ひびレビ

特撮・アニメの感想や、日々のことを書いてます。
当ブログの記事をコピーした、怪しいサイトにご注意ください。

無敵超人ザンボット3 第23話(最終回)「燃える宇宙」

2023-05-10 08:17:10 | アニメ・ゲーム
無敵超人ザンボット3 第23話(最終回)「燃える宇宙」

 ブッチャーを倒した今、残る敵はガイゾックただ一人……かと思いきや、ガイゾックの術中にはまってしまった神ファミリーはあわや同士討ちの危機に陥ることに。負傷した宇宙太が正気に戻ったおかげで難を逃れたものの、勝平は元より、普段は宇宙太共々彼を制止する役割を担っている恵子までもが術中だったため、一層ハラハラさせられる場面でした。初期の勝平だったら宇宙太の言葉に耳を貸さず、そのまま攻撃を続けていたかもしれません。
 しかし一体いつから、どうやって幻惑を見せられていたのか……磁気爆発に見せかけた幻惑光線だったのでしょうか。最後の最後まで油断のならない相手ですね。

 死闘の火花散る宇宙で、遂に次回予告でネタバレされていたとおり、宇宙太と恵子の最期が訪れることに。ここまで戦ってきた彼らに撤退の選択肢などなく、ザンボエースと分離した後に特攻……更に追い打ちをかけるように、バンドック内では千代錦が犠牲となり、ガイゾックとの会話後にはビアル一世のみんなまでもが……共に戦ってきた仲間たちの死を立て続けに目の当たりにさせられた勝平の、震える声が心に突き刺さります。

 数々の犠牲を払いながら勝平がたどり着いたのはガイゾックの正体。それはガイゾック星人に作られた、悪い考えをもった生物に反応するように作られたコンピュータードール第8号、言ってみれば宇宙の平和を保つための掃除機みたいなものでした。
 ガイゾックに言わせればビアル星が滅ぼされたのも、地球が攻め込まれたのも、全部その星の住人が悪い考えに満ち満ちていたせい。確かに本作の序盤では、神ファミリーは批難され、醜い感情が渦巻いていました。しかしガイゾックに対して勝平は「みんな良い人ばっかりだー!!」と叫んでいました。そもそも神ファミリーが批難されたのも、人々の醜い感情が浮き彫りになったのも、ガイゾックが一方的な考えで地球を悪と定め、襲って来たせい。ガイゾックが攻め込んで来なければ、こんなことにはならなかったはず。平和だった頃の人々を知る勝平だからこそ、良い人ばっかりだと言えたのでしょう。

 ですが、それでもガイゾックは意思を曲げない。ブッチャーと同じく何故自分たちと戦ったのか、家族や親しい友人を殺してまで戦う意味があったのかなどを問うた末に「お前たちは勝利者となった。しかし、お前たちを優しく迎えてくれる地球の生き物がいるはずがない。この悪意に満ちた地球に、お前たちの行動を分かってくれる生き物が、一匹でも、いると、いうのか……」と、どこまでも一方的な意見を押し付けて、散っていきました……ここまで勝った気分にならない決着は初めて見たかもしれません。


 兄たちの命懸けの行動により、地球の海に落下した勝平。ですが、勝利者であるはずの勝平は目をつぶったまま、震えていました。ガイゾック相手には強がったものの、ああも一方的に言われては、大人ですら戦ってきた意味を考えてしまうでしょう。ましてや子供である勝平にとって、どれほど怖いことだったか……目をつぶったままだったのは、そうした恐怖故に目を開けることが出来なかったからに思えます。怖さと寒さで震える勝平の声、凄いなぁ……
 ですが、勝平が目を開いた瞬間映ったのは、香月やミチ、神ファミリーの生存者、そして一般市民たち……EDの歌詞が心に染み入る一方、果たしてこれは喜んでも良いのか?という疑問も抱いてしまいました。

 確かに勝平が信じたとおり、みんな良い人たちに見えます。ですが、中には神ファミリーの戦いを批判していた人も含まれているかもしれません。それが戦いが終わった途端に手のひらを返すように、彼を英雄扱いする……というのは、あまりにも虫のよすぎる話に思えます。もしも勝平がガイゾックに負けていたとしても「頑張ったな」と温かく声をかけてくれる人が、あの中にどれほどいたでしょうか。
 ですが、一度悪い考えを持った人間はずっと悪い人間のままなのかと言われると、それも違う。実際香月も当初は神ファミリーを批難していましたが、今となっては頼れる友人です。良い考えと悪い考えの両方を持っており、時と場合によって味方にも敵にもなり得る不安定な存在こそが人間であると、私は受け取りました。

 そして、決して認められない一方的な考えではありますが、ガイゾックにはガイゾックなりの正義や信念をもって「悪」と断じた地球を滅ぼし、平和を保とうとしていたのは事実。戦いとは犠牲を払いつつも己が正義を証明することであり、その結果次第で戦った者は歓迎もされるし、批難もされる……戦いとは何か、戦った者は常に報われるのかなどの問題提起がなされていたように感じました。

 ……といった感じで、2年がかりでザンボット3、全23話を視聴しました!いやー!……想像していたよりもずっと重かったです(汗。特に香月ら友人から遠ざけられ、一般人からも疎まれていた前半も前半で辛く、後半は「人間爆弾」絡みで絶望し、クライマックスに至るまでには数多くの犠牲が出て、結果勝った気が全くしない決着を迎えることになろうとは。正直神ファミリーは勝平以外全滅まで覚悟していたので、かろうじて生存者がいたことにホッとしていた気持ちも少なからずあります。

 
 ザンボット3はここで終わりですが、果たしてこの先、勝平たちはどのように暮らしていくのでしょう。今でこそ歓迎ムードですが、未だ神ファミリーを批難する人間がいないとも限りません。もっと上手に戦えたのではないのか、そもそも神ファミリーが地球に来たのが悪いのではないか、ガイゾックの話を聞いたのは勝平一人であるが故に、彼の話を信じない人もいるかもしれない……そういった不安も残ります。
 また、今回戦ったガイゾックが「第8号」という点も怖いですね。第8号が破壊されたことで、第9号が作られるかもしれませんし、第8号を滅ぼした神ファミリーを悪認定しないわけもないでしょうし……

 加えて地球に残されたザンボット3などの設計図や、勝平たちが受けた睡眠学習による恐怖の克服などは、今回は守るための力として扱われたものの、一歩間違えれば他国や他の星に攻め込む力にもなりかねません。ガイゾックに地球をめちゃくちゃにされた人々は、その力をどのように扱っていくのか……

 とまぁ、勝った気もせず、終わった気もしないザンボット3最終回。戦いは勝敗が決したらそこで終わりではないのだなと痛感させられました。

コメント    この記事についてブログを書く
« ウマ娘プリティーダービーを... | トップ | (何故クリアできたのかが)... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。