんどん良くなっていくものだよねと言って、こんな話をしだしたら、いくら時間があっても足りないよと帰っていきました。


男の品格(PHP出版)

2006-12-19 | 万年筆
なぜこの本が気になったのかわかりませんが、おそらく表紙のデザインだと思います。何気なく本屋さんで手にとって読み始めたらなかなかおもしろい内容でした。
会社にいながら、会社に雇われない生き方、男としてのプライドを持った群れない生き方、周りに流されない自分スタンダードな生き方、など漠然と自分らしさについて考えていましたが、この本に全て分かりやすい言葉で書かれていて、共感を持ちました。
とても勇気付けられる本でしたよ。お勧めです。

日本人の美徳

2006-12-18 | 万年筆
日本人は昔からさりげない心遣いや、人知れず努力するといったような、慎み深さを持ち合わせていたはずでした。
しかし、今はポーズやパフォーマンスばかりで、そこには真心が通っているのかどうか、あまり問題にされなくなってしまったのではないかと思っています。
お客様のためを思って活動しているように見せている企業、上司の前だけ仕事をしているように見せる社員。
そんな会社が日本中に山ほどあるような気がして仕方ありません。
ポーズやパフォーマンスを見せなくとも本当に分かる人には真心は伝わりますし、それが分かってくれる人を周りに集めることが仕事をするということなのかもしれません。
日本人の美徳や美学。そんなものを貫いてみたいと思っています。

学ぶ気持ち

2006-12-12 | 万年筆
松江の有名万年筆店のKさんがわざわざ訪ねて来て下さいました。
10時ジャストに店に入って来られ、名刺を交換しました。
11月に81歳になったというKさんはとてもそんな高齢には見えず、とてもお元気そうで、目が輝いていました。
Kさんの店は創業87年になり、Kさんも60年以上もペンの仕事に携わってこられたとのことでした。
一番多い時で、4軒もの店を持ち、オリジナル万年筆をエンゼルというブランドでそれぞれの店で販売していました。
万年筆がそれほど売れなくなって、店は松江の1軒だけになってしまいましたが、奥様とお二人で守る万年筆専門店は、行ったことがないですが、私の理想のように感じます。
イタリアのペンも扱っていきたいと、積極的な姿勢も持っているKさん。
私もあんなふうに魅力的な歳のとりかたをしたいと思いました。

呉行き

2006-12-09 | 万年筆
唯一師匠だと思える人の研修を受けに広島まで行ってきました。
師匠は私と同じ会社に所属しているわけではなく、関連の会社にいるわけでもないので、私に対して職務上の義務も何もないですが、いつも私のことを気に掛けてくれていて、要所要所に姿を現し、厳しい指摘をしたり、アドヴァイスをくれたり、時にはもっと直接的な行動に出てくれたりします。
今回の研修も、師匠の働き掛けのお陰で実現したものでした。
社内で後継者を作ることができないという内部事情があるのかどうか分かりませんが、彼は私を後継者として育て上げたい思ってくださっていて、私もその想いにぜひ応えたいと思っています。
研修自体は1年半振りで2回目ですが、その間様々な形で話を聞いていましたので、久し振りという気がしませんでしたが、研修の内容はかなりレベルアップしたもので、師匠のノウハウ、技術力の奥深さを感じました。

時代は動いている

2006-11-30 | 万年筆
100億円の売上を誇る会社は、101億円の売上の会社の前では値打ちがないし、ペン1000本の在庫をアピールする店は1001本の店の前では値打ちがなくなります。
今の時代がそうなのか、ずっとそうだったのか、企業やビジネスの値打ちがお金の額で決められていて、その金額が少ないと値打ちがないように思われます。
いわゆる負け組の負け惜しみに聞こえるかもしれませんが、自分や自分の勤める企業が負け組みだとは思っていません。
自分のすることや、私の属する企業の判断基準がお金の価値でしたら、必ず負け組みになっていくと思われますが、人々に何を訴えることができたか、どんな感動を提供できたか、ということが活動の基準になっていけたら、将来は明るいと思っています。
今日、ある鞄修理職人で、デザイナーで、物書きの元法律家というおもしろい経歴の人と話していて意気投合しました。
彼はそんな時代がそう遠くない将来に必ず来ると言っていました。
私も世の中が、静かに確実に動いていると思っています。

漆布塗りのトレイ

2006-11-19 | 万年筆
大阪であったある掘り出し物市で漆布塗りのトレイを見つけてペンの演出用に購入しました。
木地に布を張って、その上に黒漆を塗り、その上にラフに朱漆を塗ったとても味わい深いものでとても気に入っています。
最近このような日本の伝統工芸のものの魅力に取り付かれて、深く入り込んでいきそうです。
日本の美のあり方、渋さ。そんなところに私達日本人は帰って行くのかもしれませんね。

飯碗

2006-11-11 | 万年筆
生まれて初めて陶芸のようなことをしたのが9月。
忙しくて窯元に行くことができませんでしたが、やっと今日都合がついて取りに行ってきました。
作る前にイメージしたのは、ご飯でも抹茶でも使うことができるものでした。
肉厚を薄くしすぎてよれよれになってしまったり、ろくろのスピードが早すぎて形が崩れたり、何度もやり直しましたが、何とか形にして帰ってきました。
出来上がったものを見せられて、思わず笑みがこぼれてしまいました。
かっこよくできたとか、名作だったということではなく、自分が作った器を見るのがすごく嬉しかったという素朴な喜びを感じました。
少しいびつですが、素朴な侘びを感じます。

親父

2006-11-07 | 万年筆
あるペンドクターとの仕事が終わり、ペンドクターは家に帰る暇もなく、四国に発ちました。
私はその人を親父にような存在だと皆さんに紹介しましたが、今回の仕事でその想いはさらに強くなりました。
私が仕事において煮詰まっていると感じると、その人は私自身への啓発だけでなく、さらに突っ込んだ行動に出て、私を活性化させようと各方面に働きかけてくれました。
私もその人の気持ちに答えたいと思いましたし、その気持ちを感じた私の上司が動き出してくれています。
他にも親身に私のことを想ってくれて応援してくれている人もいて、その人達の気持ちに応えるために、そのペンドクターの意思を継いで、ペンの世界を活性化して大きくしていきたいと思いました。